2007年12月29日
2007年をざっと振り返る~野球編
さて、最後は野球についてざっと振り返ります。 ■うすうすわかっていたことだが……(その1) 今年の野球シーズン、春暁の眠りを切り裂いたのは西武ライオンズのアマチュア選手に対する裏金問題でした。 さらにそこから裏金を受け取った選手の母校へと問題が波及し、至った先に待っていたのは日本学生野球憲章13条で禁止されていたはずの高校の特待制度に関する問題でした。 裏金の問題にせよ、特待制度の問題にせよ、以前からうすうすわかっていたことだったと思うのですが、これまで曖昧なまま放置されていた印象があります。 こうした問題を受けて高野連の方では、特待制度の改革が完全なものとは言えないまでも、外部識者の下で何とか行われました。しかし、一方のプロ側は、今年のドラフトこそ希望枠等の選手が希望球団を選べる仕組みにはなっていないものの、来季以降のドラフトにそういった希望球団への入団を認めようとする勢力も依然として強く、裏金問題がなぜ起こったのかというそもそもの発端を既に忘れているような気がしてなりません。 ■セリーグ~53年振り リーグ優勝を遂げた読売は、長年の課題だったクローザーに何とエースの上原を持ってくるという逆転の発想で、安定した投手力を発揮しました。 しかし、そのリーグ優勝の喜びもつかの間、今季よりセリーグでも始まったクライマックス・シリーズ(以下CS:プレーオフ)で、シーズン2位から勝ち上がった中日に完膚なきまでに叩きのめされ、結局その余勢を駆って日本シリーズにも出た中日が日本一、そしてアジア一の座を手にしました。「フォークの神様」杉下さんがエースだった昭和29年以来、実に53年振りの日本一でした。 日本シリーズでのあの継投は賛否両論でしたが、まさに色々な意味で歴史に残る日本一だったと思います。 阪神は前半戦の低迷からV字回復を見せ、CSへの出場を果たしましたが、昨季までのエース・井川の穴を結局埋められず、JFKにおんぶで抱っこのツケが最後に来てしまったような印象があります。オフの補強も息巻いていたわりには地味な感じがします。来季もJFKは大変そうです。 前半戦を盛り上げた横浜でしたが、後半は失速。あと少し先発のコマが足りていれば、という印象があります。某ベテラン選手に固執するなど、ちょっと……?な采配もありましたが、来季もCSを狙うだけの力はあるのではないでしょうか。 広島はエースと4番を同時に失いました。来季はさすがに苦しくなりそうです。オーナー氏は気合で頑張れと言いますが……「マネーボール」を読んだことはあるのでしょうか? ヤクルトはグライシンガー、ラミレスといった投打の主力外国人を失い、石井一久をFAで放出。古田、高津といった90年代黄金期のメンバーも去り、来季は大幅に若返りを強いられそうです。それにしても増渕、佐藤由規は楽しみですね。「ニューロケットボーイズ」といったところでしょうか。 ■パリーグ~2連覇すれども…… 主砲・小笠原をFAで放出、ムードメーカー・新庄の引退、セットアッパーの岡島が大リーグに去り、大幅な戦力ダウンにも関わらず、日本ハムがパリーグを連覇しました。何と言っても絶対的エース・ダルビッシュの存在が大きかったですね。 そんな歓喜の中、リーグ連覇を遂げたヒルマン監督やチームの土台を作った高田GMが今季限りでチームを去ることになりました。来季は梨田監督のもとで3連覇を狙います。 千葉ロッテは昨季頭角を現した成瀬が一気に大ブレーク。先発投手陣が安定し、中継ぎに若い力も現れました。でもやはり“YFK”の解体は懸念事項かもしれませんね。中継ぎはともかく、クローザーを誰にするのかがキーかもしれません。 トレードで多村を獲得、小久保がFAで復帰したソフトバンクですが、重量打線のはずが、故障等が相次ぎ結局不発。先発の「4本柱」にも怪我が相次ぎ、思うようにいきませんでした。来季は王監督が最後とも言われていますが、花道を飾ることはできるのでしょうか。 