2010年12月20日
今回のレポートは、クラブワールドカップの決勝、インテルとマゼンベの一戦。
Preview : DRコンゴからのファイナリスト
2005年に日本で開催されて以来、「12月といえば、クラブワールドカップ(CWC)」というイメージが定着した。そして、欧州対南米の決勝も当たり前のように思われている。スペイン、イングランド、イタリアのチームとブラジル、アルゼンチン、エクアドルのチームで争われてきたファイナル、今年は、コンゴ民主共和国(DRコンゴ)という、サッカーファンに馴染みのない国のクラブが登場した。
外務省のホームページによると、DRコンゴは、「歴史的な部族対立・天然資源を巡る武装勢力の対立、周辺国の介入等」で不安定な情勢が今でも続いている。特に東部地域は、イラクのほぼ全域と同様の、「退避勧告」が政府から出されている。その地域から少し離れた南部の国境沿いの街、ルブンバシを本拠地とする、マゼンベが、欧州王者に挑む。
マゼンベは、確かに4度アフリカ王者に輝いているが、決勝の舞台は夢のまた夢だったに違いない。昨年も出場したが、6位に終わっている。調べてみた限り、チームに劇的な変化があったとは思えない。しかし、この大一番はもはや夢ではない。ワールドカップ(WC)で主役になりきれなかったアフリカ。大会は違うが、世界中にインパクトを与える絶好の機会である。
では、マゼンベのスターティングメンバーの紹介を。キディアバ、カススラ、ミハヨ、キムワキ、ヌクルクタ、カソンゴ、エカンガ、ベディ、カルイトゥカ、シングルマ、カバング。南米王者を破ったメンバーとまったく同じである。その準決勝でゴールを決めたのは11番のカバングと15番のカルイトゥカ。ハイライトで見たら、カバングのシュートの巧さが光っていた。ちなみに11人中9人がDRコンゴの選手。
一方、インテルのスタメンは以下の顔ぶれ。J・セザル、マイコン、ルシオ、コルトバ、キヴ、サネッティ、カンビアッソ、T・モッタ、パンデフ、エトー、D・ミリート。対戦相手と真逆で、イタリア人は0人。また、オランダ人の主軸、スナイデルは準決勝の負傷でアウト。ベニテス監督は、リバプール時代の2005年に手が届かなかったCWCのタイトルを勝ち得ることができるか。
1st half: 早い時間で背負ったビハインドと手詰まり感
マゼンベの選手は、キックオフの前にゴールライン上で、祈りを捧げていた。その祈りを一蹴するように、早くも欧州王者が力の差を見せ付ける。13分、エトーが出したパスをセンターバックがクリアできず、ボールは後ろに走り込んでいたパンデフへ。これを冷静に決めて、インテルが先制する。
マゼンベは1点を取られた後、どう出るのか。それを観察する間すら、イタリアの名門は与えてくれない。アフリカのチームの動揺に付け込もうと考えたのか、インテルの選手は高い位置でプレッシャーをかける。右サイドでカンビアッソが奪うと、サネッティを経由して、最後は中央のエトー。右足で合わせて、ゴール左隅に決まった。2点ビハインドはしんどい。
アフリカチャンピオンは、インテルのように少ない手数でゴールを奪えるわけではない。守備をこじあけるのは容易ではないが、右サイドから果敢に仕掛けるカバングとシュートへの意識が高いカルイトゥカを中心に攻めるしか術はなかった。0-2と、欧州王者にリードされて、試合は折り返し。
2nd half: 2人に依存した攻撃の限界
後半に入っても、マゼンベは思うように攻められない。サイドを起点にしてパスをつなぐ、いわゆる綺麗なサッカーをしようとしているが、スピードに欠けるので、相手にとっては守りやすい。綺麗にボールを動かすのも良いが、もっと荒削りなところがあってもよかったと思う。攻撃は、右サイドのカバングからのクロスと、それに合わせるカルイトゥカのシュートというパターンに限定されている。テクニックのあるカバングが、もっとゴールに近い位置でプレーできれば、面白い展開になっていたかもしれない。
ポゼッションを高めて、準決勝と同様に試合を「殺しに」かかったヨーロッパチャンピオン。85分に途中出場のビアビアニーが裏へ抜け出して、GKをトラップでかわして、ダメ押しの3点目を奪った。DRコンゴのクラブチームが、CWCを制覇する可能性はこれで完全についえた。3-0でインテルが完勝し、45年ぶり3度目の世界王者に輝いた。
