2008年08月14日

五輪サッカーのプレーの質

アメリカとオランダのレベルの低さにびっくり、それでも勝てないのが日本の実力。これが日本代表の五輪サッカーの感想だ。今回は、実際のプレーから日本代表に足りないものを探ってみよう。

アメリカ戦の前半21分の森重のシュートミスは、サッカーの基本を身に付けていない証拠だ。「速いクロスは脚を振らずにボールに合わせる」「蹴るときはボールを最後までしっかり見る」。この2つの基本だ。この森重のプレー以外にも、空振りや当たり損ねのシュートが多くあった。サッカーは常に周りを意識しなければならないが、蹴る瞬間はボールだけをしっかり見なければならない。この基本を身に付けていないプレーヤーが日本には多い。

アメリカ戦の前半28分、ゴールに向かってドリブルをした本田圭のパスが相手DFの足に当たって誰もいないスペースに流れた。本田圭の斜め前にいた谷口はサイドに少し開きながら走っていたが、すぐにそのボールに追いついてゴールラインぎりぎりで中央に折り返した。多くの人はこのプレーに疑問を感じないかもしれないが、私はもったいないと思った。一方、ナイジェリア戦の前半29分、イサックがDFを背負ってスローイングを受け、ボールを保持しながら前のスペースにスルーパスを出した。イサックの後ろから走っていたオコロンクォがそれに反応してゴールラインぎりぎりでボールを止めた。このとき、本田拓がオコロンクォに付いていたが、スライディングを簡単にかわされてしまった。オコロンクォは次にゴールラインに沿ってドリブルをして、詰めてきた森重をキックフェイントでかわし、中央にいたオデムウィンギーにラストパスを送った。オデムウィンギーのシュートミスで得点にはならなかったが、これがサッカーである。谷口は完全にフリーだったにもかかわらず、最初から折り返すことしか考えていない走り方だった。さらに、相手DFはボールに行かずゴール前を固める作戦を取った。そこにボールを入れても得点の可能性は非常に低い。谷口はオコロンクォのプレーを見て、何かを学んだのだろうか。

アメリカ戦の前半38分、森本は判断ミスと基本をないがしろにしたプレーを続けた。長友からの縦パスを受けた森本は、相手3人に囲まれていたので、後ろにいた梶山にボールを預けた。同時に、相手は3人とも梶山に近寄ってボールを取ろうとしたが、梶山はふわりと浮かしたパスでフリーの森本にボールを戻した。絶妙なワンツーの形になったが、森本は判断ミスをしてしまった。ボールをスペースに流せば、非常にいい態勢でボールが取れたのに、無理な姿勢でトラップに行ってしまった。これは仕方ないとしても、トラップ後のプレーが最悪だった。森本がトラップしたときに、相手DFが一人だけ森本に寄せたが、ボールを取るためではなく森本とゴールの間に体を入れた。ところが、森本は体を回転して前を向こうとせず、はるか後方にいる味方にボールを戻してしまった。このとき、味方が3人ゴールに向かって走っていた。反町監督は森本のどんな点を高く評価したのだろう。

オランダ戦の後半、自分のボールを相手に体を入れられて取られるシーンが目立った。後半84分、ペナルティーエリアの近くにいた岡崎は、森重と梶山から縦パスを2度受けた。1度目は、エマヌエルソンが近寄っていたのに、ボールを単純に止めるだけだったので、エマヌエルソンにボールをつつかれてボールを失った。2度目は、相手2人を背負っていたので、ボールをサイドラインに向かって運んだが、ザウファーローンに動きを読まれ体を入れられてボールを取られてしまった。A代表でもよくあるシーンだが、ボールを保持するときの体の使い方がまだまだ足りない。ボールと相手の間に自分の体を入れるのが基本だ。

五輪代表にはA代表に選ばれている選手が何人かいるが、今回の試合をA代表への試験と考えると、可能性を示したのは香川だけだった。それほど活躍できなかったが、ボールを持ったときのセンスのよさとゴールに向かう姿勢が光った。ただ、修正しなければならない点もあった。その1つがトラップだ。トラップの瞬間に、ボールが少し体から離れたり体を入れられたりして、相手にボールを取られるシーンが多くあった。さらに、ワンタッチでボールを前にはたいてドリブルを狙ったときも、ボールが離れすぎてボールを取られてしまった。香川はMFなので、ボールを確実に確保できるようなトラップを心がけるべきである。

最後に、スタッツを見ると興味深いことがあった。
日本18(2)-(3)15アメリカ
日本15(2)-(3)11ナイジェリア
日本23(1)-(3)16オランダ
これは反則数(カッコ内はイエローカード)だ。日本のサッカーはいつもクリーンなイメージがあるが、今回の五輪では相手より反則が多かった。これは何を意味するだろう。いろいろ考えられるが、相手のチャンスを反則で止めることも多かったので、この点に関しては少し世界に近づいたと理解してもよいかもしれない。オランダ戦で本田圭がPKを取られたシーンも海外では当たり前のプレーだが、審判の判定も当たり前である。

posted by ボウヤ |17:50 | 五輪 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年07月30日

