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スウォンジー対チェルシーを分析してみた

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スウォンジー対チェルシーの一戦。脅威のパス成功率と、ホームで絶対的な強さを魅せるスウォンジーには苦戦必至が予想された。残念ながら、実際この予感は的中してしまう。 ●スウォンジーの攻撃● スウォンジーの魅力は、スウォンジー対アーセナルでふんだんに語ったので、今回はざっとまとめておく。 ① バックパスできるようフォロー。避難ルートを確保する。 ② サイドアタックに人数をかける、バックパス→サイドチェンジも ③ 選手がスペースに侵入して(動いて)パスを受ける ④ 早い攻守切り替えとハイプレス これらがプレミアトップチーム相手にもポゼッションサッカーを実行し、パス成功率が85%を超える大きな理由だ。選手(特に中盤)が積極的に動き、チェルシーのマークを外してスペースでボールを受けることで彼らのボール回しは成り立っている。 だからといって、横パスが多いわけでは決してない。縦パス意識が高いのもスワンズの特徴といえるだろう。それでも高い支配率を誇るのは、すぐに奪い返せる守備力があるからだ。 もしかしたら、ボアスのやりたいサッカーをロジャースはやってのけているのかもしれない。 …と、少し話が脱線してしまった。試合内容をみていこう。 チェルシーは中盤がそれぞれマッチアップする形となっていた。マルダはブリットン、メイレレスはアレン、ロメウはシグルドソンをそれぞれ相手する。 先述したとおり、スウォンジーはボールを受ける為に、スペースへと動く。自分達のMFとDFの間のスペース、ロメウの脇、SHとSBの間とか色んなところに彼らは出没する。 序盤、チェルシーは彼らのパスワークとハイプレスに苦戦していた。ホームチームの勢いに押されていたといえるだろう。それを如実に示すのが前半20分過ぎでの支配率。チェルシーは30%を下回っているのだ。逆にスウォンジーは最高のスタートを切ったといえる。 スウォンジーの印象的な攻撃は9分のボール運びだ。
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(黒矢印が選手の動き、黄色がボールの流れです) マタがCBのコ―カーにプレスに行くが回避され、ランヘルがフリーでボールをもつことに成功する。ここで生じたギャップをスワンズは見逃さなかった。 代わりにランヘルにはマルダがプレスに行く。そうすると今度はブリットンがフリーに。ランヘル→ダイアーを経由してブリットンにボールが渡る。ブリットンにはアンカーのロメウがプレスに向かうが、効果的ではなく、ブリットンはあっさりアレンに横パス。 で、ロメウがブリットンを見ていたということは、シグルドソンが今度はフリーになっていることを意味する。アレンがメイレレスのチェックを回避するためCBの  へバックパス。受けた  はすぐさまシグルドソンへ縦パスを送りチャンスを演出する。 その後シグルドソンからボールを受けたシンクレアがボジングワに阻まれコーナーキックに移行してしまったが、チェルシーに生じた“歪み”を上手く利用した攻撃であった。 しかし、チェルシーも最後はやらせなかった。スワンズの各選手にプレッシャーをかけられていたし、ボールを繋がれてPA内に侵入を許すことはほとんどなかった。ロメウなんかシグルドソンにあまり仕事させなかった印象だ。難敵ダイアーにも数的有利を築いて対応することが多かった。 その代わり、ロングボールとセットプレーからピンチ(というか失点)を結構招いたのだけれど。 ●持ち直したチェルシーだったが…● で、スワンズの攻撃を凌いでカウンターやっているうちに、立て直しに成功する。前半を半分くらい過ぎたあたりから、ポゼッションがチェルシーに傾き始めた。 スウォンジーは深い位置でボールを失えばハイプレスを敢行するが、相手が一度落ち着いてしまったなら、リトリートして中盤からのプレスに切り替える。よってチェルシーが落ち着けるシーンが増え始めた25分あたりからこのような流れになっていった。 チェルシーの攻撃の起点となるのはD・ルイス。中盤はしっかりマークされているので、彼がビルドアップに積極的に参加する。ドリブルからクロスを上げチャンスを演出したり、質のいいロングボールを供給するなどやっぱり攻撃のセンスは高い。だから、彼の攻撃参加は個人的に全然アリである。アリであるのだけれど、頼むからオーバーラップし終えた後は全力で戻ってきてください。 でまあ、流れを掴み掛けていたチェルシーなんだけれど、セットプレーから被弾してしまう。決めたのは元チェルシーのスコット・シンクレア。失点してしまったのだけれど、彼の喜ばないゴールパフォーマンスには敬意を感じた。 ちなみに失点したセットプレーは、マタがランヘルを倒してしまったことがきっかけとなった。倒したシーンで思ったことは、マルダフォロー行ってやれよってことかなあ。 流れは傾きかけていたものの、思わぬ失点を喫してしまったチェルシー。ビハインドの状況で前半を折り返すこととなる。 ●後半~60分過ぎでポゼッションが70%を超えた理由~ 後半、チェルシーはより積極的なプレッシングに打って出る。布陣もマタをトップ下、マルダを左に置く4-2-3-1に変更した。理想としてはこういうプレッシングをしたかったのかな、と。
