2006年08月31日

「海外組」の大逆転

他の方のブログでも投稿がありましたが、欧州サッカーの移籍市場が閉じるのは8月31日の現地時間ということで、どこのクラブも選手の獲得、放出の最後の追い込みにかかっています。
この「シャッターが下りる寸前」の慌しさの中で、実際に大物選手の移籍が決まったことも多く、ここ数年では最終日の8月31日にレアル・マドリーがロナウド(02年)やオーウェン(04年)を獲得したり、ユベントスがイブラヒモビッチ(04年)を獲得したこともあります。

そんな中で、日本人選手の動きも活発になってきました。

まずは今朝になって、稲本潤一のガラタサライ移籍が発表されました。
今まで何の情報もなかったので、正直驚きました。

稲本は以前からプレミアへのこだわりが強く、過去にPSVとの移籍話が浮上したこともあるのですが、これを断ってイングランドに残ったくらいです。このままチャンピオンシップで頑張って、またプレミアのクラブからお声がかかるのを待つのだろうと思っていましたから、そんな彼がまさかトルコに行くとは予想できませんでした。
ただ、ここまでの稲本を見ると、どうも監督の戦力構想に入っているとは言い難く、活躍をしようにも、その機会が与えられるとは思えませんでした。
その点で今回の移籍はプラスに作用するでしょう。この土壇場で呼ばれたことが何より期待の現われと言えるからです。
トルコも既にシーズンが始まっているので、プレシーズンをチームと過ごしていない稲本はチームへのフィットに時間がかかるでしょう。
ただ、ガラタサライはCLのグループリーグ出場を決めており、試合数の増加から出場のチャンスは必ずめぐってくるはずです。また、国内では常にリーグ制覇が目標となるため、メディア、サポーターの厳しいプレッシャーも味わうことができます。
ここで勝者のメンタリティを身につければ、再びプレミアの門をくぐるチャンスもめぐってくるでしょう。彼個人のキャリアアップのためにも大いに期待したいところです。

一方で、今季期待されていた平山相太が戦力外通告をされたとのニュースも入ってきました。
昨シーズンは8ゴールと、弱小クラブで、かつプロでのルーキーイヤーとしてはまずまずの数字を残し、今季の飛躍が期待されていた1人です。
そんな平山が、今回の事態を招いたのはおそらくプロ意識の欠如に尽きると思います。
シーズンインの際に堂々とオーバーウェイトでキャンプに参加したこと、さらにオランダ語の勉強をオフの間に全くやっていなかったこと、報道されたこの2点だけでも軽い気持ちでオランダに戻ってきたことがうかがえます。
そんな彼の態度を見てのことか、クラブは新しいブラジル人FWを獲得し、平山の居場所はなくなってしまったというわけです。
冒頭にも述べた通り、欧州の移籍市場はまもなく閉じてしまいます。これから欧州で移籍先を探すのはかなり困難です。
となると、おそらくJリーグにやって来ることになるのでしょう。日本では彼の居場所はいくらでもあります。
ただし、今回の件で彼が肝に銘じなければならないのは、前述したプロとしての意識の持ちようです。
おそらくこれから「筑波大学までのキャリアで王様気分のままオランダに行ったからこうなったのだ」などと厳しい批判もあるでしょう。そんな批判を封じ込めるためにも、仮にJリーグにやって来ることになるのであれば、圧倒的な力の差を見せつけ、普段の練習から真摯に取り組む姿勢を見せて欲しいものです。
ちょっと偉そうなことを言ってしまいましたが、小嶺総監督様、どうか平山君に良きアドバイスを。

不遇を囲っていた稲本。飛躍を期待されていた平山。
いいとこどりをしたがるマスコミの扱いも大逆転するのでしょうが、それも含めてプロの宿命です。
両選手の新天地での活躍に期待しましょう。

posted by bunchousann |09:40 | サッカー | コメント(4) | トラックバック(0)
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2006年08月31日

ガナーズの扉をノックした日本の高校生

ノマッチさんが先に書くかと思ったのですが……。

今日の中日スポーツの1面に「獲得即決! ベンゲル監督惚れた!! アーセナル伊藤翔」の文字がでかでかと踊っているのを見て驚きました。
中日スポーツと言えばもちろん中日ドラゴンズの機関紙とも言うべき存在であり、本来ならば1面はドラゴンズの話題がほとんどです(デイリースポーツの“阪神1面占有率”ほどではありませんが)。それがいくら大敗したとは言え、また首位攻防戦ながらゲーム差が8もあるとは言え、優勝目指して驀進中のドラゴンズを押しのけてのトピックですから、インパクトも強烈なものがあります。

では、この“伊藤翔”クンとは何者なのでしょうか?

