2008年07月07日

攻撃の基本(サッカー)

■ Show you how to beat the opponent.

この文章は、英国BBC放送のサッカー・アカデミーというウェブページに書かれていた。「相手を打ち負かす方法を教えよう」という意味だ。つまり、これがサッカーの基本で、ピッチ上の全プレーヤーが攻守でやるべきことである。局面ごとの戦いで相手に勝つことによってゴールにつながり、結果として試合に勝利することができる。日本人は、最初からチームプレーありきと考えるが、チームプレーは個人から始まる。そこで、蛇足かもしれないが、攻撃の基本について考えてみた。

サッカーで一番大事なことは、ボールを受けたら相手ゴールに向かうことだ。その努力によって攻撃のリズムが生まれる。日本より格下のタイやインドでも、その姿勢が見てとれる。ところが、日本はこの基本が非常に乏しい。ボールを後方でだらだらと回している時間が非常に長い。欧州や南米ならブーイングだが、日本ではなぜかブーイングも起きない。それどころか、この種のプレーを「攻撃を組み立て直す」とか「時間を作る」とか言って、賞賛するサポーターやサッカー関係者も多い。

■ ドリブル

ボールを受けて前が空いていたら、どうすべきだろう。当然、前方にいる相手に向かってドリブルを仕掛けるべきだ。相手から見ると、自分に向かって突進してくるプレーヤーが何をやるか分からないので非常に対応に困ることになる。「ボールを取りにいくか」それとも「下がりながら様子を伺うか」。ここで相手の判断ミスを誘えれば、チャンスにつながる。

ドリブルで相手を抜ければ最高だが、近づいてからパスを出すこともできる。相手が二人いれば、二人を引き付けたことになり、パスを受ける味方がフリーでボールを扱えるチャンスが増える。もう一度言うが、相手に向かうドリブルはサッカーの基本だ。このような状況では、ボールを持っている側のほうが相手よりはるかに有利な立場にいる。このチャンスをみすみす逃してはならない。

日本語には、この状況を表すのにぴったりの言葉がある。「突っ掛ける」だ。相撲では反則行為だがサッカーでは正当なプレーである。言葉があるということは、そういう文化または気質があるということだ。ところが、日本人プレーヤーは突っ掛けるプレーが少ない。サイドバックがセンターライン付近でボールを受けても、サイドラインに沿ってドリブルをすることも稀である。ほとんどが意味のない横パスである。最悪の場合、フリーなのにバックパスをするプレーヤーもいる。

ある試合でこんなシーンがあった。自陣でのコーナーキックがこぼれ、ペナルティーエリア外でフリーでボールを受けた日本人プレーヤーがいた。相手が上がっていたので、前にはスペースがあった。ところが、そのプレーヤーはドリブルをせずに、味方のプレーヤーが自分を追い越すのを待っていたのだ。結局、絶好のカウンターのチャンスを逃してしまった。

日本では、パスがつながれば攻撃ができると考える人が多いが、サッカーはそんなに簡単ではない。スペインやアルゼンチンは、パスとドリブルをうまく組み合わせて攻撃を構築している。

■ トラップ

一昔前と比べると、トラップの技術が相当上達したように思う。サッカーでは、トラップ・ミスでチャンスを逃すことが非常に多いので、ボールを受けるトラップは非常に重要だ。

トラップにもいくつかある。止まった状態でボールを正面から受ける場合だ。これが一番簡単。走りながらのトラップは非常に難しい。しかし、ここで思うようにボールを止めることができればチャンスになる。また、速いショートパスを正確に止めなければならない状況もある。日本代表も、最初に述べた静的なトラップは非常にうまくなった。しかし、動的なトラップはまだまだである。もっと問題なのは、動的なトラップが必要になる状況を作らないことだ。

トラップと同じくらい重要なのが、ボールを受けた後の前を向く動作だ。体をゴール方向に回転して、自分の前にボールを置く動作である。なぜなら、前を向いて初めて相手にプレッシャーをかけることが可能になるからだ。プレッシャーというのは、守備だけの言葉ではない。

