2007年07月10日
かかったのは、似て非なるもの。
5月中旬のこと。 「小太郎がはまっちゃって、大変なんだ」と受話器の向こうで兄の声が沈んでいた。 コタロウとは、実家で兄一家に飼われているシマリスで、4年前の春、私のシマリス愛好家仲間宅で誕生して間もなく、私を経由して兄の家に迎えられた雄(オス)の個体だ。小さい頃はとても人に懐いて、手に乗せて暖めてあげるとそのまま眠ってしまい、その愛くるしさに起こすこともできずに困ってしまうことも。 ところがそこは野生動物、成長するにしたがって何故だか義姉以外には素っ気ない態度のペットになってしまっていた。そんなこともあって、「かわいいから飼ってみたら?」と斡旋(仲介)した私としては4年が経った今でも、彼の様子には日々、気を留めていたのだ。 実はこの春先から実家にはネズミがちょくちょく侵入し、台所などで被害をもたらしていた。いろいろと手を打ったもののなかなか効を奏さず、業を煮やした兄夫婦はある夜、近くの量販店で見つけた鳥もち式のネズミ捕りマットを設置した。「ごきぶり○イ○イ」の屋根の部分がないような構造で、大きさは4倍ほど。水飴のような強力な粘着剤で侵入したネズミを捕獲するという単純な仕掛けだ。 ひと晩明けた初日は成果がなく、兄夫婦は「まぁ、そんなに簡単には、ね」と笑っていた。ところが悲劇はその数時間後、起こった。 実家では毎日午後、小太郎のお散歩タイムなるものがある。すべての戸や窓を締め切り、ケージから出した彼を一定時間、遊ばせてあげる時間だ。その日もしばらくして小太郎を遊ばせていた義姉。ところがしばらくして「あれっ、どうしたのかしら。小太郎の足音が聞こえない……」と捜索開始。すると、「キィーキィー」と鳥のような鳴き声が(チューチューではなかった)。 「しめた! ついにかかったかな」 義姉がいそいそと駆け寄った先には信じられない光景が。第1号はネズミではなく、粘着剤の上には小太郎が、左半身全体をうずめていたからだ。それから数時間、必死の小太郎救出作戦で命には別状がなかったが、損なわれた自慢の毛並みは見るも無残。前頭部も……。兄夫婦は言葉を失った。 事故から2か月近くがたった。その後の小太郎はすぐに元気を回復した。小動物にも感情はあるし、死ぬ思いをした挙げ句、毛繕いのときに左半身の毛がないので焦ったことだろう。だが、幸いなことに露見しているピンク色の肌の上にフサフサと毛が生えている。兄夫婦やみんなの心配をよそに、「おかげでこの夏は涼しくていいかもよ」と言わんばかりに、得意のバク転を繰り返す小太郎。義姉ばかりに愛想がいいところもまた、健在だ。 (栗鼠)
posted by bowl-m |23:55 |
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