2006年05月18日
白球の視点 第204回
投げては先発の柱になっているパウエル、抑えの豊田、打っては小久保、李、走って守る小坂と小関……首位を行く巨人の回転のいい試合運びは、元パ・リーグ勢の活躍なしでは考えられない(「季刊ベースボールマガジン・春季号」で順位予想を求められたとき「首位・巨人」と予想せざるをえなかったのは、そのパ・リーグからやってきた戦力が、それまでの戦力と相乗作用を起こしてチームは昨年までとは違う動きを見せるだろうと読んだからだった)。 小久保、李の一発の効果は当然として、このところ疲れとかで先発メンバーからハズれている小坂など、打っても打たなくても、どれだけベンチを刺激したか。出番が多くなった鈴木、川中、矢野たちも、小坂や小関の2人に強い刺激を受けているに違いない。 ありていにいえば、ツボをおさえたいいトレード補強ということになるだろうが、一方で、あらためて“パ・リーグで鍛えられた選手”のしたたかさを感じている。 このところずっと、40歳で44本塁打を打った、かつてのパ・リーグの一代のホームラン打者、門田博光さんと会って長い話を聞き続けているせいかもしれない。豪快な笑い話あり、緻密なバッティング論あり、はじめて聞く話も多く興味津々なのだが、門田さんの口からときおりフッと洩れてくる言葉が耳から離れない。 それは「当時、万年Bクラスで…」とか「人気のないチームで…」とか「ガラガラのスタンドで…」とか、いささか自虐的にも聞こえる厳しい環境の中でいかにして緊張をもち続け、高度なワザを磨いていくかという、ともすればたるみそうになる自分との激しい戦いだった。「活字になりたい」とか「ひとりでも多くのファンにカドタという名前を知ってもらいたかった」という言葉も、折りにふれ、口をついて出た。 そういう先人たちの苦闘のあと、いま連日満員のファンに囲まれるソフトバンク・ホークスや千葉ロッテ・マリーンズの活況の日々がやってきた。巨人のテレビ視聴率はなかなか上らないようだが、北海道や仙台のパ・リーグ中継は好調だと聞いた。 “さぁ、いまからだ”と思う。少々、人気が出てきたからといって気を抜いていたら、いまのファンの眼は高いから、“いい気”になっていたらすぐ見破られてしまう。本当の勝負は、いま始まったばかりなのだ。
posted by 田村大五 |00:00 |
第201回~第220回 |
トラックバック(0)





