2008年02月05日

「やっつけ仕事」で終わらせてはいけない~パウエル問題

この問題に関しては既に多くのエントリーがあり、私も実は問題が表面化した時点で下書きをかなりしたのですが、その時は協約の解釈、問題の行く末などいろいろ考えてはみたものの、結局どう結論づけていいものやらわからなくなってしまい、全て反故にしてしまいました。

ただし、その後漠然と感じたこともあるので、こうして雑感を述べてみることにしました。

この問題のややこしいところは、最初から両球団の主張が完全に平行線をたどっており、一体どちらの主張に正当性があるのか仄聞しただけでは理解し難かったわけですが、そのややこしい状況が、1月30日に行われたパリーグによる両球団からのヒアリングにおいて、パリーグが両球団の契約の正当性に“お墨付き”を与えてしまったことからさらにややこしくなってしまった印象があります。

挙句、パリーグは「パウエルは未だどの球団にも支配下登録されていないために、仮に該当球団から調停等の申し出があっても協約の運用はできない」などと言って問題を両球団に丸投げしてしまいました。

完全に平行線をたどっている両者の主張が話し合いで解決するとでも思ったのでしょうか。

野球協約を読めば、支配下登録されていようがいまいが、協約の187、188条あたりは運用できそうな気がするのですが……。
西武のG・G佐藤の年俸調停の受理を突っぱねたことといい、重大な問題であるにも関わらず、やる気のなさばかりが目立ちました。

これにはさすがに根来コミッショナー代行も呆れ気味で苦言を呈し、パリーグ側の対応を批判しました。
おっと、そのコミッショナー代行氏の仕事ぶりは脇に置いておいて……。

ところが、さんざんいつもファンから批判を受け、また(一部)オーナーたちからは有形無形の「圧力」を受け、辞めたくても辞められずに「代行」という形で「残業」を強いられ、その権威とやらをまともに認めようとする野球関係者がいるのかいないのかわからないようなコミッショナー代行氏の発言に権威を認めたのか、パリーグ側はこの根来発言にすばやく反応し、例の「強い勧告」(内容を書くのが面倒くさいのでリンク張りました)を発するに至ったわけです。

このリアクションの速さにはちょっと驚きましたが、その速さが「果断即行」というよりは「やっつけ仕事」のように見えてしまうのは何故でしょうか。いや、人に言われて行動した時点で「果断」ではないか……。

パリーグとしては、いったん両球団に契約の正当性に関して“お墨付き”を与えてしまった時点で、特定の球団に有利に働く裁定(まあ彼らの言葉を借りて「勧告」としておきましょう)はできなかったはずです。
そこで、パウエル側から「電話による」ヒアリングを行い、パウエル本人にオリックス入団の意思がないこと、また、今回の来日についてはソフトバンク側が申請した就労ビザで入国していることなどを鑑みて、今回のような結論が導かれたと考えられます。

ただしこの勧告の内容ではオリックス側が納得できないのも当然かと思われます。

これらの「やっつけ仕事」の問題点として1つ確実なことは、報道を見る限り、ヒアリング自体が不十分であるのもそうですが、パウエル側のヒアリング、なかんずくパウエル本人ではなくパウエルの代理人に対するヒアリングがおそらく不十分であるように思われます。
もちろんパウエル本人にも交渉経過は伝えられてはいるのでしょうが、実際に細部を詰める作業に携わるのは代理人でしょうし、パウエル本人さえも知らないようなことがあるかもしれません。

また、各種報道や、このスポナビ+をはじめとする各種ブログでも言及されている通り、この問題はオリックスが主張しているこれまでの「外国人獲得における慣例」と、ソフトバンクが主張している「協約の文言の逐語訳」との間に齟齬が生じていることを指摘した事例であり、パリーグ会長であるならば、このあたりにも言及し、現在行われている野球協約の改定作業にも組み込むべき課題である、等の発言くらいはしていただきたいのですが、どうも現状では「パウエル問題」に対する対処療法しか見えてこないような気がします。
オリックスが今回のケースを「悪しき前例になる」と言っていますが、まさにその通りであり、最悪のケースとしては、代理人がみずからの報酬を上げるために、今回のような行為を選手側の意向を無視して行う可能性すら考えられます。

例えば、協約の15条、17条、19条などを見れば、リーグ会長は実行委員会の委員の一人として、他の球団の実行委員に対して議題を提出し、実行委員会、あるいは特別委員会などで意見を求めることもできたはずですし、結論を下すのはその後でもよかったのではないかと思います。
あるいは速やかに結論を下すとしても、このように全球団的な問題として認識し、今後議論を深めていく旨を周囲に示すのも大事だと思うのです。

ただ、「現状では支配下登録を受理しない」とパリーグが声明を出した時点で、両者の主張が平行線をたどっている以上、パウエルがすぐにNPBでプレーできる可能性はほぼなくなったわけですから、仮に、今回発表された「強い勧告」と最終的に同じ結論を導くにしても、やはりもう少し時間をかけてもよかったのではないかと思います。

posted by bunchousann |23:30 | 野球 | コメント(19) | トラックバック(5)
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