縦パスの場合、受ける側は、パスが後ろからくるので、ゴールに背を向けてボールを受けることになる。また、当然相手がすぐ後ろにいる。そのため、いろいろなアイデアと技術を駆使して、前を向く必要がある。ところが、日本代表は、ほとんどがボールをはたくだけである。これをワンタッチ・プレーと呼んで最高のプレーのようにやっているが、そのほとんどは子供でもできるバックパスだ。ワンツーさえやらない。

このトラップと前を向く動作は、うまければうまいほど、相手にとって大きな脅威になる。この部分での世界との差はまだ非常に大きい。

■ パス

パスはサッカーの基本中の基本だ。蹴る前に狙いを定めて、蹴る瞬間はしっかりボールを見なければならない。日本代表から、「たまたま合った」「偶然だった」というようなコメントをしばしば聞く。そのたびに、それでもプロかと言いたくなる。ボールは狙いを定めて蹴る。これがパスの基本だ。

また、パスは味方との会話だ。だから、ボールにメッセージを込めて蹴ることが重要だ。受ける側は、そのメッセージを汲み取って、次のプレーを展開しなければならない。この繰り返しによって、1つの連動したプレーが生まれる。たとえば、サイドチェンジのパスは、ボールを受けるプレーヤーに対して、ゴールまたはゴールラインに向かって切り込めという合図を送っているのだ。

シュートはゴールへのパスである。日本代表はシュートをふかす場合が多いが、ボールを蹴る瞬間にボールをしっかり見ないためだ。もう一度繰り返すが、ボールが止まっていようと動いていようと、蹴る瞬間はしっかりボールを見るのが基本だ。

パスでもう1つの大事なのは、そのスピードである。日本代表は、遅いパスをインターセプトされることがしばしばある。速いパスはトラップがしづらいが、その非常に短い時間でシュートに結びついたり、次のいいパスに結びついたりする。さらに、味方がトラップをしづらいということは、相手はもっとインターセプトがしづらいということになる。日本はもっとパス・スピードを上げないと、世界には追いつけない。

ある日本代表が、試合後に「ボールが来るとは思わなかった」と言った。これは論外だ。パスを貰うために動くのが基本なのに。

■ 考察

上述した3つの基本(ドリブル、トラップ、パス)をきちんとやれば、試合が必ず面白くなる。アフリカのプレーヤーは、精度という点で少し難があるが、この3つの基本に忠実なので試合が面白い。何事にもまじめな日本人がサッカーでは、基本に劣り、基本に忠実でないというのは非常に不思議だ。おそらく、日本人が持っている慎重さが弊害になっているのだろう。

ドリブルで突っ掛けると、ボールを取られる可能性が高くなる。だから、簡単にパスを出す。ボールをトラップして体を回転させると、やはりボールを取られる確率が増す。だから、ボールをワンタッチではたく。この2つは、相手が自分の近くにいなければボールを取られないという消極的な発想から生まれる。最初にBBCの言葉を示したように、この種の考え方はサッカーではない。相手に対して戦いを仕掛けるのがサッカーの基本だからだ。

パスに関しては、非常に不思議だ。遅いパスは、パスを受ける側を思ってのことだから、いかにも日本的だが、意味の分からないパスがどうして多いのだろう。セットプレーでは非常に正確なキックを蹴るのに。おそらく、ボールを持っているときは、その責任をひしひしと感じるが、ボールが足から離れた瞬間に責任から解き放たれるためだろう。相手との激しい戦いの中で、いいパスを出そうという気持ちより、一刻も早く責任から免れたいという気持ちのほうが勝ってしまうためだ。こう考えると、日本人はサッカーが永久にできないかもしれない。しかし、サッカーに携わる人々がサッカーに対する見方をちょっと変えるだけで、トルコのように急激に世界に追いつくことができるかもしれないのだ。

