2008年04月04日

「高い授業料」、役立てているのは果たしてどちらなのか

ジーコ監督率いるフェネルバフチェがホームという地の利を活かしたとはいえチェルシーを2-1で撃破し、CL準々決勝の1stレグに見事に勝利しました。
アウェーゴールを許しているので喜びもそこそこだと思うのですが、まずは1つ結果を出したということで、(特に日本の)マスコミは大はしゃぎ。

トルコでは屈指の資金力があるとはいえ、やはり欧州の真のビッグクラブに伍していくのはなかなか大変なことです。
そういったCLでの快進撃(と言っていいでしょう)を受けて、ジーコ監督の評価は様々な媒体で見る限り、随分上がっているように見受けられます。

2006年W杯での日本代表の惨敗を受けて、私も大いに失望した1人です。
当然、その怒りややるせなさの矛先は、不甲斐ない選手たちとともに彼らをまとめる指揮官にも向かっていきました。
日本のサッカー界ではかつて「神様」とあがめれれた人物が、一気にA級戦犯に祭り上げられたあの夏。
「日本代表の失われた4年間」という声さえ起こるほどに、彼の率いた代表チームは貶められたものです。

そんな当時の指揮官は、W杯終了と同時にそそくさとイスタンブールへ。
母国ブラジルのクラブを率いるのかと思いきや、欧州での監督業を希望していることについて、「ブラジルのクラブではすぐに監督のクビが飛ぶのでじっくりと仕事ができない」なるコメントを聞いたような気がします。
確かにそうかもしれませんが、やる前からそんな弱気でどうするんだと思った記憶があります。欧州でだって、日本でだって、クビになるときはクビになります。
それに率いるクラブがフェネルバフチェと聞いて、随分プレッシャーのかかるクラブでやるものだと思ったものです。

1シーズン目、CLの予備戦で早々に敗退し、UEFAカップでもいいとこなしで、国内でリーグ優勝を果たしながらも色々と采配やチーム作りに対する批判があったようです。
それが、今季はCLではトルコのクラブとして初のベスト8に進出、国内リーグでも28節現在、ガラタサライやベジクタシュといったライバルたちを抑えて首位に立っています。

このように結果を残しているジーコ監督ですが、監督業未経験のまま就任した日本代表時代と比べて、フェネルバフチェではその監督としてのスキルに成長が見られるとの声をよく聞きます。
代表チームとクラブチームとの特性の違い、選手個人個人のスキルの違いなど、比較するには難しい面もありますが、少なくとも、日本代表を率いていた時の経験を何らかの形で活かしていることは間違いないでしょう。
そして、ドイツでのあの惨敗も、現在の彼にとって、きっと監督業をやる上での糧となっているのかもしれません。

一流選手として築き上げたキャリアを持ちながら、監督業のスタートでは何らインパクトを残すことができなかった指揮官。
それと同様に、何らインパクトを残すことができなかった日本代表というチーム。

観る側の知識・理解の不足、および協会やサッカー関係者の国民への啓蒙の不足という事態もあいまって、日本代表は自国開催というアドバンテージがあってもたらされた結果の継続、あるいは発展を無邪気に求められた挙句、その「甘い期待」に応えられなかったことで猛烈な批判を受けざるを得ませんでした。こういった外的要因は一応エクスキューズとして考慮すべきなのかもしれません。

ただ、協会が世界のサッカー界において高い目標を掲げてしまっている以上、その目標に向かって前進しているのかを私たちファンは注視しています。

監督業のキャリアのスタートが思わぬ蹉跌となったジーコは、その蹉跌を「高い授業料」へと変化させようとしています。
日本代表(あるいは日本サッカー協会)は果たしてあの惨敗を「高い授業料」にすることができるのでしょうか。現状ではまだまだのようですが……。

posted by bunchousann |22:45 | サッカー | コメント(12) | トラックバック(1)
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