2012年01月29日
昨日は、滋賀医大ハンドボール部で今年一回目のコーチでした。基本動作の確認、少人数での速攻、キリをキッカケにした後の攻撃とそれに対する守備を軸にトレーニングして貰いました。
ハンドボール経験半年の一年生もいれば、五年目の最上級生もいますが、練習メニューの意図や効果、次のメニューとの関連性を考えながら取り組んでくれました。普段は自分達だけで練習するので、自分達で考えたり、解決策を探ったり、リーダーシップをとったりすることを大切にしています。
三月にハンドボールスクール予定の大阪大学の中井くんも飛び入り参加してくれて、学生同士の交流にもなったかな。
僕は学生にYoutubeやDVDを使って、日本リーグや海外のハンドボールの映像を良く見せます。興味が出た学生は、その後は自分であれや、これやと映像を拾っては夜な夜な見ているみたいで、クロアチアのバリッチや、フランスのカラバティッチ、アバロ、ナルシス、オメイヤー、デンマークのクリスチャンセンあたりは結構みんな知っていたりします。
で、今回のコーチで僕が何度か口にしていた「最低3つはアイディア・選択肢を持ってプレーしよう。」ってのがあるんです。
「今、欧州選手権がやってるんやけど、バリッチは1プレーに7つくらいアイディアあるらしいぞ、欧州各国の代表選手で標準5つくらい選択肢を持ってプレーしてるらしいぞ。」
「じゃあ皆、バリッチの半分とはいかんけど、バリッチの3/7くらいのアイディアくらいは持ってやろうか。」なんて言うと、「おおっ。じゃあ、アイディア3つ持てれば小バリッチやなぁ。」とか言って、学生も笑顔で頑張ってくれました。
僕が大学生の時なんて世界のトップ選手の名前なんて一人も知らなかったもんね。世界選手権が熊本でやってたことも、その時は知りませんでしたし、ホンダに入るまでストックラン&ヴォルの事も知りませんでした・・・(ここだけの話、蒲生さんの事も中部大の監督に来てもらうまでまで存じ上げておりませんでしたし・・・って、ここで言うたらばれてまうか・・・。)
それが、大学生の時にやれバリッチやカラバティッチや言うて、映像として見た事があるってのは羨ましいねぇ。(ヨシムの貢献度も大やね。)
この写真は何しているかと言うと、昨年末に全日本総合選手権(ハンドボール)で初の栄冠に輝いたトヨタ車体(トレーナー)の山本さんの「負け犬からの脱皮」というタイトルのブログの記事を、皆で読んでいる所のものです。
トヨタ車体を裏で支えて続けて11年。言葉の一つ一つに歴史と重みと思いを感じる内容で、滋賀医大の学生にも是非とも読んで貰いたかったので、皆に読んで貰いました。
今の自分達のチームと置き換えて考えてみたり、日本一のチームを感じて見たりと学生一人一人感じ方はそれぞれだったみたいですが、みんな真剣に読み入っていました。(※ハンドボール関係者にはもちろん、何かを目指している人、変わろうとしている人には響く内容だと思います。)
そうそう。コーチが終わってからは、滋賀医大OBの宮田くんの送別会にも顔を出してきました。(写真が上手く撮れていなかったのが残念・・・)しばらくは福岡に転勤みたいですが、新天地でも頑張ってほしいですね。宮田が学生の頃が僕もまだ20代やったんやけどね。ドイツに行く前やしね。
子供産まれたって報告聴いたり、仕事の話聴かせて貰えたり、一緒にハンドボールをしたOBさん達とそんな話ができると本当に刺激になるし嬉しいね。
といった感じの新年一発目のコーチでした。いろんな事から刺激を受けて、多くを感じて、ハンドボールっていうチームスポーツを通じて一緒に成長していきたいですね。
posted by 94 |16:37 |
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2011年10月05日
2011年・夏にあった今回の西医体。
何で優勝できたんやろうと今でも不思議です。
これまで選手としてもコーチとしても、優勝した時は絶対に優勝できる、優勝以外には有り得ないと思える状態で大会なり、試合に臨んでいました。
逆に言うと優勝できなかった時は、少しでも何か不安や、目をそむけた事があって、やっぱり試合でそれが出て勝てなかった。
優勝するときは、優勝するべくして優勝する。
負けるときは、負けるべくして負ける。
そう思っていました。
今回のチームは、優勝するかもしれんけど、途中で負けるかもしれへん。
