2007年08月31日
「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
この原稿を書き始めるちょっと前に、UEFAチャンピオンズリーグのドローが終わりました。 それぞれひいきのチームをお持ちの方々はどのような感想を持たれたことでしょう? 「これならノックアウトステージまでイケそう」「3位に入ってUEFAカップに回れば恩の字か」などなどリアルな想像を膨らませていらっしゃることでしょう。 中村俊輔が所属するスコットランドのセルティックは、昨季も対戦したディフェンディングチャンピオンのミラン、ベンフィカと同居することになりました。 そしてグループ内のもう1チームはウクライナのシャフタール・ドネツク。予備戦三回戦で宮本恒靖、三都主アレサンドロの日本人2人が所属するオーストリアのレッドブル・ザルツブルクを下しての本戦進出です。 「たら」「れば」は禁物ですが、チャンピオンズリーグで、日本人同士が相討つといった場面が見られたかもしれないと思うと、本当に残念に思います。 結局、ワールドカップを凌ぐと言われる、世界最高レベルの戦いの場に身を置ける日本人は、中村俊輔ただ1人。 杉山茂樹さんが再三指摘している以外、マスコミでもあまり取り上げられない事実なのですが、結構冷厳な事実だと思います。 昨今、代表のカテゴリーを問わず、日本代表に「個の力」が不足していると盛んに指摘されます。 しかし、これはドイツW杯のはるか前から、今は引退してしまった某代表選手が既に指摘していたことでもあり、今更真新しい課題というわけではありません。 こうした課題がなかなか解決しない理由の1つには、やはり高いレベルでの試合経験の乏しさを挙げないわけにはいきません。 その“最高の環境”に身を置くことで、「個の力」が大きくアップするチャンスがあると思うのですが、日本人にはなかなかその機会もないようです。 いや、そういう機会に近づこうとアクションをおこさないということもあるのかもしれません。 (9/4追記:↑それに対してこういうことを言っている選手もいます。よかったら読んでみて下さい) 「代表に入ってワールドカップに出るのもいいけど、それよりもチャンピオンズリーグに出たい」という、ある意味思い上がりの“異端児”が日本人にも1人くらいいないものかと、日々妄想します。 こんなことを考えているうちに、日本サッカー協会の目標とやらをふと、思い出しました。 「JFA2005年宣言」というやつです。 この「JFA2005年宣言」は4つに分かれており、それぞれ「理念」「ビジョン」「約束2015」「約束2050」と銘打たれています。 その中の「約束2015」には、こう書かれています。 2015年には、世界でトップ10の組織となり、ふたつの目標を達成する。 1.サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが500万人になる。 2.日本代表チームは、世界でトップ10のチームとなる。 「世界でトップ10のチーム」というのは抽象的でわかりにくいのですが、とりあえずFIFAランク10位以内のことだとしても、非常に困難なミッションだと思います。 FIFAランク10位以内の国々の選手は、“最高の環境”でどれだけプレーしているのでしょうか。 あるいは、日本が仮に2015年に件の目標を達成したとして、その時代表選手の何人がこの“最高の環境”を経験できているのでしょうか。 もちろん、Jリーグ全体のレベルアップも必要ですが、全体の足並みを早めるのは個人の足並みを早めるよりもはるかに難しいことです。 協会がこうした目標を掲げている以上、日本の選手に不足しているとされる「個の力」を磨くために、選手がよりレベルの高い環境を求めるという選択肢をしやすい状況をつくる必要がありそうです。 例えば、選手の実力の問題以外にも、海外移籍を阻害する外的要因として移籍制度の問題などもあるわけで、こうした外的要因を整備するのが協会の仕事なのだと思います。 そうそう、2015年といえば、現在のU-22代表の世代が20歳代の後半から30歳という円熟期を迎え、先日韓国で戦ったU-17の世代も20代半ばの働き盛りになっているはずです。 彼らの中から、前述の“異端児”が出てこないものか……そういう選手こそがいずれ日本代表の大きな力になりそうな気がします。
posted by bunchousann |05:05 |
サッカー |
コメント(12) |
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この記事に対するコメント一覧
