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忘れえぬ試合、チェルシー対ナポリを振り返る

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 遅ればせながらCL決勝トーナメント1回戦2 nd Leg、チェルシー対ナポリの試合について書いてみようと思う。前回対戦、南イタリアで1-3と完敗を喫したチェルシー。その時ピッチでブルーズを率いていた青年監督は、その後間もなくピッチから姿を消した。チェルシーは、そしてアブラモヴィッチは、アンドレ・ビラス=ボアスの解任という劇薬により復活を試みたのだ…。だが解任後チームは連勝を飾ったものの、内容が改善されたわけでは決してなかった。ボールを支配しても、得点がとれないサッカーは相変わらずだった。この調子で、ナポリ相手に“奇跡”を起こせるのか……。連勝にもかかわらず、セカンドレグに怯えるチェルシーサポーターは少なくなかったと思う。
 しかし、蓋を開けてみると、そこには決して忘れえぬサッカーがピッチ上で展開されていた。なんとチェルシーは延長の末、ファーストレグのビハインドを覆し、4-1でナポリを沈めてみせたのだ。一体どのような試合だったのか?早速見ていこう。


 両チームスタメンはこちら↓

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●ナポリの守備●  こんな感じだったかなと。↓
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 トリデンテの一角マレク・ハムシクには、他の2人よりも守備のタスクを課されていた印象。彼は守備時でもマッツァーリのリクエストに柔軟に応えてくれる。ナポリの守備は、ハムシクを見れば面白いかなと思っております。  ナポリは5-3ゾーンのブロック作ってカウンターに繋げる。ベースとなるコンセプトはこれだった。  あとファーストレグでも似たようなことを述べたが、チェルシー戦のナポリは、バイタルエリアを“塞ぐ”意識はあんまり高くない。ガルガノはどんどん左サイドの守備にあたるし、ハムシクは攻撃への比重の大きさから帰り切れないシーンも多い。それにハムシクの場合、バイタルエリアを塞ぐために深くまでリトリートするほど、守備タスクは課されていなかったようだ。主に右サイドのケアを重点的に行っていた。左サイドは走り回れるガルガノ1人に任せて、右はインレルとハムシク2人でシェアしろってことかもしれない。  まあつまり、ナポリの守備で、バイタルエリアを守っているのが1人しかいないなんて場面が度々あった。(特に前半)  でも、ナポリとしては何の問題もない。空いたバイタルエリアを相手選手が使おうとすれば、果敢に3バックの誰かが飛び出して行くからだ。  もはや3バックは動いてナンボの時代。時にWBのカバーリングでサイドに赴き、時には果敢に前に出てバイタルエリアの番人となる。何故これができるかっていうと、単純な話4バックよりも中央に1枚多いから。1人飛び出して行っても2人残せる。だからこそ、積極守備が可能になるわけだ。その他、前に出てボールを奪うので、奪った時既に前を向いている→カウンターにも繋げやすいという利点も。 ●チェルシーの攻撃●  では、チェルシーが先述したナポリの守備に真っ向勝負したかというと、そうでもない。それは、先制点のシーンを見ても明らかだ。サイドで受けたラミレスは、マッジョからのプレッシャーを回避し、クロスを上げられると判断したら、迷うことなくアーリークロスを放り込んだ。そのボールをドロさんがズドンしたわけである。  このように、チェルシーはサイドからクロスを上げられると見るや積極的に放り込んでいた。アーリークロスもお構いなしに。中央に生じたスペースを無視して、放り込みを選択するシーンもしばしば。もちろん、空いたバイタルエリアから崩そうとするシーンもあったのだけれど……。チェルシーは、ビルドアップこそボールを回すものの、アタッキングサードではパスサッカーには程遠い強引なフットボールも手段として選んだわけだ●マッツァーリのプラン通り進んだが…●  AVB時代含む過去数試合、引いてブロックを固める相手に対し、チェルシーはずっと苦戦していた。華麗にパスで崩して得点なんて滅多にない。この試合のように、強引に攻めようとするけど上手く行かないと言うケースがほとんどだった。で、カウンター食らって失点してしまう。  逆に言えば、ナポリにとっては計画通りだった。相手はショートパスでバイタルエリアを崩しきることもできないし、3バックで中央を厚くすれば、クロスも十分跳ね返せる。相手の攻撃をシャットアウトしたところで、カウンターに繋げて試合を決めてしまおう、というよな思惑がマッツァーリにはあったのではないか。そして、ナポリは彼の思い描いた通りのサッカーができていたことだろう。  但し、29分まで。ラミレスのアーリークロス→ドログバのヘッドで状況が一変する。予定の範囲内の出来ごとで、ナポリは失点しまったのだ。一方チェルシーとしては、過程はどうであれ、前半の早い内に得点が出来たことで勢いがついた。  そして、後半開始直後、CKからキャプテンのヘッドが炸裂。チェルシーがついにスコア上優位に立ったわけである。 それにしてもテリーについていた選手はあまりにもあっさりマークをはずしてしまったね。  ナポリとしては、戦術上何も予定外な出来ごとはなかったはず。ただ、ドログバのヘッドとセットプレーからの一撃で試合をひっくり返されてしまった。  それでも、だ。何故ナポリが死のグループから這い上がって来られたのか。それを証明するかのようなシュートが55分に生まれる。インレルが胸トラップからスーパーゴールを突き刺し、1-2と合計得点で再びナポリがリード。ここまで来ると、もはや戦略など何の意味も持たないかのようだった。おそらく誰も次に何が起こるか、予想するのは難しかっただろう。 ●トーレス投入●  先に動いたのはチェルシー。60分過ぎにスタリッジに代えてトーレスを投入。面白いのは不振にあえぐ背番号9をまず右WGで起用したことだ。まあ、疑問もあるんだけど…。  メリットは単純に攻撃力アップ。フレッシュな(かつスタリッジよりチームプレイ○の)トーレスを投入して、攻撃を再活性化させようという意図だ。現にトーレスはドリブルでその存在感を発揮した。  守備でもトーレスさんは不慣れながら頑張っていた印象。対面するドッセーナをチェックしていた。でもサイドの守備に関しては、多少の無茶もCB(特にルイス)が素晴らしいカバーリングを見せてくれるので、融通が効いていた印象。そこで補えている部分もあったかなと。  デメリットとしては、攻撃時トーレスはウイングの動きをすることは決して多くなかったこと。つまり、チームプレイ○と言っておいて何だが、右SBのイヴァノが孤立気味になってしまっていた。でもまあ、イヴァノさん地味にごり押しドリブル突破したりするから恐ろしい人なんだが(笑) ただトーレスはやっぱり中央で活きる人なので、しょうがない事態ではあった。 ●鉄人の一振り●  74分だ。ドッセーナがPA内でハンドを犯し、チェルシーがPKを獲得する。またもきっかけはCKだった。 キッカーはランパード。笛が鳴ると、鉄人は豪快に右足を振り抜いた。勢い良くボールがネットに突き刺さる。チェルシーが3点目を奪取し、正真正銘試合を振り出しに戻した。 ●延長戦の選手交代●  このまま試合は延長戦に入るのだが、突入後ディ・マッテオは2つのカードをそこで切った。  まずはマタに代えてマルダ。布陣を4-4-2に変更した。フレッシュな選手を投入し、攻撃力を上げるのと共に、守備バランスの安定化を図る意図もあっただろう。 さ らにテリーに代えてボジングワを投入する。これはテリーがけが明けだったことが大きい。ひざの負傷から復帰して2戦目だったのだから、酷使は禁物だったのだろう。でも、ここでケーヒルじゃなくボジーを投入したのも、ある意味積極的な姿勢を貫いたと言えるね。 ●そして105分…●  ラミレスからドログバにパスが渡り、さらにドロさんがPA内へパスを繰り出す。そこに待ち構えていたのはブラニスラフ・イヴァノビッチ。守備での貢献はもちろん、積極的な攻撃参加や、セットプレーからチャンスを演出していた男だ。背番号2が放ったシュートはまさに“気持ちの込もった”シュートを言えるだろう。コースをついたわけではなかったが、“威力”だけはあった。シュートはキーパーの逆を突き、ボールが大きくネットを揺らす。チェルシーが待望の4点目を手にしたのだ。大歓声に包まれるスタンフォード・ブリッジ。ロンドンの夜空に、無数のチェルシーフラッグが舞う。  そして劇的なシュートから15分強、スタンフォード・ブリッジに、ホイッスルが高らかに鳴り響いた。4-1、ファーストレグとの合計スコアが5-4となり、チェルシーの逆転勝利が決まった瞬間である。ゲームが終幕すると同時に、喜びを爆発させるブルーズ。特にディ・マッテオは、多くの選手と抱擁を交わし、目には涙も浮かんでいるように見えた。彼の今後の監督人生の中でも忘れえぬゲームとなっただろう。 ●感想●  素直にチェルシーの意地がナポリのそれを上回った結果かなと。これがあるからサッカーはやめられない! それにしてもCBは素晴らしかった。特にルイス。ナポリの選手は前回同様、度々チェルシーSBの背後を狙ってきたけど、CBが良いカバーリングでこれに対応していた。てかルイスはいつもこれぐらいの守備を(ry。 あとラミレス。特に試合終盤、他の選手が疲れている中でその存在感は顕著だった。素晴らしいスタミナで勝利に貢献してくれました。  そして何と言ってもベテラン勢。ドログバ、ランプス、テリーの3人がゴールを決めるなんて、ちょっとドラマチック過ぎだ。  何だけど、空気を読まなずに言うと、チェルシーはこれからも苦労すると思う。ゲーム内容、特に攻撃面で、改善がなされたわけではなかったから。ドログバもこの試合のようなプレーを毎試合出すのは厳しくなっているのが残念ながら現状。トーレスも存在感を発揮していたけど、イヴァノより先に4点目を決めるべきシーンがあったのも事実。  この1勝は確かに大きい。ただ、まだまだ試合は続く。ボアスと袂を別った以上、もう4位以内には是が非でも入らねばならない。頑張れ、チェルシー。




