BOAT RACE ビッグレース現場レポート

優勝戦 私的回顧

このエントリーをはてなブックマークに追加

知将の誤算
'
優勝戦
①金子良昭(静岡)01
②長谷川巌(山口)+01
③大嶋一也(愛知)17
④高橋淳美(大阪)04
⑤原田順一(福岡)04
⑥泉  具巳(兵庫)06'


boatrace-476927.jpg
 コンマ01。金子がキワのキワまで踏み込んで、鮮やかに逃げきった。
 レースとしては、まずは大嶋にスポットを当てねばなるまい。直前の2本のスタート特訓で「やらずのやらず」(普通の3コース進入)だった大嶋は、スタート展示でそれなりにゴリゴリ動いた。昨日の準優と同じくらいのゴリゴリ度だ。本気でインを奪いに行く気配ではなかったが、とりあえず「やり」できた。さて、本番はどうするか。
Aやりのやらず。昨日の準優同様、攻めると見せかけて自重する。
Bやりの超やり。スタ展より激しく攻めてインを奪う。


boatrace-476928.jpg
 進入を予想する側としても、ほぼ二者択一だ。同じ「やりのやり」でも、スタ展と同じゴリゴリ度では、金子や長谷川の起こし位置が同じになってしまう。艇界屈指の知将としては、それはつまらないだろう。だから、AかB。そして私は、A「やりのやらず」と読んだ。予想でも記したが、F持ちの大嶋にとって80mを切る深インは、リスクが高すぎる。スタート特訓も110m起こしだったし。あって、昨日と同じ2コースまでか。
 本番。いつものように、彼は私の平板な予想を蹴散らした。正解はBだった。スタ展よりもはるかに激しく内の2艇を攻め立てた。本気でインを奪う勢いで、まっしぐらにターンマークに向かった。


boatrace-476929.jpg
 が、その猛攻に徹底抗戦したのが長谷川だった。艇をぴたりと大嶋の内に貼り付けて、真横に連れ去る。すかさず、金子がくるりと舳先を反転させる。それなりのスピードで真横に流れる長谷川、大嶋も、そのまま流してはいられない。すぐに舳先を傾けて、スロー3艇の深い起こしが約束された。大嶋にとっては、まったく旨味のない横並びの3コース。今日、愛知の知将が最終的に選択した戦略=スタート特訓も含めた「やらずのやらずのやりの超やり」作戦は、失敗に終わったのである。誤算があったとすれば、黒い埋伏の兵の存在だったか。嗚呼、それにしても、ダンディ。あの勢いのままインを取りきったら、70m起こしになっていたぞ(=それが「成功」なのだ)。スタート特訓とは真逆の深インを狙っていたとは……ヒゲのダンディ、やはりモノが違う。


boatrace-476931.jpg
 内の3艇が横一線で、どんどん前に流れてゆく。私はひとりほくそ笑んだ。「4カド淳っちゃんがまくって、順ちゃんがまくり差し」という脳内レースが鮮やかに浮かんだ。
 この隊形なら、ありえる! ありがとう、ダンディ!!
 12秒針が回る。大嶋の起こしが、内の2艇よりも明らかに遅い。カドから淳っちゃんが大嶋を追い抜いてゆく。行ける、行けるぞ、ひとまくりだ淳っちゃん。脳汁噴出。
 だが、私の脳内からアドレナリンが噴き出したのは、そこまでだった。スリットから淳っちゃんがまるで伸びない。アジャストしたのは明らかだった。しかも、内の2艇はさらに前にいる。外から誰も仕掛けられないうちに、金子が1マークを豪快に旋回した。回りきった瞬間に優勝確定、そんなインモンキーだった。
 ところが、金子本人は己の優勝に半信半疑だった。スタートが早すぎるとわかって、踏み込んでいた。敵は選手ではなく、100分の1秒レベルの時間だった。独走態勢になりながら、金子は何度も告知板に目をやったという。そこに浮かんだのは、「2」の数字だった。スリットほぼ同体に見えた、長谷川の艇番。その数字の横に「1」が点灯していないことを何度も確かめてから、金子は2マークを回った。もう、敵はどこにもいない。金子ははっきりと優勝を自覚した。16年ぶり3回目の記念V。


