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アーセナル対トッテナム今更分析~アーセナル復活の鍵は攻撃的SB~

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 伝統のノースロンドンダービーを今さらながら分析させていただきます。

 アーセナル対トッテナムの一戦は、ここ数年の成績だとスパーズの方がやや有利。トッテナム指揮官ハリー・レドナップは、このゲームを機に「ロンドンのトップ」を目指したい考えだったようです。過去15年以上アーセナルより上位の順位でフィニッシュできていないスパーズですが、今シーズンはアーセナル(とチェルシー)を10差離して3位の座を堅守。不名誉な記録に終止符を打つ絶好の機会を得ています。レドナップは「10差がいかに少ない差か知っている」と気を引き締めていましたが、たとえエミレーツでの試合だろうと勝って3位の座を固めていきたいところです。
 一方ガナーズは正念場。ミランとサンダーランドに敗れ、公式2連敗中のアーセナルにとって、ヴェンゲルの去就にも影響しかねないゲームとなりました。しかし、ポジティブに考えればスパーズへの勝利こそ、崩れかけた銃撃士にとって立ち直る最良の薬になること間違いなし。公式戦3連敗を喫し、その後もずるずる下がり続けるか、勝ち点3を手にし再びエンジンをかけ直すことができるか…まさにシーズンを占う一戦だったといえるでしょう。