Review: 世界王者の課題とアフリカの熱
CWCで結果を残せなければ、監督の座を追われていたかもしれないベニテス。とりあえず無事に年を越せそうだが、セリエAで失った勝ち点をハイペースで取り戻さないといけない。エトーは相変わらず好調だったが、D・ミリートはこの試合で2度あったGKとの一対一を決めきれなかった。アルゼンチン人ストライカーが調子を取り戻さないと、19度目のスクデットはかなり厳しくなる。またスナイデルが負傷してしまったが、ただでさえ今シーズンは多くの負傷者が出たので、チーム全体のコンディション管理にも一層努めなければならない。
そして、マゼンベについて。インテルとの差はあまりに大きかったが、世界中にDRコンゴから存在感を示すことはできた。それだけで大変な偉業である。マゼンベのCWC決勝進出、南アフリカ共和国でのWC開催と、2010年はアフリカの年だったとも言える。
エトー(カメルーン)、ドログバ(コートジボワール)、エッシェン(ガーナ)、ピーナール(南アフリカ)と欧州で活躍する選手は多いが、チームとしての完成度が低いというアフリカに対するイメージは、先のWCで覆せたとは言えない。しかし、アフリカの国々もクラブも選手もサポーターも時間とともに成長していく。その為に必要な熱、今年ほど高まった年はないと思う。
来年はCWCが日本に戻って来る。マゼンベの選手がより野心を持って、リベンジを狙って極東に乗り込んで来るのか、また別のアフリカのチームがやって来るのか。私は、成熟したマゼンベを来年も見てみたい。
長文でしたが、読んでいただいてありがとうございました。読んだ感想をコメントしていただけると嬉しいです。なるべく早く返信できるように頑張ります。
posted by 香椎 |15:30 |
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2010年12月18日
今日のレポートは、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメント1回戦の組み合わせ抽選会について。
CLのグループリーグを突破したのは以下の16チーム。トッテナム(イングランド)、インテル(イタリア)、シャルケ04(ドイツ)、リヨン(フランス)、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)、バレンシア(スペイン)、バルセロナ(スペイン)、コペンハーゲン(デンマーク)、バイエルン(ドイツ)、ローマ(イタリア)、チェルシー(イングランド)、マルセイユ(フランス)、レアル・マドリード(スペイン)、ミラン(イタリア)、シャフタール・ドネツク(ウクライナ)、アーセナル(イングランド)。
グループリーグに大きな波乱はなかったといってよいだろう。16チームを国別に分けると、イングランドが4、スペインが3、イタリアが3、ドイツが2、フランスが2、デンマーク・ウクライナがそれぞれ1。近年の欧州の舞台で存在感を高めつつあったロシアが0というのが、少し意外であった。
さて、日本時間20時から抽選会がスタートした。進行はUEFA事務局長のジオンニ・インファンティノ。最初に、現在開催中のクラブワールドカップ(CWC)について触れた。欧州王者の4連覇となるのだろうか。そして、コペンハーゲンやシャフタール・ドネツクのグループリーグでの健闘を称えた後、決勝トーナメントに進んだ16チームを紹介する映像が流れた。
今シーズンのCL決勝の舞台は、ロンドンのウェンブリー。42年前、マンチェスター・ユナイテッドに初のチャンピオンズカップ(当時)をもたらした、サー・ボビー・チャールトンの映像が続いて流れた。イングランドの3チーム、特にロンドンが本拠地のアーセナルとチェルシーは悲願のCL初制覇を目指しているはずである。
そして、UEFAディレクターのジョージ・マルケッティが決勝トーナメントの組み合わせについて説明。各グループリーグ1位のチームと2位のチームはそれぞれ別のポットに振り分けられる。その上で同じ国のサッカー協会に所属するチームの対戦はない。説明が終わり、いよいよ抽選が始まった。
