2008年02月08日

タスマン海を横断した若者の話(下)

1日1食を続けながら、行程の2/3あたりになると、1日12時間を漕ぐことから派生する上半身の疲労は別として、何週間も座ったままの時間が多く、足の筋肉が激しく落ち、体重も落ちた。


二人は、ついに1月13日日曜日の昼過ぎに、ニュージーランド、ニュープリマスのガモツ海岸に到着した。マオリ族伝統のカヌー“艦隊”の出迎えを受け、海岸にはニュー・プリマスの町民全員を上回る5000人以上が祝福したという。生バンドの演奏に加えて、海岸には、テレビの大型スクリーンまで登場。

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二人は、髪の毛も髭もぼうぼうだった。「思った以上に元気だ」と、出迎えた人々は驚いた。両親との再会は、言葉にならなかった。


予定より1100キロ多い3300キロを超える距離を、“漕”破した二人の若者。世界最長のカヤックによる航海になった。カストリッションさん(ゴードン在住)とジョーンズさん(パディントン在住)は、2007年の11月13日に出てまるまる2ヶ月の62日の航海を終えた。途中の支援は一切無しの横断だった。総費用は25万ドル(約2500万円)にのぼるという。

カストリッションさんの妹ライアンさんは、「彼らは次に何をするか言わなかったが、どっちみち大きいことでしょう」と言った
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精神的な疲労から速く立ち直ってもらいたい。
成功 おめでとうと、心より祝福したい。



戦時と平和時の違いはあるが、この若者の横断は、日露戦争当時の沖縄の若者とどこか符合するのである。


時は明治38年。西暦1905年。

日本はまさに日露戦争の真っ只中。ロシアのバルチック艦隊の出現に備えて、日本軍は日本沿岸中に監視所を置き警戒を続けていたがバルチック艦隊の所在の情報は得られなかった。


そんな5月25日、奥浜牛という那覇の帆船乗りの青年が、宮古島沖を北上しているバルチック艦隊に遭遇した。バルチック艦隊も彼を視認していたが、独特の長髪のために中国人と判断して捕えなかった。


奥浜は宮古島の漲水港(現:平良港)に26日午前10時頃に着き、駐在所の警察官とともに役場に駆け込んだ。

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宮古島は大騒ぎとなった。当時の宮古島には通信施設がなかったため、島の重役・長老達の会議の結果、石垣島にこの情報を知らせる使いを出す事となり、宮古島「松原」「久貝」地区から垣花 善・垣花 清・与那覇松・与那覇蒲・与那覇蒲(同姓同名)の漁師5人を選抜した。垣花 善を除けば、全員が20代である。


5人は15時間、荒れた海の中170キロの距離をサバニ(琉球列島の漁業従事者に古くから使われていた漁船のこと)を必死に漕ぎ、石垣島の東海岸に着いて、さらに30キロの山道を走り、5月27日午前4時頃、八重山郵便局に飛び込んだ。局員は宮古島島司(島長)からの文書を垣花善から受け取って電信を那覇の郵便局本局へ打ち、電信はそこから沖縄県庁を経由して東京の大本営へ伝えられた。


しかし、電報は中継が多く連合艦隊に達したのは信濃丸の「敵艦見ゆ」の報告とは1時間遅れであり、あまり評価されることもなかった。 
昭和の初期にこの事実が発掘され、国文教科書に「遅かりし一時間」と題する見出しで初めて世に紹介され、五勇士は沖縄県知事等から顕彰された。


南海の孤島の5人の漁師がこのような困難な任務を果たしたとは、当時の日本人の普通の庶民であっても国難にあたり素朴な国への勤めを身に付けていたあかしだ。いつの時代も、若者があってこそ歴史が作られていく。

(終わり)



>タスマン海を横断した若者の話(上)


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posted by buruta |17:36 | gensan | コメント(0) | トラックバック(0)
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