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
移籍制度の問題などは、選手にとっていいように整備してあげたいことですが、これも単純にはいかないと思います。
そして選手の技量自体のアップは、もっと壁が高いでしょう。
>日本代表に「個の力」が不足していると盛んに指摘されます。
>しかし、これはドイツW杯のはるか前から、
>今は引退してしまった某代表選手が既に指摘していたことでもあり、
>今更真新しい課題というわけではありません。
ここ四十年近くそうでした。文献によれば戦前からそうだったようです。某代表選手の指摘に待つまでもないことです。
紆余曲折を経て、日本の平均的技巧の水準は向上してきていると感じます。一方、ブラジルやドイツでさえ、世界的な選手が少ない時期がありました。
単純な解決案がないから古くからの課題なので、仰るとおり、今更新しいことではありません。
>チャンピオンズリーガーが1人しかいない代表チームと、
>5人いる代表チームとでは、どちらが強いか。答えは簡単。
こう書いた杉山茂樹さんは、簡単には言い切れないことも、サウジアラビアやカタールのことも、そのほか充分承知で言ってることと思います。1と0では大差ないのかもしれませんが。
世界でトップ10ということとFIFAランクは意味が異なるでしょうが、現在9位のチェコや11位のメキシコは、チャンピオンズリーガーが多いから上位にいるとは思えません。
チャンピオンズリーグを「日常のW杯」だとし、そこで活躍する人数は、問われてしかるべき問題になる、との言い方もできるにせよ、鶏卵の問題を誇張したものです。
「タレント不足」だけが原因ではなく、「代表選手の野心不足」も影響しているという個人的意見も言えるでしょうが、「個の力」が不足しているのに“最高の環境”に身を置くことは、出場機会を失うことになります。
そうした中で、宮本、アレックスの両選手は、言語の問題も抱えながらアクションをおこしたわけですね。彼らは思い上がりの“異端児”などではないでしょうが、ほかにもヨーロッパでチャレンジした日本の選手はいましたし、今もいます。
U-22やU-17世代といえば、異端児ではありませんが、梅崎選手が二部とはいえ挑戦していたし、森本選手がイタリアで飛躍しかけているのでは?
それもこれもゲームに出場してこそであり、どちらが先かといえば、優れた力を萌芽させかけてから最高レベルのコンペティションに挑んで欲しいもの。
妄想や願望はそれなりに楽しいことですが。
posted by たぶん | 2007-08-31 07:29
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
>優れた力を萌芽させかけてから最高レベルのコンペティションに挑んで欲しいもの。
でもJリーグに居て優れた力が萌芽するんでしょうかね?
個人的には個がアクション起こしやすいように
環境を整えることが大事かなと思います。
協会さんがね。
posted by sakura | 2007-08-31 08:20
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
Jリーグで活躍できずにチャンピオンズリーグのレベルでやるっていうのはとーっても難しいんでは?日本をヨーロッパ的環境にする施策のひとつがJリーグ。さらにJリーグの環境を整えることを進めれば?
posted by Jリーグ | 2007-08-31 09:29
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
海外進出は難しいでしょ。日本人に外国籍枠を使うなら他の南米の地域の方が良いから。日本人を入団させるメリットはあまりないから。
posted by さかせ | 2007-08-31 10:33
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
自分のひいきのチームが日本人の獲得を検討とか言い出したら正直「ふざけんな!」と思います。
現状、日本人で魅力的な選手なんて一人も思い浮かびませんからただの話題作りにしかなりません。
posted by hagi | 2007-08-31 11:31
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
もうJリーグの外国人枠撤廃したら良いんじゃないかな。
