2004年08月25日
海水浴から帰ってきたように真っ黒に陽に灼けて高校野球の取材から帰京した担当記者に「ついに津軽海峡を渡った真紅の優勝旗」の感動を聞くと「やればやれるものだなぁと思った」という言葉が返ってきた。「やってもやれない」アテネ五輪の日本チームのオーストラリア戦の2敗目を知ったのは、その翌日だった。
「プロ」の中から選びぬかれた実力者が揃っても勝てない現実に、しばし茫然とし、それとこれとは次元の違う話なのに“球界トップの人々の混迷が、ここにまで及んでいるんだ”などと、わけのわからないことをいって家人に八ツ当たりしたものだ。
球団再編成をめぐる混迷ぶり渦中での球界幹部の言動を見聞きしていると、とにかく“みんなで一致団結、このプロ野球70年史にも例のない難局を乗り越えよう”という姿勢が見えないのが、なにより寂しくいらだたしい。
コミッショナーは「1リーグ制がいいなんて誰も言っていない」などと、いまになって発言しているが、これまで何度もパ・リーグの球団幹部が「5球団ではやっていけない。1リーグ制」と言い続けているのを、どう聞いていたのか。「やっていけない」を“連呼”するから、こういう大混乱に陥った。自らが自らをここまで追い込んでしまい、なお打開の道を探ろうとしていないからハラが立つのだ。
かつてない混迷劇をイライラして見つめつつ、いまひとりの打者の日々のバッティングに注目している。8月24日現在、セ・リーグの打率争いのトップに立ったカープの嶋重宣選手だ。これまで10年間、オフのたびに“今度こそ自由契約を言い渡されるのではないか”と思ったという男が、ついに花開いた年。こういう打者を見限らず花開かせた球団の“眼”にも感謝しなければならないが、なにより夢を捨てずに“プロの世界”にくいついてきた男の姿にジンとする。
いまのプロ球界の混迷劇がイラだたしいのは、そういう野球ファンに夢を与え、勇気づける野球人のヒューマン・ストーリーなど眼中にはないことだ。長年の誤まった惰性の中で、なんの感性もなく問題を積み残してきていま慌てている人たちは、哀れというしかない。
posted by 田村大五 |00:00 |
第141回~第160回 |
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2004年08月18日
「緊張感のゆるみ」と「判断の誤り」で明大のエースに「栄養費」として200万円を渡していたという、巨人の前球団社長と前球団代表の“いいわけ”を誰が信用するものか。
それが球界の“慣例”となっていたから、前球団社長も前球団代表も、スカウトの出金伝票に“気軽に”判を押したのだろう。いや、“隠し金”だから「出金伝票」もなかったか。むしろ、“200万円程度の金でアマ球界No.1の実力投手がこちらになびいてくれるなら”程度の感覚だったのではないかとも思う。
「契約金の上限1億円プラス出来高5000万円」と決まっているのに、公表できないウラ金が「何億円も支払われている」と巨人以外の元スカウトが公言している世界。いや、プロ球団幹部で構成している開発協議会で配布された内部文書にすら「現実に裏金といわれる金員がかかり」と名言されている。それでもなお巨人の前球団幹部は「以前から現金を渡していたのか」という質問に「知りません」と答えている。
他人の瑕疵(かし)には容赦せず徹底して切りこむ新聞社の幹部は、身内のこういうことには説明責任を果たさない(そういえば、前オーナーも一片のコメントを新オーナーに代読させただけで、ついに公の場に出ることはなかった)見本のようなものだろう。
そもそもドラフト制なるものは、「戦力均衡」というのは一面のタテマエ論で「アマ選手の自由獲得競争をこのまま続けていったら球団経営は成り立たなくなる」という、当時の西鉄ライオンズの西亦次郎(にし・またじろう)球団社長の悲痛な思いから発したものだった。選手との契約金以外に親類縁者、町の有力者、学校関係者への金品だけで「契約金に近い莫大な金がかかる」と、いっていたものだ。それから40年、球界はほとんど変わっていなかった、ということになる。
いろいろと話を聞いてみても、具体的に何が話し合われたのかさっぱりわからない、話を聞いているだけでイライラする12球団代表者会議があった日、シアトルではイチローが鋭い先頭打者ホームランを打てば、“ヤンキースの4番打者”松井秀喜が24号。一方で嘆かわしいやら情けないやらで“みじめな思い”に苛まれ、一方で嬉しく誇らしい思いになった8月16日は、なんとも複雑な、いわくいいがたい日だった。いつまでこんな日が続くのだろうか。
“悪役”が去って、これからが“12球団代表者”の出番なのだが、さて、みなさん、まるで他人事のような顔をしているのが、どうにも歯がゆくてならない。
posted by 田村大五 |00:00 |
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2004年08月11日
