2006年09月21日

今年の高校生ドラフトは外れ1位にも注目したい

久しぶりの野球ネタです。

いよいよ高校生ドラフトが週明けの25日に迫ってまいりました。

今年の目玉は、なんと言っても投手では田中将大君(駒大苫小牧)、野手では堂上直倫君(愛工大名電)でしょう。スポナビのコラムでも取り上げられている2人ですし、堂上君については、2ヶ月ほど前に拙稿でもその華やかな伝説について書かせてもらいました。
この2人、現在のところ複数球団からの1巡目指名がほぼ確実な情勢で、そうなると、どうも抽選になるのは避けられない模様です。

この「抽選」ですが、もしかしたら今年で最後になる可能性もあります。

現行の“かなりややこしい”ドラフト制度は今年で2年目になりますが、制度自体を取り決める際に「2年間の暫定的措置」として取り決められた経緯があったはずです。
この言葉をそのまま解釈すれば、来年のドラフトからは何らかの改革が行われることになりそうで、実際に選手会側からは完全ウェーバー制を求める声も上がっているようなのです。
大学生・社会人とは分離して行われることによって、また、今年の高校野球の盛り上がりもあって一際注目されている感がある高校生ドラフトですが、もしかしたら来年はまた分離されていたドラフトが一本化されるかもしれません。

ところで、1位指名が競合し、抽選が行われるということは、当然抽選に外れる球団があるわけです。
こうして抽選に外れた球団から指名された1位指名の選手を、通常「外れ1位」と呼びます。

外れ……というと何だかネガティブなイメージを与えかねない感じですが、ふたを開けてみると、そうでもないことが分かります。

手前味噌で恐縮ですが、中日の例を2つほど挙げてみましょう。

まずは井端弘和とともにセリーグで最高の二遊間を形成する荒木雅博。
彼は95年、外れ1位の選手として指名を受けました。
いや、より正確を期して言うならば「外れの外れの」1位指名です。
この時の中日の1位指名は現在チームメイトの福留孝介でした。当時PL学園の中軸打者であり、大型内野手として期待されていた福留はこの年、野茂秀雄、小池秀郎の8球団に次ぐ7球団からの1位指名を受けましたが、抽選の結果近鉄(当時)が交渉権を引き当てると、入団を拒否し、社会人の日本生命を経て98年のドラフトで逆指名制度を利用して中日に入団しました。
福留を外した中日が次に指名したのは、東海大相模高校の原俊介。当時の正捕手中村武志の後継の期待を込めた、捕手の1位指名という思い切った作戦でした。
しかし、ここでも福留を外した読売との抽選になり、結局読売が交渉権を引き当てることになりました。
3度目の指名で、ようやく本来の目的である高校生内野手の指名という原点に立ち返り、熊本工の荒木の指名となったわけです。
その後の活躍は野球ファンならご存知。現在は中日の主力としてラインナップに欠かせない存在になっています。
一方、読売に入団した原俊介ですが、現在のところ、1軍と2軍を往復する生活であり、1軍昇格時の役割も主に右の代打が中心です(10月4日追記:原選手は10月2日、読売ジャイアンツから戦力外通告を受けました)。

もう1つの例が、今年2度目の2ケタ勝利を挙げた朝倉健太。
入団7年目、今年で25歳。これからの活躍が期待される1人です。
彼がドラフト会議で指名を受けたのは99年。この年、中日は国学院久我山高校の左腕、河内貴哉を1位で指名しました。
ところが、広島、近鉄との競合となり、抽選の結果、河内の交渉権は広島が引き当てました。
その外れ1位が朝倉というわけです。
ちなみにこの年中日は、2位指名でも競合し(現在の制度ではあり得ない)、今季日本ハムの躍進を2番打者として支える当時東福岡高校の内野手だった田中賢介を抽選で失うという散々なドラフトになりました。
それでも、背番号をころころ変えながら(41→18→14)今年で2度目の2ケタ勝利を挙げた朝倉は、ここまでまずまずの成長を見せていると思います。
一方の河内、入団時に「大野(豊)のようなスケールの大きい投手になって欲しい」との願いを込めてつけられた背番号24は今でも変わっていませんが、ここまではその背番号が何となくプレッシャーになっているのか、ブレイクしかけた04年(8勝)の成績を、未だに超えることができていません。

