2009年11月07日
Sydney to Gong Ride シドニーゴン走破(下)
今年、初参加の奥井悟さんにインタビューしました。 奥井さんは、シドニーで和食レストランを経営なさる、人の痛みの分かるまじめなサイクリストです。 そもそも走ろうと思ったきっかけは? 場所柄、私は毎日1回自転車に乗る機会を作っています。すぐ隣にあるセンテニアル・パークの周回コースを走ります。朝なり昼なり・・・それか仕事を終わった後の深夜走っています。深夜はコースを変えるんですが。昼走れなかった時は、夜出て行きます。それは、自分の健康維持のためにやっています。 知り合いからこういうレースがあるよと、長いんだけど走って見ないかと誘われました。 自分でも考えました、只、健康維持のために走ってるのはつまらない・・・・で、出場してみるか・・ということで。今回初めて走ってみました。 すぐ決断できたわけですか? それはもう、すぐ決断しました。 走行距離は90キロと書かれていました。コースは山岳地帯というか、ウーロンゴンの手前にすごい上り坂があります。そこが、いやだなと思ったんですが、走ってみてものすごい景色に圧倒されました。ブッシュの中の木漏れ日の中を走っているということで、上り下りという坂を感じさせないんです。そのくらいすばらしい景色でした。 ウーロンゴンの手前までずっとダラダラの上り坂が続きますね? あれがきついですね。 逆にウーロンゴンが出発点だったら、どうだったですか? そうですね。そうなると、シドニーに向かう方がきついかもしれませんね。 ウーロンゴンの手前で、いきなり猛烈な急坂になりますよね。 坂ですから、皆スピードが出ますので、規制をかけて、20台30台とまとめた後、出発させるようにしていました。皆で挑戦しあわないように・・ですね。このレースの趣旨は、多発性硬化症の人のために募金をして走るということですから、タイムを競うわけではないので・・・
で、奥井さんのタイムは? 2時間50分で走りました。 ほう、ご立派ですね。 自分の予想では? いや全く想像つきませんでした。4時間から5時間くらいはかかるんじゃないか・・・って自分では思っていたんです。それがまあ、想像以上にスムーズに走れたんですね。日ごろ、25キロから30キロを走っていましたんで・・・ですから、センテニアル・パークを6周から7周ですね。1周4.2キロから4.3キロあると聞いています。 同じ場所をぐるぐる回っているのとは当然違うでしょう? 同じ場所を回るほうがきついです。まず景色が変わらなくて、そういう意味での楽しみが、まずありません。こうやって走っていますと、次から次へと見たことの無い景色が現れますからね。上り坂はぜんぜん苦になりませんでした。それが、新たな発見ですね。 奥井さんの出発は、7時半でしたか? グループに分かれた出発するようになっていまして・・・一番早い出発は朝6時ごろで、一番遅いグループは、たぶん8時半ごろだったのではないでしょうか。 申し込みの時点で、X時のスタートだから、それに合わせて集合するようにと言われます。 前日は寝られましたか? 出発の前日は土曜日でしたので、レストランの仕事が終わって、皆で食事し終わって午前2時です。かたづけして、シャワー浴びて・・・当日の朝5時過ぎくらいに起きて・・・ 疲労度はどうでした? それはもう、さわやかの一言。普段走っている時の疲労度とは全く違いますね。 レースの1~2週間前の予想気温は35度とか言われていたんですが、そんなに気温は上がりませんでした。朝は、結構肌寒さを感じましたね。でも70歳近辺の年齢層の人が多かったですが、そういう人たちは結構きつかったのではないでしょうか? 気候温暖化・気候変動問題で、世界中自転車ブームが起きているようで、参加者は大勢でした。今回は1万人で締め切ったようですが、締め切った後も、申し込みが殺到していたようです。集まったお金も、去年が210万ドルに対して、今年は260万ドルを超えたといいます。感心が高まっているのは確かだなあと感じましたね。 35度の気温だったらどうなっていましたか? 35度でも、自分は完走できていたと思います。そういう体力的な余裕はあったと思います。長距離のレースになると、気温1度違うと、ものすごく違いますよ。汗のかき方などもだんぜん半端じゃなくなりますからね。 先日の35度以上の真夏日には、今年ベトナムにご一緒させていただいたときと同じすごさがありましたね。
走っていて自分で発見したことってありますか? 走るという点では、相手もたくさんいるのですが、自分との戦いだというのが、再発見ですね。自分への問いかけを続けながら、走るんです。この時点で、まだ自分は大丈夫なのかな・・・と。ここまできた、まだまだいけそうだな・・とか。若い時の気持ちが蘇ってくるんですね。まだまだ、この自分はいけるじゃないか・・と。 上り坂の胸突き八丁の所では何か考えているものですか? やめようとは思わなかったですね。とにかく最後まで走りたい・・と強く決めていましたので。 走っていて、人の顔なんて見えるものですか? ええ、結構見えますね。この人は、年いっているのに、すごいなあ・・と思ったり。逆にこの人は若いのにすごいなあ・・と思ったり・・・一人ひとりの顔を見る余裕はあって、そういう感想を持ちながら走れますね。