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posted by ボウヤ |01:49 | サッカーの基本 | コメント(16) | トラックバック(2)
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日本の社会の縮図を見てるような気もするし、指導者のレベルを上げる必要もあると思う。まあ、歴史が少ないから、これからでしょ。

posted by オラ | 2008-07-07 07:46

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欧州南米アフリカの良い印象だけつまみだして
結論ありきで日本のダメな部分否定しても何の意味もないと思う。
未来志向でない貧しい話だと思う

posted by つーりお | 2008-07-07 08:41

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http://wsp.sponichi.co.jp/column/archives/2008/07/post_1128.html
上で西部謙司がいうことに当てはまる場面もあるだろうし、ドーハの悲劇の時は時間のつぶし方ができていればということもあるし、90分メリハリも必要だし。攻撃を組み立て直すとか時間を作るも時と場合によって必要とは思いますが。まあでもおおむね同意。

posted by vk | 2008-07-07 09:12

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ご指摘のことはたしかに日本には必要なことだと思う。しかし、国民性のためそうなっていると考えるのは間違いではないだろうか。
わたしはカリブの小国で暮らし、草サッカーをしているが、日本人である自分よりもチームメイトのほうが前を向かない。ドリブルで突っかけない。パスを前に出さない。どうして出さないのかと、自分が怒鳴るほどである。
しかし彼らは自分の100倍は自分勝手である。

どうして、前を向かないのか。結論から言うと周りが見えてないのと前を向く技術がないのである。国民性の問題ではなく、単純に実力の問題なのである。向かないのではなく、向けないのである。

気持ちの問題ではなく、単純に技術の問題だと思う。

posted by い | 2008-07-07 14:57

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私も技術の問題が一番だと思いますね。日本のFWはパスを受けて前を向く技術が単に無いんだと思いますよ。よく日本人は技術に優れているといわれてますが(?)トラップがヘタクソだから”はたく”だけ。前を向くためのトラップができるFWが出てこない限り日本代表に明日は無いと思いますね。

posted by ひろじい | 2008-07-07 15:58

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うーん。
疑問がいっぱいでなんともいえませんね。

ドリブルについてですが、誰でもドリブルしたほうが良いみたいなこと書いてありますけど、状況やする人によっては最悪な場合になることもありますよ。
ドリブルをするしないは状況判断の問題です。

>いろいろなアイデアと技術を駆使して、前を向く必要がある。

無理して前に向くことは間違っていますよ。
ポストのプレーの重要性をもっと考えた方が良いのでは?

>日本代表は、ほとんどがボールをはたくだけである。これをワンタッチ・プレーと呼んで最高のプレーのようにやっているが、そのほとんどは子供でもできるバックパスだ。ワンツーさえやらない。

たぶんサッカーをしたことないのでしょう。
ポストプレーをしてみてください。
たぶんボールすら受けれませんから。

あと強いパスって出すのが結構難しいって知っています?
ほかにもいろいろ言いたいことがあるのですが、ここまでにしときます。

最後に
読んでて思ったのですが、プロ選手に敬意がないように感じられます。
真剣にサッカーをやってきた人は絶対このような言い方はしないでしょう。
それはプロになることが難しいことをしっているからです。

そして、プロ選手はあなた以上に自分の弱点を理解しているでしょう。
もっと書き方を考えた方が良いと思います。

posted by あ | 2008-07-08 12:25

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管理人より「あさん」へ

見る側の視点で書いています。サッカーが好きなら、より魅力的なプレーをプロに望むのは当然だと思いますが。また、その表現方法もいろいろあっていいと思いますが。

posted by ボウヤ | 2008-07-09 00:40

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パスandゴー基本中の基本、これをやればドリブル突破もほとんど必要ないし、個人のスキルもそれほど高くなくてすむし、地味なサッカーだけど団体競技としては最高の形だと思う。

posted by フランス人形 | 2008-07-09 13:38

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別に国民性の問題ではなく、サッカーの教育システムの問題。

さっさとオランダなりスペインなり、サッカー先進国から、教育システムを輸入するのが早道。日本オリジナルとか言う前にね。基礎がなってないのに、オリジナルはありえない。

サッカーに関して言えば、日本は明治以前ですよ。あぁいつ近代化されるのかね。

も一つ問題。
サッカーを文化として受け入れる土壌は日本には十分にあるのが、逆にネックになってるんだな。

posted by 国民性ねぇ | 2008-07-09 23:44

攻撃の基本(サッカー)

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 う~ん。なんすかねぇ。私もあさんと同じ気持ちですね。なんか違和感があります。

>日本代表は、ほとんどがボールをはたくだけである。これをワンタッチ・プレーと呼んで最高のプレーのようにやっているが、そのほとんどは子供でもできるバックパスだ。ワンツーさえやらない。