ベテランの主砲と新人マー君の大ブレーク、野村監督の教えも浸透しつつあるのか、楽天が「定位置」の最下位から脱出。こうなったら勢いそのままに、来季はCSの出場を狙います。 常勝を謳われたのも今は昔か、フロントの不祥事にも足を引っ張られ、西武がとうとうBクラスの5位。長年打線を支えてきたカブレラ、和田を放出し、来季は「ナベQ」こと渡辺新監督の下で若いチームがどれだけやれるか。 楽天から最下位の座を奪ったのはオリックス。このオフは積極的に大砲の補強に努めていますが、こうした動きを見ていると、相変わらずフロントと現場の間には考え方に齟齬が生じているように思います。コリンズ監督は「走れる選手」を望んでいたと思うのですが……。 ■広がりを見せる独立リーグ 3年目を迎えた四国ILに引き続き、2つ目の独立リーグとして北信越BCリーグがスタートしました。管理人も何とかこれを観戦しようと思い、2試合だけですが観戦することができました。 北信越BCリーグは、初年度としては四国を上回る観客を集め、四国よりも地域密着を重視したリーグの目標は、一定の結果を出したと言えるでしょう。 来季は四国ILが長崎・福岡と、九州にも拡大し、四国・九州ILとして6球団に。BCリーグは福井・群馬に新球団ができ、こちらも「北信越」の冠を外したBCリーグとして6球団になり、2つのリーグの球団数を合わせると、早くもNPBと同じ球団数に達しました。 現在では、近畿や東北でも独立リーグ立ち上げの企画が進んでいるそうです。 四国ILを「強引に」立ち上げた初代コミッショナーの石毛宏典氏は、その理想として「1県1球団」を掲げていました。もしかしたら、そうなる日もそう遠くないうちに訪れるのかもしれません。 ■日本代表、北京五輪出場権獲得 昨年のWBCのこともあり、韓国や台湾と言えども楽に勝てる相手ではなく、まして勝手知ったる日本の球場で行われる試合ではなかったということを考えると、ここで(アジア予選で)アジア各国相手に無敗で五輪出場権を獲得できた意味は大きいと思います。 来年の五輪ですが、開催時期は8月という、まさにペナントレースが佳境を迎えようとする時期ということもあって、メンバー選考でまた論議が起きそうな気がします。 今のところ、「“最後の”五輪野球」となる公算が大きく、すっきりした形で、かつ悔いのない戦いをしてもらいたいものです。 ■MLBのFA市場で日本人の相場が急騰 昨年の今頃は巨額のポスティング移籍が相次いだNPB→MLBの移籍ですが、今年はMLBのFA市場に目ぼしい選手が少ないということもあって、日本人FA選手が日本球界の予想と能力を上回る巨額の契約を果たしたことが話題になっています。 中でも中日からシカゴ・カブスに入団した福留、広島からロサンゼルス・ドジャーズに入団した黒田の契約内容は、MLBで既に実績を残したスーパースターの契約内容と遜色ないものです。 彼等は巨額の契約によって彼等本人だけでなく、日本球界の評価を高めたとも言えますが、同時に巨大な使命とノルマを課せられたとも言えるのかもしれません。とにかく活躍を期待しましょう。 NPBでは昨今、ドラフトやFAの改革の話題が出ていますが、こうしたMLBの日本市場進出という現実もその大きな理由に挙げられるのかもしれません。FA権取得期間を国内移籍と海外移籍で分けようという発想などがその最たるものだと思います。 こうした「選手の流出を防ぐ」ことには非常に熱心な日本球界ですが、MLBの経済力に対抗すべく「収入をより増やし、選手、球団、ファンにより魅力的なサービスを提供する」ための議論というのは全くと言っていいほど聞こえてきません。白旗をあげるのならば、やることをやってからにして欲しいものです。 ■うすうすわかっていたことだが……(その2) オフを迎えたアメリカ球界へのクリスマスプレゼントは、元上院議員による1つのレポートでした。