五輪代表のウォームアップゲーム

主要なメディアがこの試合を壮行試合と呼んでいるが、オーストラリアとアルゼンチンが日本を励ます試合じゃあるまいし。

■ オーストラリア戦

海外のチームは練習と本番でかなりの違いを見せるが、日本代表はどちらもほぼ同じような戦い方ができる。この差が試合に現れた。オーストラリアをアメリカに見立てて勝ったが、北京五輪のアメリカ戦は、まったく別のサッカーが繰り広げられるだろう。

1点目は理想的な得点だった。フォワードへの速いパスとミッドフィルダーの上がりだ。2点目は、低いクロスをフォワードが直接決めた。シュートを狙った点に価値がある。この2点以外にも、左右からゴールラインへの切り込みを見せたが、攻撃が単発だった。オーストラリアの守備があまかったので、ある程度の攻撃ができたが、得点を取ったようなプレーをもっともっと繰り返さなければならない。

日本よりオーストラリアのほうが、パスをつないでボールをゴールに運ぼうとする姿勢を見せたが、日本の守備がよかったのでシュートまで持ち込めなかった。後半開始早々に、ゴール前にボールを放り込むプレーもあったが、あまり効果的ではなかった。また、日本と同じように速いカウンターがないのも気になった。本番ではもっといいプレーを見せると思うが、力不足の感は否めない。

■ アルゼンチン戦

日本は、オーストラリア戦のように前からプレスにいかずに、下がってゴール前を固める守備をしていた。このやり方のほうが点を取られないかもしれないが、アルゼンチンのような強豪に対してプレスをかけて攻撃を遮断できるかを試すいい機会を自ら放棄してしまったことになる。ボールを取っても、カウンターをほとんど仕掛けなかった。日本代表の消極さは、永久に変わらないのだろうか。

バチスタ監督はチーム状態があまりよくないと話していたが、日本のふがいないプレーに呼応するかのように、アルゼンチンもプレーに精彩を欠いた。リケルメはいつも調子悪そうな顔をしているが、ほんとうに絶不調らしい。そんな中でも、アグエロとディ・マリアがすばらしいプレーで1点を取るあたりは、さすがアルゼンチンである。彼らは、この種のプレーを何度も繰り返しているから、点が取れるのである。日本には、この精神を持った選手が残念ながらいない。やらなければできない。日本代表選手はアルゼンチンから何かを学ぶことができたのだろうか。

posted by ボウヤ |02:38 | 五輪 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年07月01日

OA枠

中途半端な判断。管理者が一番やっていけないことだが、反町監督は五輪サッカー代表を決める重要な時期にそれを犯してしまった。

OA枠を使うか使わないかの判断は非常に簡単だ。下位の日本が五輪で少しでもいい成績をあげたいなら、OA枠を使えばよい。それよりも、より多くの若い選手に国際舞台での真剣勝負を経験させたいなら、OA枠を使わなければよい。

反町監督は「足りない部分で貢献できる選手」と言って、遠藤と大久保を指名したようだが、これも理解に苦しむ。フォワードとミッドフィルダーを選んだということは、このポジションでレギュラーが足りないということになる。しかし、23才以下と24才以上の選手を比べれば、どこのポジションにも24才以上にいい選手がたくさんいるのは当然。「足りない部分」ではなく「チームを強く」するために3人選ばなければならない。ところが、2人しか選ばなかった。

また、神戸が大久保を出すことを断ったら、代わりの選手を選ばずに諦めてしまった。結局、「足りない部分」が残ったまま五輪に臨むことになる。腹立たしいぐらい、いい加減な監督だ。

一方、協会の役目は、監督とクラブの仲介役なのに、何もしなかったに等しい。選手の名前が出て、結果的に出場を辞退すれば、その選手への風当たりが強くなってしまう。事前にクラブと話し合ってスムーズにOA枠を選考するのが協会の役目のはずだ。我那覇のときも、協会の不手際で多大な負担を選手に強いたのに、また同じ失敗を繰り返している。そして、失敗しても協会は誰一人として責任を取らないのだ。

参考として、Jリーグの提示した翻訳がよくないので、我那覇問題に対するCASの裁定の要約を次に示す。

Jリーグは当時、WADAの規定を採用していなかったが、チームドクターが行った点滴は同規定から見て正当な医療行為だった。本件が起きたときに施行されていたJリーグの規定では、制裁の権限を専門委員会に与えていた。しかし、懲罰を課す権限があるからといって、あらゆる違反に対して懲罰を義務的に課してはいけない。我那覇選手への制裁は不当なので、CASは違反があったかどうかを判定しない。問題は、正当な医療行為と見なすために必要な条件をJリーグが具体的に決めていなかったことだ。本件の状況で点滴が妥当かどうかについては、当時も今も、医学的に見て意見が分かれるが、我那覇選手はチームドクターの判断に従うしかなかった。最後にもう一度念を押すが、たとえドーピング違反を犯したという結論に達したとしても、我那覇選手自身には何も過失がないので、制裁を加えるべきでなかった。

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posted by ボウヤ |01:23 | 五輪 | コメント(9) | トラックバック(1)
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