ベルリンからブンデス観察

ホリエモンにもの申す

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「間違えなければ10年後は今のプレミアリーグの地位を奪い取ることは可能だと信じています」 Jリーグ新アドバイザー就任に、こう発言した堀江貴文氏に異議を申したい。私が言うまでもなく、読者のみなさんも、堀江氏がサッカーに精通していないことはこの発言から容易に判断できるであろう。先週、ドイツキッカー誌のインタビューに応じたフランクフルトのアルミン・フェー監督は「海外でのマーケティング、人気、テレビ放映権料において、プレミアリーグは我われの20年先を行っている」と発言。イングランド、フルハムで監督を務めたマガト氏も今年1月、南ドイツ新聞紙上でまったく同じ見解を述べ、「世界におけるプレミアリーグの立ち位置は、他のどのリーグよりも一歩どころか何歩も前にある」と語っている。

ブラジルワールドカップ前に日本代表のグループリーグ突破を楽観視していたサッカー評論家やメディアがグループリーグ惨敗後に批判を受け、国民も日本サッカーの現在位置を改めて痛感したことは記憶に新しい。

ブンデスリーガの躍進、ドイツのワールドカップ優勝を身近に体験してきた私がつくづく感じていることがある。その成功へ大きな鍵は、各クラブ幹部や選手たち一人ひとりが、(ファンも含めて)今の実力をできるかぎり現実的に把握し、毎日少しずつ成長することである。大きな夢に向かうのではなく、小さな目標をクリアしていくことこそ近道なのだ。

新シーズンに向けて発言したアルミン・フェーを具体例として紹介したい。「ヨーロッパリーグ出場権の7位以内に入ることはとても難しい」「トップ5が抜け出て、それ以外10チームほどのブンデスリーガチームのレベルは拮抗している」

監督就任時から、チャンピオンズリーグ出場権が手に入る4位が目標とは一言も口にしていない。反対の例を挙げると、昨シーズン、2部1860ミュンヘン監督モニーツは開幕前に「我われは1部昇格が絶対目標だ」と発言し、結果はシーズンを通じて降格圏争い、3部との入れ替え戦に何とか勝利し2部残留を決めた。

選手の目標設定についても「僕はドイツ代表になることが夢です」と発言するプレーヤーがほとんどいない。もちろん、代表になりたいという気持ちは頭のどこかにあるはずだが、そんなハードルの高すぎる目標は、実際に目の前までたどり着いてから発言するのが独サッカー選手のメンタリティーであり、そのようにみなユース世代で教育を受けているのである。

「東京都心にビッグクラブが二つは欲しい」という堀江氏の発言は多くのサッカーファンの共感を得たかもしれない。ここ数年の日本サッカー界でも、代表強化のためにビッグクラブの必要性を具体的に議論する動きが出てきている。昨年秋にはテレビ東京のFOOTxBRAINでも300億円規模のビッククラブの可能性について議論がなされた。番組のゲストであった並木裕太氏の議論は、下に述べるアメリカモデルを前提としていた。

このような議論がなされるのも理解はできるが、その前に、日本はいったいどのようなリーグシステムを構築したいのか、ヴィジョンを作り上げる必要がある。

そもそも欧州のビッククラブは、強豪チームを目指し、何十年もの時間をかけて結果的にビッククラブと呼ばれる強豪クラブにのし上がったわけで、各国のサッカー協会や専門家、メディアが議論して作られたわけではい。

ビッククラブの必要性を議論する前に、Jリーグ、日本サッカー協会、メディアが行わねばならない重要な議論は、ボトムアップ型の欧州モデルかトップダウン型のアメリカモデルか、どっちに進みたいのかはっきりさせることだ。ヨーロッパのサッカーをはじめとしたスポーツクラブは、19世紀後半から20世紀初頭に、多くの場合、学生や若者、工場や炭鉱で働く労働者が自主的に集い、クラブを結成した。国家や社会機関が必要として作った組織ではなく、自主的に学校や職場の同士が集まり設立されてきたのである。学習教育は学校や大学が役目を担い、スポーツを通じた肉体鍛錬はスポーツクラブが担ってきたのだ。

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1977年東京生まれ 1999年からベルリン在住 
言語: 日本語、ドイツ語、英語、スペイン語
研究: 躍進するブンデスリーガ、ならびに、他のリーグとの比較。クラブ経営、スタジアム、ファン文化


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