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チェルシー

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チェルシーファンさんへ

配信やってるですか!?チェルシーファンによる放送が増えるのは素晴らしいことですね!w

最近あんまりチェルシーの試合で戦術的なことを書けてませんが、それでもよければ今後も見てやってくださいw

忘れえぬ試合、チェルシー対ナポリを振り返る

いつも楽しく拝見させていただいております!私はネット生放送で観ていました!朝方一人で叫んでましたw
主さんの導入の部分の文でフラッシュバックして鳥肌立ちました!
色々と苦労はあると思いますがチェルシーには是非ともリーグ3位、FAカップ、CLの制覇を成し遂げて欲しいと思っております!

これからもここのブログを楽しみにしております!
余談ですが、主さんが生主をやってた時お世話になってました!主さんがきっかけで僕も試合配信をするようになりました!色々とこれからも勉強させていただきます!
密かに主さんの復帰を望んでおりますw
お疲れ様でした!

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チェルシーとジョー・コールが大好きな新社会人。

サッカーライターを目指していたのだけれど、色々考えるところもあり今はIT系の会社で働いております。
社会人になってサッカーに割く時間が減ってしまいましたが、何とかチェルシーと日本代表は追っていきたいなあと考えているところです。


なお、こちら気まぐれブログとなっております。ご了承ください。
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