2007年04月21日

結論から言って、奨学制度も越境入学もなくならないだろう~日本学生野球憲章第13条はどう解釈すべきか2

久しぶりにランキングに顔を出したのですが、どうも月曜日に投稿した3つの記事のうち、あちこちにトラバを貼りまくった3番目の記事↓へのリアクションが何故か木曜日と金曜日に殺到したようです。

★過去ログ:日本学生野球憲章第13条はどう解釈すべきか~スポーツ奨学制度の是非を考える(2007.4.16)

また、20日に高野連が専大北上と明桜高(旧秋田経法大付高)への処分を発表しましたが、その際に野球部員に対してスポーツ奨学制度を採用している高校への処分もまた発表されました。

そこで、こうした新しい動きと、過去ログにたくさん頂いたコメントを取りまとめる意味で(というかパクリ?)、焦点を「13条の解釈論」の周辺に絞って新たに結論を述べることにしました。

上記の記事で提示した疑問は2つあります。
1.「奨学制度は是か非か」
2.「“スポーツ”奨学制度はいけないが、“通常の”(学業優秀などに対する)奨学制度ならばいいのか」
今回の記事では1.については触れません。
そして2.については、このような疑問が浮かび上がるがゆえに、私は憲章に不備があるのではないか、と思ったわけです。

結論から言えば、憲章には不備があると言わざるを得ません。
少なくとも、高野連が目指している(と報道されている)「奨学制度の全廃」には至らないだろうと思われます。

高野連のHPには、日本学生野球憲章と、その解釈のマニュアルとも言うべき「アマチュア問答集」が掲載されています。みりんさんにコメントでご紹介頂いたのですが、改めてここに掲載させてもらいます。
奨学制度に関する問答は「アマチュア違反」の項にあります。
以下、その抜粋をご覧下さい。

問47 - 学校の制度として野球部員であることを理由とした授業料、生活費の免除(特待生制度)及び奨学金制度などはどうなるのか。 
答え >> いけません。 

問48 - 学校の制度として全学生を対象とした特待生制度及び奨学金制度において奨学金などを受ける時はどうか。(全学生と同条件、同資格の上で) 
答え >> 野球部員であるという理由でなければかまいません。 

問49 - スポーツ選手を対象とした推薦入学制度はどうか。 
答え >> かまいません。ただし、高校では野球に関する実技テストはできません。 

専大北上が今回憲章違反に問われたのは、上記の問47に反した奨学金制度をとっていたからです。
しかし、問48を見ると「野球部員であるという理由でなければ」奨学金をもらっていいことになります。
したがって、上記過去ログの最後に書いた「学業、人間性、その他の業績を総合的に判断して」なる文言が仮に奨学制度に与えられていた場合は、奨学金をもらうことに問題性はないということになります。

ところで、最初に書いたように、昨日高野連は野球部員にスポーツ奨学制度を採用している学校に対する処分を発表しました。
いろいろあって全部書くのも面倒くさいので、リンクを貼ります(こちら)。
かいつまんで言うと、5月2日までに制度の採用と当該部員の有無を報告し、保護者の同意等があって、5月末までにスポーツ奨学制度を撤廃し、憲章に違反しない状態になれば不問に付す、ということです。
専大北上に対しては、裏金問題も含まれていたとは言え、随分重い処分をちらつかせたものでしたが、それを思えば拍子抜けもいいところです。

スポーツ奨学制度に対する処分が上記のようなものである以上、専大北上も、6月になれば「野球部再結成=高野連加盟」ということになるのでしょう。発覚が早いか遅いかだけで処分が違うということであればそれこそアンフェアというものです。

ちなみにスポニチの昨日の記事によれば、こうしたスポーツ奨学制度を採用している学校が7校あるそうですが、もし7校しかないのならば、私はそのうちの4校の名前を確実に知っていることになります。
要するに、こうした学校があまりにも多いために、このような比較的軽微な処分に落ち着かざるを得ないのでしょう。

で、コメントで頂いた情報ですが、こうした状況から、ある私立高校はHPから早速「スポーツ奨学制度」の文字を取り除いたそうです。このような学校は他にもあるかもしれませんが、いずれにせよ、高野連への報告をしない限り、処分の対象になってしまいます。

高野連が今回、スポーツ奨学制度に対して強い態度で臨むのは、報道等でも言われているように、かねてから高野連が問題視している越境入学との強い関連性が指摘されています。
各地の私立高校が、学校のプロパガンダのためにスポーツ、なかんずく国民的に人気のある高校野球で実績を挙げることを望み、奨学制度などを利用して全国の有望な選手を集めることを根絶したいというのが高野連の本音でしょう。

しかし今回、憲章13条や「アマチュア問答集」を調べさせてもらった結果、高野連のその目標は残念ながら達成されそうもありません。

問48で「『野球部員であるという理由でなければ』奨学金をもらっていい」ということが明らかになっています。
また、問49で「スポーツ選手を対象とした推薦入学制度」は是としています。
すなわち「スポーツ推薦」で入学した学生が「学業や人間性が優秀」などの理由で奨学金を受け取ることは、何ら問題がないわけです。
そして、あまり指摘したくないのですが、学校側と学生側に「何らかのコンセンサス」があれば、実質的に“今まで通りの”奨学制度を残すこともできるわけです。
高野連が憲章の解釈を取りまとめた「アマチュア問答集」が、皮肉にも憲章の抜け穴を指摘してしまっているとしか言いようがありません。

こうしたことから、越境入学に関してもなくならないのではないかと思います。

先に書いた通り奨学制度の是非、そして越境入学の是非についてもここでは問いません。
ただ、憲章そのものの不備や、その解釈の不備も問題ですが、一番の問題は奨学制度に対する高野連の現実感のなさであるような気がします。
奨学制度が全国の高校、大学でどのように運用されているのか、きちんと把握できていないからこそ、このような憲章(やその解釈)の不備が生まれるのだと思います。

憲章の13条も、「アマチュア問答集」も共に現実に即して見直さなければ、高野連の目的はおそらく果たされないと思います。

posted by bunchousann |04:50 | 野球 | コメント(35) | トラックバック(3)
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