ドローの手順として、まず2位のチームのポッドを引いた後に、1位のチームを抽選するものである。最初に、名前を読み上げられたチームはローマ。対戦相手はシャフタール・ドネツク。2シーズン前のUEFAカップ(現在のヨーロッパリーグ、EL)王者である。ローマを応援している私にとって悪くないが、ELの試合と言われても、納得いくような組み合わせでもある。
続いて呼ばれたのはミラン。1位グループのチームは当たりたくないだろう。対戦相手はトッテナム。先の映像で「面白いサッカーをするチーム」と紹介されたスパーズだが、確かに面白そうである。ベイルをなんとかしないと、インテルの二の舞になるかもしれない。
3試合目の抽選はバレンシア(スペイン)とシャルケ(ドイツ)。今シーズンのCL決勝トーナメントのピッチに立つ日本人は、おそらく内田だけだろう。徐々に調子を上げているシャルケ、ベスト8進出に期待したいところ。
そして、現在CWCを戦っているインテル(イタリア)の名前がここで呼ばれた。くじを引く可能性があるのは、レアル・マドリー、バルセロナ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、バイエルン。どこも厳しい。3冠をもたらしたモウリーニョ監督のチームと当たってほしいと期待していたが、なんとバイエルン(ドイツ)。5月のCL決勝の再現となった。バイエルンはリベンジに燃えているはずである。
5試合目の抽選は、リヨン(フランス)。対戦相手が読み上げられた瞬間、複雑な思いを抱いた人がどれだけいるだろうか。レアル・マドリー(スペイン)は、昨シーズンの悲願だったサンチャゴ・ベルナベウ行きを阻止したフランスのチームと再び顔を合わせることになった。7年連続で決勝トーナメント1回戦敗退は避けたいが、その7年間でレアルはリヨンと6度対戦して、一度も勝てていない(3分3敗)。
因縁のカードが続く中、まさかの2位通過となったアーセナル(イングランド)に選択肢は残されていなかった。残った3チームのうち、2チームがイングランド勢。昨シーズンの準々決勝の再現、バルセロナ(スペイン)とまた対戦することになったガナーズ。今シーズンのバルサ移籍を諦めたセスクは何を思うのか。
7試合目の抽選、最初にチーム名を読み上げられたのはマルセイユ(フランス)。残った2チームのうち、チェルシーとはグループリーグで対戦しているので、選択肢はマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)しか残っていない。マルセイユは3年連続グループリーグ3位で、決勝トーナメントに進めなかったので、今シーズンはできるだけ上を目指しているだろう。ただ、トーナメント1回戦の壁は高そうである。
最後、8試合目はコペンハーゲン(デンマーク)と残ったチェルシー(イングランド)の対戦。不調にあえぐチェルシーとしてはミラノ勢を引き当てずに済んで、一安心といったところか。
こうして、決勝トーナメント1回戦8試合の組み合わせが決まった。3試合は昨シーズンの再現で、他にもローマとドネツク、バレンシアとシャルケは過去5シーズンのCLで対戦経験がある。思わずツイッターでもつぶいやいたが、新鮮味のないカードが並んだというのが正直な感想。逆に因縁試合を楽しめると言えば、それまでだが。
まだ先の話になるが、決勝について。13年前のドルトムント以来、決勝の舞台である国の代表はCLを制覇できていない。イングランドの3チーム、特にアーセナルとチェルシーは是が非でもウェンブリーに行きたいはずである。そして、CL連覇となると、21シーズン前のミランまで遡らないといけない。決勝で、こうした付加価値があれば、さらに盛り上がるはず。ただ、私はスペインの2強のどちらかとイングランド勢のいずれかで「ビッグイヤー」を争う決勝になることを望んでいるか、果たして。
長文でしたが、読んでいただいてありがとうございました。読んだ感想をコメントしていただけると嬉しいです。なるべく早く返信できるように頑張ります。
posted by 香椎 |00:54 |
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2010年12月17日
「負けた…」
