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チェルシーの守備に注目しつつ~チェルシー対ユナイテッド分析~

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チェルシーの布陣は4-2-3-1であった。4-1-4-1とは違い、アンカーではなくトップ下を配置する積極策である。 ここ数試合を見てみると、ボアスは得点が欲しい時に、この布陣を採用している。前半4-1-4-1で点をとれず、後半4-2-3-1で攻勢を強める、なんてことが前節と前々節に見られているのだ。 ボアスは攻撃的な姿勢で打って出た。11月以降強豪相手には引いてカウンターの形をとることが多く、それが結果にもなっていたので、自分はユナイテッド戦もそういった戦い方をするものと予想しており、正直かなり意外だった。しかしよくよく考えてみると、ロングボールを収めカウンターの起点となるドログバ、カウンターの申し子(?)ラミレスの両者を、今のチェルシーは欠いている。カウンターは切れ味に欠けるとボアスは判断したのだろう。 というわけで、久々に勝負師としてのボアスを見ることができた。どのようにチェルシーはユナイテッドと戦ったか。守備を中心に考察していこう。 ●トーレス、マタの誘導● ユナイテッドの最終ラインにプレスをかけるのがトーレスとマタの仲良しコンビだ。彼らのプレスの掛け方には特徴があった。 図にするとこのような感じになる↓
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サイドに追いこむというのが、その主たる目的だったように映った。彼らはそのままサイドの守備に参加することも。 ●サイドでのボール狩り●
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マタとトーレスの誘導によりサイドに相手を追いやると、チェルシーはそこからプレスをかけてボールを奪いに行く。 トーレスとマタはサイドに追いやるだけが仕事ではなく、そのままボール奪取に参加する。CBにプレスをかけた後は、SBかCMFに後ろからプレッシャーをかけにいっていた。彼らにはなかなかタフな仕事が与えられていたといえる。 さらに興味深いのは、ボランチとセンターバックの動きだ。彼らがこの試合チェルシーの要となっていた。 メイレレスとエッシェンは飛び出して対面するギグス、キャリックをチェックするか、 サイドの守備に出向く。どちらか一方をバイタルエリアに残して、サイドの攻防に積極的に参加するのだ。てゆうか両ボランチが同サイドの守備に出向いてるシーンも。 さらにセンターバックもサイドのケアに入念であった。チェルシーは積極守備を採用しているため、SBのイヴァノとボジングワも高い位置取りをしなければならないケースが頻発する。その為ユナイテッドの2トップに、SBの裏のスペースを何度も狙われていた。そうでなくとも、ウェルべックとルーニーは積極的にサイドに流れてボールを受けようとする。 しかしチェルシーのCBは中央の守備を思い切って放棄し、サイドに流れるユナイテッドの2トップについていく。 これらの結果、チェルシーはサイドで相手に対し、同数かそれ以上の人数をもって守備をすることが可能に。ユナイテッドからボールを奪取することに成功した。 ●問題点~リスキーな守備であるということ~● まあ、しかし冷静に考えれば危なっかしい守備であることは当然である。逆サイドは手薄で、バイタルエリアは残ったボランチ1人でケア。CBはサイドに出向く為距離間が遠くなる時がしばしばあった。 この試合のチェルシーの守備がガッタガタに見えた人は少なくないはずだ。 前半29分のシーンなんか、この試合のチェルシーの脆さが露呈したシーンだったと言える。 右サイドの攻防だった。同サイドに出向いたルーニーに、ルイスがついていく。しかし、ルイスがルーニーとの駆け引きに負け、裏をとられる。ケーヒルは、逆サイドにやや流れ気味だったウェルべックに気をとられており、結果中央が広く空いてしまっていた。ケーヒルが新加入だったこともあり、連携が不足していた面もあるのだろう。 ただ、守備が時に稚拙に見えたのはサボっているとかそういうのではなく、むしろボランチを酷使していたからだ。彼らからすれば4-2ゾーンで守っているような感覚ではなかったのだろうか。エッシェンとメイレレスというハードワーカーの2人でなければこなせないタスクであった。 ●試合経過と、後半の変化● さて、スコアの方をざっと確認すると、後半途中で3-1とチェルシーがリード!というテンションダダ上がり展開であった。 前半36分にスタリッジがエヴラをぶち抜きクロスをあげると、それがエヴァンズのオウンゴールを誘い、チェルシーが先制に成功する。 後半開始直後にはトーレスのクロスをマタがダイレクトで豪快にネットを揺らし、加点。 さらにルイスがセットプレーからヘッドで得点し、一時には3-0となる。 