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リヴァプール対アーセナル~ミラン戦に繋げるために~

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 チェルシーの試合を見直したくないので、まずこちらから(苦笑)


 思えば、2月はアルセーヌ・ヴェンゲルにとって不思議な月となった。

 フランス人指揮官は、プレミアリーグの2月の月間最優秀監督に選ばれた。しかし本人は「理解しきれない部分もある」とやや困惑気味である。プレミアでの成績は、トッテナムとのノースロンドンダービーを5-2で制すなど、3勝1分の好成績を収めたにも関わらずだ。

 理由はチャンピオンズリーグにあった。

 決勝トーナメント1stLegのミラン戦はまさに“悲劇”という表現が当てはまる。0-4という完敗。ヴェンゲルも「いつもの我々ではなかった」と試合展開を悔やんだ。
これにより、アーセナルはタイトルの獲得が絶望的に。またも無冠が続くことになり、メディアでも「ヴェンゲルが率いた15年の中で一番厳しいシーズン」と厳しく批判された。

 そんなことを言われた月に、月刊優秀監督賞を受賞したのだ。あくまで国内リーグのみで判断されるとはいえ、フランス人指揮官の胸の内には何か“つかえ”が残るのだろう。「2週間前の新聞を見れば、今回の受賞は間違っていると言うはずだ」とは本人から出たコメントである。

 しかし、それでも前節ノースロンドンダービーを制したのは大きかった。レジェンドであるティエリ・アンリが「勝てば勢いを取り戻す」と語った試合で、見事3点差をつけて完勝。17年変わらないロンドンのヒエラルキーはまだ揺るがないぞ!と言わんばかりの姿勢だった。
 
 ヴェンゲルは、この勢いをミラン戦の2ndLegに繋げたいようだ。そしてその間にある試合こそ、リヴァプール戦なのである。勝てば勢いを維持するだけでなく、さらに加速させることができるだろう。しかし、その分ハイリスクだ。せっかく得た勢いを殺しかねない可能性も多大にあった。
 「リヴァプール戦に勝ってミラン戦にチャンスを繋げる」とヴェンゲル監督。ここで勝利を得、“不可能なミッション”に少しでも可能性を広げたいのだ。ここでチームを加速できるか、それともポッキリ折れてしまうのか…。実はこのリヴァプール戦こそダービーの影に隠れた山場だったのかもしれない。


 と、言うわけで今回は試合をアーセナル視点で追っていきます。
 両チームスタメンはこちら↓

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●アーセナルの攻撃●  ここに注目してみた。↓
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 サイドのやや低めの位置っていう表現が正しいか分からないが、アーセナルとしてはビルドアップ時にここをどう活かすかというのが1つポイントだった。  じゃあ、実際はどうだったかというと…。  試合序盤はアーセナルのSBがここを使い、ビルドアップのフォローに入ることが多かった。しかし、この方法は上手くいかない。何故なら、リヴァプールのSHが迷うことなく追ってくるから。  ここでリヴァプールの守備を少し。彼らは非常にコンパクトネスを意識していた。ラインも上げ、バイタルエリアのスペースを出来る限りなくす。最終ラインの背後よりも、キャラガーとシュクルテルの前のスペースへの警戒を高めていた。  で、これをふまえてアーセナルの攻撃に戻る。中央にスペースを見つけづらいガナーズは、サイドへボールを送る→SBが受ける→相手SHが追ってくる→プレッシャーをかけられたSBが強引な縦パス→ボールをロスト→リヴァプールにカウンターを食らうというケースが頻発していた。  と、いうわけで、だ。ヴェンゲルは前半途中からこのように攻撃をいじり始める。↓
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 サイドバックを押し上げ、アルテタとソング、さらにロシツキがサイドのスペースでボールを受けてゲームを組み立てる。彼らが広くポジショニングすることで、プレスを回避し、リヴァプールを押し込んでいくのが狙いだ。現に、同点弾であるファン・ペルシーのヘッドもロシツキのこの動きから始まった。トップ下の選手が右サイドの低い位置に移動することで、ダウニングが見るのかアダムが見るのか一瞬の混乱を誘う。ロシツキはドリブルで敵をひきつけると、ダウニングが中に絞った分解放されたサニャにパス。見事なチートクロスでペルシーの24得点目を演出した。 ●後半の布陣変更●  さらに、ヴェンゲルは動く。後半、アーセナルはこのように変化していた。↓
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 4-1-4-1に近いフォーメーションだ。ビルドアップに3人を絡ませ、さらにCMFは、前半同様度々サイドに流れてプレスを回避する。  仮にワイドにポジショニングしたガナのCMFに、リヴァプールのSHが行けば、アーセナルのSBが解放されるのでそこを利用すればいい。アダムかスピーリングのどちらかが来れば、リヴァプールの中盤は横に広がるので、スペースが生じやすくなる。また単純な話だが、リヴァプールのCMF2人に対し、アーセナルは中盤に3人割くのでボール運びがより円滑になる。後半の布陣変更には、これらの利点があった。  で、この采配が結果ドラマを生む。ロスタイム、ボールを受けたソングに対し、リヴァプールは誰もプレスをかけられない。フリーの状態からソングが素晴らしいフライスルーパスをRVPに送り、後はエースが得意のニアにズドン。ファン・ペルシーが今シーズン25得点目を沈め、試合を決めてみせた。リヴァプールは、フォーメーション上浮いているソングに対し、対処を怠ったのが良くなかったと言える。 ●リヴァプールは?●  守備に関しては、先述したとおり相手の布陣変更にしっかり対応するべきだった。ソングに対し、スアレスかカイトがチェックしていれば逆転負けは喫さなかったかもしれない。 それでも、コンパクトネスを意識したことや、ボールロスト後の早い攻守切り替えなんかは好印象。ウォルコットを黙らせたエンリケさんも◎。  攻撃は、スアレス(時々カイト)対ガナーズのCBというシチュエーションが何度もあった。いかに2トップにスペースを使わせるかというのが最大のテーマだったのではないか。相手SBの裏、CBの背後、DFとMFのライン間などのスペースを狙っては、コシールニーorヴェルマーレンとマッチアップを繰り広げた。実際、アーセナルのCBは対応に苦労していたのではないか。ヴェルマーレンはスアレスへのタックルでイエローをもらう等、フラストレーションを溜めているようだった。    それでもアーセナルが、序盤のオウンゴールのみで失点を留めたのは、シュジェスニーの活躍によるところが大きい。PKストップに始まり、素晴らしいセービングでチームを何度も救った。後はポスト直撃等少しの“運”もあったかもしれない。  後リヴァプールはカイトとスアレスがもうちょっと連携し合ったり、開始直後のダウニングのような、MFのPA内への飛び込みがあってもいいと思いました。せっかくスアレスとカイトがCBをひきつけるんだから、もっとそこ利用したいね。 ●まとめ●  アーセナルの試合運びは完璧とはいかなかったが、何とかミラン戦に繋げることが出来た。しかし、アルテタ、ギブス、ディアビ、ベナユン等けが人がまたも続出した模様。ギブスとベナユンは軽度らしいが、アルテタとかどうなんだろう。容態が知りたいところ。  とりまロシツキがついに冬眠から目が覚めたようだ。  




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チェルシーとジョー・コールが大好きな新社会人。

サッカーライターを目指していたのだけれど、色々考えるところもあり今はIT系の会社で働いております。
社会人になってサッカーに割く時間が減ってしまいましたが、何とかチェルシーと日本代表は追っていきたいなあと考えているところです。


なお、こちら気まぐれブログとなっております。ご了承ください。
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