ほんまにそう思っていたし、そんなチームが優勝できる程甘くはないことを、過去何年かの西医体をコーチとして経験して分かってきていました。
直前練習で逃亡したキャプテンを見て、こりゃあかんわ。ってほんまに思いました。
優勝を経験していたOB陣からも、
「奇跡なんて、絶対に起きない。こんなチームが優勝できるわけない。」
ほんまにそう言われてきた。
なんて言われようとも、もがいて泣きながら話合って、出来なくても、出来るよう努力する彼らの姿、それを何とかサポートする彼女たちの姿を見て、
心の底から「勝たせてあげたい」と思った。
ハンドボール大好きでほっておいても、幾らでも練習する奴もいれば、
やっぱり出番が限られていたり、勉強との両立で悩んでいたりする奴もいるし、
何の為に自分の時間を割いてマネージャーをしているのかを見失ってしまう子もいる。
僕は、彼ら、彼女たちを24時間、毎日見ているわけじゃないので、全部は分からない。
けど、自分たちと向き合いながら、何とか這い上がってこようとする彼らの事が大好きだし、このチームの一人一人の人生の一部を共有させて貰ってる。
ほんまに責任がある。
大袈裟じゃなくて、ほんまにそう思っている。
だから、僕も真剣に彼らと向き合ってきた。
もっと言うと、
ちょっと現役世代とOB・OGとの間の溝みたいなのが出来てきたように感じつつあった。
現にスケジュールの兼ね合いもあるかもしれへんけど、6月の新入生歓迎会では通常OB・OGが多数参加しての会になるはずが、3、4名のOB参加だったと聞いた。
僕が滋賀医大のコーチをさせて貰うようになった頃、OB陣と現役世代の関係がほんまにいいなって思えるものだった。
僕が中部大の学生の頃なんて、OBの存在なんか気にしたこともなかったし、OBが練習に顔を出すなんてことは日常的には無かった。
滋賀医大は、OB、OGさんが滋賀医大付近で働いていることもあって、日常的に練習や試合に顔を見せてくれるし、体を動かしに来てくれる。
滋賀医大に最初に来た時、それがすごく新鮮だったし、羨ましかった。
そんないい関係が失われつつあったように感じた。(実際はどうかはわからんけど。)
それはやっぱり西医体でここ数年勝てなかったり、現役部員の所作だったり、色んなことが少しずつ関係しているだろうなって思っていた。
だから、西医体の優勝はもちろんだけど、
現役の部員、マネージャーがノビノビとでもピリピリとハンドボールを楽しめて、
OB、OGは足を運んでくれて、また応援したいって自然に思える滋賀医大ハンド部にしていかなってほんまに思っていた。
それができへんなら、この夏で滋賀医大のコーチは辞めようって思っていた。
最初に滋賀医大に来たときは、そんなに深くも考えずに西医体に優勝できた。
ドイツで優勝して、帰ってきて1か月チームを見て、それでも優勝できた。
その後、3年間優勝できなかった。
勝てば官軍とはよく言ったもので、最後のこの大会に勝てないとその一年の全てを否定されたような感じになる。
6年前は、「所詮、医学生の一大会やろっ。」
くらいに考えていた西医体だけど、年々その難しさ、楽しさを知っていった。
怪我を乗り越えて、大会MVP、得点王、優勝の三冠王に輝いたエース満田。
大会中に思わぬ事故にあって、優勝の喜びと共にその中心にいる事ができなかった悔しさも味わった司令塔の三宅。(優勝して嬉しいけど、悔しいという気持ちは凄く分かる。ホンダにいた時の自分がそうだったから。)
その二人と6年間苦楽を共にしてきた(けどももう一年ある)守護神・上林。
優勝した瞬間から饒舌になったキャプテン・ヒデオ。
大会中にこんなにも成長するんやなって学生達をみていて感心した。
自分の事にように、憤り、喜んでくれたOBさん達。
忙しい仕事の合間を縫って、少ない夏季休暇を取って応援に来てくれたOGさん達。
人間やればできるんやなって、ほんまに思えた。
この夏にどれだけ、このチームから僕がパワー、刺激を貰った事か。
現役29人、
そしてこの滋賀医大ハンド部を立上げ、守り、支えてきてくれたOB、OGさん達、
またそんな滋賀医大ハンド部を外部から応援してくれた皆さん、
ほんまに「ありがとう」と言いたい。
ハンドボールって、人間て、一つの事に向かうって、いいなってほんまに思えた夏でした。
今回の西医体、結果的に滋賀医大が優勝できた。
ほんまにたまたまだと思うし、「運」というか「ラッキー」だった。
もし決勝戦、同点ゴールを決められた後に、延長戦が残っていたらきっと違う結果になっていたと思う。
