2006年11月21日
「そりゃあ、理想は生え抜きでしょう。若手を使え、というのは簡単ですよ。ただ、力のない選手を戦わせることは、ファンのためではないんです。五分五分の勝負ができる状態で、ファイティングポーズを取れるかどうか。その力があるかどうかです。負けると思ってリングに上げさせるわけにはいかないんです」(2006.11/21 スポーツ報知より)
と読売ジャイアンツの原監督。
それゆえの(FA)補強、トレードだと言うのです。
しかし、そもそも「生え抜き」の「若手」の「力のない」原因は何だったのでしょうか?
ここ十数年のFA大物選手、大卒・社会人の即戦力選手(逆指名選手)の補強政策によって若手(特に高卒)選手のチャンスが激減し、1軍で経験を積むことができないからではないのでしょうか?
読売の場合、FA選手にせよ、逆指名選手にせよ(裏金の問題は置いといて)獲得に大金を要しています。
大金をかけて獲得した選手ですから、優先的に使わざるを得ないのです。
そして、ここ数年の不振によって、その政策が破綻をきたしたと思われていた矢先にこうした発言が出てくる。
これでは、また同じことの繰り返しになるのではないかと、読売のファンならずとも思ってしまいます。
今年は亀井、矢野、脇谷など、いずれも大卒・社会人出身ながら逆指名ではない(つまりこれまで陽の目を見なかった)選手たちが、チーム状況もあってチャンスを与えられ、今後に期待を抱いたファンも多いのではないかと思います。
現時点では、確かに彼らの力は不足しているかもしれません。
しかし「負けると思ってリングに上げさせるわけにはいかない」としても、多少の無理を承知でリングに上げてやらなければ一向に力がつかないのも事実です。
今季の課題、反省を来季に繋げるためにも、来季以降もある程度のチャンス=出場機会を与えてやらなければ、今年やってきたことが結局チャラになってしまいます。
また、こうした発言で現有戦力のモチベーション(危機感)を高めようとしているのかもしれませんが、これまでがこれまでだっただけに、逆効果になるような気がします。
多くの選手が、モチベーションを低下させるような気がします。
若手と呼ばれて、気づけばもうすぐ三十路に……なんて笑えない冗談ですが、このチームにはそういう例がたくさんありました。
もう「常勝・読売」と言う言葉も形骸化しつつあります。
それでも「読売は優勝が義務づけられているから」なんて言う人もいますが、他の11球団だって優勝したいのは当たり前ですし、どこのチームのファンでもひいきのチームに優勝して欲しいのは当たり前です。
「読売が強くなければ、野球がつまらない」なんてことも、もはや読売のフロント以外はほとんど言わなくなりました。
他球団と違って、資金は豊富にあります。
それゆえに、お金の使い方に頓着しなかったのでしょう。
一度、その使い方を見直してみてはいかがですか?
そろそろ、じっくり腰を据えて、数年後の明るい未来のためのチーム作りをやってみてはいかがですか?
