2006年09月17日

ベトナムの「草スキー」

みなさん、こんにちわ。 シドニーから gensan です。

今日は、ベトナムの「草スキー」 についての話を・・・


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「草」という文字はおもしろい。

「草野球」とくると、何となく専門的でなく、素人集団のイメージを持つ。

「草野球は試合相手を探すのが大変です。誘ったものの、さんざん待たされた挙げ句に答えはNoだった・・・試合がしたい! 
でも球場が確保できていない!誘いを待ってたってどこからも声がかからない!そんな苦労の連続です」 と人は言う。

そうなんだ、大変なんだ、草野球は・・と改めて思う。


じゃあ、「草月流」とくると、それとは多いに違って、専門的、家元がいて、
免許制ともあいなり、格式が出てくる感じがする。

「草サッカー」ともいわないし、「草ゴルフ」などという言い方はきいたことがない。なぜなのだろうか。
日本の都会などに、草がなくなってきたせいか?そもそも、「草」は、野球だけの枕詞なのか?


草創というと、何か苦労がつきまとい、一心不乱に目的に向かって苦労した人たちのイメージを思い出させる。


私は、この20年近く、今も苦しむベトナムの枯れ葉剤被害者の患者宅を訪問して回っている。
今回は、ベトナムの「草走」の話をしよう。

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<ファンシーパン 3143m 霧のかかることの多い山です>

ベトナム最高峰はファンシー・パンと言って3143メートルの山がある。
写真でみる通り、形のいい山である。霧が多くて、全容をみることは、
足繁くベトナムに行くこの私ですらなかなかない。裾野はベトナムとラオスに広がる。
ベトナムの最北端の中国国境ちかくに位置するが、ここでも雪はほとんどつもらないので、
ベトナムにスキー場はないのだ。だから、ベトナム人に雪をみせると、大変喜んでくれる。

ところが、ハノイの北西60キロのホアビン省ルオンソン郡バビ山麓に、立派な草スキー場が出来た。

ルオンソン・草スキーセンターという。
この「草スキー」が、今ベトナムでトレンディーなスポーツになり、大変な人気を呼んでいる。
特に週末ともなると、常時二百人という若者が、首都のハノイからこの草スキーをしにやってくる。
事前の予約は絶対必要なほどだ。

因みにデータを書いておくと、月―金の入場料が1万5千ドン(118円)。週末は2万5千ドン(190円)。
スキー用具レンタル料1時間4万ドン(300円)。
そりは1回5千ドン。こんな金額でも、若者には手頃な値段になってきたのだ。


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<草スキーの靴>


「2月のオープン以来、週末はどの時間帯も200人、週日は100人が常時きています」 
と、社長のディン・ゴック・トゥアン氏は言う。
社長は41歳だ。人口層の若いベトナムでは、まあ年長の方だ。

「赴任してきた時は、草スキーが怖かったです。でも、倒れながらも面倒をみてくれた少女に励まされましてね・・
楽しいです、はずかしがらずにトライしてみてください」 と、社長さん。


つまり、今は、「草創」期の「草走」なのだ。

社長は、ヨーロッパにも視察に行った。

「ベトナムでは、このスポーツが流行ると思い建設しました。このスポーツは、
ヨーロッパではオフシーズンにはかなり人気がありましたので」 
中国のあちこちにも出張して、自分の考えを固めてきた。100億ドン(約70万米ドル)を投資して、
草のスロープや、当然、トイレ、レストランを完備し、サウナやプール利用は、入場料金に含まれる。


ここには、中国で叩き込まれた専属インストラクターもいる。なぜ、中国なのか? 
本物のスキー場があるからだ。


「スキーをやったことがない人でも、体に障害さえもっていなければ誰でも出来ます」 という。


遊びにやってきたものの、お客さんは結構、皆マジで真剣だ。


工科大学に学ぶドー・ティエン・フン君。
「アクティブなスポーツが好きで。先週来たんですが、今週は、友人を連れて戻ってきました」 という。


年少者やお年よりは、ボブスレーを選ぶ。


「こちらの方が安全です。草スキーは楽しそうですが、転ぶのがいやで・・・」 
と、隣のハタイ省からきた48歳のファム・ビック・ハーさん。


今では、中国から、スキーヤーがやってきている。

「今は、初期段階ですから、利益は還元できていません。でも、うまく行くと思います」 と自信満々だ。


靴やスキー、スティックは中国からの輸入だが、将来は国内で調達したいと願っている。


ハノイの東のハイフォンにも、同じような施設がある。
南部のドンナイ省でも草スキー場建設の話が、トゥアン社長のもとに届いている。


「中国では20~30の草スキー場がありますが、さすが大中国ですね、需要が見せない状態です。
うちも、満員でお断りする事があるほどです」と、顔をほころばせる。

草スキーは、1966年にドイツで発明された。

そして、リチャード・マーティンという人が1968年にフランスのヴォージュ地方に作り、
その後瞬く間にフランス国内を席巻してしまった。
ヴォージュ地方やアルザス地方を初めとするヨーロッパの草スキー場では、
スキーはもはや冬だけのスポーツではないという認識が出来上がっている。
雪が解けた後のスロープを草スキー場として活用している所もある。
フランスで、ヨーロッパで、このスポーツははやり、ヨーロッパ選手権、世界選手権まで開催されている。
スキーの改良によって、スポーツファンにとってはより裾野が広がりレジャー的要素も加味されてきた。


「草スキーでうまく行った人は、雪の上でも大丈夫」 とトゥアン社長は、太鼓判を押す。


この草スキーが誕生した1966年は、まさに、ベトナム戦争のまっただ中である。
多くの若者が戦場にかり出されていったのである。「草スキー」が誕生して今年で40年。
そういうスポーツが流行り始めた背景には、
「石器時代に戻してやる」大口を叩いたアメリカ軍将校がいたが、そのアメリカに打ちのめされながらも、
辛勝したベトナム人の心に、やっと平和が宿る環境が整ってきたということがあるのだろうか。


私は、そう思うのである。

まさにレジャー時代の「草創」であり、若者の「草走」である。

私の小さい頃、「草野球」が夢を育てたように、

この「草スキー」もマイナーなスポーツだが、

平和の心を育んでくれれば、

これもまたうれしいことである。



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posted by gensan |16:58 | gensan | コメント(0) | トラックバック(1)
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