2002年05月28日

白球の視点 第48回

 今季は例年に比べて、いつもテレビの横に置いてある選手名鑑とレコードブックの頁をめくる回数がやたらに多いことにふと気がついた。だいたいのことはわかっているつもりでいたのだが、“この選手、はて、高校時代はどうだったのだろうか”とか“昨年までのファームの成績はどんなものだったのだろうか”と確認したくなってくる選手が次から次に一軍公式戦に登場して生きのいいプレーを見せてくれているからだ。

 テレビ中継の多い巨人ではベテラン野手の故障もあって斉藤宜之、福井敬治、鈴木尚広の出番が増え注目されているが、私があらためて選手名鑑やレコードブックの頁を繰って“おさらい”をしてみたくなるのは、たとえば26日の対ダイエー戦で日本ハムの大島監督が「ホームランと同じ価値あるプレー」とほめ讃えた二塁守備をみせた古城(ふるき)茂幸内野手。今季2度目の先発出場が嬉しく楽しく、そういう気持ちが、終盤の8回のピンチでダイエー・大道の中前へ抜けるかと思われた当たりをバックハンドであざやかにさばいた好プレーにつながった。こういうプレーを重ねていけば、「こじょうとかふるしろなんて呼ばれなくなる」という感想も初々しくっていい。

 話題のタイガースの関本健太郎内野手も一軍ベンチ入りしてから活躍が続き6年目の初ホームランも出た。ウエスタンでの好成績が認められての抜擢というから、こちらもあらためて好きなイースタン、ウエスタン両リーグの投打の成績を見直してみた。

 いる、いる、いる。

 イースタンでは西武の3年生コンビ、大島裕行、貝塚政秀両外野手が首位打者を争っている。埼玉栄高時代、通算86本塁打した大島は26日現在、.367の高打率。まだ21歳と若い。

 ウエスタンには、.383ともっと高い打率の21歳の男がいる。ダイエーの川崎宗則内野手だ、一軍で首位争いを続ける両チームは選手層も厚いから一軍レギュラーへの道は険しいだろうが、西武の松井もダイエーの秋山も、そういう道をせっせと走ってきたんだぞと大島や川崎たちの背を押したくなってくる。日本の野球も捨てたものじゃない。

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2002年05月21日

白球の視点 第47回

 立教大学野球部OBの石田泰隆くん(大学当時、副キャプテン、内野手)がアメリカ独立リーグ所属チームのテストを受けつづけ、3チーム目の挑戦でついに「合格」したと、週刊ベースボール編集部にいる先輩の中野聖巳記者に喜びのメールを送ってきたのは1週間前だった。

 「青春は二度とこないんだから、若いうちに夢に向かってとことん挑戦してみたい。最初から無理だとあきらめて挑むことをしなかったら悔いが残る」・・・・・・石田くんが渡米への資金を貯めようと週刊ベースボール編集部でずっとアルバイトをつづけていたとき、アメリカの野球に関する本をやたらに読みたがることからはじまった交友。聞けば、“アメリカ野球への希求やみがたし”ということだった。

 その夢が、ついに実現するかと、いささかならない感慨があった。ビザの書きかえに一時帰国するというのでおみやげ話を楽しみにしていたら、急きょ“上” のほうから何人かが降りてくるので選手ワクがいっぱいになった、今回の合格は取り消しになったという連絡が入ってつらい帰国になった。

 「生存競争の激しさは想像以上でした」という石田くんの話で、特に印象強く残ったのは「とにかく打席に立ったら2ストライクまでなんです」という試合形式のテスト中のボール・カウント。

 「2ストライクになったらそれからの球は、どんな球でもストライクになってしまう。むこうの若いピッチャーはとてつもないスピードで投げてくるけど、どこへくるかわからないメチャクチャなコントロール。とんでもないボール球でも振らなければならない。でも日本の長い習慣でボール球には手を出さないことが習性になっている。だから振らない。ところが、それじゃぁ三振なんです」

 多くの国から若者たちが次から次へと集まってくる。かといって誰も彼も受け入れてみるなどという優しさなどみじんもない。とにかくふるいにかけなければならない。打者に対しては、そのための「2ストライク後はどんな球でもストライク」なのだろう。そういうハンディを乗り越えていかなければならない。

 それでも石田くん、「もう一度、挑戦する」という。ニッポンの若者、元気だ。

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2002年05月14日

白球の視点 第46回

 久しぶりにダイエーの王監督と試合前の打撃練習で顔を合わせたとき「山田の台頭と杉内の加入でローテーションの幅がずいぶん、ふくらんだ」と声をかけたら「寺原もいる、飯島もいるといってよ」と逆襲されたが、それやこれやの話のあと、王監督、つけ加えていわく。「若さって、うらやましいねぇ」。まったく。

