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サイドの攻防戦で完敗…チェルシーは何処まで堕ちるのか~ナポリ対チェルシー分析~

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内乱が発生してしまったチェルシー。19日のチームミーティングで一部の選手がボアスに不満をぶつけた他、ボアスも「オーナーの支持さえあれば」的なことを言っちゃった。カオスなチーム状況はスコアにも直結。ここ5試合でわずか1勝と凄惨なものがあり、その不振っぷりは誰の目にも明らかだった。

一方のナポリは復調傾向。フィオレンティーナを3-0で破り、勢いに乗ってチェルシーをホームに迎えた。そうでなくとも、南イタリアの雄はグループステージではマンチェスター・シティを沈めるなど、国際舞台の場で“チャンピオンズリーグ仕様”と呼ばれる程の何か特別な強さを発揮してきている。しかし肝心の指揮官マッツァーリがベンチ入りできず。これがどう影響するかというのが注目された。

両者の状況はざっとこのようなものだ。プレビューでは、チェルシー苦戦必至という見方がほとんどである。私自身そうなると思っていた。そして先に結論を言ってしまうと、今のチェルシーに逆境を跳ね返す力はなかったと言わざるを得ない。

チェルシーは許される最低ギリギリのラインのスコアで負けた。1-3である。アウェーゴールをもぎ取ったのがせめてもの救いだろうか。それでも完敗を喫したことに変わりはない。もはや堅牢な城壁が完全に崩れ去ったスタンフォード・ブリッジで、2-0以上のスコアを期待することができるのか疑問だ。それくらい厳しい視座を投げかねばならぬほど、ブルーズは今奈落の底なのだ。