8月10日、ナゴヤ球場での中日-巨人17回戦、テレビ観戦だったのだが、中日1対0とリードの8回表、巨人の攻撃、一死二塁からの川上投手と巨人の打者、代打・元木、続くローズとの1球1球の攻防が実に興味深かった。
解説者のひとりが、「18.44mの中のバッテリーと打者の、1球1球の戦いを考えると、私など酸欠状態になる」といっていたが、私も息づまる思いで見つめていた。1点差、走者二塁だから、“1球の重みが違う。カウント0-2、1-2、2-2、いずれも「次の球は?」ストレートかフォークか、カットボールか、解説者の推理は、その時々にさまざまで、だから見ていて、余計に興味がつのった。そしてバッテリーで決めた球、それに対応した打者。その数秒間の “ドキドキ”がたまらなかった。“野球観戦の妙味”を感じた。
「ああ、野球ってホント、面白いものだな」と、叫ぶようにいうと、ちょうど夏休みでわが家に滞在中の孫たちと家人がいっせいにワッと笑った。「ひとりで興奮している」と。
「そうか、お前ら、この面白味がわからないとは可哀想な人種だな」と、こちらは“ビール観戦”で毒づいてやったが、ビールの味だけでなく、いささか“ホロ苦かった”のは事実だった。その日の朝の新聞で、競技以外の場外の騒ぎでも話題になっていた中国でのサッカー戦が33%を越えるテレビ視聴率だったのに、同時間帯の東京ドームでの巨人-阪神戦の視聴率が10%を大きく割って8%台だったということを知ったこともあった。
“われら野球人間”としては、たまらない現象だった。私は、ひとり、イジけた。それもこれも、「野球の面白さ」とは違う次元で吹き荒れる球団削減とか “1リーグ制ムード”のせいだろうとフテクサった。そういうときの“川上投手-巨人打者”の生きづまる攻防。だから、“どうだ。野球って、こんなに面白いんだぞ”と誰彼なしにいいたかった。
「野球には、あらゆることがあてはまる」とは、神田順治さんの著書のタイトルだが(先週の「週刊ベースボール」で豊田泰光さんも、そのようなことをいっていた)、それだけの「野球」というスポーツの魅力、面白さを“狭めよう”としているとしか思えない「1リーグ論者」に、私はいまでも強い“憎しみ”を抱いて野球観戦を続けている。
posted by bbm_hakkyu |00:00 |
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2004年08月04日
プロ球界が騒然となってからのパ・リーグ各球場の観客数がぐんぐん増えていることに目を見張っている。
7月26日、西武ドームの首位争い、西武-ダイエー17回戦の39000人は、松坂大輔-和田毅の投げ合いが分かっていたから当然としても、7月19日の札幌ドームの日本ハム-西武17回戦も同じく39000人。勝った日本ハムの勝利投手がルーキーの押本健彦で、松坂投手から貴重なホームランを打った "打のヒーロー"が、それがプロ入り7年目の初ホームランだった古城(ふるき)茂幸内野手だったことも嬉しい。
千葉マリンスタジアムのスタンドを埋めるファンの姿も健気(けなげ)だ。7月31日、8月1日と2夜連続、西武にサヨナラ勝ちして、ともに34000 人。ここでも6年目の里崎智也捕手が同点打、サヨナラ打の大奮闘で初の"お立ち台"とは泣かせた。"場外劇"の一方の主役、オリックス・ブルーウエーブのヤフーBB球場だって、7月27日の対千葉ロッテ18回戦では連敗中でも35000人が集まった。これらに、"常時48000人のダイエーの福岡ドーム" を加えれば、それがたとえ「実数」でないにしても、"堂々たる観客動員数"である。
まさに「百家争鳴」で、12球団がてんでんばらばら(中には同一球団で違うことをいっているところすらあるのにはあきれる)、収拾役不在で事態の行方がわからない「場外劇」など見たくもないぞ、オレたちは「ナマの舞台」を見たいんだ・・・という現象なのだろうか。そうであってくれればいいんだが。いや、そんなことをいえば、こういう現象がもっと2年前、3年間から起きてくれれば・・・という思いさえ湧いてくる。
一方では、これまで先送りしてきたり、目をつむっていたりしたプロ球界の問題点がこれまでになく具体的にクリアになってきたことも、極めて重要なことだ。機構関係者も、球団幹部も、選手も、ファンも、そして私たち報道関係者も、今後どのような方向に向かっていくにしても、もう"先送り"や"無視"はできないことを肝に銘じなければならない。
いま8月4日午後の心境でいえば、同日のデイリースポーツ紙(東京)の2面に掲載された対談記事の中の、星野仙一さんの「1リーグにはならない、僕は自信もってる(略)、もう1ヶ月待ってください」という言葉を信じるしかないというところ。私も、選手と一緒に手首にミサンガを巻いて仕事を続けている。
posted by 田村大五 |00:00 |
第141回~第160回 |
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