2007年02月15日
苦闘のシーズンを送る名門
巷に語られる欧州サッカーの魅力は、単にその技術の高さだけでなく、連綿と受け継がれてきた歴史、伝統にもあるといっていいでしょう。 世界に聞こえしビッグクラブの創設年を見ると、母国イングランドのクラブは言うに及ばず、比較的サッカーが伝わるのが遅かったと言われる南欧のクラブでさえも創設から100年以上を閲しているということもざらではありません。 そして、長い歴史を持つ欧州に住まう人々であるからこそ、伝統には殊更こだわりがあるようです。 例えば、カズが所属したことでも知られるジェノア1893は現在、セリエBに属していますが、このクラブがいわゆる現在の3大クラブに次ぐ9回のスクデットを獲得していることをご存知の方もいらっしゃるでしょう。 そんなジェノアのあるジェノヴァの街には、現在セリエAに所属するサンプドリアというチームがありますが、2つのクラブが合併してできたこのクラブが現在の形になったのは「比較的最近の」1946年ということもあり、ジェノアのサポーターは、たとえ自分たちのひいきのクラブが実力的に劣っていても、その「伝統のなさ」を馬鹿にするといいます。 悪い言い方をすれば過去の栄光にすがっているようにも見えますが、Jができてまだ10数年の日本人には、何だかちょっと羨ましくも思えます。 さて、こうした古豪、名門と呼ばれるクラブも、時代の荒波に飲まれ、ジェノアや同じイタリアで言えばトリノのように現在では2部に沈んだり、エレベーターチームになってしまうクラブも存在します。あるいは、イングランドのノッティンガム・フォレストのように、かつて欧州を制覇しながら、約30年後の現在は2部にさえ顔を出すこともままならない(現在FL1:3部相当)というクラブさえ存在するのです。 そういう世界で、長年1部の座を守るということが、いかに困難かということがわかるのではないでしょうか。 そして、今シーズン、その長年1部の座を守り続けている各国の名門が苦しい戦いを強いられていることにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。 今回は、そんな名門チームをいくつか取り上げてみたいと思います。 ★ハンブルガーSV(ドイツ・ブンデスリーガ) 創設年:1887年 主なタイトル:リーグ優勝6回、チャンピオンズカップ優勝1回、カップウィーナーズカップ1回など 現在(21節終了時)の順位:最下位(18位、勝ち点18) 過去記事でも取り上げましたし、高原直泰が所属していたことで多くの人がご存知であろうハンブルガーSV。 昨季は久々に優勝争いに絡み、最終的に3位でCLの出場権を獲得したチームが、今季まさかの大不振で何と最下位に低迷しています。 どうやらCLの出場権獲得に際して大幅な選手の入れ替えがなされたことが原因の一端とされていますが、昨季は上位に進出しながら、シーズンの折り返し地点が過ぎてこの順位というのはJリーグならともかく、欧州ではあまり考えられないことです。 周知の通り、このクラブはプロリーグとして発足したブンデスリーガが誕生してから未だ2部への降格がないということでも知られています。80年代には欧州を制したこともあり、また日本人に馴染みの深いところでは「キャプテン翼」に登場するS・G・G・Kこと若林源三が所属するチーム(私も20年近く前にこれで覚えました)としても知られていると思います(実際、高原は「2人目の日本人」と現地で紹介されたそうですから……)。 個々の選手の実力はドイツでも屈指のはずなのですが……監督交代の大博打が成功するか、見守りたいと思います。 ★ナント(フランス・リーグ1) 創設年:1943年 主なタイトル:リーグ優勝8回、フランスカップ3回 現在(24節終了時)の順位:19位(勝ち点21) 現在のリーグ1は今シーズンも含めてリヨンの1人横綱状態が6シーズンも続いていますが、そのリヨンが覇権を握る前の最後の優勝チームがこのナントです。 優勝回数8回は古豪サンテティエンヌの10回に次ぐもので、過去には若きディディエ・デシャンやマルセル・デサイーがこのクラブでプレーしました。 そんなナントもまた、1963年以来44シーズンをリーグ1で過ごし、リーグ2でシーズンを送ったことがないという輝かしい伝統を保持しています。 ところが今シーズンは、ここまで19位で降格の現実味を考えなければいけないポジションにまで到達しています。 冬のマーケットで所属先のなかった元フランス代表のバルテズを獲得するなどのてこ入れを図りましたが、前節ではホームでヴァランシエンヌに2―5の屈辱的な大敗を喫し、ついにエオ監督の更迭という荒療治を敢行することになりました。 ハンブルガーSVもそうですが、監督交代はギャンブルとも言えます。 ちなみにナントは監督2頭体制になるのだそうですが、少し前のスウェーデン代表のようになるわけですね。ただ、こういうケースでは責任の所在がどうなるのか、その辺がよくわかりませんが。 ★アスレティック・ビルバオ(スペイン・リーガ・エスパニョーラ) 創設年:1898年 主なタイトル:リーグ優勝8回、国王杯優勝24回など 現在(22節終了時)の順位:17位(勝ち点22) 説明不要のバスクの雄も、ここ最近は苦しいシーズンを送ることが多いようです。 昨季もやっとこさ残留したといった感じでしたが、今シーズンもここまで降格圏の17位と、バスク人たちの歯痒さをよそに残留を目標とせざるを得ない日々が続いています。 タイトル獲得歴から見ても充分すぎるほどの歴史を持っているこのチームですが、それにしてもバスクには優秀な選手がいかに多いかということがわかります。 Jリーグでも過去にフリオ・サリナスやチキ・ベギリスタインといった選手がプレーしていました。彼らはバルサのOBとしても知られていますが、実はバスクの血を引いていることでも有名です(ちなみにフランシスコ・ザビエルもバスク人だそうです)。 バスク人のみで(厳密な意味では違うかもしれないが)これだけのタイトルを獲得し、レアル・マドリーやバルセロナを向こうに回して、プレミエールから1度も降格したことがないというのは本当にすごいことだと思います。 「純血主義がグローバリズムに屈した」というのは彼らバスク人が最も聞きたくない言葉でしょう。今がクラブの歴史上、何度目かの正念場なのかもしれません。 さて、翻って我がJリーグ。 「1993年の創設時からのクラブで、1度もJ2に落ちたことがない」のは鹿島、千葉、横浜FM、清水、名古屋、G大阪の6チーム。 さらに「J2の経験がない」という一項に限れば、磐田も挙げられます。 いずれも何らかのタイトルを持つ「現時点での名門候補」(レッズやヴェルディももちろん「名門」なんですが、ここでは一応本文の趣旨をご理解下さい)ですが、この中で30年後、50年後に上記の3チームの如く取り上げられるチームは何チーム出てくるのか? ちょっと妄想してみるのも面白いかもしれません。
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posted by bunchousann |15:30 |
サッカー |
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