以前から指摘されてきた、ステロイド等の禁止薬物の使用疑惑のある選手のリストが発表されても、やっぱりなあ、という印象がどこかにありました。 それにしてもこのリストに列挙されている選手、錚々たる顔ぶれです。このまま何事もなければ殿堂入り間違いなしという選手がごろごろいます。そして中には日本でプレーしている選手、あるいは過去にプレーしていた選手も混じっています。 このレポートを作成する過程でのMLB選手会側の協力ははなはだ不熱心だったそうで、おそらくこれは氷山の一角だと誰もが思っているでしょう。 何だか2007年の野球界は日本の暗い話題で幕を明け、アメリカの暗い話題で幕を下ろすということになってしまいました。 ということで、この3日間、ざっと今年を振り返ってみました。 今年の当ブログの更新はおそらくこれが最後になりそうです。 それでは皆様、よいお年を。
posted by bunchousann |04:50 |
野球 |
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2007年をざっと振り返る~野球編
マネーボールは大リーグでは使えても、選手の絶対数が少ないNPBではあまり役に立たないんじゃないかと思う。
posted by orz | 2007-12-29 05:27
管理人より
orzさんへ
確かに、アメリカと日本ではドラフト制度やFA制度が異なり、またプロ選手の数は日本の方が圧倒的に少ないのが現状です。
しかし、アマチュア選手の獲得方針や、セイバーメトリクスを重視する独自の選手評価など、即採用とまではいかなくても、参考にできるものはありそうな気がします。
残念なのが、そういった「何かを根本的に変える」ということがカープのオーナーからは感じられないことです。資金的に厳しいのであれば、他者と同じことをやっていても差ができるばかりだと思うのですが。
posted by bunchousann | 2007-12-29 05:41
2007年をざっと振り返る~野球編
日米のコミッショナーによる球界管理の差が
出た1年でしたね。
年俸差、ドーピング問題、経営・戦力格差等。
私も滞米経験がありますが、野球人気は日本の
ほうが10倍くらいは上だと思います。
それなのにこの年俸差・経営格差。
ビジネス能力の差以外の何物でもありません。
このままだと、日本球界は2~3年後に、
縮小再編成不可避でしょう。
そしてメジャーの実質ファーム的存在になる。
野球の掲示板、ブログなど見ても、
野球経験者の技術論が中心です。
それはそれで良いとして、ビジネスとしての
視点がない、もしくはそういう発言を嫌う
管理人が多いのは、日本球界の現状の反映でも
あると思います。
最後は特攻で敗れていった第二次世界大戦と
同様の運命が待ち受けているのを最近確信するようになりました。
posted by 日本球界に未来なし | 2007-12-29 07:30
2007年をざっと振り返る~野球編
■大物外国人がJリーグに移籍
ロペス(仙台→横浜FM)
ロニー(クルゼイロ→横浜FM)
マルコス・パウロ(横浜FC→清水)
アルセウ(柏→札幌)
ノナト(バイーア→札幌)
ダヴィ(札幌に完全移籍)
エジミウソン(新潟→浦和)
昨日だけでこれだけの外国人(すべてブラジル人)の移籍が決まった。世間の注目はやはりエジミウソンと言うことになるだろうが、ここではあえてチームとしてプラスになるか語ってみたい。
横浜FMは仙台からロペス、クルゼイロからロニーを獲得。横浜FMとしては久々の外国人獲得となる。得点力不足が叫ばれている横浜FMにとって二人の獲得はプラスになることは予想される。しかし近年、補強に成功したと言えるのは左サイドで活躍したドゥトラのみ。フィットするかどうかは開幕戦を見てみないとわからない。
