2007年08月28日

悠々と急げ~2010年に間に合う最後の世代へ

韓国で行われているU-17W杯、大会はまだ終わっていないのですが、日本はグループリーグ敗退が決まってしまいました。
グループリーグ3位でも6チーム中4チームが決勝トーナメントに進めるルールだったのですが、皮肉にも開催国韓国と共に、アジアの2チームが敗退を余儀なくされてしまいました。

このチームは、昨年のAFCU-17選手権でそれまで為しえなかった優勝を遂げたこと、また、この年代としては唯一のプロ選手、柿谷曜一郎をメンバーに含むことなど、少なくとも先月のU-20代表よりは大きな期待がかけられた年代でした。
しかし、結果は残念ながらグループリーグ敗退に終わり、目標としていた(であろう)決勝トーナメント進出はなりませんでした。

彼らの試合内容についての感想として、アジアカップのA代表と同様に「“個の力”不足」だとか、「シュート意識が少ない」などの論調が目立ちます。
確かに言われてみればその通りかもしれませんが、A代表の問題点はアジアのチームという、比較的実力が近い相手に対する問題として挙げられていたのに対し、今回のU-17代表が指摘を受けた同様の問題は、少なくとも実力的に明らかに上のチームに対する問題であり、同列に論じるのはちょっとアンフェアな感じもします。
相手があって成立する、実力を発揮する環境の差をいうものを、もう少し考慮して論じるべきであるような気がしました。

期待が高かった柿谷は、万全のコンディションではなかったのでしょうが、それでもこの年代の日本の選手の中では、さすがに“個の力”では抜けていたように思います。
フランス戦のあのスーパーゴールに目が行きがちですが、私はシュートの前、後方からのパスを受けた時の絶妙なトラップの方に思わず目が行ってしまい、実はシュートシーンを見逃してしまったほどでした。
日本の選手はトラップがちょっと……と思うことが多いのですが、次にとるべき行動のことを考え、それに最適な位置にきっちりボールを止めることは簡単なようでなかなか出来ないものです。
大げさかもしれませんが、ジネディーヌ・ジダンのトラップがああいう感じだったなあ、とふと頭をよぎりました。

“個の力”というと、どうしてもシュート、ドリブルなどの派手な部分に目が行きがちですが、こうしたトラップという地味な部分を正確に、かつ実践的にやることによって、彼らがスローガンに掲げていた「人もボールも動くサッカー」は随分変わってくるのではないかと思いました。

その変化を見てみたい気もしますが、このチームはここで解散です。

短期的な目標として、代表としての彼らは、まずこの夏静岡でひっそりと活動していた1つ上のU-18代表への合流を目標にすることになるでしょう。
このチームが2年後の2009年にエジプトで行われるU-20W杯を目指すチームになります。
そして2012年のロンドン五輪へと繋がっていくわけです……。

ところが、前述の柿谷は、U-17の大会後、早くも「北京五輪が目標」と言いました。
少しでも高いところを目指そうというその心意気には大いに期待したいものです。

しかし、どうせ高みを目指すなら「2010年にW杯のピッチに立っていたい」とでも言って欲しかったところです。
もちろん実力的に厳しいということはわかっています。
ただ、2010年に彼らは19歳から20歳という年齢に達しています。
今回、同じ大会で戦った他の国の選手のうち、何人かは間違いなくW杯本戦のピッチに立つはずです。

たとえJFAがそう思っていようが、「U-20W杯がある」「五輪がある」から「A代表は後回しでいい」なんて思わないで欲しいものです。
もちろん、焦りは禁物ですが、この年代の世界のサッカー選手における時間の進み方は、ここから指数関数的に速くなるのもまた事実です。
自分たちに「2010年に間に合う最後の世代」という自覚がどれだけあるか、それによって今後の成長具合も変わってくるでしょう。

悠々と急げ。君たちの対戦相手の足取りは、おそらく君たちの想像以上に速いぞ。

posted by bunchousann |13:45 | サッカー | コメント(6) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/bunchousann/tb_ping/161
この記事に対するコメント一覧
Re:悠々と急げ~2010年に間に合う最後の世代へ