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アンカーがいなくなったため、浮いたシグルドソンはおそらくCBが飛び出して抑えるようにしていたのだと思う。 で、お気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、「理想」とか「思う」とか言っちゃってるように、チェルシーのディフェンスは完璧なものではなかった。頻繁に下がってボールを受けるブリットンは、度々フリーになるし(その為マタの負担が増していた)、シグルドソンがドフリーでボールを受けることもしばしば。機能美とかいうフレーズは全く当てはまらなかった。図に当てはまるのは61分30秒ごろのプレスだが、あまり多く見られたわけでは決してない。 しかし、このプレッシングは結果としてスウォンジーを押し込む要因となったのだから面白い。私はいい意味でも悪い意味でも、チェルシーのディフェンスはがむしゃらだったと思っている。前の試合でもこんなこと書いたな。後半ながら、選手はよく走っていた。ファールで止めることも多かったけれど。 特にロメウはセカンドボールを拾った相手を素早くチェックし、カウンターを阻止していたし、メイレレスは異常なパスカット成功率を誇っていた。実は守備上手いの?って思えちゃうくらい。ボランチのハードワークなしにこの試合は語れないだろう。 逆に、このプレスをかわしきれないのはスウォンジーがあくまで昇格組であることを意味しているもかもしれない。最も、スウォンジーは引いて守ることもできるチームだ。結果、チェルシーはボールこそ奪えど、恒例であるフィニッシュのアイデア不足に悩まされることとなる。 ●チェルシーの攻撃● チェルシーの攻撃はというと…強引なクロスが多く、PA手前にアイデアが溢れることは相変わらず少ない。 それでも後半の変化を挙げるとするならば…こうかなと。 トップ下に入ったマタは、右側によく出現するようになる。なので、後半は右からの突破が目立った。ちなみに、前半は左からの攻撃が多かった。理由は、マルダとかルイスの存在もあったけど、主には後半のと同じ。やはりこの男がいるところにボールが在るんだな、と。 じゃあなんで右からの攻撃を増やしたかといえば、自分はシンクレアの存在かなあと推理する。先制点も決めた元チェルシーのシンクレアだが、正直守備は下手だった。というか左SBの  も微妙だ。たびたびチェルシーは右サイドの奥へと侵入するができた。 結果、ボジングワのオーバーラップが効果的に働くのである。この試合彼は何度も駆け上がってはドリブル、クロス、ミドルシュートでチャンスを演出…できないことも少なくなかったけど…していた。一月は移籍で揺れたであろう彼だが、気を吐いたプレーを行っていたことは間違いない。 そして彼のハードワークがロスタイムに同点弾を生む。ドリブルでPA内に侵入したボジングワは、クロスを選択。しかし、その蹴ったボールが相手DFに当たると、ボールはキーパーを避けるようにネットに吸い込まれていった。 ボジングワはシンクレアを完封もしていたし、この試合はもっと評価されるべきだろう。ポジションは違えど、後ろにはケーヒルが構えている。レギュラー争いがいい効果を生んでるのかもしれない。 ●感想● 正直もっとひどい試合になると思っていた分、ショックは少なかった。勝ち点1と0とでは雲泥の差がある。アーセナルで拾えなかったウェールズの地で、よく勝ち点をもぎ取ったといえるかもしれない。マクエクランはここで修業を積むことになるが、中盤はいい選手ばかりだ。頑張って使われて、成長して戻ってきてほしい。 チェルシーは今週ユナイテッド戦である。…怖い。バレンシアを抑える役目は誰になるのだろう。言い忘れてたけど、コールはスワンズ戦で退場してしまい、赤い悪魔と戦うことができない。バートランドがボジングワだが、ボアスはどちらをチョイスするだろう。 戦術としてやることは決まっている。カウンターだ。シティ戦やバレンシア戦のような試合運びに期待。 スワンズで印象的だったのはダイアーの守備。隣のシンクレアと違い、こちらは熱心なハードワークが目立った。中央に介入し、メイレレスへプレスをかけたり、ランヘルより下がって守備をすることも少なくなく、攻撃力含め彼が将来ビッククラブへ行くことは間違いない。ブリットンやアレンにもその可能性はあるだろう。逆に言うと、このスウォンジーが見られるのは今だけかもしれない。白鳥の美しい舞いをどうか見逃さないよう、この昇格チームに注目してほしい。




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プレミアリーグ
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チェルシー
スウォンジー

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チェルシーとジョー・コールが大好きな新社会人。

サッカーライターを目指していたのだけれど、色々考えるところもあり今はIT系の会社で働いております。
社会人になってサッカーに割く時間が減ってしまいましたが、何とかチェルシーと日本代表は追っていきたいなあと考えているところです。


なお、こちら気まぐれブログとなっております。ご了承ください。
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