清水はチョ・ジェジンの退団が決まっているため、そのための穴埋め対策としてマルコス・パウロを獲得。横浜FMでは戦力にはなりきれなかったが、潜在能力は高いものがある。過去にブラジル代表として36試合に出場しており、高木前監督が指揮を続けていれば、もっと活躍できただろう。しかし、彼はあくまでボランチ、中盤を得意とする選手。チョ・ジェジンのようにトップを張れる存在ではない。フェルナンジーニョをトップに上げてダブルボランチを選択するようにも思えるが、清水にはポストプレイヤーとして岡崎、矢島といった選手が居る。マルコス・パウロのフィット次第で選択肢が増えるか増えないか、開幕戦まで楽しみにしたい。
今年からJ1に上がる札幌はあらたに2人のブラジル人選手を獲得。いずれもFWの選手であり、明らかな攻撃力UPを狙った獲得である。札幌は失点は少ないが、得点力をUPしなければJ1には生き残れないとして本気で獲得を狙ったと見える。しかし今年、横浜FCが攻撃陣の補強をしたにも関わらず、守備力がJ1レベルではなかった。札幌にもこれは当てはまるのか、しばらくは様子を見ることにしたい。
最後にエジミウソンだが、噂されていたとおりの報道。管理人としては驚くことは何もない。シーズン終了前にワシトンが監督との確執から退団が決定的となっていたため、後釜としてすでにJリーグで実績のあるエジミウソンを完全移籍で獲得する方向で動いていた。エジミウソンの活躍、実力は周知のとおり。問題はレッズの選手としてやっていけるかどうかだけ。レッズはポンテ、達也が開幕に間に合わないと見られるため、開幕戦は新しい顔ぶれで臨まなければならない。その布陣にどこまでフィットするか、しばらくは見極めが必要だ。
posted by | 2007-12-29 10:39
2007年をざっと振り返る~野球編
2007年オフ、これまでの流れと同じく続々と海外挑戦する選手が発表されました。
そして、北海道日本ハムファイターズを連続リーグ優勝に導いた
トレイ・ヒルマン監督がムーアGMのもと弱小ロイヤルズに招聘されました。
ついに、日本球界指導者のメジャー挑戦の始まりです。
(なおヒルマン監督はマイナー時代に最優秀監督賞を3度受賞)
また、ソフトバンクホークスの新垣渚投手、阪神タイガースの藤川球児投手も
将来メジャー挑戦したいと言う旨を発表しました。この他ヤクルトスワローズの
青木宣親選手もいつかはメジャーに、と公言しています。
ヒルマン氏のメジャー監督就任が日本シリーズ前の発表であった
事や、権利を得ないうちに発表する選手への不信感と同時に
やっぱり日本球界は…と危惧する声も高まっています。
「マジっすか!」
「育てた球団をなんだと思ってるんだ!」
「いや、一番高いところに挑戦したいと思い続けるのがプロってもんでしょ」
「でもそれじゃ日本はどうなるの!球団の事を考えろ!」
「いや、寧ろ、球団が悪い!」
「でも行く前に言うのはわがままやろ!」
「日本カープアカデミー本校かよ!」
「今メジャーの資金力に敵う訳がないじゃん。金を多く貰えるところに行くのは当然の話では?」
「逆指名で入った癖にチームを捨てるのかぁ~…ハァ…」
「メジャーなんかより巨人の選手資源の無駄遣いの方がやばいw」
「イチローかっこいいよイチロー」
「いや、でもイチローはOPSが…」
「なんで最近メジャー挑戦と結婚がセットなんだよ!通訳かよ!」
「選手が決めた事なのだから僕は応援しています!頑張ってください!」
「てかあいつのストレートじゃメジャーでは通用しないだろw」
「もっと自前の選手を育てろよ~」
「そんな事より松井秀喜はいつになったら結婚するんだ!」
「彼の事を信じてたのに!」
「わー!!」
と実に色んな声があるのですが、基本的にはメジャー挑戦する選手個人は
応援したいけれども日本のチームの戦力が空洞化することを懸念している、
と言う方が多いようです。
現在は日本のプロ野球を経由せずに海外挑戦するパターンも
増えてきましたし、マイケル中村選手やG.G.佐藤選手など
海外挑戦した選手が日本球界に入ってくるケースも増加しています。
また、韓国や台湾で活躍した選手の日本挑戦も毎年のように現れ、
WBCやアジアシリーズなどをはじめとする国際試合も見られるようになりました。