U-17日本代表はフランス戦でこんなパスワークを見せていました。まさにこれこそU-17が目指した「人もボールも動くサッカー」であったと思います。

柿谷曜一朗 
http://www.youtube.com/watch?v=uqIuTOGto68

柿谷が大会直前の怪我で万全でなかったことが少なからずチームに衝撃を与え、チームとして安定した戦いに繋がらなかったと思います。柿谷不在でも戦えるチームになるよう準備してきたのは事実ですが、ジダンが直前に抜けた02年のフランス代表のように、ちょっとした事でチームは崩れるものです。特に上記のようなパスワークを武器とするチームにはお互いの技術への絶対の信頼感がなければ出来ないものですからね。

柿谷のセンスはすでに日本の中でも上位にランクされるでしょう。まだまだ肉体的に未熟な面、精神的に未熟な面(フランス戦後本人談)はあると思いますが、世界各国が実践しているように将来性を見込んでレベルの高い舞台で実践を積ませることも重要なことだと思います。朗報かどうかは分かりませんが、オシム監督はU-15の選手まで細かくチェックしているそうです。

現在のようにチームが完成していない段階では選手一人一人にかかる負担も多いので、まだ若手有望株を加えるタイミングでは無いと思いますが、誰を入れても良い競争になるほどチームが完成すれば、柿谷にもチャンスがあると思います。その時、誰もが歓迎するような選手に成長していることを望みます。彼らにとってはこれからの1日1日が非常に重要です。


posted by でつ | 2007-08-28 18:23

Re:悠々と急げ~2010年に間に合う最後の世代へ

柿谷ってアタッカー的な役割ですよね??日本の宝庫の場所だ。。。昨年新人王の藤本ですら呼ばれてないポジション。元海外組の梅崎ですらU-22にもカメルーン戦にも選ばれなかったポジション。
とにかく今後に期待しましょう!!水沼クンなどF4のメンバーにも期待してます♪

posted by toshi | 2007-08-29 00:18

Re:悠々と急げ~2010年に間に合う最後の世代へ

>フランス戦のあのスーパーゴールに目が行きがちですが、
>私はシュートの前、後方からのパスを受けた時の
>絶妙なトラップの方に思わず目が行ってしまい、
>実はシュートシーンを見逃してしまったほどでした。

これについて思う所を記事にしてみました。
トラップ単発ではない意図があると思いまして。
以前から柿谷くんの動きをみているとそう思います。
FW向きの「いい性格」してるので期待してます。

AFCのU-16選手権で負けたシリアやタジキスタン、北朝鮮が「ギリ3位通過」ながらも29日からの決勝トーナメントに進むのを思うと、やはり慢心はいかんのでしょうね・・・
(オシムさんが城福さんに「勝った事が必ずしも良いとは限らない」と昨年言ったそうですが)

今回は(どうでもいいかもしれない)「ボール支配率」もコンスタントに?50%を切り(ハイチ戦ですら48%)ご指摘のように「シュート数」もハイチ戦こそ互角ですが、ナイジェリアやフランスに対しては圧倒的に少ない。(調べたのですが、国際試合でよくある傾向です。U-20ですら、コスタリカ戦とナイジェリア戦ではそうでしたし)
安易なパスミスや、読まれるようなパスをことごとくカットされ、相手ボールにされていた事が原因でしょうが、現場の指導者や選手が今後改善していってくれるよう、見守るしかないのでしょうかね・・・柿谷くんや(豊田国際ユース大会での映像を見たのですが)宇佐美くんらがしっかりやってくれるとだいぶ違ってくるのでしょうが。

posted by UJ | 2007-08-29 00:50

管理人より

でつさんへ
実力があり、そしておそらくは精神的支柱であった柿谷のコンディションは、もしかしたら他の選手のコンディションにも影響したかもしれません。彼自身も「俺がこのチームを引っ張っていく」との自覚に溢れていたようですし。
こういう「リーダーシップを“発揮せざるを得ない”状況」が生まれたことは、少なくとも彼の今後に大きな財産になると思います。
挫折を味わうこととの隣り合わせで、なかなかリスクが高いと思うのですが、1度五輪なり、A代表なりの練習(合宿)だけでも参加させてあげたい気もします。そういう場で何かを感じ取ってくれればいいな、と思います。

toshiさんへ
彼はこのチームではトップでも、セカンドトップでも、高いレベルでこなしていました。
まだ17歳なので、どこが適正かはわかりませんが、これから様々なポジションをこなすことで、より視野が広がることに期待しましょう。

