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良いところもあったQPR対チェルシー

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 FAカップ、QPR対チェルシーの一戦である。“ある事件”が、物議を醸していた。前回対戦における、テリーのA・ファーディナンドに対する人種差別的発言である。その後テリーが起訴される事態になったことからも、ことの重大さが伝わるだろう。
 このFAカップの試合前には、両チームがファンをなだめる声明を発表する等、安全な試合作りに最善を尽くしていた。しかし、A・ファーディナンドの元に銃弾が届くなど決して事態が沈静化したわけではなく、不安をぬぐいきれないままロフタス・ロードの門はひらかれることとなった。

 と、いうわけで両チームスタメンはこちら↓(ホールとファーディナンドの位置が逆です、すいません)
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 チェルシーはアンカーにメイレレスを配置。新加入のケーヒルはベンチスタートとなった。後印象的なのはマルダの起用か。左サイドの活性化が期待された。 ●前半の展開●  QPRはあまりハイプレスを行うシーンはみられず、その為チェルシーは最終ラインでボールを保持することができ、ポゼッションにおいて相手を上回ることに成功。しかし、そこから相手を崩すのに苦労するという最近恒例のパターンに入ってしまう。    まずアンカーに入ったメイレレスは、相手2トップのチェックに苦しむ。スミスとヘルグソンは、ボールを保持したCBとメイレレスをチェックする。さらにCBにプレスを行う際にも、メイレレスへのパスコースを切りながら詰め寄るので、当然メイレレスへボールを渡すことが難しくなるのだ。  というわけで、他の選手がボールを受けにくる必要がある。そこで利用したのがこのゾーンだ。
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 メイレレスの両脇のゾーンである。ここにラミレス・マルダやマタが下りてパスを受け、チェルシーはボールを運ぶ。QPRのCMFは無理にプレスに行くことはなかったので、チェルシーの選手はこのゾーンを積極的に活用していった。  メイレレスが一瞬の隙をつき、このゾーンに侵入しパスを受けチャンスを演出するというシーンも。 ●ギャップをつくるサイド攻撃●  最近のチェルシーの攻撃傾向として、サイドアタックに比重をかけるシーンが目立つ。CMFが積極的にサイド攻撃に参加する、右サイドではマタが絡む等して、人数をかけてサイドを崩すパターンだ。サンダーランド戦も、クロスからランプスのゴールが生まれている。ただ問題点としては、中央突破・バイタルエリアに侵入する動きが少ないこと、クロス精度があまり高くないことが挙げられるか。またちょっとした矛盾もあった。マタがポジションレスに動くため、左サイドの攻撃でアシュリー・コールが孤立することだ。  では、この試合ではどうだったのか?    結論からいうと、チェルシーは左サイドを中心に分厚いサイドアタックを行っていった。おそらくマルダの起用が功を奏していたのだろう。先述したビルドアップはもちろん、マタが下りる→相手右SBが釣られる→マルダが空いたスペースに飛び込むというシーンが何度もみられた。ランパードは下りてボールを受けるか、ゴールへ向かった動きを行うが、マルダは元来主戦場とするのがサイドだけあり、積極的に流れてサイド攻撃に厚みをもたらす。自分は、ボアスがマルダを起用したのはサイドアタックの活性化の為とみている。  もちろん、マルダ以外の選手も積極的にサイド攻撃に参加する。例えば先ほど指摘したマタが下り、マルダが追い越すプレー。このマルダと同様の動きをコール、トーレスも頻繁に行っていた。チェルシーはヤングの空けたスペースを非常に意識していたといえる。L・ヤングはマタに対しマーク意識が高かったので、そこを上手く利用したといったところだ。マルダ、マタ、コールさらにはトーレスも加わることで、密度のあるサイド攻撃を披露していたといえるだろう。スタリッジなんかしばしばPA内に侵入してフィニッシュに絡もうとするので、左からの攻撃は効率がいいのかもしれない。バランスは、悪いけれど。
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(黄色の●はボールです)  31分にはこの攻撃からチャンスを演出してみせた。マタが左サイド・ハーフラインを少し越えた位置でパスを受ける。右SBのヤングが追ってきた為、本来右SBのいる位置にスペースが生まれる。そのスペースにトーレスが侵入、今度はCBのホールが追いかける。ホールがトーレスを追っていったため、ヤングが右CBの位置に入り、穴埋めを行う。アシュリー・コールがオーバーラップし、敵右SHのマッキ―がこれについていく。結果、マタがフリーになり、プレッシャーなくボールを受けることに成功。慌ててQPRのDFがマタのプレスに向かうが、その結果ニアゾーンに侵入したアシュリー・コールがフリーに。すかさずマタがボールを送り、受けたアシュリーがクロス。これが合わずネットが揺れることはなかったが、チェルシーにとっては理想的な攻撃だったといえるだろう。  38分の攻撃も印象的であった。右サイドからだったが、メイレレス、マタが絡んで質の高いサイド攻撃を演出している。スタリッジがふらふらと中央に移動することで、左SBのヒルがつい付いていってしまう。で、空いた左SBのゾーンにマタが侵入して、メイレレスからパスを受ける。ブザキはラミレスをチェックしていたが、慌ててマタを見る。結果、今度はラミレスがフリーに。マタがボックス内に侵入したラミレスにスルーパスを送り、チャンスを作った。
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このように、サイド攻撃からギャップをつくり、空いたスペースを有効活用できていたことはポジティブな点だろう。 ●後半~2度のフォーメーションチェンジ~●  後半になると、フォーメーションを4-2-3-1に変更。理由は2つある。 1つは単純に、アンカーをなくしてトップ下を配置し攻撃に枚数を割く、前プレを厚くするという目的があっただろう。後半ボアスは勝負にでた、リスクを冒してきたともとれる。  もう1つ考えられるのは、ビルドアップを楽にしたかったのかな?っていうことだ。ボランチを1人から2人にすることで、ビルドアップに割く人数を増やす。その結果ビルドアップの質を上げる&メイレレスを活かす目的があったのかなと感じた。確かリバプール戦の前後半でもこのような交代が見られたはず。実際、左側でメイレレスがボールを捌くシーンが多くみられるようになっていた。  まあでも、後半のチェルシーはカウンターから仕掛けることが多かったので、ボアスがビルドアップに重点を置いたかは、正直微妙だったりもする。  得点となったPKもカウンターからだった。ラミレスがドリブルでボールを運びマルダ→マタ→スタリッジとボールを送る。終点のスタリッジが倒されて、ホイッスルが鳴る。  このPKをマタがしっかり沈め、チェルシーが苦しみながらも先制に成功。1-0とした。  得点後、チェルシーは布陣を4-3-3に再変更。やっぱりボアスにとって4-2-3-1は攻撃的なオプションなんだなあという印象。試合はそのまま動かず、チェルシーが何とか勝利を収めたとさ。 ●感想●  50分のようなシーンがもっと増えてくれればと思っている。サイドでもったマタが手薄になった中央(マルダ)へ送る。受けたマルダはスルーパスを、再びダイアゴナルランでPA内に侵入したマタへ。まあ、オフサイドだったのだけれど…。こういう中央突破がチェルシーの攻撃の選択肢に加わってくれば、面白くなるはず。  個人的なMOMはアシュリー・コール。マルダとマタという守備に不安のある2人がいる左サイドは、ピンチになることも多かった。相手の攻撃の核であるSWPも、右サイドに配置されていたし。アシュリー・コールがいなければ、踏ん張りが効かなかったかもしれない。攻撃参加だけでなく、守備においてもその存在感は素晴らしかった。    マルダはそこまで悪くはないと思っている。ドリブルに期待はできないけど、ビルドアップへの貢献度は少なくない。スペースを見つけるのもなかなか。試合中フォーメーションを変更できるのも利点だろう。ただ、ボールの受け方に、ちょっと視野の狭さを感じるかな。  また、ラミレスは約1カ月の離脱だそうだ。チャンピオンズリーグは厳しいかもしれない。エッシェンやロメウの奮起に期待したいところ。  最後にピアゾン君が1stチームに帯同したそうな。カカ2世はどんなプレーをするのか、チャンスがあれば見てみたい。




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チェルシーとジョー・コールが大好きな新社会人。

サッカーライターを目指していたのだけれど、色々考えるところもあり今はIT系の会社で働いております。
社会人になってサッカーに割く時間が減ってしまいましたが、何とかチェルシーと日本代表は追っていきたいなあと考えているところです。


なお、こちら気まぐれブログとなっております。ご了承ください。
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