日本球界がマイナー化してきた、と言うよりは野球と言う比較的
閉鎖されていたスポーツが国際的な胎動を始めたと言う方が
正しいかも知れません。ただ、それでもって日本の球界の人材が
流出しているのはイエスと言えるでしょう。
私は日本球界を併せ、野球界と言うのは実にチャンスの時期だと思っています。
視聴者は既に日本の野球に加え、メジャーリーグに触れる機会も必然的に増えてきています。
日本と言う枠組みに囚われなければ、今野球を見る楽しみは最高潮ではないでしょうか。
今まではオリンピックの他には日米野球と言うあまり本気とは思えない国際試合ぐらいしか
見れなかったのが、改善の余地があるとは言え、WBCと言う大きな舞台を楽しむ事も
できるようになりました。
個人的にはいつかは(近い未来で)メジャーの形式と同じようにアジア球界でリーグを形成し、
そのリーグ優勝者がワールドシリーズの(あるいはプレーオフの)参加権を与えてほしい、だとか
全世界のクラブチームで予選を行った上での世界一のクラブ決定戦をてほしい、
とか言う夢も膨らんでいます。
流出に関しては日本の選手を流出させたくないと言う願望の入った消極論よりも、
自分のチームが得をするドラフトのあり方を考えるよりも、
常に球界に人材が育ち、さらに流出した場合もそれを補えるシステムを
構築すべきだと思います。
FAの海外流出において一国の代表レベルの選手をなんのリスクも
ペナルティもなく渡してしまう制度はおかしいですし、
本当に球界を考えていて流出を危惧しているなら、
「FAは決して個人の問題ではなく、日本球界に関わる問題」だと
アメリカに対しても選手会に対しても発言すべきだと思います。
その上で金的補償なり人的補償なりがなされるべきでしょう。
それができないのは、それこそ自分たちがマイナーだと言ってるような
物だと私は思います。
これは日本球界だけでなく、例えば日本挑戦、メジャー挑戦で選手の
流出を繰り返す韓国球界や台湾球界にも言えると思います。
自分のチームの利益が一番大事なのは分かります。
でもだからこそ、全体を見渡して行動する必要があるのではないでしょうか。
一つのチームの利益を追求するよりも球界全体の利益を追求する事の方が
結果として長期的かつ大きい利益を得られる筈です。
まずそれにはやはり、強いリーダーシップを持ち、かつ球界全体を見渡せる
コミッショナーが必要となってくるでしょうし、これは時間の問題でしょう。
私は、王貞治氏か星野仙一氏と言った流れになっていくのではないかと思っています。
さて、長い前置きになってしまい、すいません。
主張とか意見とかでうんざりさせてしまったと思いますので、
野球の魅力の話にうつりましょう。
じゃあその日本がなるかも知れないとか言うマイナーリーグって
そもそもどんなの?ということで、
「マイナーリーグ」の魅力についてちょっと書いてみたいと思います。
「え、でもマイナーの魅力って…要するに二軍、三軍、四軍、五軍…?でしょ?」
「野球だけでは食えない厳しい世界なんでしょ?」
「別に一流でもない選手のプレーを見たところで…」
確かに選手にとってマイナーリーグは決して良い環境ではないようですし、
メジャーに比べると勿論選手のプレーも落ちてはきます。しかし、例えて言うなら
メジャーリーグがホールやアリーナで行われる巨大なツアーライブとするなら、
マイナーリーグは地元のライブハウスで行われるライブと言った趣。
単純にメジャーは良い、面白い、マイナーは悪い、面白くないと言うのではなく、
その楽しみ方に違いがあると言うだけなのです。
(ただ実際にはマイナーはライブと言うよりは地元のテーマパーク的な要素が強いですが)
単純に強い弱い、戦力がある、ないだけでなく、組織として、エンターテイメントのあり方として
マイナーリーグの魅力に触れ、マイナーの試合も見てみたいな~とか、
日本でもこうできるな、あれができるなとか考えていただければ幸いです。