ゾッとするわ。
悪夢の春リーグ以降、みんなが目の色を変えて、自分とも、チームとも、ハンドボールとも真摯に向き合ってきたけど、
あれを一年間、毎日、継続できたら、もっとよくなっていくと思う。
初心者の集まり、勉強もある、練習は週3回。
それでも創意工夫して、最大限の努力で、効率よくやっていけばもっと成長できる。
新チーム秋の学連で苦しい戦いが続いて残念ながらまた3部に降格したけど、自分たちで這い上がる他ない。
また頑張っていこう。
そして、最後にやっぱり医歯薬リーグでしのぎを削る他のチームの皆がいるから試合ができるし、
何より、史上最強と言ってもいい京都府立医大の皆さんがいたから、最高の決勝戦ができたし、滋賀医大の連中も高い目標を持ち続けることができたんだ思います。
医学部リーグの皆、またええ勝負しよう。
まあ、何が言いたいかと言うと、皆に「ありがとう」という事です。
ありがとうね。
posted by 94 |23:17 |
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2011年10月02日
2011年西医体、決勝戦。
前後半50分を終えて決着がつかず。
滋賀医大(21-21)京都府立。
その後、両チーム5名ずつでの7MTコンテストに突入。
両チームここまで、四投を終えた。
1、滋賀 ○-× 京都
2、滋賀 ○-○ 京都
3、滋賀 ×-× 京都
4、滋賀 ×-○ 京都
全くの互角。 滋賀(2-2)京都
そして、運命の5人目。
滋賀医大のシューターはキャプテンのヒデオ。
この決勝戦前半、まさしくヒデオ祭りの如く躍動したヒデオ。
その勢いのままに、滋賀医大ハンド部29名全員の想いを胸にラストシュートに挑む。
全員で肩を組む滋賀医大。
コートの中、応援席から28人の視線がヒデオに向かう。
大きく振りかぶるヒデオ。
左腕をフルスイング。
グイッッッ!!!
右側に大きく反応するGK。
ヒデオは未だボールを放していない。
ヒデオ、ここでしてやったりのフェイント。
もう一度、テイクバックに入る。
今度は、GKが反応した反対の左上にボールを放つ。
GKは体勢を立て直し、何とかボールに喰らいつくが、届かない。
カ―――――ンッッッ!!!
GKを抜けたボールはゴールポストを直撃し、コースを変えた。
時が止まる。
ザシュッッッ!!!! 滋賀(3-2)京都
ゴールポストを直撃したボールは、コースを変えて反対側のサイドネットに突き刺さった。
「しゃあああああああああっっっ――――――――!!!」
「ヒデオっっ!!!」
キャプテン・ヒデオ。
この滋賀医大29名の想いの詰まったシュートをねじ込んだ。
そして、すぐさま28人の視線はGK上林へ。
これを止めれば、もう何があっても滋賀医大の優勝。
5人目。裏。
ゴールマウスに立つ、守護神・上林。
(カンバ、頼むぞ。カンバっっっ!!!)
対する京都府立のシューターは、この男。
執念の同点ゴールを滋賀医大ゴールに突き刺した、あの男。
不屈の帝王がシュートモーションに入る。
一度目のフェイクに反応しない、上林。
明鏡止水。
バコッッッッ!!!!
上林の左足がボールを捉えた。
ボールが跳ねる。
念には、念を入れて、そのボールをもう一度はじき出す上林。
「しゃぁぁぁ――――――――っっっっ!!!」
拳を突き上げて、みんなの元に駆け寄る上林。
「カンバさんっっっ!!!」
「カンバ!!!!!」
「やったぁぁぁぁぁ!!!」
上林に飛びつくみんな。
笑い、泣き崩れるマネージャー。
歓喜の瞬間が遂にやってきた。
29人全員で掴みとったこの勝利。
滋賀医大激闘の末、4年振り4度目の優勝。
2011年西医体、決勝戦。
滋賀医大24(15-11 6-10 3-2)23京都府立。
(7MT)
1、滋賀 ○-× 京都
2、滋賀 ○-○ 京都
3、滋賀 ×-× 京都
4、滋賀 ×-○ 京都
5、滋賀 ○-× 京都
MVP
満田雅人
得点王
満田雅人
ベストゴールキーパー
上林翔大
ベスト7
生田旭宏
黒住日出夫
【2011年西医体・決勝戦7MTコンテスト動画】
【おまけ・胴上げ】
posted by 94 |18:09 |
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2011年09月29日
京都府立、片岡の渾身のロングシュートが滋賀医大ゴールへ迫る。
滋賀医大、GK上林もシュートに反応する。
ドガッッッッ!!!