というわけで、両チームを見ていこう。スタメンはこちら↓

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なんというアグレッシブチェルシー。2ボランチを攻撃的なメイレレスとラミレスで組み、アンカーを置かずトップ下にマタを配置した。そこにランプス、コール、エッシェンの名前はない。 ナポリはベストメンバーを揃えたと言っていいだろう。何人かはフィオレンティーナ戦を欠場しており、休養も十分だ。チャンピオンズリーグに重心を置いていることがよく分かる。 なお、迷った末ラベッシとハムシクを「WG」、スタリッジとマルダを「SH」と表現した。ご了承ください。 あと、ボジーはけがにより前半そうそうアシュリーと交代している。 ●チェルシーの攻撃とナポリの守備● ナポリの守備を説明してみる。まずサイド。 ナポリのWGは、チェルシーのSBをチェックしているような感じだった。ごまかしているのは、そうでない時もあったから。ちょっとここは判断に困っている。 でも、ナポリとしては、WGが守備に帰り切らなくてもサイドの人数に困ることはない。WBに加え、CBやDMFが来てくれるからだナポリはサイドに2人から最大4人割ける計算になるのだ。数的有利を築きづらいチェルシーは、サイドから崩していくのは困難であるように思われた。 で、次にナポリの中央の守備に注目してみる。ナポリのDMFは、チェルシーのDMFをチェックしていた。インレルとガルガノは、メイレレスかラミレスがボールをもつと思い効いて飛び出していく。つまり、チェルシーにしてみればバイタルが空くということだ。特に攻撃のタクトを揮うメイレレスに対しては、インレルが積極的に追いまわしていた。 もちろん、ナポリも無策にバイタルを空けるわけではない。3バックの誰かが積極的に飛び出して対処を行う。インレルとガルガノは、最終ラインに高い信頼を置いているからこそ、飛び出していくことができるのだ。 しかし、チェルシーとしては、やはり空きやすいバイタルを見過ごすわけにはいかない。狙うべきは、釣り出しやすいインレルの背後。彼と対面するメイレレスが、ラミレスよりもボールさばきが秀でているのも理由だ。↓
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またこの場合、素早く逆サイドのイヴァノビッチまでもっていくというのも、1つの手段だった。しかし先述したように、ナポリはサイドに人数を割くため、押し込むことはできても深い位置までえぐることは難しい。結局アーリークロスか組み立て直すかとなってしまう。 結論を言うと、チェルシーのサイド攻撃は人数を割くナポリの前に不発。深い位置までえぐることができず、アーリークロスがやっとだった。しかし中央の攻撃は一見望みがありそうだった。ナポリの守備はバイタルエリアが比較的空きやすかったからだ。しかしナポリは3バックが飛び出すことでカバー。結局どうしてもチェルシーは攻めきれなかった。 ●チェルシーの守備とナポリの攻撃● チェルシーの守備を説明していくと、このようになる。 1. 最前線のマタとドログバは、相手の最終ラインとボランチのパスコースを切るようにディフェンスする。その上で、時に思い切って最終ラインにプレッシャーをかける。 2. ラミレスとメイレレスは基本的に対面するインレルとガルガノをチェック。 3. サイドはというと、マルダとスタリッジが対面するマッジョとスニガをチェック。で、SBは流れてきた前線のラベッシやらカバーニやらハムシクをチェック。 この守備の肝となるのが②と③番だ。②に関しては、先制点のきっかけになるなど、良い側面もあったのだが、やはり抱えた問題の方が大きかった。では一体それは何なのか?ナポリの攻撃と照らし合わせながら述べていこうと思う。 このチェルシーの守備をふまえた上で、ナポリがどこを狙ったか。先に図で示してみる。↓
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まずビルドアップ。ナポリの最終ラインは大きくひらく。アロニカとカンパニャーロは度々サイドバック化していた。ドログバとマタのプレッシャーを回避するのはもちろん、チェルシーはSHを相手のWBにあてるので、サイドに流れたナポリのCBに詰め寄る人がいない。マタかドログバが行けたら行くくらい。ナポリはここから組み立てをはかることが多かった。3点目も、サイドでボールを持ったカンパニャーロのロングボールがきっかけとなっている。 この結果、何が起こるか。チェルシーの③番の守備に亀裂が入るということだ。チェルシーのSHは、相手のWBをチェックするのか、それともボールを持つ相手CBに行くのか中途半端になることが。しかし、仮にチェルシーのSHが相手CBにプレスに行けば、解放されたWBのスニガやマッジョが深い位置までえぐるorチェルシーのSBが上がってきた相手WBにあたる→ナポリのWGがフリーに!なんてことに。 まあそうでなくとも、守備力に欠けるチェルシーのSHは、相手WBに単純にオーバーラップを許すことがあったし、イヴァノとスタリッジは上手く受け渡しができていないシーンがあり、拙守な点が目立った。 で、次にナポリの最前線の動きに注目してみる。彼らが狙うところは非常にはっきりしていた。サイドバックの裏と、前掛かりなメイレレスとラミレスの背後だ。このスペースに侵入してチャンスを演出しようとする。特にチェルシーのMFとDFのライン間は穴だった。カバーニは最終ラインの裏を積極的に狙っていたが、このラインの間を広げる意図もあったのかもしれない。 例えばラベッシがラミレスの背後でボールを受ける→イヴァノビッチがラベッシのチェックに行く→空いたSBの背後にWBが侵入みたいなことが起こり得る。 先述したように、チェルシーのSHはナポリのCBをチェックするか単純に守備下手により、ナポリのWBをしばしば気持ちよくオーバーラップさせてしまうからだ。 さらに、ナポリはもっとサイド攻撃に人数をかける。単純にWBがオーバーラップするだけではない。よくあったのが、前線の2人が同サイドに繰り出す、というもの。例えばラベッシがラミレスの背後や左サイドでボールを受け、イヴァノを釣り出す。そして空いたイヴァノの背後のスペースにカバーニが侵入する、といった具合だ。サイドバックの背後のケアにチェルシーのCBがくれば、当然中央が空くので、ナポリとしてはそれはそれでしてやったりなのである。 他にもハムシクがサイドでボールを受け、チェルシーのサイドバックをつり出す→つり出されたサイドバックの背後にラベッシが侵入→ハムシクがラベッシにパスを出すといったように、ナポリはこの動きを何度も行っていた。 これらは、ボランチをサイドの守備に割かないチェルシーの弱点をついた攻撃である。 言っちゃえば、チェルシーはサイドが手薄になりがちなんだから、いっぱい人数割いて荒らしてやろうってことだ。 他には、チェルシーの守備の連係に単純な問題点があったかなとも。先ほどイヴァノとスタリッジに関してちらっと述べたけど、受け渡しという点でチェルシーというチームはひどくいまいちだった。 例えばナポリの1点目は、カバーニのダイアゴナルランにケーヒルとメイレレスの2人が釣られ、結果ボールホルダーであるラベッシへのチェックが甘くなったことが原因である。 3点目にしても、コールとルイスの対応に疑問が残る。 2点目なんか、ナポリの思惑とチェルシーの問題点が見事に一致して生まれたものだ。
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マルダはボールを持ったカンパニャーロに釣られ、上がったマッジョをコールに託す。そのためマッジョをチェックしなければならなくなったコールは、ハムシクを見切れなくなる。なので、カンパニャーロはフリーとなったハムシクへロングボールを送る。これはいかんと、D・ルイスが飛び出してハムシクに詰め寄る。すると、今度は左CBのスペースが空いたため、メイレレスが下がって補完。これにより、バイタルに人が居なくなる。さらに上がってきたカンパニャーロにマタがついていったため、バイタルエリアやや後方にポジショニングしたインレルに、プレスをかける人が完全にいなくなった。パスを受けたインレルは、フリーの状態でボールを蹴ることに成功する。 慌ててメイレレスがインレルへプレスに行くも間に合わず、セリエ屈指のプレーメイカーから絶妙のフライパスが繰り出される。それにカバーニが反応し勝負あり。 カバーニに関しては、イヴァノとケーヒルの受け渡しに疑問が残った。 ●試合結果と結論● 1-3とされた後、チェルシーは守りを固めたナポリの前に点を奪うことができず。このスコアのまま試合は終了し、ブルーズはまさに“完敗”を喫したのだった。 しかし、この結果は何の偶然もない。攻守においてサイドの主導権を譲ってしまったチェルシーの惨敗は、目に見えたものだった。 この逆転劇は起こるべくして起こったのだ。 ●感想● バレンシア戦のように、相手SBに対しサイドアタッカーのマンツー意識の対応をするべきだったし、相手ボランチへのチェックはマタとドログバに任せるかして、バイタルエリアを蓋するべきだった。正直、結構がっかり采配。 ポジティブな点は、ドログバの復帰くらいか。トーレスには悪いけど、やっぱりドログバの方がボール捌きが上手い。球離れが良く、良いテンポでパスを出してくれる。 あとラミレスはもう1つ前で使わないと良さが出ない。飛び出す回数が減り、むしろボール捌き等で悪い面が目立った。 試合後マタは「チェルシーは死んでいない」と言った。チェフは指揮官を擁護している。一方で、ランプスやコールといったベテラン選手に対しては不穏な報道が流れている。イヴァノとドログバは「最もハードなシーズン」だと認めた。このままチェルシーが再びまとまることができるのか不安で仕方ない。 ただボアスはナポリ戦のセカンドレグで結果もしくはポジティブな内容を出せなければ、非常にまずいことになるだろう。ビエルサだの、ベニテスだの名前が挙がり始めた。でも前者は有り得ないだろうし、後者なら結局油様はどんなサッカーをしたいの?ってなる気がする。ボアスが立て直してくれればそれが一番シンプルでいいのだが。 あとチェルシーで一番南イタリアに衝撃を与えたのはエヴァさんだったそうな。美人過ぎやろとのこと。