マイナーリーグは良く知られているように、ルーキーリーグを底辺に、
シングルA、ダブルA、トリプルAがあり、さらにはドミニカなどの育成チームや、
厳密には下部組織ではありませんが、独立リーグと言ったものまで
実に底辺が広く、頂点が高い巨大なピラミッドが形成されています。
アメリカは滅茶苦茶広い国土を持ってるので、いくら30チームを持つメジャーリーグとは
言え、全ての国民がメジャーの球場に手軽に行ける訳では勿論ない訳です。
それでも日本の場合は基本的にTVで例えば全国放送の巨人の試合を見て
応援したりするのですが、アメリカでは地元のマイナーリーグのチームを応援したりします。
さらにローカルな地域では娯楽やイベントも多くはないと言われており、
ちょっとしたイベントで多くの集客を見込めると言う土地的な利点を持っています。
そのような地域にとっては施設とかも多くない場合があり、マイナーリーグの球場に
行けば色んな人に出会ったり、集合できる社交場としても使われているそうです。
決して弱いからと言って、それがイコール閑散としている訳ではなく、
独特の雰囲気で盛り上げる仕組みになっています。
選手の質はメジャーには敵いませんし、例えばシングルAなら大学生ぐらいの
年齢の選手なのですが、とことん教え込む日本とは違い
アメリカは「自分で考えて伸びろ」的教育ですのでチームプレーは雑で
洗煉度は低いですが、素朴な魅力を持っています。
AAAになってくるとさすがにプレーの質もかなり上がり、
結構有名な選手も出てきたり、直接海外挑戦した日本人選手が出てきたり、
と見所も多いです。
ただしマイナーでは全然知られてない選手が大多数なので、
ファンは選手を背番号で呼んでたりしますが…。
(ちなみにAAAでも日本人が思う以上にプレーのレベル自体は高くないと
言えると思います。日本野球の洗煉度は世界屈指と言えるかも知れません)
でも、選手が近い!これはメジャーでもそうですが、ファウルゾーンを削り、
少しでも同じ目線をと、球場を選手とファンを近づけるように作っているのは
アメリカ野球のとても良いところのひとつと言えると思います。
芝生がグラウンドいっぱいに広がって見える球場もまるでひとつの
遊び場のような躍動に満ちています。
ちなみにマイナーリーグのチケットは、四枚買ってメジャーリーグの
チケット一枚分と言ったところですので、非常にリーズナブル。
しかしそれでも、メジャーの一流のプレイにはさすがに敵わない。
と言うことでマイナーリーグはプロモーションに力を入れてお客さんを呼んでいます。
マイナーリーグのチームは選手の年俸はメジャーが出していますが、経営については
独立採算制、つまりメジャーとは関係なく自分たちで儲けなければならないので、
お客さんを呼ぶ為の工夫をしているのです。
まず、基本的にマイナーリーグのプロモーションはグラウンドに入れます。
日本では「プロ野球=見るもの」ですが、マイナーリーグは観客もプレイヤー!
と言っても試合に出ると言う訳ではなく、例えば試合後には子供達が
ベースランニングできたりダンスやカラオケ、寸劇をやってみたり…。
独立採算制ですので、そのチームによって行われるプロモーションも
様々ですが、基本的には観客が参加して楽しめるように工夫されています。
Tシャツグッズ無料プレゼントがあったり、ゲストを呼んでのコンサートやプロレスまで!
でも、それ…なんのスポーツやねん…。
スピードガンコンテストと言うのは、
お客さんが球速を計るためのものなのですが、
何故かキャッチャーが居るはずのところにキャッチャーがいず、
スピードガンを持ったおじさんが…。
それでお客さんは思いきりボールを投げるのですが、
実はスピードガンおじさんとお客さんの間にはガラスがあるのですね、
そのガラスにガ~ン!!とぶつかります。
何故キャッチャーが受けないのか?それはスポンサーがフロントガラス屋さんだからです。
幼児が一塁ベース上に、マスコットが二塁ベースに…。ん?これは?