後、ブラジル人FWなんかわ、DFにかこまれてようがまず前を向き少し強引でもドリブル出来るか試みるらしい。だから独断で点取る能力が育つ。対して日本のFWはあまり強引にドリブルを仕掛けず、パスコースを探す場合が多いらしい。
だからパスの精度が高い選手が多いけど、個人能力が低い。
代表戦見ててもサウジやイランの方がドリブルで進める分、カウンターが上手いですよね。
後この辺治したいですよね。
posted by tata | 2007-08-31 11:55
管理人より
たぶんさんへ
熱心なコメントありがとうございます。
森本や梅崎と言った選手は、Jで実績を残さずに海外へと旅立った例だと言えます。
その点では最近はこういう例が増えてきていると言えます。
仰る通り、ゲームに出られないから海外へ行かないという意見もまた真であり、私もそういう身の丈にあった海外移籍をすべきという意見を過去ログで述べたことがあります。
ただ、若い選手にはそういったことを考えないで、もっと大きな野心を持って欲しいと思います。
梅崎などは海外で上手くいったとは言えないのかもしれませんが、彼の年齢を考えると、得るべきものも多かったと思います。
sakuraさんへ
A代表の選手は、キツイ言い方をさせてもらえば、よくも悪くもJリーグに「慣れ過ぎて」しまっているのかもしれませんね。
Jリーグさんへ
本文にも書きましたが、Jリーグのレベルアップは日本サッカーのレベルアップに不可欠ですし、現にレベルアップをしているとは思います。
ただ、おそらく世界と対等に渡り合うにはすごく時間がかかります。
そのために「個の力」をレベルアップしやすい環境を整えてあげることも必要なのでは?と書いたまでです。
さかせさんへ
難しいと言ってしまったら、そこで思考停止、もう物事は前に進まないと思います。
hagiさんへ
ひいきのチームがどこかはわかりませんが、何も3大リーグのビッグクラブに移籍することが全てではないと思います。
tataさんへ
Jの外国人枠に関しては、過去ログにいろいろと書きましたので、よかったらそちらをご覧下さい。コメントもたくさんもらっているので色々な意見を見ることが出来ると思います。
posted by bunchousann | 2007-08-31 13:47
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
私はやはり個人の力以前の問題で、日本のサッカーのレベルアップが必要と感じます。
最近、海外移籍する選手が増えてきているのも、あくまでJリーグの「結果」と考えます。
時間がかかるというのは分かりますが、これはしょうがないw
私のサッカー経験から言わせて頂ければ、多少の異端児がいたとしても、それが代表のような、いわゆる選抜チームのレベルアップに直結するとは思えません。
FWにすごいのがいれば、それは勝ち星は増えるかもしれませんが、それはそれで、「個人技で勝ってるだけじゃないか」という声が聞こえてきそうです。
欧州では外国人枠の問題もありますしね。
私は海外もJも好きで、地元川崎Fを等々力まで応援に行くこともしばしばですが
一部のクラブは「これがJリーグだ」と世界に誇れるプレイをしていると思いますよ。
もちろん外国人選手の助けを借りて・・・ですが。
日本人だけで考えても、磐田黄金時代のN-BOX+高原、中山の攻撃ユニットはとても魅力的なサッカーをしていました。
実はこれはオシムのイメージに近いのではと思っています。
こういった強いクラブがもっと数多く出てくれば、リーグのレベルも上がり、結果として個の力も伸び、海外で活躍する選手も増えるでしょう。
現にJリーグ開幕以降の日本のサッカーはそういう道を辿って来てます。
さらに川渕キャプテンの努力もあって、各クラブの百年構想に対する試みはとても明るい未来を期待させます。
しかし最近、Jリーグを軽んじすぎる方がとても多く、悲しい限りです。(ブログ主さんのことではありませんw)
代表に期待されるなら、そのサッカーが好きな気持ちを海外だけでなく、Jリーグに向けて欲しい。
サッカーファンにとっての一番の幸せは、地元チームと共に戦えることなんですから。
(話が逸れたw)
posted by らび | 2007-08-31 16:11
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
再三言われていることですが、まずは、Jリーグのカレンダーを欧州リーグのカレンダーにあわせれば、海外移籍の第一歩になるのでは?