 子供でもできますかぁ(汗)。

>ドリブルで突っ掛けると、ボールを取られる可能性が高くなる。だから、簡単にパスを出す。ボールをトラップして体を回転させると、やはりボールを取られる確率が増す。だから、ボールをワンタッチではたく。この2つは、相手が自分の近くにいなければボールを取られないという消極的な発想から生まれる。

 消極的ですか?相手が近くに来ないうちにボールを運ぶということで効率的だと思うんですけど。パスアンドゴーができていればワンタッチではたいたボールを受けるときはフリーで前を向いてプレーできます。アタッキングサードまではリスクを負わず確実にボールを運び、最後の局面でドリブルで突っかけて相手のポジションバランスを崩す。どこでどのようにリスクを負って相手をくずすのか。相手との力関係はどうか、どういう局面か、時間帯は、勝っているのか負けているのか。バランスというか自分が技術的にどのようなプレーができるのか、今どのようなプレーが必要なのかを選択する判断力が大切ではないでしょうか。

posted by カタヤマ | 2008-07-10 15:51

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「批判の資格」を読んでから、こちらのエントリを拝見しました。

私はサッカーのプレー経験は少なく(学校の体育+仲間とのフットサル程度)、観戦経験は少々(代表戦&Jリーグの生観戦を数回、海外リーグのTV観戦を数年)ですが、そんな私が読んでも違和感を感じる内容でした。

例えば、縦パスの受け方についてですが、縦パスをFWがポストプレーするためにワンタッチではたいたり、後ろに戻すことくらいは、私でも知っています。いったんキープして前を向いて突っ掛けたり、ファールをもらいに行ったりすることも知っています。しかし、管理人さんは「縦パスは全てバックパス」と読み取れる書き方をされている。実際はどう考えていらっしゃるか分かりませんが、これでは違和感を感じても仕方ありません。

「トラップ」と「前を向く動作」にしても、別々の行為ではなく、実際には一連の行為(むしろ一体)であることも知っています。こうしたことを、プレー経験も無いのに何故知っているかというと、サッカーが好きだからとしか言いようがありません。

たくさん試合を観たり、スタジアムに足を運んだり、書籍を当たったり、それらから色々と考えたりすることは、サッカーが好きだから苦になりません。そうすることで、たとえプレー経験はなくても、意見に説得力が増すことは事実です。プロ選手が試合中に「何故その行動を選択したか」についても、ある程度推測することが出来るようになります。

管理人さんも、とてもサッカーがお好きと見受けられますので、その「サッカー熱」を、ご自身がいかにサッカーが好きなのかを、ブログにぶつけていただければ、違和感のない文章になるのではないかと思います。

posted by いちサッカーファン | 2008-08-04 16:38

攻撃の基本(サッカー)

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管理人より「いちサッカーファン」さんへ

「縦パスは全てバックパス」とは言っていないと思いますが。しかし、鄭大世と日本代表FWのボールの扱い方を見れば、その差は歴然です。その差を指摘しているのです。私のブログの目的は、日本のサッカー選手の足りない部分を強烈に指摘することです。批判ですから、断定的な表現が多くなります。そのため、私の文章に嫌悪感を抱く人がいることも知っています。しかし、自分のスタンスを変えるつもりはありません。

posted by ボウヤ | 2008-08-05 01:34

攻撃の基本(サッカー)

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管理人さん、お返事ありがとうございました。

「日本のサッカー選手の足りない部分を強烈に指摘すること」が目的とのことですが、それだけでなく、「何故足りないのか」、「足りない部分をどうすれば改善出来るのか」や「足りない部分を他の何で補えばよいか」なども記していただけると、私としては、読み手として今以上に興味深く読むことが出来ると思います。今後も楽しみにさせていただきます。

posted by いちサッカーファン | 2008-08-05 18:49

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この文を見て自分もサッカーを頑張ろうと思ったし、技も使ってみようと思いました。

posted by サッカーファン | 2009-02-24 15:39

攻撃の基本(サッカー)

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えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっすげーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。と思った。

posted by 世界一のサッカーファン | 2009-02-24 15:42

攻撃の基本(サッカー)

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この文を読んでサッカーに興味を持ちました。
皆さんも、この文を読んで興味を持ってほしいと思います。
でわこれで。

posted by ・・・・・・・・・・。 | 2009-02-24 15:50

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