2003年07月30日
阪神・星野監督が「ストレスからくる血圧の変動」でベンチ裏で治療を受けていたというニュースは、あらためてプロ野球の監督というものの、他人には窺い知れない心労をクローズアップさせた。表面は強気、コワモテにみえて、星野仙一という人、いつも周囲にこまやかな気配りをする人だが、それにしてもあれだけ勝ち進んでいてもなおそういうことになるのだから驚く。
約50年、多くのプロ野球監督たちと接してきたが、「史上に残る大監督」と評 価が高い実績を残した人でもストレスが 原因で円形脱毛症にかかったり、アッと いう間に眉毛が真っ白になった人もいた。いつも明るく、誰に対しても愛想のよかった長嶋茂雄監督だって心の中では、いつも、いわくいいがたい不安と戦っていたのだろうと思う。
ユニフォームを着ているときはチーム内の機密事項など喋るわけはないのだが、引退してしばらく経つと「実はあのとき--」というような思いもかけない秘話を聞くこともある。ハラの中におさめておくと、ユニフォームを着ていた頃の苦しさからいつまでも解放されないような気になるらしく、こちらが「エッ」と驚くようなウチワ話を喋り終えると「ああ、これでスッキリした」といった元監督たちも何人か、いた。
一昨年、札幌のホテルで急逝した杉浦忠さんとかって堺の自宅付近で話をしたとき「プロ野球の監督をやってみて一番辛かったのはグラウンド外の人との折衝だった」と聞いたことがある。「一度、ユニフォームを着てグラウンドに入り、ゲームが始まればそんなに辛いことはなかった」ともいった。最近、前西武監督の東尾修さんに会ったときも同じようなことをいっていたから、それは共通した“元監督たち”の思いかも知れない。
アメリカのように補強策を含めたグラウンド外のことはゼネラル・マネジャーの全責任で行われるシステムが確立されていない日本のプロ球界は、チームに関するほとんどのことが監督の肩にのしかかってくる。日本プロ球界もそろそろ、ゼネラル・マネジャー制確立の時期にきているのかも知れない。
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2003年07月23日
最近は、巨人系列の東京ドームの巨人戦関連のテレビ中継だけでなく、東京にいてもタイガースやパ・リーグの試合をテレビ観戦できるのでなかなかに楽しい。
その楽しみの中のひとつに、思いもかけない懐かしいかっての選手が解説者として出演していて思わず「ホーッ、元気だったか」とひとり声をあげて楽しむときがある。チャンネルを切り替え切り替え、東京ドームの巨人ー広島戦と甲子園球場の阪神ーヤクルト戦を交互に見ていた22日夜もそうだった。「ホーッ」と声をあげたのは甲子園球場のほう。「解説・福原峰夫、伊藤文隆」だ。
福原は阪急ーオリックスの名二塁手。社会人野球ファンなら日通浦和時代の春の大会で「1試合7打点」の記録を思い出すだろう。伊藤は「弘利」といっていたルーキー時代の印象が強いが、自己最多の10勝(10敗)をあげた年(82年)は「宏光」と名乗っていた。そういう人たちがいま、03年の元気いっぱいのタイガ-スを”解説”しているところに少なからぬ興味をもった。それぞれの野球人生にそれぞれの「03年のタイガース観」があることが面白いのだ。
私は、今年のタイガースの活況は、やはり”血の入れ替え”にあると思っている。投の伊良部、下柳、打の金本や捕手の野口をはじめとする実に効果的な補強。一度、本社の重役が「人件費の高騰」に触れたとき星野監督が反発したという記事を読んだが、そのときも”それがなければいまの好成績、観客動員を含む阪神ブームはない”という星野監督のほうに理があると思った。ヤクルトのペタジーニをとり大事なときに長期欠場されてしまった巨人との差は歴然だ。
タイガースの大独走を許してしまった今季のセ・リーグ、前半戦を終了した時点で”断トツの最下位”横浜の山下監督初め、22日の対巨人戦で監督就任 500勝を飾った広島・山本浩二、中日・山田久志両監督など早々と”来季留任発表”がしきりである。「選手は”次の監督”を見てプレーする」というからそれはいい。だが、”留任監督”たちの”勝負”は、いまである。星野監督のような大胆なチーム作りができるかどうか、いまから動かなければならない。
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2003年07月17日
「週刊ベースボール」で連載を続けていたコラム「白球の視点」を読んで頂いていた人はご存知だと思うが、私は、元オリックスの仰木監督が鈴木一朗外野手を「イチロー」と名付けて抜擢、右翼手として常時出場させた頃から、バッティングは当然のことだが、彼の走塁(特に一塁から次打者のヒットで二塁ベースを蹴り三塁へ走る走塁の美しさに惚れ惚れしていた)と、それまでの外野守備とはちょっと質が違うフィルディングに感心して、何度も、コラムに書き続けたものだった。
試合前の外野ノックのときのイチローの”背面キャッチ”から、右翼席ファンへの”お返し”なども、いっては悪いが”ガラガラのスタンド”で私はいつも見ていて”巨人ファンなど、こんなに素晴らしい選手を知らないだろう”などと悪態をついていた。