その後スタリッジがエヴラをPA内で倒してしまい、PKから失点。ルーニーに決められ、先述したスコアになっていた。 後半立て続けに失点したユナイテッドは、攻撃をテンポアップする。そこにチェルシーの選手の疲労が重なったか、60分頃には前半のような積極守備が上手く決まらないシーンが出始めていた。 そこに赤毛の登場が拍車をかける。ポール・スコールズだ。個人的には、正直彼のボール捌きが一番怖かった。だからこそスタメンではなくて良かったのだけれど…。 彼の卒ないパス回しにより、さらに守備が機能しなくなるチェルシー。65分頃にはルーニーに立て続けにシュート浴びる等、相手に深い位置・中央でプレーさせるシーンがさらに目立つようになる。 そして69分、チェルシーがさらにPKを与え、ルーニーに2点目を献上してしまう。尚、このPKは議論の湧くところではあるが、もう過ぎたことなので深くは掘り下げません。 これではいかんと、直後にボアスは動く。スタリッジに変え、ロメウを投入。4-1-4-1に変更し、戦術も守備的に。引いて守りつつ、カウンターから試合を決めようという姿勢になった。 ●チートSBバレンシア● しかし、残念ながらチェルシーは84分に3失点目を喫してしまう。ギグスのクロス→チチャリートというものだったが、そもそものきっかけはスコールズ出場時に右SBに移動したバレンシアのクロスからだった。 バレンシアをあえてSBに配置することで、より攻撃力が増す。マッチアップ相手が守備が苦手はSH又はWGになるからだ。アーセナル対ユナイテッドの試合なんか好例だろう。右SBのバレンシアが、対峙したアルシャビンを抜き去ったことから得点が生まれた。 このチェルシーの失点シーンでも同じことが言える。マルダがバレンシアにぶち抜かれ、フォローに行ったエッシェンも追いつけず。クロスがルーニーに渡り、シュートしたこぼれ球がギグスへ。最後はベテランの一振りをチチャリートがヘッドで合わせ、同点に。スタンフォード・ブリッジはため息でつつまれ、退場するサポーターの姿が数多く見られた。 試合はそのまま3-3で終了。確かに、今のチーム状況をみてもユナイテッド相手に3点奪えるとは想像しづらかった。でもやっぱ勝ちたかったです、はい…。 ●感想● チェルシーの攻撃については思い切って触れなかったけど、やっぱりアタッキングサードでの動きが少ないなあ、と感じる。ユベントスみたいに中央でボールもったら意地でもワンツー狙うとか、解決案を模索していってほしい。ここが改善されると、大分違ってくるはずなのだけれど。 あとロメウ君は少しテンパってた。途中出場でも上手く試合に入り込めるよう、もっとチェルシーで経験詰みましょう。もっとずっと。 それでもポジティブな面も多かった。 ボジングワは左SBで上手くやってくれたし、イヴァノさんの安定感は言わずもがな。そして何よりもエッシェンだ。守備はもちろん、疲れの出てくる時間帯になってもミドルシュートで相手を脅かした。彼とメイレレスの献身的な動きは、まさにこの試合の“要”であった。かれらを軸にした守備はリスクもあったが、全員がさぼることなく献身的に働いており、勝手ながらチームのまとまりを感じている。 ケーヒルも初出場にしては上々だった。風貌がテリーに似ている点も、何となく頼もしい。 さて、落胆している暇はない。4位争いはまだまだ続くし、いよいよチャンピオンズリーグが迫ってきた。逆に言えばユナイテッドをここまで追い詰めたのだから、今のチーム状況を振り返れば決してネガティブな結果とも言えないだろう。けが人も直に帰ってくる。油様にビビらず頑張れ、ボアス。




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Daiさんへ

ほんとそうですね。ボアスは相変わらず厳しい立場が続きますが何とか立て直してほしいものです。まあ、チェルシーが不完全な分議論が盛り上がるのでそれはそれで楽しいと、ポジティブに考えることにしますw

チェルシーの守備に注目しつつ~チェルシー対ユナイテッド分析~

2点目のPKのジャッジはウェブさんということもあり、
とても厳しい判定でしたね(ToT)
でも復帰してすぐにも関わらず、エッシェンの攻守に渡る存在感はすごかったです!!!
これから少しでも多くの勝ち点を重ねてCL出場権は死守してほしいですね。

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チェルシーとジョー・コールが大好きな新社会人。

サッカーライターを目指していたのだけれど、色々考えるところもあり今はIT系の会社で働いております。
社会人になってサッカーに割く時間が減ってしまいましたが、何とかチェルシーと日本代表は追っていきたいなあと考えているところです。


なお、こちら気まぐれブログとなっております。ご了承ください。
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