このように中日の最近のケースでも外れ1位の活躍ぶりを紹介できました。他の球団のケースでもあると思いますので、ご存知の方はコメント等で教えていただけると有難いです。

最後に、この話題はどうしても残酷な比較・結果論になってしまいますが、要するにアマチュアでの評価、実績とプロに入ってからの成績とは別だということが言いたかったわけです。

今年は先述した田中君、堂上君以外にも、埼玉・鷲宮高校の増渕君やPL学園の前田君ら、指名が競合しそうな選手がたくさんいます。
それはつまり、外れ1位選手がたくさん産まれることを意味しています。

1位指名で抽選に外れた球団のファンの皆さんも、外れ1位選手に注目してみてはいかがですか?
何年後かには「あの時抽選で外れてよかった」と思えるような選手になるかもしれませんよ。

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posted by bunchousann |23:11 | 野球 | コメント(8) | トラックバック(1)
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ドラフト会議も間近! 心に残った高校球児を振り返ろう 【みんなの心に残った高校球児は?】

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2006-09-23 21:03 | 続きを読む
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Re:今年の高校生ドラフトは外れ1位にも注目したい

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はじめまして…isと申します
先日、我がブログにてセルティックについてコメントありがとうございます。
お礼と言っては生意気ですが、コメントさせてもらいます。


やっぱりプロになってからの、精神面での成長がその後を左右するんでしょうね。
プロの世界は高校球児にとって、人生最初の敗北を味わう場所かもしれないですから。
10歳以上違う選手たちから、敵意を浴びる環境に放り込まれるわけですし。
それまで高校で実力のあるスターが、それは同年代の中でだった、と感じるでしょうし。
技術面指導より彼らの心を支える環境が整っている球団こそが、育成上手な球団なんでしょうね。

posted by is is | 2006-09-23 00:21

管理人より

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いえいえ、こちろこそコメント有難うございます。
精神面での成長を促す環境と、あとはいいコーチ・先輩・スタッフにめぐり合えるか、それも大きいかもしれません。
私たち一般の社会人でも、いい上司や先輩にめぐり合えるかそうでないかで随分と仕事が変わってきますよね。
上司は選べませんから、これも運命を分ける一つの要素なのかも知れませんね。

posted by bunchousann | 2006-09-23 03:33

巨人のはずれ1位

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最近では堂上をはずして坂本クンでしょう。
当時なぜに坂本と思った人も多いはず。
ところが蓋を開けてみれば2年目から活躍して、今年は首位打者、最多安打を競うほどの選手になりました。
それにたいして、堂上クンは鳴かず飛ばずで、兄のほうもいまだ2軍生活。
落合監督も坂本クンの活躍を見るたびに胸中複雑でしょう。
大森スカウトの強力プッシュで取ったとのことですがその大森さん当時のオーナーの鶴の一声、俺の後輩を取れで入団が決まったものの選手としては全くのスカタンでした。
こんなことを思い返すにつけ目に見えない天の配剤のようなものを感じますね。

posted by miharu | 2009-09-27 10:44

管理人より

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miharuさんへ
古~い記事にわざわざコメントありがとうございます。

この記事は今からちょうど3年も前に書いたものです。
まさか現在このような状況になっていようとは、当時は全く予想の範疇にありませんでした。
ご指摘の通り、堂上弟選手のはずれ1位の活躍を、中日ファンである私もやや複雑な思いで観ております。

坂本選手の台頭の要因は、不動のレギュラーだった二岡選手の故障離脱が大きく影響しているとは言え、原監督が昨季、2年目の彼をガマンして起用し続けたことが大きかったからだと思っております。

ただし、堂上弟選手が「選手として全くのスカタン」である、というのはちょっと言い過ぎではないですか?
堂上弟選手はまだ高卒3年目です。選手としての評価を下すにはいささか早いような気がします。
中日ファンも、そして同じく堂上弟選手を外し、野原将志選手を獲得した阪神ファンも、将来の飛躍を心待ちにしていると思います。

中日の高卒上位指名の選手、なかんずく野手に関しては、意外に晩成型の選手が多いようなイメージがあります。
現在楽天の山崎選手、今季限りで引退する井上選手、そして森野選手……
いずれもドラフト1位、2位の選手たちですが、完全にレギュラーになるまでに10年前後の月日を擁した選手たちです。それを思うと、まだまだ待つことはできるのではないでしょうか?