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apple-teaさん

守備面での整備が急務ですね。と言いつつ、2月も終わろうとしているのですが。

ボアスは崖っぷちだと思います。後任候補は?ってゴシップ記事が出てきているくらいですから。ちなみに、あの元リヴァプール監督も名前が挙がっています。

単なる噂ですが、なんにせよボアスが頑張ってくれないと…ですね。

1977さんへ

正直今回は分かりづらい内容になってしまったと思っていました。指摘の通りです。
なるべく文章で伝えたいと思っておりますので、これからもっとスキルを上げていかねばなりません。成長を見守っていただければと思います。

サイドの攻防戦で完敗…チェルシーは何処まで堕ちるのか~ナポリ対チェルシー分析~

チャートが静的すぎて解りにくい解説ですね。
http://d.hatena.ne.jp/pal-9999/
ここなどを参考にゲーム解説を学ぶと良いと思います。

Re:サイドの攻防戦で完敗…チェルシーは何処まで堕ちるのか〜ナポリ対チェルシー分析〜

エヴァさんは美人ですよね〜。
日本人の僕も綺麗だーって思いましたから、
今季最大の補強かも知れません(笑)

僕はボアスさんの解任に反対ですし、長期政権を希望していますが、
今年入ってからの采配を見ると、ちょっと怖いです。
選手の事を過大評価し過ぎです。
選手を信用しているのはわかりますが、
もう少し戦術を明確にして、何をするかをはっきり選手に伝えた方がいいと思います。もちろん試合中は役割が変化すると思うので、そこも伝えて欲しいですよね。
なんか、選手の自主性を尊重しているのか?わからないですが、例えばマークの受け渡しなんてまさに、客観的に見ている監督からの指示があった方がいいと思います。

ボアスさんの力量の無さが際立っているので、もっと頑張らないと、うちのオーナーは気まぐれですから、今は支持していても、いっきなりスポーンって事ありますよね?

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チェルシーとジョー・コールが大好きな新社会人。

サッカーライターを目指していたのだけれど、色々考えるところもあり今はIT系の会社で働いております。
社会人になってサッカーに割く時間が減ってしまいましたが、何とかチェルシーと日本代表は追っていきたいなあと考えているところです。


なお、こちら気まぐれブログとなっております。ご了承ください。
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