CL出場を狙えるチームに移籍するのも、ひとつの考え方ですが、ピッチに立たないと意味が無いので…
中田氏のようにペルージャのような中小クラブで経験をすることも重要かと…
posted by dob | 2007-08-31 19:47
管理人より
らびさんへ
熱いコメントありがとうございます。
仰る通り、Jのレベルは決して低いとは思いませんし、そのことは過去ログでも書いてきたつもりです。
例えば、オランダではFC東京でほとんど出番がないあの平山もそれなりの活躍をしていたわけですし、一握りのビッグクラブ以外のレベルはそうでもないと思います。
だからこそ、チャレンジする姿勢を見せてくれる選手が少しくらいいてもいいのかな、と思うこともあります。
慣れ親しんだ環境であるJのピッチで実力を発揮できても、環境が変わり、いざ国際試合となるとその実力を発揮できないということもあります。
そうなると、厳しい言い方ですが、結局Jで鍛えた個の力も全く意味をなさなくなってしまいます。
もしかしたら、そういう選手が今の日本には多いのかもしれません。
本文でも書いたように、一概に選手にばかり責任を押し付けることはできないのですが、選手には広く選択肢を持って欲しいと思います。
dobさんへ
カレンダーの問題はこれも過去ログで書いたのですが、どうも日本の場合、欧州に合わせるのは難しいと思います。
CLに出られるリーグは、何も皆さんがよく知る3大リーグばかりではありません。
現に俊輔のいるスコットランドはUEFAランクで10位程度ですし、宮本や三都主のいるオーストリアはさらにその下です。
そういったリーグの上位チームという選択肢も面白いのではないでしょうか。
個人的にはハイレベルなリーグで残留争いをするよりもいいような気がします。
これらのチームに移籍して、ピッチに立たないと意味がないのは確かですが、仮にピッチに立つ自信がないからだとすれば、ちょっと寂しい気もしますね。外国人枠の問題等があるにせよ、そういった選手にメンタリティの面で期待するのは難しいかもしれませんね。
posted by bunchousann | 2007-09-01 01:18
Re:「世界最高レベルのコンペティションに、日本人は1人」の事実に、JFA2005年宣言の危うさを思う
トラバありがとうございます。
仙太郎と申します。
2015年にベスト10入りはさすがに難しいでしょうね。
ブログにも書きましたが、個の力とは技術以外の部分も大きいと思います。
そう言う意味で、海外へ行くことはサッカー以外の面での成長が期待できるので良いと思います。
一流のリーグでなくても良いし、二部でも良いと思います。
そもそも、日本にはサッカーをプレーする環境が少ないのが致命的ですね。
その国のサッカーを大きな三角形に例えると、頂点に代表が、底辺にアマチュアがあるのですが、底辺が広がらなければ、頂点は高くなりません。
欧州ではどうでしょう。
私の知る限り、クラブに参加すれば毎週末年代別、レベル別のリーグ戦がプレーできます。
若年層での試合がトーナメント方式が多い日本では、選手がプレーする機会が限られますし、どうしても守備重視になりがちです。
高校サッカーでは、プレーする機会がなくても、移籍も出来ません。
さらに指導者層の厚みが少ないので、若年層でのコーチ不足も問題です。
そう考えると日本サッカー協会は2015年にベスト10入りもいいのですが、もっと具体的に今すぐできることを、やって欲しいと思います。
トレセン作ってトップのレベルだけ上げても、ダメなのです。
Jリーグのレベルアップや、海外移籍だけでは解決しない問題がそこには横たわっているのです。
posted by 仙太郎 | 2007-09-05 10:08
管理人より
仙太郎さんへ
いえ、こちらこそいつもF1の勉強をさせて頂いております。今後もちょくちょくお邪魔させてもらいます。
ご指摘の件、たぶん村松さんのブログをお読みになったと思うのですが、私も同ブログにコメントさせてもらっている通り、思うところは同じです。
日本はまだまだ学校スポーツが中心ですが、自分の経験と照らし合わせても、試合に出られない控え部員たちは、やはり何のために練習をやっているのかわからなくなることってあると思うのです。
試合の楽しさを知ることで、そのスポーツへの興味が成人してからも持続し、やがて指導者の道に進む人も出てくるでしょう。
選手層も厚くなり、同時に指導者の層も厚くなるという相乗効果もあります。
私も記事で書いたのですが、サッカーはまだマシな方で、実戦経験を増やそうとする試みはほんの少しずつですが各地で行われているようです。
他のスポーツではまだまだ旧弊を脱し切れていない印象があります。
サッカーの話に戻ると、JFAは今のところ資金が豊富なのですから、そういう資金があるうちに、こうした底辺の環境作りをもっとしっかりやってもらいたいものです。
その中から、もしかしたら中澤のような「遅咲きの」日本代表だって生まれてくるかもしれませんしね。
ただ、これらは残念ながら長期的な計画にしかなりえないわけで、その成果が出てくるににはおそらく最低でも10年くらいはかかりそうです。
その長期的な環境作りとともに、現在の選手たちにおける短期的な環境作りを怠ることもまたできないように思います。
ブランド志向との兼ね合いもありますが、現在の日本のトップ選手たちがより高みを目指そうとする姿は、やはり今後整備されるべき底辺に与える影響も大きいと思うのです。
難題ではありますが、時間をかけて、やれることから少しずつやっていってもらいたいものです。
posted by bunchousann | 2007-09-05 15:00