幸いにして未だアライバ健在のようです。このコメントから3年後、アライバと堂上弟選手らの関係が果たしてどうなっているのか、それを楽しみにしてコメントを終わりたいと思います。

posted by bunchousann | 2009-09-28 09:13

コメントありがとうございます

コメント投稿者ID :

うーん、大森さんのことをスカタンと評しただけで
堂上、弟クンをスカタンとは言ってないのですけど、、、
いまだ鳴かず飛ばず=スカタンと思ってしまったのなら、わたくしの表現に至らないことがあったと反省しないとならないですね。
巨人にしても、首脳陣と、大森スカウト以外は、坂本はアウトオブ眼中だったようですので、その辺のことも伝えたかったのですよ。
誰がどのように活躍するか、我々人の身にあってはつくづくわからないものだと。
そこに、天の配剤があるのではないかとね。。

posted by miharu | 2009-09-28 17:22

管理人より

コメント投稿者ID :

miharuさんへ
すいません。こちらの読解力不足ですね。

大森スカウトとはかつて慶応大からドラフト1位で入団したあの大森選手ですね。
20年ほど前になりますか、彼と上宮高校の元木選手、どちらが1位指名されるのか、当時はずいぶん注目されました。

坂本選手はこの大森スカウトのヒットだったのですね。
これは初めて知りました。

記事の本文中にドラフト関連のリンクがあると思いますが、当時、坂本選手の知名度はほとんど0と言ってもよかったと思います。
スター性が重視される読売にあっては、やはり甲子園で活躍したアマチュア球界のスター選手が欲しかったんでしょうね。
そんな環境の中で、スカウトと現場が冷静だったということでしょうね。

あるいは、坂本選手の獲得から育成、成長に至るまでの一連の経過は、この球団の現場とフロントの風通しがすこぶるよいということの1つの証左と言えるのかもしれません。

>誰がどのように活躍するか、我々人の身にあってはつくづくわからないものだと。

全くその通りですね。
ドラフト1位や自由枠の投手が全然育たないケースもある一方で、育成から這い上がり、チームの主力投手として活躍するケースもあるのですから。


posted by bunchousann | 2009-09-28 22:41

わからないものですよね

コメント投稿者ID :

選手としてはいまいちどころか、戦力らしい戦力にならなかった大森さんが、なかなかのスカウトになるなんてね。
巨人に入団していなければ、おそらく大森スカウトの誕生はなかったでしょうし、そうなれば巨人坂本もなかったと思いますよ。
巨人に限らずオーナーがごり押しして取った選手はたいがいぽしゃりますよね。巨人の場合、大森さんの失敗で、オーナーがごり押ししなくなりましたよね。
あとひとつ印象的なことは、星野仙一さん、巨人は1位で決まっていたらしいのですが、直前になって川上監督が島野に変更しました。
川上さん星野さんのことが気に入らなかったようですが、個人のつまらない感情で、指名を変更するなんてもってのほか。
その後の星野さんの活躍は誰もが知ることですし、島野さんは全く使い物になりませんでした。
川上さん好きになれないので、同情する気にもなりません。
ドラフトって一部のお偉いさんの胸三寸で指名が変わったりするし、考えてみれば酷なシステムだと思っても見たり。。。
それによって有能な選手が翻弄されるわけですしね~

posted by miharu | 2009-09-29 13:42

管理人より

コメント投稿者ID :

miharuさんへ
まあ選手としての資質とスカウトとしての資質は別ですし、過去に名スカウトと呼ばれた人の中にはプロ経験のない人もいるくらいですから、大森スカウトにも他人には見えない何かを見抜く才能があるのかもしれません。

川上さんのことでは、私も「巨人軍に葬られた男たち」(織田淳太郎著、新潮文庫)を読んだクチですから、悪い面も多々承知しているつもりです。

その島野選手ですが、この方はむしろ引退後に有名になられましたね。今でこそどの球団でもマスコットがいるのが当たり前ですが、確かに私が子供の頃は、マスコットと言えば、西宮球場で“彼”を観るくらいのものでした。

仰る通り、島野選手は偉大な選手になることはできませんでしたが、「球界への貢献」ということでは、スタジアムの魅力を大きく向上させた点で、星野投手と変わらないくらい大きく貢献していると言えるかもしれませんね。

posted by bunchousann | 2009-09-29 22:56

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