 というわけで、試合をば。スタメンはこちら↓
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 サハが先発なのは少し意外。 ●スパーズ先制●  試合は開始4分で早くも動きました。カウンターからアデバヨルがサイドに流れて、ボールを受け起点になるスパーズ得意の形ですね。サニャが、少し低い位置でボールを受けたベイルに詰め寄ったため、その背後には大きなスペースが広がっていました。そこにすかさずアデバが侵入し、ボールを受ける。アデバについていったコシールニーはスリップしてしまい、上手くプレスをかけることができず。結果アーセナルの最終ラインはヴェルマーレン1人に。  さらに、べナユンへのパスをカットし、カウンターの起点となったカイルが、アデバヨルを追い越し、さらに奥の左サイドのスペースへと爆走しています。これにヴェルマーレンが釣られたことで、アーセナルの最終ライン中央はスッカスカになってしまった。素晴らしい無駄走りでしたね。結果、ガナーズはサハのシュートを止めきれなかったのでした。一見拙守なアーセナルの守備ですが、そうさせたトッテナムの選手のプレーがあったわけです。 ●主導権を握ったアーセナル●  その後はカウンターの応酬となり、プレミアらしいアップテンポな展開が続きます。  ただ、ポゼッションを高めていったのはアーセナル。トッテナムのCMFは、アルテタとソングには無理にプレスに行かず、リトリートを選択します。そのため、アーセナルは2CB+2DMF対相手2トップという状況を作ることに成功する。数的有利のため、スムーズにビルドアップを行えるわけですね。途中からトッテナムはサハを相手DMFにあたらせてましたが、数自体は変わらないのであまり意味はありませんでした。  で、ボール保持に成功したアーセナルなのですが、そこからどう攻めていったのでしょう?  鍵を握るのはサイドバック。サニャとギブスという攻撃的SBにより、再びガナーズらしさが見えた試合となりました。 ●サイドバックがトッテナムの守備のコンパクトネスを破壊する●  アーセナルのSBはどんどん攻撃参加します。特にサニャは印象が強い。彼らがサイドをワイドに使うので、トッテナムの守備は横に広がるわけです。  例えば、トッテナムのSHがアーセナルのSBをチェックすることで、トッテナムのCMFのカバー範囲が大きくなります。パーカーとモドリッチは中央の広いエリアをカバーしなくてはなりません。  だからといって、SHを中に絞らせると、今度はアーセナルのSBを解放してしまう。サニャなんかいやらしいクロスあげるので、あまりフリーにはさせたくないわけです。  (それでも、アーセナルが苦しむパターンはがっつり中央を固められたときなのですが…) ●サイドバックがサイドハーフを解放する●  SBが上がってきてくれることで、ピッチをワイドに使えるようになったアーセナル。なので、SHはピッチの幅を広げる役目をサイドバックに託し、自由に動き始めます。  例えばウォルコット。彼はほとんどFWと化していました。相手の最終ラインくらいでプレーすることがほんと多かった。  また、ベナユンもバイタルエリアでのプレーや、相手最終ラインを追い越す動きを行っていました。  何が言いたいかっていうと、中央でのプレーに厚みが増すということです。具体例としては、ファン・ペルシーが相手DFとMFのライン間でボールを受ける→それをウォルコットやべナユンが追い越して次の縦パスを呼び込む。こんな感じで、サイドから解放されたSHは中央でのプレーに厚みをもたらします。  アーセナルの同点弾を見てみても、ソングのパスに中央にいたウォルコットが反応→バイタルでボールをダイレクトで捌き、ファン・ペルシーにボールを送ったのがきっかけでした。中央の攻撃にウォルコットが絡んだからこそ起きた現象です。その後、ペルシーがシュート→こぼれ球をギブスが拾う→アルテタにパスし、クロス→駆け上がってたサニャがヘッドという流れですね。深い位置でボールを拾ったギブス、同点弾を叩きあげたサニャと得点に両SBが絡んでいるのが、この試合のアーセナルの良さを表しています。 全部まとめると、こんな感じ↓
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(トッテナムのCMFとSHの間の黒枠は、SHがガナーズのSBをチェックした場合できやすいスペース。ここをSHが絞って守ると、アーセナルのSBを解放してしまう) ●後半、修正を試みたトッテナムだったが…●  で、さらにファン・ペルシーがチートシュートを決め、何と2-2の同点で前半を折り返すことに成功したアーセナル。これではいかんと、後半レドナップは動きます。  サハとクラニチャルを下げ、VDVとサンドロを投入。布陣を4-1-4-1と変更してきました。中盤を厚くし、アーセナルのワイドな攻撃に対応するのが大きな目的でしょう。レドナップ曰く「カウンターを狙っていた」とのこと。  しかし、アーセナルの勢いを止めることはできませんでした。トッテナムは意図とは裏腹にカウンターから失点することになってしまいます。  まずアーセナルの3点目。ソングが、下がってきたファン・ペルシーにパス→大きくスペースの空いたMFとDFの間でパスを受けたペルシーが、そのまま駆け上がり、右サイドから追い越していったロシツキへ。さらにロシツキは、自身を追い越していったサニャへボールを預ける。最後はサニャのクロスにロシツキが合わせ、アーセナルが勝ち越しに成功しました。素晴らしいカウンター攻撃でしたね。そしてここでもサイドバックがきっちり攻撃に絡んでいるわけです。  でも、このシーンで面白いのはウォルコットの動き。ペルシーが下がった際、彼を追い越し最終ラインの裏を狙っています。この試合の彼の動きの特徴を表していると言えるでしょう。  そして、ペルシーの神キープからウォルコットが決めて4-2。そしてその後すぐにまたもやウォルコットが沈めて、アーセナルは70分までに5-2とし、試合を決めてしまうわけですね。もうエミレーツは祭り状態ですよ。  5点目は、またも(歩いてたのでちょっと微妙ですが)下がり目に動くペルシーと、それを追い越し相手最終ラインの裏を狙ったウォルコットの動きによるもの。何回も言っていますが、このようなペルシーが下がる→ウォルコット(べナユンも)が追い越すという動きというのが何本もみられました。  試合は、このスコアのまま終了。アーセナルが5-2で圧勝。スパーズを叩き伏せました。これが起爆剤となってしまうと、チェルシーファンとしてはちょっと苦しい。 ●感想●  ずっとサイドバックがいない中戦ってきたアーセナルだけど、サニャとギブスが戻ってきてようやく本来の姿を取り戻しつつある。カウンター時以外でウォルコットのFW化をもたらしたのは、サニャの存在が少なからずあるはず。  後ロシツキが素晴らしい出来だった。個人的なMOM。サイドやバイタルエリア、トッテナムの選手の間等のスぺースでボールを受け、そこからパスなりドリブルなりで大活躍。ベナユンとの連携も良かった。正直ラムジーよりもトップ下いいんじゃない?  トッテナムは後半の交代は理解できたのだけど…。カウンターから気づけば3失点していた。後カブールとキングのCBはアーセナルの前に完全に崩壊していた感も。  試合後には「まだアーセナルは生きている」とヴェンゲル。まだまだ勝ち点差はあるが、簡単にスパーズの後塵を拝す気は毛頭ない。逆にスパーズにとっては思わぬ大敗北となった。3位の座を揺るがないものにするためにも、次のユナイテッド戦はターニングポイントになるだろう。




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チェルシーとジョー・コールが大好きな新社会人。

サッカーライターを目指していたのだけれど、色々考えるところもあり今はIT系の会社で働いております。
社会人になってサッカーに割く時間が減ってしまいましたが、何とかチェルシーと日本代表は追っていきたいなあと考えているところです。


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