UJさんへ
ご無沙汰しています。最近はお忙しいようですね。記事の方は後ほど拝見させてもらいます。

>シリアやタジキスタン、北朝鮮が「ギリ3位通過」ながらも29日からの決勝トーナメントに進む

ことに関して、某携帯サイトのコラムでは、やはりシュート意識の問題が大きいなる旨で書かれていました。もちろんそれだけではないと思うのですが……。
ただ、北朝鮮は良く頑張ったかな、と個人的には思います。あのブラジルとイングランド相手ですからね。

私は名前しか知らないのですが、ガンバの期待の星、宇佐美君、来季は2種登録されるそうですね。もしかしたら、ナビスコあたりでデビューがあるかもしれませんね。楽しみな若者が現れるのは何にせよいいことだと思います。

posted by bunchousann | 2007-08-29 02:41

Re:悠々と急げ~2010年に間に合う最後の世代へ

ご無沙汰しております。
デビューしたての小野伸二が、ボールをどこに置くべきか??を知っている選手だったように思います。しかしながら、ご存知のとうりに数々の悪質なタックルで、その足首は28歳にしてボロボロになってしまいました。柿谷はプレイスタイルが異なるとは思いますが、彼が無事に選手生活を全うしてくれるようにと、今から思ってしまいます。
ジダンはその屈強な肉体と予測で、大きな怪我はしませんでした。ほとんどが疲労によるものだったと記憶しています。いまだに、あのトラップだけで見る価値がある・・・と思わせるほどのエレガントな選手は、僕の中では現れてはいません。ジダンのドキュメンタリーのような映画がありますが、みていなければ是非ご覧になってください。本当に美しいです。
関係のない前置きが長くなりましたww
松井大輔以降、Jで実績を残した選手の海外での成功はなく、移籍も相当に少なくなっているように思います。外国人である難しさを除いても、少し寂しいような気がします。
必ずしも野心を口に出す必要はないのでしょうが、若さゆえのそういう無謀さを口に出して欲しい・・・と思わなくもありません。

悠々と急げ・・・言い得て妙です。
各国に一人くらいはいるであろう、19,20の選手が南アフリカに日本代表として、いて欲しいとも思います。(その前に出場権!!)
若さゆえの、勢いや冒険を期待しましょう!!!

posted by モ-リー | 2007-08-29 18:15

管理人より

モーリーさんへ
こちらこそご無沙汰しています。最近はマリノスも絶好調で、ファンサカではよくお世話になっています(笑)。

怪我に泣かされた名選手といえば、やはりファンバステンのことを思い出してしまうのですが、「美人薄命」という言葉があるように、エレガントなプレーで人々を魅了する選手というのは、案外選手としてのピークが短いのかもしれません。ジダンのような例の方が(といってもまだ現役でもおかしくありませんが)珍しいのかもしれませんね。
海外移籍が減っていることに関しては、ナンバーで木崎伸也さんがちょっと心配なコラムを書いていました。ご指摘の通り、もし「野心」に関わることだとすれば、ちょっと寂しいものがありますね。

オシム監督は、日本人にとっては有難いことに、自分の任期の後のことももしかしたら考えてくれているのかもしれないと思うことがあります。
若い選手にはそうした代表監督を「利用」して、キャリアアップを図るくらいの図太さを持っていてもらいたいものです。
「飛び級」なんて言葉にマスコミが過剰に反応しなくなる日が来ることを願います。

長々と失礼しました。

posted by bunchousann | 2007-08-30 01:57

コメントする