これはそこからホームまで競争させると言う物で、まあ幼児が親が思ってくれる
方向に進んでくれると思ったら大間違いです。
子供とラジコンカーがベースランニングで競争する物もあります。
それぞれぶつからないよう、一塁側、三塁側と逆から走ります。
スポンサーはオモチャ屋さん。
外野フライキャッチ・コンテストもお客さん参加なのですが、これは文字通り
外野の守備についてフライを五本捕ると言うもの。
これはピザ屋さんがスポンサーで一本取ったらコーラゲット、
二本取ったらピザワンピースゲット、
五本取ったら観客全員にピザプレゼントなのだとか。リッチ~。
ちなみに五本目のフライははあり得ないほど意地悪なのだそうです。
このようなイベントは基本的に各回裏の攻撃前に行なわれています。
ただ、その時間帯もあり、ビジターの守備練習の邪魔なることも…。
またファミリー層が中心になっていますので、汚れないやんちゃなお子様が走り回って
他のお客様のお邪魔になったり場合によっては思いがけず蹴られてしまう事も
あったりもしますので、少し注意と寛大さも子供への愛情も必要になってくるかも。
ちゃんと躾けとけよって話かも知れませんが。
マイナーでは勝敗とかあまり関係なく騒いでるなぁ~って感じの中で
でもみんな結構野球に詳しかったりします。
子供連れのファミリーはまったりと応援、
一方では熱心に選手達にサインをお願いしたり
スコアブックをつけたりして、将来のスターを探す人も。
メジャーでは7回表終了後に歌われるお馴染みの
”take me out to the ball game”の合唱もあったり…。
(ちなみにこの”take me~”は1908年に作られた歌で、
ケイティ・ケーシーと言う「base ball mad」の女の子が
ショーを見に行こうと誘われて、それよりも野球に連れていってと
お願いする歌なのですが、なんとこの作詞のノーワース、
作曲ティルザーともにメジャーの試合を見たことがなかったのだとか)
きっとボールパークと言うのは、まさにこういう場所を言うのでしょう。
素朴で純粋な楽しさに満ちあふれていて、スポンサーとお客さんとの
距離感がすごく近く感じる。
テーマパークでアットホームでのんびりしてて、素朴で
どんちゃん騒ぎで、なんか花火屋さんがスポンサーでちょっとした花火なんか
あがっちゃったりしてデートスポットにもなったりして、それでいて、ちょっとしょぼい。
なんなんだこの魅力は。
「古き良きアメリカ」と評されますが、要するに手作りの素朴さに満ちています。
アメリカ独特の風土が織りなすからこその風情もあるとは思いますし
単純に日本で同じ事をして成功するとは言えないと思います。
しかし、人を楽しませようとする姿勢がエンターテイメント側に存在し、
レベルやステータスではなく単なる差異として色んな野球や娯楽や全ての物が
存在していて、それぞれが、それぞれの楽しみ方がある、とファンが認識できたら
きっとどんな物だって面白くすることはできる。
そう思うとちょっと、楽しくなるんじゃないかな、
そうだといいなと思います。
あ、もう2007年も終了ですね。
それでは、良いお年を…。
posted by x | 2007-12-29 12:35
管理人より
日本球界に未来なしさんへ
そうですね。いわゆる「野球解説者」や「野球評論家」などにもそういったビジネス面での発言は非常に少ない印象を受けます。たぶん勉強していないのでしょう。
プロスポーツであるにも関わらず、まるでアマチュアスポーツのように「純粋に楽しむべき神聖なもの」としている印象があります。
posted by | 2007-12-29 10:39の方へ
あの……これは野球の記事ですので……それとサッカーの記事も結構書いています。できればコメントはそちらにお願いします。
x さんへ
熱いご意見(?)ありがとうございます。
私からはここまでしっかりしたご意見をお持ちの方には特に返すことはありません。
ただどうでしょう、これだけ主張されるのならば、ご自分でブログを開設されたほうがより多くの方に持論を披露することができると思うのですが。
posted by bunchousann | 2007-12-29 12:52