 投手陣の“顔”がガラリと変わったのが中日だ。小笠原孝、朝倉健太に、今度は山井大介の登場。昨年までは考えられなかった布陣で、若い人にはこういう “目覚め”があるからすごいというか、怖い。ヤクルト・坂元弥太郎投手の台頭も石川雅規の加入が刺激になっていると見る。試合には勝てなかったが12日、対広島戦でのピッチングは見事だった。

 ヤクルトで“刺激”といえば、その前日のサヨナラ勝利劇の主役となった打者、28歳の副島孔太と33歳の浜名千広。その前の対阪神戦では37歳の佐藤真一が殊勲の長打を放っていた。こちらは三木肇や城石憲之らの活躍に“どっこい、オレたちだって生きているぞ”という叫びだ。こういう“新旧戦力のしのぎ合い”がチームを強くする。

 今度の東京ドームでの巨人-阪神戦でそれを見た思いがした。清原、江藤、元木の欠場で松井のあとを打つ5番打者に抜擢された斉藤宜之。3安打の猛打賞もさることながら、1回戦の一塁走者でベンチから“これでもか、これでもか”の“走れ”のサイン。それが先制点に結びつき、試合の流れを作った。清原、江藤、元木では、こうはいかなかったはずだ。ベテラン三人が復帰したとき、さて、どうするか。

 どん底の横浜ベイスターズ。2年目の吉見祐治投手が巨人戦に勝ったとき、それがきっかけで浮上の萌しをみせるかと思った。野手でも田中一徳外野手や内川聖一内野手の起用。それがベテラン野手と相まってなんらかの変化のきっかけになるかと期待したが、まだ見えない。

 報道によれば、なおも活路を新外国人選手獲得に求めているようだ。外国人投手は全滅、主力の外国人打者もあがいているのになお? いまこそ“若さ”とベテランの競い合いをあおるべきだと思う。

posted by 田村大五 |00:00 | 第41回~第60回 | トラックバック(0)
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2002年05月07日

白球の視点 第45回

 5月6日の日本ハム-西武6回戦、1対1の8回裏、走者二塁で、さァ松坂と小笠原の対決。この試合最大の見どころ・・・・・・と息をのんだが、やんぬるかな、敬遠だ。連日、テレビ中継で楽しませてもらっているメジャーの世界でも、トップ打者のイチローがもう7敬遠四球なんだから致し方ないかと思っていつつも、いまなお、“ああ、ふたりの渾身の対決を見たかった”と思い続けている。

 でも、このゴールデンウィークの、わが日本プロ球界、なかなかに楽しめた。たとえそれがメジャー・リーグやJリーグのような正確な数字ではなくても、4 月26日から5月6日までの10日間、両リーグ合わせて各球場に合計170万人もの野球ファンを集めたというニュースに接するのは嬉しいことだ。中でも、子供の日、パ・リーグが12万人でセ・リーグが9万2千人だったという報道には目尻がゆるんだ。

 「キッズ・フェスティバル」の神戸グリーンスタジアムは今季初の満員、小、中学生約3千人がグラウンドに降り立った「WALK IN THE PARK」の千葉マリンスタジアムも今季最多の3万5千人、ダイエー・寺原先発で「ワンコインデー」(500円)とした日本ハム主催の東京ドームが5年ぶりの5万人。それぞれみんな頑張っているし、多くの人に「野球を見に行こう」という気にさせた。OBクラブ主催の「全国少年野球教室」も大にぎわいだったというから、野球人気健在、と、ここはひとまず喜んでおこう。

 何故、5日、パ・リーグの方がセ・リーグの観客を上回ったことに注目したかというと、開幕以来1カ月も経たないうちに「パ・リーグは上(Aクラス)と下(Bクラス)のチームの力の差がはっきりしすぎている」という一種の酷評がまかり通って、それが“常識化”していることにイライラしていたからだ。オリックス、ロッテ、日本ハムの巻き返しこそがリーグを活性化するカギだと祈っていたからだ。

 日本ハムには小笠原、オリックスにはセギノールという“打の看板”もできた。あとはロッテだ。いつまでも右翼席からの熱い声援頼みではいられまい。

※先週の白球の視点で掲載しました諸岡達一氏のメールアドレスに誤りがありました。
正しいメールアドレスはmoro@t.email.ne.jpです。ご迷惑をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。

posted by 田村大五 |00:00 | 第41回~第60回 | トラックバック(0)
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