「片岡っっっ――――!!!」
「うわっっ――――!!!」
「きゃっっ――――!!!」
ピィ―――――!!!
場内騒然。
チームメイトに揉みくちゃにされる片岡。
優勝したかのような、歓喜の京都府立。
前半25分、後半25分を終えた。
滋賀医大21(15-11 6-10)21京都府立。
最強王者の執念。
不屈の帝王の執念。
いまだ決着つかず。
決死の4:2DFと司令塔の三宅抜きの急造メンバーでの攻撃。
「あと少しで京都府立に勝てる。」
その一心でエンプティ―マークの点灯したガソリンメーターでフラフラになりながら、この50分戦ってきた滋賀医大。
(あとちょっとやったのに・・・)
(やっぱり、あかんのか・・・)
(くそっっっ)
九分九厘勝利を手にしていた、滋賀医大。
優勝はあと一歩のところで、その手から転げ落ちた。
落胆した表情でベンチに戻ってくるメンバー。
滋賀医大ベンチ。
(落ち込んでいる場合じゃない。無理やりにでも、もう一度気持ちを立て直さないければ・・・)
「まだやぞ。この後は7MTや。」
「あれを決めてくるとは、さすが片岡やな。」
「そう簡単には優勝させてくれへんなぁ。」
「それでも、俺らは負けなかった。まだ、この続きがある。」
「最高やん。こんな試合できて、こんな試合するために一年間やってきたんやん。やってきたこと出せてるやん。」
「ただもう延長戦はない。この7MTコンテスト5本がほんまに最後の勝負や。」
「こっちには、カンバがおるんやぞ。誰が医歯薬でベストのGKや???」
「なあ。カンバ!!!」
「へへへへっ」
ちょっと笑顔のみんな。
だいぶ笑顔の上林。
「我こそは、決めてくるぞ。ヒーローになってくるぞって奴。」
スッッッ・・・
それが当たり前かのように、ごく自然に5人の男が手を挙げた。
生田、小川、満田、三宅、ヒデオ。
「よし、この5人に全てを託そう。」
「はいっ!!!」
(こっちにはカンバがおるやから、絶対にいける。)
泣いても、笑っても、ホンマにこれが最後。
両軍全員がコート中央に出てくる。
それぞれのチームメイトと肩を組む、手を繋ぐ。
サッカーのPK戦でよく見るあの風景だ。
コート内は静まり返る。
先行は滋賀医大。
最初にロシアンルーレットの引き金に指を掛けるのは生田。
生田は何度かのシュートフェイント入れる。
ザシュッ!!! 滋賀(1-0)京都
滋賀医大、爆発。
その裏、今度は上林が魅せる。
バシィィィ!!! 滋賀(1-0)京都
2人目。シューターはテクニシャン小川。
一度、シュートフェイント入れる。
クイッッ!!!
GKの手を下げさせての、下を打つモーションからボールはGKの肩口へ。
バスッッ!!! 滋賀(2-0)京都
「しゃぁぁぁ―――――っっっ!!!」
会心のジャンピングガッツポーズでみんなの輪に戻る小川。
この裏。
ザシュッッ!!! 滋賀(2-1)京都
京都府立は慎重にシュートを沈める。
3人目。シューターは満田。
この決勝戦、大車輪の活躍を見せてきたエース満田。
しかし、
バシィィィ!!! 滋賀(2-1)京都
満田、渾身のシュートはゴールならず。
今度は、京都府立が爆発。
続く、京都府立の3人目。
京都府立に行きかけた流れを、またもや上林が引き戻す。
バコッッッ!!! 滋賀(2-1)京都
「うっしゃ――――――!!!」
拳を突き上げる上林。
滋賀医大、爆発。
4人目。ここで登場するのは三宅。
前日の準々決勝で左肩を脱臼した三宅。
それ以降は7MTのみだが、責任を持ってこの役割を果たしてきた三宅。
左胸に手を置く三宅。
下を打つモーションから、右ハイコーナーを狙う。
GKは下に反応。
カ―――――ンッッ!!! 滋賀(2-1)京都
駆け引きには勝ったが、三宅のシュートは無情にもクロスバー。
響介が三宅を手招き。
高校からのチームメイト、生田が三宅に歩み寄る。
4人目。京都府立。
ザシュッッッ!!! 滋賀(2-2)京都
確実にゴールを決める。
この四投目で、またしても京都府立が滋賀医大に並んだ。
この試合を象徴するかのように。
posted by 94 |07:17 |
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2011年09月28日
最後のタイムアウトで、最後の攻撃を確認した。
残り20秒ちょっと、このまま1点リードを保てば滋賀医大の優勝。
試合再開を告げるレフリーの笛。
京都府立のDFは、オールコートマンツーでもなく、生田へのマンツーマンでもなかった。
従来通りの6:0DF。
京都府立が同点に追いつくには、最低でもあと一回の攻撃権が必要。
それでも最強王者の礎とも言える長身選手を中央に配置した6:0DFで最後の勝負にきた。
それをしっかりと確認した、滋賀医大OF陣。
(よし、少し回してから、タイムアウトで決めたとおりに残り10秒切ったくらいからポストユーゴ開始やな。)
全員がそう理解していた。
スッ!!!
