2009年08月06日

日本サッカーの課題(アジリティ)

「日本はアジリティとチームワークで世界と戦うことができる」と考えている人が、どのくらいいるのだろう。私も「牛若丸サッカー」という言葉を使って、アジリティのあるサッカーを日本は目指すべきだと、別のブログに書いたことがある。チームワークは以前(2008年8月3日と6日)述べたので、今回は「アジリティ」について考えてみよう。

日本代表やJの試合でアジリティのあるサッカーを観たことがあるだろうか。アジリティとは「敏捷性」という意味だ。もう少し詳しく説明すると「速くかつ正確に動くこと(能力)」である。つまり、アジリティはスピードと同義語だが、「日本人はアジリティがある」という表現はもっともらしく聞こえるが、「日本人はスピードがある」という表現になると疑問を感じる人が多くなるだろう。ここに大きな錯覚があるようだ。

アジリティをサッカーに置き換えると、「出足の速さ」「走る速さ」「体を回転する速さ」「ドリブルの速さ」「ステップの速さ」「またぎの速さ」「フェイントの速さ」「パスの速さ」「足を振り出す速さ」「判断の速さ」などになるが、日本人が特に優れているものがあるだろうか。これは、陸上競技を考えれば簡単に答えがでる。日本人が得意なのは、短距離ではなく長距離のマラソンだけである。つまり、日本人はスピードではなく持久力で力を発揮する民族なのだ。

具体的な例を上げると、エトーやロナウド(ブラジル)は上述した能力をすべて備えているので、一瞬のスピードで相手ディフェンダーを置き去りにしてしまうプレーができる。しかし、日本には彼らのようなプレーヤーはいない。つまり、アジリティには身体能力も必要になる。

では、どうしてスピードがないのにアジリティがあると錯覚してしまうのだろう。おそらく、アジリティという言葉が、日本人に絶対的に足りないフィジカルの強さを補うものとして定着してしまったからだろう。つまり、「走り回る=アジリティ」や「小回りが利く=アジリティ」と思っているからだろう。しかし、走り回ることはアジリティではなく、むしろ運動量と解釈すべきだ。「小回りが利く」というのは「狭いスペースで自由に動ける」という意味だが、サッカーに置き換えると「狭いスペースでボールを自由に扱える」ということになる。動くだけなら体の小さな日本人は小回りが利くが、サッカーで考えると日本人が優れているとはいえなくなってしまう。なぜなら、アジリティにはボールを扱うテクニックも必要になるからだ。

「狭いスペースでボールを自由に扱える」という言葉から思い浮かぶプレーヤーはマラドーナだが、最近のプレーヤーではスペインのダビド・シルバやイニエスタなどが挙げられる。狭いスペースをスルスルとドリブルで上がり、絶妙なタイミングでパスを出すことができる。日本代表の中盤でいえば、松井がこの二人に近いプレーをする。

最近活躍しているフォワードの岡崎は、一瞬の速さで相手の裏に飛び出してボールに合わるプレーが得意だ。しかし、世界と戦うためにはこれだけで満足してはいけない。なぜなら、このプレーはボールを自分の足で扱っていないからだ。大事なのは、ボールを扱いながらアジリティーのあるプレーを見せつけることだ。もう一人のフォワードの田中はドリブルが得意だが、ペナルティエリア外から相手ディフェンダーを抜いて得点を入れるシーンは少ない。このようなプレーができるのが、アルゼンチンのサビオラだ。日本人と同じように小柄なサビオラは、ロナウドのような瞬発力もないし、メッシのようなドリブルのテクニックもないが、ボールと一緒に大型ディフェンダーの間を抜けるうまい。これは動きの質が高いからである。言い換えると、相手との駆け引きがうまいのだ。サッカーは相手がいるので、アジリティだけでなく相手との駆け引きが非常に重要になる。たとえば、体の小さなフォワードが大柄のディフェンダーに勝つためには、ディフェンダーの腰の辺りに素早く体を寄せて動きを制限するようなプレーやタイミングを外すようなプレーが必要になる。しかし、このようなプレーができる日本人フォワードは残念ながらいない。

では、日本人はどんなサッカーをやればいいのだろう。それは、上述したサビオラが示している。つまり、サッカーの基本であるボール扱いと相手との駆け引きを、一人一人が自分の感覚で磨くという当たり前のことをやればいいだけだ。もちろん、アジリティを目指すことも大切だ。ダビド・シルバやエトーのレベルに達するのは難しいが、近くまでは行くことができるはずだ。日本人の特徴を生かした日本的なサッカーという方向には、最初から解がないことに早く気付かなければならない。上述したように、アジリティは日本人の武器ではなく課題なのだ。

岡田監督はメンバーをほぼ決めたようなので、日本代表にアジリティを期待することはできない。最近、FC東京の石川直宏がゴールを量産しているが、石川は若い頃からアジリティのある選手だ。このような選手がJで活躍するのはとても嬉しい。しかし、岡田監督はあるインタビューで「今選んでいるメンバー以外で、どうしてもWCに出たいという強いメンタリティを持った選手はいない」という意味のことを言っていた。岡田監督の真意を聞いてみたい。

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posted by ボウヤ |02:43 | サッカーの基本 | コメント(3) | トラックバック(0)
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日本サッカーの課題(アジリティ)

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スピード【speed】
1 速さ。速度。速力。「―オーバー」
2 速度が速いこと。「―ライト」

アジリティー【agility】
1 機敏。軽快。敏捷さ。鋭敏さ。
2 人と犬が組になって行う障害物競走。

posted by あ | 2009-08-06 07:19

Re:日本サッカーの課題(アジリティ)

コメント投稿者ID :

日本人の長所がアジリティでは無いことは、同感です。
ただ、アジリティを「速くて正確に動けること」と定義するのは、どうでしょうか?
「動きの初速が速いこと」
「短い距離での動き(足との動きとは限らない)が速いこと」
といったイメージの方が一般的だと思います。
そこに、違和感があるので、その後の話の展開にはついていきにくかったです。

posted by ジダ | 2009-08-06 08:25

Re:日本サッカーの課題(アジリティ)

コメント投稿者ID :

少なくとも、男子陸上では最近は長距離より短距離の方が善戦してると思いますよ。

黒人ランナーはともかく白人ランナーとは互角にやってる気がします。

野球でも、イチローなんかは大リーグでトップクラスのスピードをいまだに維持しています。

世界一は無理でも、トップクラスのスピードなら日本人でも持つことは可能なのではないでしょうか?

サッカーでそうした選手が出ないのはもしかして育成期のトレーニングに問題があるのでは?

posted by mamama | 2009-08-06 17:56

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