そういうイチローの走塁と守備に関するファンは、やっぱり、全国にいて、私そんなコラムを書くと「イチローの走塁と守備を見ていてくれた人がいた」というふうな手紙や電話を頂いてうれしかったものだ。”バッティング面では多くの賞賛記事はあっても、走塁や守備に関する記事がほとんどない”とイチロー・ファンはいらだっていたのだった。
松井秀喜のメジャー・リーグ1年目のオールスター戦初打席初ヒットで大いに沸いたが、私は4回表の右翼手・イチロ-の、頭上を越えるかと思われた大飛球を実にタイミングのいいジャンプで掴んだファインプレーに感嘆した。夜のテレビでもそのシーンを何度も放映していたが、あとでインタビューを聞くと「もっと楽に捕れたが、ちょっといいところを見せようと思った」というではないか。「ファンに喜んでもらおうと思った」と付け加えているところがニクらしい。そういうところが本当のプロなのだろう。
メジャー・リーグのオールスター戦も日本のオールスター戦も、今季は面白かった。日本の若い投手たちがストレート中心に投げ込んだことが気持ちがよかった。公式戦も、そのようであってほしい。
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2003年07月10日
アメリカでイチローが、阪神の優勝へのマジック・ナンバーが点灯打したことを聞いて驚いて報道陣に確認したというが、つい最近ニューヨークから帰国した友人からの“帰国あいさつ”の電話でも「アメリカのマスコミまで日本の阪神フィーバーを面白おかしく伝えている」とのことだった。
タイガース関連のグッズがバカ売れしているとか阪神電鉄関連会社の株価まで上がっているとか道頓堀川への飛び込みをめぐって論争が激しいとか、ま、世界中がキナくさい中で、タイガースの快進撃だけは、多くの人に“2003年の憂さ”をひととき忘れさせて一種のエクスタシーを味あわせてくれるとしたら、慶賀にたえない。
一方で、タイガースの大独走で「ペナントレースの興味がなくなってシラけてしまった」という人もいる。その人は巨人ファンかもしれないが、そうそう簡単にシラけられても困る。当方は、どんなチームの大独走であれ、それはそれでプロ野球観戦の興味が増していくヘソ曲がりだ。
セ・リーグがこういう状況になって、何に興味があるかというと、こういうときこそムキになってプレーに打ち込む選手と、もう今年はあきらめた”といった感じがプレーにあらわれるタイプに二分されるからだ。特に早くから他チームに大きく引き離されたチーム(ま、端的にいえば横浜とパ・リーグ下位の3チームだが)の選手の中で、まるで優勝争いの中にいるような“ひたむきプレー”を続ける選手には「◎」印をつけて来季への期待を膨らませている。
あえて選手名を挙げれば、オリックスの塩谷とか日高とか、横浜の種田とか多村のプレーは、見ていてホッとするというか、もっと言えばこちらを元気づかせてくれるものがある。
連日の、少なくとも約1万人という人が目を凝らして見てくれるスポーツは、そんなにあるものではない。こういうときこそプロ野球選手は、私たちファンにはできっこない“プロのプレー”を続けなければならないのだ。
ホラ、その辺で“今季はもう終わり”などとチンタラ・プレーをしている男よ、早く去りたまえ。
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2003年07月02日
「西武ライオンズ25年史」を作ろうということで、久し振りに広岡達朗元監督と長話をして要件が終わったところで「ときに巨人の状態、どう思う?」といわれた。「状態って、どういうこと?」と逆質問したら「故障者が多すぎることだよ」といわれ、「あんたのような人にもっときつく叱って貰いたいな」と叱られた。「昨年の快勝で、キャンプ以来の気のゆるみが故障者続出を招いた」という指摘だった。
レギュラー選手でフル出場は二岡だけという惨状。ウン億円という年俸を貰って欠場ばかりでは、いまの成績も当然だろう。それに、そのことについてのチームの分析や反省の弁がとんと聞えてこないことが不思議だ。
もうひとつ、巨人に関して不思議なのは外国人選手の惨状と獲得方式などへの反省がまるで聞えてこないことだ。昨年ダイエーを退団したストッパー役のペドラザを連れてきたかと思えば右肩痛が判明してさっさと自由契約にしてしまったり、鳴り物入りで入団させたベイリー、ランデル両投手ともファームで調整中とかで一軍復帰のメドはたっていないというし、急にヤンキースからよんできたレイサムは、インプレー中に左翼席にボールを投げ入れるやら、打席に立っても三振ばかり。
ほかのチームの外国人選手は投打の中心になってよく投げ、よく打ち、阪神ファンの少年が「ムーアひげ」を顔につけているように”憧れのスター”になっているのに比べ、巨人は一体、どういう基準で選び入団させたのか理解に苦しむ人選だといわれても抗弁できないだろう。
一説には年俸7億円ともいわれる(ホントかね)ペタジーニは”長いお休み”だった。こういうことはお咎めの対象にならないのだろうか。
喋るたびに物議をかもす?渡辺オーナ-の「ウチの外国人獲得はいったいどうなっているのか」という発言は、そのことに関しては当然といっていい”お叱り”である。
対中日戦で快投をみせた林投手のような若者を見ると、なにもアメリカから5人もの投手を連れてくるようなムダ遣いをしなくてもいいのに、と思う。
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