そこで予期せぬタイミングでレフリーの腕が挙がった。
(ここでパッシブ!!?)
そのレフリーの手を見て、予定よりも少し早いタイミングでポストユーゴ開始。
センターとポストの碓井がクロスをした。
中間ポストに浮いた碓井が右45度のヒデオにパスを裁こうとしたその瞬間。
あっっ!!!!????
ヒデオの前のDFがパスを遮るように、牽制にでる。
もうドリブルの残っていない碓井。
他のパスコースを探す碓井。
ピィィィィーーー!!!
「うわっっっっ――――!!!」
「ターンオーバー!!!」
「京都府立まだやっ!!!」
残り10秒弱。
ボールを奪った京都府立。
すかさず速攻に入る。
滋賀医大陣内に侵入。
懸命に戻る滋賀医大。
滋賀医大陣内中央、ゴールから9m付近。
大混戦。
両チームの選手が接触!!?
ピッ!!!
全員の視線がレフリーに向かう。
「府立ボールや!!!」
「うわっっっ!!!」
「ほんまに、これが最後や!!!」
2011年西医体、決勝戦。
滋賀医大(21-20)京都府立。
試合時間残り4秒。
京都府立ファイナルアタック。
壁役に府立は3枚入った。
シューターは決まっている。
この男しかいない。
京都府立、西医体3連覇の立役者。
この間、3年連続MVP、最強王者が誇る帝王・片岡。
大きくて、強くて、上手い。
「医歯薬リーグの宝。」
個人的には敵ながら、京都府立の片岡の事をそう見ていた。
西医体三連覇。
三年連続MVP。
一見、華々しい活躍に見えるが、二度目のMVPの後に、彼は左膝の靭帯損傷という大怪我に見舞われた。
約一年間のリハビリ。
ギリギリ昨年度の西医体に間に合わせて三連覇に貢献。
三度目のMVPを受賞。
本当に凄い事だ。(本当に凄い)
しかし、この三度目のMVPの後に再び彼に試練が訪れる。
なんと、三連覇直後の試合で再度、左膝の靭帯を損傷してしまう。
最終学年になった矢先・・・
復帰直後に・・・
その話を風の噂で聞いたときに、流石にもう復帰できへん。
怪我云々よりも、一年間もう一度リハビリに向かう気持ちを持てないんじゃないか。(一度目にその辛さを知ってしまっただけに)
最後の大会(2011年西医体)には間に合わへんやろうなと僕は思った。
それから、10ヶ月後。
滋賀医大で言うところの6月の「悪夢の春リーグ」で彼は見事にカムッバック。
京都府立は優勝。
そして彼は、そこが定位置であるかのようにベスト7に選ばれた。
(一度、ならず二度までも這い上がってきた彼の精神力は本当に凄い。)
そんな不屈の精神力の持ち主が、帝王片岡だ。
最後は片岡が打つ。
滋賀医大も、京都府立も、会場も、誰もがそう思っている。
そんな中、片岡は助走に入った。
当然滋賀医大も、シュートを打たせないように接触に行く、シュートブロックにも飛ぶ。
片岡は何の小細工もなく、真っ向勝負でその剛腕を振りぬいた。
僅かに滋賀医大DF陣のシュートブロックをかすめてボールは、ゴール右上に飛んでいった。
posted by 94 |19:14 |
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