2007年01月17日

“契約期間満了”なのに「移籍金」?~国内移籍が活発化しない理由

最初に白状しておきますが、今回は私の不勉強を思い知らされることになりました。そうか、そういうことだったのか……ってことで、まあ長~い笑い話としてお楽しみ下さい。

Jリーグは湘南を皮切りにキャンプの便りが聞こえてきましたが、まだまだオフの色合いが濃いところです。

サッカーに限ったことではないのですが、プロスポーツの世界のオフの話題と言えばやはりチーム編成、つまり移籍や新加入選手の情報が中心となります。

Jリーグも例外ではなく、今オフの主な話題は国内外への(主力)選手の移籍や過去記事にも紹介した新人選手の話が多くを占めていました。

中でも注目を集めたのは、ジェフユナイテッド千葉の主将、阿部勇樹選手の浦和レッズ・FC東京・名古屋グランパスの三つ巴による争奪戦でした。

イビチャ・オシム前監督のもと、わずか21歳でジェフのキャプテンに任命された阿部は下部組織からの生え抜きであり、まさにジェフのバンディエラと言うべき選手でしたが、今オフに契約が切れるために行われた契約延長交渉の場で自ら移籍希望を述べ、先に挙げた争奪戦の結果、「国際経験を積みたい」という彼の希望もあって、昨シーズンのリーグ王者で、今シーズンACLを戦う浦和への移籍が合意に達しました。

阿部はもともと年代別の代表に選ばれるなど、能力の高い選手でしたが、現在は日本代表監督に就任したオシム監督の門下生としてA代表でも中核を担い、またジェフのキャプテンとしてチームをナビスコカップ連覇へ導くなど、注目度は以前より明らかに上がった観があります。

現在25歳で、まさにこれからが働き盛りである彼がチャンピオンチームの一員となるのに際して浦和が用意した移籍金が「国内移籍最高額」の形容表現とともに報道されましたが、その額は4億円を超えるとも言われています。

ほう、さすがレッズ、Jリーグ最高の財政力を誇っているだけのことはある……と最初は思わず唸った私でしたが、その後で、肝心なことに気が付きました。

阿部は今オフで契約が切れると報道されているのに、なぜ移籍金が必要なのか?

これはあくまでもヨーロッパ(UEFA)のルールなのですが、「契約期間が満了すれば、移籍金なしでどのクラブにでも移籍できる」という、いわゆる「ボスマン・ルール」に慣れた身としては、今回の浦和のとった行動がどうにも理解できませんでした。
阿部のジェフとの契約は今年1月31日に切れます。したがって、仮に「ボスマン・ルール」に従えば、2月1日以降にはどのクラブとも移籍金なしで自由に契約できる、つまり、浦和が払う移籍金ははっきり言って必要のない金額であり、言い換えるならば「無駄使い」としか言いようがないと思っていたのです。
あるいは、ジェフの看板選手を頂戴するにあたって、わざわざ契約が切れる前に移籍交渉をし、移籍金を払うことで仁義を切ろうとしたのか、また阿部のジェフへの惜別の情でも酌んでやったのか、といろいろ邪推したりもしました。
それにしても、いくら浦和が豊富な資金力を持つとはいえ、4億円を超える金額となると、年間予算(2007年はおよそ70億円とも言われていますね)の3~4%にもあたる巨額です。
義理人情で払える金額としてはあまりにも大きいものがあります。

ということで、これはおかしいと思い、改めて調べなおすべく、過去記事を書く際にお世話になったJFAの「プロサッカー選手に関する契約・登録・移籍について」を見てみました。

わかりました。そういうことだったのです。

「3、国内移籍」の項に、こんなものがありました。

3-1 4(4)プロ選手契約の期間満了後30ヶ月以内に行われる移籍に関し、移籍元クラブは、移籍先クラブに対して(管理人:略)移籍金を請求することができる。

浦和は、このルールにのっとって、ジェフが要求した移籍金を支払うことにしたわけです。

確かに、日本で「ボスマン・ルール」が適用されるというのもおかしな話であるのですが、よくよく考えてみれば、契約期間が満了しているのにも関わらず、移籍金を請求できるというのもおかしな気がします。
Jリーグ間での選手の移籍が活発化しないという声を聞くことも多いのですが、理由の1つが、移籍係数の高さであるということは以前申し上げました。それに加えて、この、プロ野球における「保留条項」のようなおかしな移籍金制度もまた、その理由の1つだと言えるのではないでしょうか?

ちなみに、日本で欧州の移籍ルールが通用しないように、欧州(海外)でもまた、この日本の移籍ルールは全く通用しません。
そういった例が過去に実際に起きています。
現在はスイスのバーゼルに所属する中田浩二が、鹿島アントラーズからフランス・リーグ1のオランピック・ド・マルセイユ(以下OM)に移籍した際のことを覚えている方もいるでしょう。
JFAの移籍ルールに庇護される国内クラブへの移籍であれば、間違えなく数億円の移籍金が付いたはずでしたが、今回の阿部のケースと同様に、契約期限切れが迫っていた中田浩二の獲得に対してOMが鹿島に提示した移籍金はわずか3000万円程度でした。
しかも、OM側から言わせれば「ボスマン・プレーヤーに対して3000万円も出してやった」ということになるわけです。
先に紹介したJFAの移籍ルールは、あくまで国内移籍に関するものであって、海外クラブへの移籍に対しては全く効力がないものなのです。

Jリーグの揺籃期に協会やリーグが未成熟なクラブの保護を目的にこのようなルールを作ったのだということは想像に難くありません。
ですが、Jリーグも今年で14年目。チームも増えてきました。そしてチーム間の財政格差も年々広がりつつあります。
今回の阿部の獲得や、以前三都主を獲得した時の浦和のように巨額の移籍金を払えるクラブはほとんどないのが現状です。
そういう大多数のクラブが戦力補強をするための選択肢を増やすという意味でも、この「30ヶ月制度(と勝手に名づけさせてもらいました)」はせめてその期間を短縮するとか、あるいはいっそ廃止するとか、とにかく制度自体の見直しの時期に来ているような気がします。

もしかしたら、ミヒャエル・バラックのように「ボスマン移籍」を繰り返す大物選手なども出てきて、それはそれで面白くなるような気がしますが……。

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posted by bunchousann |23:59 | サッカー | コメント(2) | トラックバック(1)
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2007-01-18 14:02 | 続きを読む
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Re:“契約期間満了”なのに「移籍金」?~国内移籍が活発化しない理由

コメント投稿者ID :

ほんと。全部廃止にしてくれたら選手も海外移籍しやすくなるのに!世界目指すなら世界基準でやれって話よ!強くするなら外国人枠なくせ!

posted by vtk | 2007-01-24 13:16

管理人より

コメント投稿者ID :

vtkさんへ
そうですね。日本にもボスマン移籍的な制度があってもいいと思います。
そうすればオフの楽しみも増えますし、予算に乏しいチームでも上手くやれば代表クラスの選手を獲得できますからね。
せめて「30ヶ月制度」は「J2→J1の移籍に限る」などの制限をつけることから始めて欲しいですね。

posted by bunchousann | 2007-01-25 01:30

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