boatrace-476932.jpg
 次に語るべきは、わずか数センチの過ちを犯した長谷川か。去年、同じ大舞台の同じ2号艇、同じ2コースで、コンマ27。他の5艇より突出して遅かった。何もできないまま、プール掃除に甘んじた。
「去年はスタートで遅れて何もできなかった。今年はしっかり行って、レースに参加したいです」
 優出インタビューで、長谷川はスタートへの思いを熱く語った。むしろ意識しすぎて遅れるのでは? などと思ったりもしたのだが、有言実行、しっかり行った。去年、どれほど悔しかったか。その思いが、そのままスリットに反映された。そして数センチだけ、しっかり行き過ぎてしまった。今年もまた、新たな悔いを連れて水面を去ったことだろう。だが、勝負師としての悔いは、去年とは別物だったはずだ。やっていいフライングは1本もないけれど、男らしい勇み足だったと私は思う。


boatrace-476933.jpg
 最後に、順ちゃん、お疲れ様でした。2度に渡る若々しいまくり差し一撃、準優での華麗な捌き、そしてコンマ04まで踏み込んだ優勝戦。「年金世代の代表」として、どれほど多くのオッサンやじいちゃんを勇気づけたことだろう。来年の施行者さん、順ちゃんをよろしくお願いします。あ、失礼、来年は文句なしの自力参戦ですよね、順ちゃん!!
(photos/チャーリー池上、text/畠山)




1ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
2014マスターズチャンピオン
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

優勝戦 私的回顧

今節も読みごたえのある記事ありがとうございました。

今回は名人戦と言う事もあり、やはり進入がキーでしたが、その事でいろんな意見が出た事は良かったなと思います。自分なりにはやはりこれが「競艇」だなっと、毎年この名人戦でつくづく思います。

今も一般戦では、強豪の選手が前付けを敢行するのは、普通にありますが、記念やSGでは一節間数える程度で、これを主体に勝負してる人達には、やはり予想の上で邪魔くさい事しやがってになるのかなあと思いますが、やっぱり競艇は進入から勝負やでえ(笑)

いつの頃からか予選は、枠番が均等になり、準優と優勝戦は得点順になると言う制度が、そもそもじゃ無いのかなあ?あの辺りから一度しか回って来ない一枠を死守する風潮が強くなり、それが定めかの様に実につまらなくなった。でも今節の名人戦で試した準優進出戦は、変わるきっかけにならないですかねえ?
これなら、予選は3日だし各選手、4走又は5走の為に一枠が均等には回って来ず、初日からガツガツしたレースが見れるんではと?ついでに枠番抽選なんかで、自らガラガラ回して、あなたは今節の予選枠番○番○番です。みたいな事やったら面白いと思うんやけどなあ(笑)

まあ、ああして欲しいこうして欲しいと考えるのも楽しい博打であることには、変わり無いですが、因みに優勝戦
大嶋は進入が浅かった為に、握り損ねたと(笑)
グミを握りしめてる者からしたら、とことん失敗しろって叫びたかったけど、やはり腕が違うよなあ(笑)
長谷川は責めんよ、金返ってきたんやから。優勝した金子が今回は強かったと言う事でしょうね。楽しみました。
又、次回笹川賞 いやオールスターか(笑)
読みごたえのある記事宜しくお願いします。


長々とすいませんでした。

こんな記事も読みたい

ブロガープロフィール

profile-iconboatrace

BOATBoy編集長・黒須田守をはじめとする精鋭ライター達が、BOAT RACE ビッグレースの現場から、外からでは覗けない最新情報をお届けするブログです。
  • 昨日のページビュー:2250
  • 累計のページビュー:37978957

(12月16日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. THEピット――涙の優勝戦
  2. 賞金王ファイナル 私的回顧
  3. 宮島グラチャン 準優私的回顧
  4. 平和島ダービー『前検を斬る!!』
  5. 鳴門オーシャン 準優ダイジェスト
  6. 蒲郡グラチャン 優勝戦私的回顧
  7. THEピット――勝者たちの表情、そして重いピット……
  8. 鳴門グラチャン『前検を斬る!!』
  9. 住之江グランプリ『前検を斬る!!』
  10. 大村チャレカ準優ダイジェスト&賞金ランキング

月別アーカイブ

2017
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2016
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
01
2015
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
2014
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
2013
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
2012
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
カテゴリー

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年12月16日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss