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3度目の対決の行方は~シティ対リバプール(C・C)分析~

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カーリングカップ準決勝1st Leg、シティ対リバプールの一戦。場所はシティのホーム、エディハド・スタジアムである。これで今シーズン3度目の対戦となる両者。成績はシティの1勝1分け。 チーム事情に言及すると、両方ともエースを欠いた。スアレスは人種差別的発言により出場停止中。シルバは負傷による欠場だ。代役を務める選手が、彼らの穴をいかに埋められるか。特にリバプールのキャロルは、その低調なパフォーマンスからニューカッスルへの帰還が報じられる等、新年早々正念場を迎えている。前回対戦では、キャロルは孤立。スアレスとの違いを改めて感じたサポーターも多いはずだ。私自身、キャロルに対し、孤立させたチームの非も踏まえたうえで、このブログで彼に厳しい視線を投げかけた。 しかし、リバプールには朗報があった。キャプテン、ジェラードの本格復帰である。さらに暴行事件により出場が危ぶまれたダウニングも左SHで先発。スアレス不在を除けば、ほぼベストメンバーで敵地に乗り込んだ。 対するシティはシルバに加えAFCによりトゥレ兄弟が、さらに退場処分によりコンパニが不在。DF・MFの要がごっそり抜けてしまった。なのでCitizensのサポーターには一抹の不安があったかもしれない。代役となるA・ジョンソン、デ・ヨング、サビッチへの奮起に期待、といったところだろうか。 前置きが少々長くなってしまった。試合分析に移っていこう。それにしても最近シティは赤いチームとよく戦うわな。 ●両チームの守備を見てみる● ~シティ編~ シティはハイプレスサッカーを展開。先に行われたFAカップでのユナイテッド戦前半と同じ戦術だ。今シーズンから見られるシティの新たな戦術カードである。 しかし、この戦術がリバプールに効果的だったかと言えば疑問が残る。理由はとても単純で、シティが最前線のプレッシングにおいて数的優位を築けなかったからだ。 リバプールはビルドアップの場面において、CBを大きくひらかせた。そうすることで、次のような場面が発生する↓
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アッガーに注目。ドフリーである。理由はバロテッリにスピーリングをチェックさせているから。もちろんこれがダメだとか、そういうのではない。CMFにスピーリングをチェックに行かせていない分、リスクを考慮したハイプレスと呼ぶべきだろうか。ただ、これによりシティはリバプールの2CB+DMF(+GK)に対し、2トップでプレスをかけなければならない。結果として、シティのプレスに“厚み”はあまり感じなかった。 最初のプレスをかいくぐられることが多かったシティだったが、高いラインを保ちコンパクトネスを維持。リバプールから中盤のスペースを奪う意図が見られた。最終ライン裏のスペースは空いたが、キャロルの走力も考慮していたのだろう。 この守備戦術は、リバプールに対し有効だったといえる。縦パス意識の高いレッズは、シティのプレスの前に窮屈なプレーが目立ち、なかなか決定機を作れなかった。 それでも先制したのはリバプール。12分、PKによる得点だ。コーナーキックから、ジェラードの蹴ったボールをPA内でアッガーが胸トラップ。慌てたサビッチがアッガーを倒してしまい、ホイッスルが鳴った。サビッチとアッガーは接触していないようにも見えたが、サビッチの足裏を見せたプレーは悪印象だったのだろう。シティとしては、少し運も足りなかったか。 ~リバプール編~ というわけで、、立ち上がりの先制に成功したリバプール。では次に彼らの守備はどうだったのか。こちらは前回対戦と比べて若干積極的に打って出た印象だ。前回はシティのCMFがボールを持っても、彼らがハーフラインを超えてくるまではじっとプレスに行くのを耐えていた。しかし、今回は彼らがボールを持つとジェラード、ヘンダーソンがすぐ詰め寄る。シティのCMFにパスの選択肢を狭める、窮屈なパスをさせることを意識していた。 しかし、これは今シーズン最初のシティとの試合、つまり1-1で引き分けたアンフィールドでの戦いでダルグリッシュが用いた戦術である。この時は、引き分けに終わったもののリバプールがぎりぎりまでシティを追い詰めた。ハートでなければ…というシーンが何度あったか。 やはり、シティ戦の対策はCMFを自由にさせないことにあるのかもしれない。そのことがキャロルの守備に垣間見える。 この試合のキャロルの役割は相手CMFの(ボールに近い方)をマーク、又は彼へのパスコースを切ること。つまりキャロルにもシティのCMFを見張らせたのだ。