そのくらいの余裕はありましたね。 走っている人同士の会話はないですね? それは、ありませんね。皆自分との戦いの中で走っているのワケですから・・・それなりにみな、自分とたたかっているんですね(笑い) それは面白かったですね。おしゃべりしながら走っている人は見ませんでした。みな、本当に一所懸命に走っていましたね。 90キロ走破するに必要なものって何ですか? 私の場合は、完走したいという気持ちがいっぱいでした。私の年齢でしたら、やはり体力でしょうかね。普段乗っていますので、足も大丈夫でした。トレーニングされていない人は、足が上がってしまって、たぶんだめになると思います。 リタイアした人も結構いるんですか? いや、体力によるリタイアはほとんどみかけなかったです。多かったのは、パンクによるリタイアです。パンクに見舞われるとどうしようもありません。ボランティアの方がいらして、ずいぶん手助けしていたみたいですが。でも、ボランティアの方がいないところでパンクしたら、もうどうしようもないです。パンクは、多かったですね、1万台走っているわけですから・・・。そして、下り坂で自転車同士の接触で、こけて怪我している人もいました。 下り坂は怖いですか? 怖いですね。すごいスピードが出ますので。ブレーキをかけた状態でも、時速5~60キロのスピードは出ますからね。それ以下にスピードを落とすと、後ろからどんどんやってきますので・・・余計に危ないということもあります。あおられますからね。 スペアのチューブと、自分の体のために水を持っただけです。自分はあまり飲むタイプではないので、ボトル1本くらいですね。それで十分でした。水が残ったくらいです。それだけ精神的に余裕がなかったのかもしれませんがね(笑い)。 初参加ということで。 ゴールインした時の気持ちは? やっと来たか・・という気持ちでしたが、もうゴールかという気分的な余裕はありましたね。ものすごく気分が良かったんですね。こういうことで走るのは、すごくいいことだと思いました。(患者さんの)お役に立てることができましたし・・・景色を見ながら、90キロを全部楽しめました。山間部が終わると、海が開けてきて・・・もう最高ですね。とても良かったです。 それに、自分の立てた目標金額もクリアできましたので、良かったです。(と言いながら、800ドルと書いた書類を見せてくれた。)参加を決めたのは、1週間くらい前だったのですが、時間もないし、そんなに集まらないだろうと思って800ドルにしたのですが、おかげさまで結局は1100ドルほど集まりました。家内も、こういうことでドネーションできるならいいことだねといってくれましたし・・普段自分の体を鍛えているんだから、こういうチャンスに1回試してみたら・・とも言ってくれました。娘も喜んでくれています・・・参加するいったら、「おお、やった、やったあ。おとうさんもそういうところへ出て行けるんだ」と言っていましたね。普段仕事ばっかりですから、自分の時間を他人のために使うことを、家族はすごく喜んでくれました。
次に走る人へのアドバイスはありますか? 90キロ走るなら、普段からのトレーニングが必要ですね。大体、足の筋肉が硬直してしまいますから・・・体力が残っていても、足がやられますと、悔しい結果になりますから。 また走りたいですか? はい、もちろん。これだけすばらしい経験をしましたので、スタッフにも声をかけて・・・すばらしい達成感もありましたし・・・みな、それぞれ子どもの時に自転車に乗っているはずです。で、大人になると、なぜか乗る人は激減します。 でも、乗ると、あのときの感覚が蘇ってきます。それはすばらしいことだと思います。 私には、ハノイからサイゴンまで、自転車で、ボランティアをしながら、走破してみたいという夢があります。この夏に打診してみたけど、賛成する人はほとんどいなかったですね。 私も前に、バイクで走破しようと計画したんですが、免許のこととか、接触事故を起こした時に、外国人は不利になるので、エンジンのついているものは良くない・・と言われて断念したことがあります。 この春(3月)に、ベトナムの学生が、200人でハノイ~サイゴン間を自転車で走ったようなんですね。 ああ、やってみたいですねぇ。1800キロくらいですか、南北縦断は?1日200キロで10日間ですね。 自転車に興味を持っている人は増えていると思うんです。そういう人たちを誘うことですね。集まってくると思いますね。 最低10人は集めたいし、人に貢献する精神をもって・・たとえばハノイで自転車を買って、完走したら、どこかに寄付することを考えています。いつか、実現したいなと思っているんですよ。 それは面白いことですね。人数が増えると、安全性も高まりますからね。体力の無い人は、サポートに回って頂くとかですね。その募集の際には、ボランティア活動まずありき・・ではなくて、自転車で南北を走破しませんか・・途中でボランティア活動をしませんか・・という呼びかけのほうがいいと思います。ぜひ、やりましょうよ。 (終わり)
posted by buruta |11:24 |
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