ビジョンを持たず、その場しのぎの補強・トレードを繰り返しては、おそらく何も変わらないだろうと思います。
posted by bunchousann |14:28 |
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2006年11月21日
オランダ・エールディビジのADOデン・ハーグ対FCトゥエンテの試合で、ADOのサポーターが乱入したために試合が中断してしまったというニュースを聞きました(こちら)。
スポナビの中田徹さんのコラムでも紹介されているのですが、かつて戸田和幸(現・サンフレッチェ広島)も所属したADOというチームは、サポーターの気質が荒いことで有名だそうです。
そんなADOですが、ここまで13節を消化して見事に最下位。
で、不振を極めるチームを率いる指揮官を、ADOのサポーターが0ユーロでネットオークションにかけるという抗議行動に出ました。
(11/21 23:30追記 ADOのアデラール監督の辞任が発表されました)
笑ってはいけないのですが、オランダ人の抗議行動と聞いて、ある代表監督のことを思い出してしまいました。
2004年のEUROのことです。
当時のオランダ代表監督は、ディック・アドフォカート。今年のW杯には韓国代表の監督として出場しました。
EURO2004に挑むアドフォカート監督は、事前の評判があまりよくありませんでした。
大会の直前になってもシステムを頻繁にいじり、戦い方に一貫性がないなどの批判を受けていました。
そうして迎えたユーロ本番。オランダはドイツ・チェコと同居する厳しいグループに入りました。
緒戦はオランダにとって相性の悪いドイツ戦。オランダは何とか引き分け、勝ち点1を獲りました。
そして2戦目は、後にこの大会のベストゲームとも呼ばれたチェコ戦。オランダは何としてもこの試合で3ポイントを獲らなければグループリーグ突破が苦しくなります。
予選でも同組という因縁の相手ですが、その予選ではホームで引き分け、アウェーでは1-3の敗戦を喫した嫌な相手です。
そのチェコ相手にオランダは前半で2点のリードを奪います。
前半23分にコラーに1点を返されますが、依然オランダがリード。
ところが後半、チェコの猛攻に遭うと、たまらずアドフォカート監督は、この試合2アシストを挙げ、左サイドを支配してオランダの攻撃の基点となっていたロッベンを下げて、ボスフェルトを入れるという守備的な采配を見せます。
この交代が見事に裏目に出たのは皆さん、ご存知でしょう。
ロッベンがいなくなったことで、チェコの右サイドからの攻撃が活発になり、結局バロシュ、スミチェルのゴールでチェコの逆転勝利に終わりました。
既に充分評判の悪かったアドフォカート監督でしたが、この敗戦によってその立場を決定的に悪化させました。
ヨハン・クライフは「この交代は、オランダにとって最大の恥だ」と言い放ち、またある雑誌(忘れてしまいました)で見かけたのですが、この選手交代が「世界でただ1人、彼だけが正しいと思った采配」と評されるなど、ロッベン→ボスフェルトの交代は試合の行方に決定的な影響を及ぼしました。
オランダ国民も、無論この敗戦に激しく憤慨しました。
クライフ以来、「攻撃的に、美しく勝つ」ことを信条とするオランダサッカーの哲学を踏みにじり、守備的な采配を見せただけならともかく、あろうことか前半で2点リードしながら逆転負けを喫するという屈辱を味わったのです。
たちまちネットの世界で「アドフォカート解任キャンペーン」が始まりました。
ポルトガルにいるアドフォカート監督を、一刻も早く代表チームから遠ざけ、ポルトガル国内から追い出そう、ということで、航空チケットの募金活動が始まったのです。
そして、たった15分で目標の金額に達しました。
実際に彼のもとに届けられたかどうかは定かではないのですが、その航空チケットは、ポルトガルからオランダへのチケットではなく、ポルトガルからベルギーへのチケットでした。
「オランダにはもう帰って来るな!」ということでした。
この後、ラトビア戦で息を吹き返したオランダは、グループリーグを突破して準決勝まで進出し、傍目には一定の成果を挙げたように映ったのですが、アドフォカート監督の人気は一向に回復せず、結局大会後に辞任してしまいました。
ベスト4に残った国の指揮官の中で、辞任したのは彼だけでした。
チームを愛するがゆえの抗議行動なのですが、オランダのそれは激しい中にもどこか愛嬌のある抗議行動のように思えます。
日本でもそのうち、こうしたちょっとウィットに富んだ抗議行動が出てくるのでしょうか。
<ちなみに余談>
オランダ国民の激しいプレッシャーに押し潰される格好になったアドフォカート氏ですが、幸運にもすぐに次の就職先が見つかり、ブンデスリーガの古豪、ボルシア・メンシェングランドバッハ(長いので以下、ボルシアMG)の監督になることが決まりました。
ところが就任直前に地元の新聞に彼の頭髪が増毛だという記事が掲載され(いわゆる「使用前」「使用後」の写真付き、しかも「増毛してこの程度か」というコメントもあったとか)、新監督としての面子は完全に丸つぶれになってしまいました。結局ボルシアMGとは1シーズンでお別れとなり、韓国代表の監督になるわけですが、アドフォカート氏にとってはさんざんな2004年だったと言えるでしょう。
posted by bunchousann |04:15 |
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