実は私も名前と簡単なプロフィールくらいしか知らなかったのですが、伊藤翔君は現在中京大中京高校(野球の方が有名ですね)の3年生。高校生ながらJリーガーたちに混じってU-19代表に名を連ねる有望選手です。
身長は183センチ、ポジションはFW。プレイスタイルがまさにアーセナルのティエリ・アンリに似ていることから一部では「和製アンリ」とも呼ばれるそうです。本人もそれを意識し、目標とする選手にアンリの名前を挙げ、さらに高校でもアンリがアーセナルでつけている背番号14をつけてプレーする入れ込みようだそうです。

で、この伊藤君、4月にもアーセナルの練習に参加していたのですが、今回はテストも兼ねての練習参加だったそうで、ミニゲームで何とアシュリー・コールを引き摺りながらなどの計5ゴールを挙げ、めでたくベンゲルの目に留まったのだそうです。

周知の通り、イングランドはサッカー選手に対する労働ビザの発給基準が他の欧州諸国に比べて厳しく、過去に宮本恒靖や三都主アレサンドロがビザが発給されずに移籍を断念したことがありました。
ただ、彼らの移籍先として名前が挙がっていたのはウェストハム、チャールトンと言った中堅クラブ。アーセナルほどの有力クラブならそれ相応の力を行使できるとかで……A代表歴のない伊藤君獲得のためにあらゆる手段をとる模様です。正式な契約はどちらにしても高校選手権の終了後になるので時間的な余裕があること、また昨季にカメルーン人の若手選手獲得の際に今回と同じケースで例外的に「有望選手」としてビザが下りたこともあって、ビザの発給に関してアーセナル側は比較的楽観的な様子でした。

と、ここまではニュースとしてほとんど事実関係を整理したに過ぎないので、そろそろ自分なりの見解を述べたいと思います。

海外移籍に際しては、階段を一歩一歩上るように身の丈にあったクラブを選ぶべきだというのが私の持論です。そのことは繰り返し述べてきたつもりです(過去記事をご覧下さい)。
その点から言うと、今回の伊藤君のアーセナル入団(まだ正式に決まったわけではないが)は私としてはお薦めできないことになります。
実際に入団を果たしても、せいぜいカーリングカップに出られたら御の字で、しばらくは、ほとんどの日々をリザーブリーグで過ごすことになるでしょう。

ただ、彼はまだ18歳。この歳であれば、まだ欧州でも未完成品として扱われる年齢です。
同じアーセナルに入団した稲本潤一のように、すでにJリーグで実績を積んだ上で移籍した選手とは違います。
ですから、プレッシャーを感じる必要がないのはストロングポイントになるでしょう。
また、高校を卒業してすぐにJリーグに進んだところで、トップの試合に出られる保証はありません。たとえ年代別の代表選手であっても、出場機会に恵まれない選手はたくさんいます。
どうせサテライトの試合に出るならば、Jリーグよりもプレミアシップのほうがいいでしょう。
そう考えると、それほど深刻に考える必要もないのかな、と思います。
練習ではアンリやロシツキー、リュングベリなどと一緒なのですから、彼らから1つでも多くのことを学び取って欲しいものです。

アリアディエールのような伸び悩みの例もないわけではないのですが、基本的にベンゲルの若手選手の素質を見抜く眼には定評があります。
伊藤君も、あのベンゲルに選ばれたのだと自信を持って、そして怪我のないように、最後の選手権に向けて万全を期してもらいたいものです。
あとは、英国内務省様、何卒労働ビザの発給をヨロシクお願いいたします。

(通りすがりさんのご指摘を受け、一部訂正させてもらいました)

posted by bunchousann |02:08 | サッカー | コメント(5) | トラックバック(0)
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