12月14日の深夜、部室にて。後輩とトランプをしていたら、別の部室で、クラブワールドカップ(CWC)準決勝を戦うインテルナシオナル(ブラジル)を応援していた先輩から結果を聞いた。試合を見たかったが、空気を読まずにトランプを抜ける勇気がなかった自分に少し後悔している。それはともかく、欧州×南米というCWC決勝の構図が遂に崩れた。サッカーほど番狂わせがあるスポーツもないが、まさかである。
そして、準決勝のもうひとつ。番狂わせは、むしろここで起こるのではと思っていた。セリエAでも欧州チャンピオンズリーグでも苦戦中のインテル(イタリア)。モラッティ会長が見守る中、アラブ首長国連邦でベニテス監督が仕事を失ってしまうのかに注目が集まっている。
インテルと対戦するのは、アジア王者の城南一和(韓国)。ソウル特別市の南に位置し、100万人弱の人口を抱える街、城南を本拠地としている。川崎フロンターレとグループリーグで同居し1勝1敗、ガンバ大阪を決勝トーナメント1回戦で破っている。ちなみにKリーグは5位でフィニッシュしており、過密日程に苦しめられた模様。もし城南が勝てば、アジアとアフリカのチームで「世界一」の称号を賭ける決勝になる。奇妙な構図だが、こんなシナリオになり得るのが、CWCの面白みかもしれない。
では、インテルのスターティングメンバーの紹介を。J・セザル、サネッティ、ルシオ、コルトバ、キヴ、スタンコビッチ、カンビアッソ、スナイデル、パンデフ、エトー、D・ミリート。ほぼベストメンバーといえる。裏を返せば、言い訳ができない面々である。
一方、城南のスタメンは以下の顔ぶれ。チョン・ソンリョン、コ・ジェソン、オグネノブスキ、チョ・ビョングク、キム・ソンファン、ホン・チョル、モリーナ、チョ・ジェチョル、チェ・ソングク、チョ・ドンゴン、ラドンチッチ。GKのチョン・ソンリョンは韓国代表で、10月の日本戦にも出場していた。また、センターバックのオグネノブスキ(オーストラリア)は今年のアジア最優秀選手である。
前半開始早々にアクシデントがインテルを襲う。ファーストタッチでスナイデルが相手選手ともつれて倒れた際に、太腿を痛めてしまった。まだ前半2分である。試合続行は不可能で、チアゴ・モッタと交代。腕のテーピングを外して、地面に叩きつけても、もう見守るしかなくなってしまう。
これで中盤と前線のリンク役が不在となってしまったが、問題を解決するヒントはスナイデルがピッチを去って1分後に明らかになった。相手のパスミスをカットしたのは、ゴールに向かって駆け出していたスタンコビッチ。そのまま左足でゴールを奪い、インテルが先制した。攻撃時、中盤の押し上げで数的有利を生み出せば、コンビネーションと高い技術でチャンスは生まれるはずである。
互いに攻めあぐねる時間が続いたものの、32分に城南のゴールネットがまた揺らされた。裏へ抜け出したミリートのヒールパスからサネッティがゴール。インテルは試合を圧倒的に支配しているわけではない。しかし、数少ない好機を確実に捉えている。
城南は、前述のガンバ戦からアジアチャンピオンズリーグの4試合でそれぞれ3点以上を奪っている。ゆえに、故障から復帰したJ・セザルをどれだけ慌てさせられるかと思っていたが、ラフプレーでの「攻撃」が目立つ展開。ただ、前半最後の10分で、セットプレーから3回チャンスをつくったので、そこから1点ずつ返していくしかない。
後半も落ち着いた時間が続く。城南は落ち着いた試合展開では困るのだが、ペナルティエリアの中で勝負させてもらえない。75分、FKをJ・セザルが弾いて、詰めていたラドンチッチが決め切れなかったシーンが後半最大のチャンスであった。この場面以外は、ほぼノーチャンス。
対するインテルは、パンデフを中心に虎視眈々と追加点を狙っていた。すると73分、エトーのシュートがこぼれたところを、D・ミリートが押し込んで、リードを3点に広げた。中央でのボールキープに城南のディフェンス全員の意識が向かってしまい、左サイドのエトーをフリーにしてしまい、決定的な3点目を奪われてしまった。
今日のインテルにそれほど好機はなかった。それでも数少ないチャンスを確実に、次々とモノにしたのは、本調子から程遠いとはいえ、さすが欧州王者である。その点でアジアチャンピオンとは大きな差があった。番狂わせの可能性を、きっちり封じたのである。3点をリードしてからは、人数をかけて守り、試合を殺して、試合終了。欧州王者は45年ぶりの世界一まであと1勝に迫った。
