2010年03月12日

サッカー日本代表の不思議(ビルドアップ)

岡田監督は「ビルドアップ」という言葉をよく使う。英語の意味は「建設する」「構築する」という意味だ。サッカーでは「攻撃を組み立てる」という意味だが、岡田監督は、ボールをつないでアタッキングサードまで攻め込むことを指しているらしい。

岡田監督はオランダ遠征後に「攻撃においてビルドアップは通用する」と言った。さらに「点を取るところがテーマ」と付け加えた。どうして、ミドルサード内ではボールを前に運べるのにアタッキングサード内ではボールをゴールに運べないのだろう。これは当たり前で、相手の人数が違うし、守備の厳しさもまったく変わるからだ。

しかし、ビルドアップができるのに点が取れないことがあるのだろうか。つまり、ビルドアップができないから点が取れないと考えるべきではないだろうか。

ヨーロッパのトップクラブの試合を見れば一目瞭然だ。ビルドアップの場面と点を取る場面に区切りはない。一連の流れから点を取るのだ。たとえば、自陣のペナルティーエリア内でボールを取ったディフェンダーが、相手が前にいるにもかかわらず、フェイントを入れてドリブルをしたり、味方とワンタッチパスをしたりして前に行こうする。また、ゴール正面にいる味方に横パスを送ることもある。このようなプレーから速攻につながることも多々ある。しかし、日本ではこのようなプレーは愚かで危険だと片付けてしまう。これが問題なのだ。基本的に、ピッチのどこでも同じようなプレーができるようになることが大事だ。

ビルドアップがそのまま点につながる見本のようなサッカーをしているのがスペインだ。日本のように、スペースに走ってボールを受け、相手に寄せられる前にスペースにいる味方にパスをし、これを繰り返してゴールを取るという甘い考えでは、アタッキングサードに入ってから行き詰るのが当然だ。どこにいても、相手をかわしてパスを出したり、ドリブルで抜いたりしながらビルドアップすることができれば、ゴール前でも同じことをやればいいだけだ。つまり、普段からやっていなければ、いざというときに力を発揮することはできない。

話は変わるが、ある科学者が「ゴールを意識してしまうと、そこで脳の働きがにぶる。一流のアスリートはゴールの先を目指している」と言った。サッカーでも、シュートではなくゴールへのパスと思えれば、枠を外さないようになると言われる。だから、前述した岡田監督の「点を取るところがテーマ」という意識は逆効果だ。なぜなら、選手にゴールを強く意識させてしまうためだ。点を取れないと、必ずシュート練習を強制するジーコ監督と岡田監督は同じ間違えを犯している。

<余談>

今回で、「日本代表の不思議」というタイトルの記事が7つになった(1つだけちょっと違うが)。当初は「サッカー日本代表の七不思議」というタイトルで書くつもりだった。ただ、どういうテーマを7つ選ぶかが難しかったので、思いつくままに書くことにした。書きたい残りのテーマは「ボールを持たない選手の動き」「感度」「サイド攻撃」「状況判断」「体格差」「メリハリ」「監督と選手の関係」などだ。違うタイトルの中に盛り込んだ内容もあるので、残りをすべて書くか分からないが、今後もサッカー日本代表の問題点を指摘していきたい。

<関連記事>

・サッカー日本代表の不思議(カウンター)日本代表の不思議(リスクマネージメント)日本サッカーの課題(アジリティ)サッカー日本代表の不思議(運動量)サッカー日本代表の不思議(攻守の切り替え)サッカー日本代表の不思議(責任)

posted by ボウヤ |01:09 | サッカーの基本 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2010年03月04日

バーレーン戦:代わり映えがしない代表

この試合は公式戦だが、予選突破がすでに決まっている両チームの消化試合でもある。試合が有意義なものになるかどうかは、すべてバーレーンにかかっている。バーレーンは助っ人なしの1軍半だったが、今までとあまり変わらないパフォーマンスを見せた。国内組が着実に力を付けているのだろう。ただ、日本の力を測るにはやはり力不足だった。

一方、日本はヨーロッパ組5人全員が先発すると思ったが、森本だけ後半22分からだった。それも、違いを見せていた松井に代えてしまった。松井、本田、森本がどんな攻撃を見せるかが重要だったのに、残念ながらその機会がふいになった。なんとも岡田監督らしい采配だ。

前半の日本の攻撃はロング・スルーパスだけに頼っていた。うまく攻め込めないために、中村俊、内田、長谷部がミドルシュートを打ったが、あきらかに判断ミスだった。前が空いていたので、ボールをゴール近くまで運んでから、シュートやワンツーをするチャンスだったからだ。バーレーンは、スペースでうまくボールを受けたり、カウンターで何度かチャンスを作ったが、最後の部分で攻め切れなかった。これをWCで日本と戦うチームに置き換えると、日本の守備の弱さは致命的だ。前半30分過ぎから、バーレーンの動きが悪くなり、そこをうまく突いて36分に松井のクロスを岡崎がヘッドで得点した。

後半の立ち上がり、日本は相手陣内に攻め込んでチャンスを作った。中村俊のクロスに本田がヘッドで合わせたが、GKにセーブされた。その後は、両チームともミスが多く凡戦になってしまった。2点目は後半ロスタイムに生まれた。内田のクロスが流れて、ゴール前にいた本田がヘッドで得点した。本田がこの試合で活躍できずに、代表落ちになってしまわないか心配だったが、これで一安心だ。一方、森本は時間も短く活躍できなかったため、南アフリカには行けないかもしれない。

90分を通して、日本がいい攻撃をしたのは、たった1度しかなかった。それは前半のロスタイムだった。自陣の右サイドで内田が相手を詰め、中村俊がボールを奪って、長谷部にパス。次に、長谷部から内田そして前方の本田にパス。本田は相手2人に寄せられたので、長谷部に戻し、ワンツーの形で前線に走りボールを受けドリブルし、前にいた岡崎にパス。再びパスを受けた本田は、ドリブルから相手ディフェンダーの間にボールを通して、左から上がった松井にパス。松井がキーパーと1対1になったが、シュートははじかれてしまった。これは静的ではなく動的な攻撃だ。このような攻撃をもっと増やさないと、日本は世界で戦えないが、日本代表にはネックになる選手がレギュラーに居座っている。

この勝利で岡田監督への世間の批判が弱まりそうだが、海外組が国内組と比較してそれほどよかったわけではなかった。なのに2得点して勝ったために、WCで戦えると錯覚してしまう。これが日本の弱点なのだろう。この日の内容で韓国と戦えば、結果は国内組ときっと変わらないだろう。ただ、一つ言えることは、間に合わせのチームでも、事前に合宿して4試合に臨んだチームより、部分部分でいいパフォーマンスを見せることができるのだ。つまり、代表を選ぶ場合、岡田監督の戦術を理解する選手より、個の力で打開しよとする選手のほうが重要だということが、この試合で証明された。約1年前のバーレーン戦でいい働きをした田中達、Jリーグで活躍した石川、オシム監督のときはレギュラーだった鈴木が入れば、もっと魅力的なチームになるだろうが、怪我などの事情もあり、岡田監督がこの3人を選ぶことはないだろう。ただ、石川だけはまだ当落線上にいるかもしれない。

posted by ボウヤ |11:14 | アジアカップ最終予選 | コメント(1) | トラックバック(0)
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