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キャロルがCMF1人を見てくれるので、ジェラードかヘンダーソンどちらかを下げることができる。その為バイタルエリアに人数を割くことができ、それがスピーリングの守備負担を軽減することに繋がるわけだ。もっとも、スピーリングはアンカーとしてルーカスの不在を感じさせないパフォーマンスを見せており、決して彼1人にDFとMFの間を守らせることに不安があるわけではない。キャロルがCMFのプレスに行けなかったり、上がってきたシティのCBにプレスをかけなければならないシーンもでてくるわけで。むしろそういう時でもヘンダーソンとジェラード2人は思い切ってプレスを敢行しており、これは23歳の英国人に対する高い信頼感を伺わせる。 このように、非常に精力的で好印象なプレーを行うスピーリングだったのだが、残念なことに前半23分に負傷交代。代わりにアダムが投入された。ルーカスに続いて彼までいなくなったら、今後中盤の黒子役は誰が務めるのだろう。 アダムはそのままアンカーに入ったが、やはり守備面におけるスピーリングとの差を露呈。彼では下がってボールを受けるバロテッリ、アグエロを捕まえ切れない。なので、シティは縦パス本数が増加。リバプールを押し込んでいく。 これにより、リバプールは「相手CMFへのプレッシング」の優先度を下げざるを得なくなる。リトリート、PA手前のブロック形成に意識を高め、CMFへのプレスは2の次とした。この結果キャロルがバリーとデ・ヨング2人をチェックするという理不尽な負担を背負わされることに。それでもキャロルは精力的な守備を見せたが、当然プレスをかけきれるわけがない。結果、シティのCMFがある程度の自由を得たことにより、シティがポゼッションを高めていった。尚、ポゼッションを高めた理由としては、先述したシティの守備のコンパクトネスも挙げられる。 結局アダムへの交代は一見攻撃力の上昇に繋がったようにも見えたが、CMFの守備負担が増し、それまでの積極的な守備ができなくなってしまった。ダルグリッシュはより守備的な戦術にシフトせざるを得なくなってしまったわけだ。 しかしシティの攻撃にもこれまでのようなクオリティを感じたわけではなかった。まずY・トゥレの不在が、ビルドアップのレベルを一段階下げているlことは否めない。デ・ヨングも案外器用な選手ではあるが、Y・トゥレと比べると攻撃力差は歴然である。 さらに、攻撃面でもコンパニ不在の影響が響いているのではないだろうか。彼は積極的に上がってビルドアップにも貢献してくれる。サビッチ、レスコットのコンビでは組み立て時の補助力に欠ける印象だ。 前線ではやはりシルバの存在が恋しくなる。リバプールがプレスラインを下げた前半途中からは、最後の崩しに苦戦。前半39分にナスリが投入され若干の改善は見られたが、彼はシルバとプレースタイルが似ているだけに、サポーターはその“差”を感じざるを得ないだろう。 この流れは後半になっても変わらず。変更点があるとすれば、シティの守備か。DMFに対し、バリーがプレスをかけにいくように。後方はデ・ヨングに任せ、前線でのプレスに参加するようになった。 これが功を奏した形が56分のシーンだ。前プレからリバプールを追いこむと、ケリ―のバックパスを誘発。PA内でアグエロにボールが渡りレイナとの一対一を迎えたが、ゴールには至らず。しかしこれまででシティ最大のチャンスを演出した。 しかしその後シティには数えるほどのチャンスしかなかった。CMFは自由を得ている為、アグエロ、ナスリに縦パスをだせるがそこから決定機を演出できない。もちろん、リバプールが引きこもるので受け手のスペースが窮屈になるというのはあったが。 途中からはA・ジョンソンに代えてジェコを投入し、縦パスの選択肢の拡大とクロスの威力増を狙ったが得点には至らない。 終盤リバプールはべラミーを下げキャラガーを投入。さらに分厚くなった赤い壁をついにシティは崩せず、0-1のまま試合終了。ホームで敗北を喫することになってしまった。 逆にレッズは敵地で勝利&クリーンシートを達成。スピーリングだけでなくダウニングも負傷してしまったが、ほぼ理想的な形でアンフィールドでの2nd Legを迎えることに成功している。 ●感想● スピーリングは負傷交代してしまったわけだけど、逆にそれが彼の存在感をより強く感じさせた。好パフォーマンスを見せていたルーカスだが、帰ってきたら激しいポジション争いに身を置くことになるかもしれない。 キャロルは前回よりも動いてパスを受けるシーンが増えた印象だった。だが、肝心のポストプレーはまだまだ収まっていない。個人的には得点よりもポストプレーの成功率上昇が鍵を握っている気がする。守備では精力的だったが、それが響いたか終盤では攻撃時に足が止まるシーンが目立った。まだまだ新城帰還説を拭い去る活躍には至っていない印象だ。 シティはY・トゥレの代役急務といったところか。ミルナーをCMFで起用してもいいかもしれない。デ・ヨングも悪くなかったけれど。




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チェルシーとジョー・コールが大好きな新社会人。

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