韓国のチームに敗れれば、即解任の可能性があったベニテス監督。ひとつのハードルは越えたが、まだまだ監督の座は安泰ではない。決勝で負ければ、年明けにイタリアを離れないといけない可能性は否定できない。怪我人が戻りつつある中、スナイデルが負傷し、頭痛の種は消えそうにないスペイン人監督。準決勝終了後は笑顔だった会長。指揮官は彼の怖い顔が見たくなければ、結果を出し続けるしかない。
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posted by 香椎 |01:04 |
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2010年12月14日
今日のレポートは、イタリア・セリエAの第16節、ボローニャとACミランの一戦。
第15節を終えて、首位。2010-11シーズンの折り返しが近づく中、ACミランの名前はセリエAの順位表のトップに。ここ数年は、同じミラノを本拠地とする、青と黒のユニフォームのチームの後塵を拝してきた。スクデットを獲得したのは、もう7シーズンも前の話。今シーズン優勝すれば、18回目のリーグ制覇となり、インテルにリーグの優勝回数で並ぶことができる。
しかし、好調のミランに一つの懸念材料が生まれた。8日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)でセンターバックのチアゴ・シウバが負傷し、検査のためにブラジルへ帰国した。怪我の度合いによっては、ここまでリーグ最小失点のディフェンスに大きな影響を及ぼすことになる。ボローニャ戦は、ブラジル人DFの不在を感じる試合になるのか。堅守を支えるネスタのコンディションを考えると、センターバックの控えは重要である。
遅ればせながらではあるが、ここで断りを。いつものレポートなら、ホームチームにスポットを当てるのだが、いかんせんボローニャに関する知識は、「ディ・バイオがプレーしている」「イタリア北部、長靴で例えるなら、太ももの裏あたりに位置する街」「中田英寿が活躍したチーム」くらいしかない。ミランの話ばかりになると思うが、そこは勘弁して頂きたい。
では、ボローニャのスターティングメンバーの紹介を。ヴィヴィアーノ、モルレオ、ブレスト、エスポージト、モラス、デラ・ロッカ、ムディンガイ、カサリーノ、ディ・バイオ、ラミレス、ブセ。守護神のヴィヴィアーノは、ポスト・ブッフォンの一番手として期待されている選手で、プランデッリが率いる新生イタリア代表で4試合に出場している。
そして、アウェーのACミランは以下の顔ぶれ。GKはアッビアーティ。最終ラインはアバーテ、ネスタ、ボネーラ、ザンブロッタ。中盤はピルロ、ガットゥーゾ、キャプテンのアンブロジーニといったお馴染みの選手に加え、トップ下にボアテング。前線は、今シーズンから加入のイブラヒモビッチとロビーニョ。この試合、ネスタの相棒は、才能はあるが、怪我がちのボネーラが起用されている。
前半が始まって10分も経たないうちに、スコアが動く。9分、イブラヒモビッチのクロスを、ゴール前に走り込んだボアテングが右足で豪快に叩き込んだ。
ミランは先制した後、試合をコントロールしていたが、派手なプレーは見られず、落ち着いた時間帯が続く。イブラヒモビッチとロビーニョはポジションを変えながら、前線を自由に動いている。
ミランが完全に主導権を握ったのは、ロビーニョが追加点を奪ってから。パス交換から裏へ抜け出して、冷静に放たれたシュートがゴールネットを揺らしてから、ミランのパス回しにボローニャの選手はまったくついていけなくなった。
ボローニャは試合開始直後、ラミレスが左足で強烈なシュートを枠内に飛ばしてから、沈黙。序盤は、ワンタッチで繫いで崩そうという意識がわずかに見られたのだが。首位相手に、攻撃も守備も初動が遅れている印象。
後半に入っても攻守に格の違いを見せ付けるミラン。60分、イブラヒモビッチがゴール前で受けたボールを、強引にゴールへ押し込んだ。リードを3点に広げるゴールは、ピルロのアシストから生まれた。独特の間合いから、正確なパスを何度も供給していた。
安全圏と言えるリードを奪ってからは、ミランの攻撃も控えめになった。これは意図的というよりは、交代で入った選手、ストラッサー・アントニーニ・セードルフが試合からやや浮いていたことが原因だろう。今シーズン初出場のストラッサーは中盤のバランスを崩さないよう、気を使いながらプレーしていたのが印象的だった。
ボローニャの攻撃陣は、ミランのディフェンスに仕事らしい仕事ができないまま、時間だけが過ぎてゆく。まるで足元に不安のあるプレーを何度か見せた、アッビアーティのミスを待っているように。ボールを奪っても、展開に時間がかかるので、ミランは人数をかけて守備を整えるのに苦労しなかった。
78分に獲得したPKもディ・バイオが止められてしまい、ホームチームは一点も返せないまま、終了の笛を聞くことになった。アウェーチームが0-3で完勝。まるでいいところがなかったボローニャと、首位固めとなる勝ち点3を得たミラン。勝者と敗者がくっきり分かれたゲームであった。
チアゴ・シウバがいないミランの最終ラインがどうなるかに注目してみていたが、ゲームが進むにつれて、ボネーラを含め、最終ラインの選手にとって、非常にやりやすい試合になってしまい、拍子抜けしてしまった。シウバがいつ復帰するかはまだ分からないが、ボネーラ以外の選手が出てくるのかどうかも興味深い。
ミランはイブラヒモビッチとピルロが格の違いを見せ付けるプレーをしていた以上に、ガットゥーゾとセードルフに凄みがなくなっていたように見えたのが、心に強く残っている。プレーうんぬんではなく、覇気や凄みが数年前と比べて、失われているように感じたのは、ミランの試合をあまり見ない私の邪推だろうか。
ボローニャは、深刻な財政危機に見舞われていて、選手たちがプレーに集中できる環境にないのが残念である。ただ、早く前にパスを繫ぐ、とにかくペナルティエリアにボールを運ぶといった、がむしゃらなプレーを、ほとんど見ることがなかったのが、もっと残念だった。
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posted by 香椎 |00:59 |
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2010年12月04日
2018年と2022年のワールドカップの開催地が決まった。ロシアとカタール。2022年に立候補した日本は、カタール、アメリカ合衆国、韓国に次ぐ評価で落選。2002年に共催した国には勝てると思ったが、そこは政治力の差なのか、それとも朝鮮半島の平和を謳ったからなのか。政治や経済で多くの国に後れを取っている日本の立場が、今回のW杯招致レースで浮き彫りにされた感があるのは私だけだろうか。
さて、今日のレポートは、伝統の一戦、クラシコ。レアル・マドリーとバルセロナ、スペインの人気クラブが月曜日に激突。随分と昔のように思えるが、このレポートを読んで、どんな試合だったかを振り返って頂ければ幸い。
レアル・マドリーは、今シーズンの国内リーグ・カップ・欧州チャンピオンズリーグ(CL)で未だ無敗。過去2年は宿敵の後塵を拝す結果しか残せず、しかもクラシコで4連敗中ということで、相当のモチベーションでカンプ・ノウに乗り込んで来たはずである。
一方、因縁の監督をホームで迎え撃つバルセロナのモチベーションも高い。昨シーズン、モウリーニョ監督率いるインテルに、欧州チャンピオンズリーグ連覇の夢を絶たれたからである。レアル・マドリーに招聘された前インテル監督は、かつてチェルシーを率いていた時もバルサを苦しめていた。
バルセロナのスターティング・メンバーは以下の顔ぶれ。V・バルデス、D・アウベス、ピケ、プジョール、アビダル、ブスケッツ、シャビ、イニエスタ、メッシ、ペドロ、ビジャ。おそらくベストメンバーだろう。
レアル・マドリーのスターティング・メンバーは以下の顔ぶれ。カシージャス、S・ラモス、ペペ、R・カルヴァーリョ、マルセロ、シャビ・アロンソ、ケディラ、ディマリア、エジル、C・ロナウド、ベンゼマ。こちらもベスト…と思いきや、イグアインがベンチに。軽症か重症かは分からないが、椎間板ヘルニアで試合には出られなかったようだ。
注目の一戦、寝坊してしまった私が試合を見始めると、ちょうどペドロがゴールを決めていた。バルサが2点のリードを奪ってから(10分にシャビが先制点)、いつものようにポゼッションを高めていた。その中心にいたのはシャビと、センターでプレーしていたメッシ。バルサはただボールをつなぐのではなく、フィニッシュまで持ち込んでいた。よりポゼッションの価値が増しているように思えた。
レアルといえども、2点のビハインドを跳ね返すのは辛い。何より相手はバルサである。焦りがパスミスを招き、募るイライラがさらに焦りを呼ぶ。攻撃の手段はロナウドの突破で相手のファールを誘い、セットプレーを取るくらいしかなかった。
後半も相変わらずバルサのペース。55分、57分と連続してビジャにゴールが生まれたのも自然な流れ。バルサのスタイルへの適応が心配されたが、代表のチームメートも多いので、完全に順応するのも時間の問題か。執拗にDFラインの裏を狙い、ギリギリでラインを抜け出すといった駆け引きの巧さから生まれた2ゴールであった。
エジルをハーフタイムで下げて、ラサナ・ディアラがピッチに入ったレアル。守備を固めてカウンター狙いかと思ったが、前半と同じで攻撃の形が見えなかった。ロングパスがやや増えたが、前線にボールは収まらない。バルサが攻守に人数をかけていたこともあるが、レアルのプレースピードが遅かったことが、ゴールの近くでプレーできなかった原因だろう。
どちらのチームにも足の速い選手はいる。だが、プレーのスピードには決定的な違いがあったように思う。ボールを奪った瞬間にそれぞれに選手が「自分はどう動くべきか」を認識しているかどうか。今のバルサは現監督が率いて3年目、結果を残してきたスタイルは多くの選手を輩出しているカンテラのスタイルと同じベクトルを向いている。だから素早い判断が可能になり、スピーディーなサッカーができる。
ただ、判断力の速さだけではゴールは奪えない。メッシやイニエスタといった並外れたテクニックをプレーに落とし込むことで、ゴールは生まれる。ロナウドも並外れたテクニックを持っているが、この試合に関して言えば、周囲を上手く生かし、生かされたかは疑問が残る。一方でメッシとイニエスタは、中央でキープができて、奪われないドリブルができる。テクニシャンがコレクティブにプレーできるかどうかも大一番の結果を左右するのではないだろうか。
試合は後半ロスタイムに途中出場のジェフレンがゴールを奪い、トドメを刺した。最後にS・ラモスが退場となって、スペイン代表の同僚に悪態をつきまくっていたが、試合後に謝るのだろうか…と余計な心配をしていると、終了のホイッスル。ピケが指でアピールしていたように、5-0でバルサが完勝。
イングランドとイタリアの強豪がリーグ戦で勝点を積み上げられない中、スペインの2強はほとんど取りこぼしがない中で迎えたクラシコ。欧州一のチームを決めるといっても過言ではなかった。確かに5ゴールが生まれ、見所が多い試合ではあったが、少し残念でもあった。レアルファンでもバルサ贔屓でもない私は、両チームの打ち合いを期待していたからだ。まさかこれほど一方的な結果になるとは。
モウリーニョ監督は試合前にこう釘を刺していた。「もし負けたとしても、プライドを失ってはならない」と。分析能力に長けている彼だけに、大差で負けることも頭の片隅にはあったかもしれない。完成されたチームと発展途上のチーム。優秀な選手を多く抱えているとはいえ、チームの完成度はまだまだであった。
下部組織で育った選手を重用し、各選手が同じベクトルを向いて、プレッシングとポゼッションを大切にするサッカーを展開する。バルサは、さながらグアルディオラを中心とするファミリーであった。試合中に監督が敵(ロナウド)に小突かれたら、一斉に彼を守ろうとし、怒りを示した。その怒りを見事なプレーに変えられたのは、ファミリーの以心伝心といえる。
一方のレアルはどうだったか。ラフプレーばかりで、飛び交ったイエローカードは実に8枚。素晴らしい選手たちが今日に限って言えば、ファミリーの前に全く歯が立たなかった、ただのチルドレンに見えた。まるで駄々をこねるような。だが、この悪夢の後にも試合は続く。そして次のクラシコで宿敵相手に成長した姿を見せなければならない。今日の試合を見ていたペレス会長もそれを望んでいるはずである。
長文でしたが、読んでいただいてありがとうございました。読んだ感想をコメントしていただけると嬉しいです。なるべく早く返信できるように頑張ります。
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