2001年12月19日

白球の視点 第28回

 「星野仙一・阪神監督」については、もう決まった以上、外部からなにをいってもせんないことなのに、いまなお賛成、反対論が渦巻いている珍しいケースだ。

 名古屋という土地とドラゴンズというチームの象徴だったような男。みずから「私ほど(名古屋・ドラゴンズ)ファンに愛された男はいないと思っている。幸福者だ」といいきった男が、ライバル・チームの指揮をとってドラゴンズと戦うという異和感を訴える人たちと、球界活性化のためにあえて火中の栗を拾う勇気に拍手する人たちの、それぞれの熱い思いの交錯。

 いかにも独特のキャラクターの星野監督ならではの両論で、そういう両論が白熱するという現象そのものが興味深い。

 昭和30年代から同40年代の甲子園の“タイガースの熱気”に郷愁をおぼえる身のひとりとしては、星野監督独特の熱気がそのまま選手たちに伝わってくれればということはないのだが、さらに興味をもったのは、15日、阪神首脳と入団交渉を続けた同じホテルでの阪神・上坂選手の結婚披露宴に“飛び入りスピーチ”して、まだ正式入団でもないのに早々と阪神選手にゲキをとばした(これも前代未聞だ)夜、星野後援会の「仙一会」での中日・山本昌投手のスピーチ。いわく。

「こうなったら、なにがなんでも阪神に勝つ」。

 星野監督は、今季までの教え子のそういう“挑戦スピーチ”に笑顔で応じていたという。早くも火花が散っている。そういうことへの興味。

 巨人の原監督も横浜の森監督も“来季の阪神”への警戒心をあらわにしはじめた。それは、そのまま選手に伝わっていく。“負けてなるものか”という強い意識。4年連続最下位チームが、これだけ意識されるということも、ちょっと例がない。

 星野監督は自分の後任の中日・山田監督とタッグを組んで「打倒巨人」と向かっていくという。いまから“球界全体の活性化”の緒についている、ということになる。

 それが、どういう野球になってあらわれていくか、それが問題なのだが・・・・・・。

posted by 田村大五 |00:00 | 第21回~第40回 | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2001年12月11日

白球の視点 第27回

 オフは、シーズン中にはない様々な野球人の集まりがあって、普段はあまり一緒に顔を合わせない両リーグの選手が肩を寄せ合って談笑する会だったり、プロとアマ両球界を代表する大物たちの会だったりするので、時間が許す限り出席して、普段はあまり聞けない話を聞くことにしているのだが、ときに思いもかけない話になってしまうことがある。

 例えば、ファイアマン賞受賞の祝賀会。高津、ペドラザ両投手だったが、ふたりのピッチング談義はさておき、私が声をかけたのは福岡ダイエー・ホークス球団フロント(広報担当)の河埜敬幸さん。巨人にいた河埜和正さんの弟さんで、敬幸さんは南海時代以来ずっとホークスひと筋で内、外野を守り、コンスタントな成績を残した堅実な選手だった。

 河埜さんを呼びとめたのには意味があった。この欄でヤクルト・稲葉篤紀選手の全力疾走を讃えたあと会長特別表彰が決まったときだ、かつて現役時代、河埜さんはベンチから中堅へ、中堅からベンチへ常に全力疾走を続けていたことがある選手だったからだ。「どうして途中でやめたの?」と訊いたら「やめてませんよ。続けました」と叱られてしまった。しかし、1シーズンで終わってしまった。「まわりが色々うるさいんですよ」。「ええカッコするな、とか?」。「ええ、そういうことですよ」。

 ああ、と思った。全力疾走することを同じプロ野球選手がひやかしてやめさせようとする傾向は、ずっと以前からあったのだ。

 今季はヤクルト・藤井秀悟投手の一塁への全力疾走に対して、巨人ベンチがヤジをとばしたという話もあった。世論は圧倒的に藤井投手の方に軍配を上げたが、そういう土壌はずっと続いていたという証拠だろう。

 ニ死走者なしから、全力疾走で一塁に生き、そこからの攻撃で逆転したというケースはいくらでもある。全力疾走を否定するのは野球選手では、ない。

 そのことを12球団全選手の中でどれだけ意識しているだろうか。オフ、胸に手を当てて考えてほしい。その日のためにいまから体を鍛えておけ。

posted by 田村大五 |00:00 | 第21回~第40回 | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2001年12月04日

白球の視点 第26回

 カルロス・フリード、ケビン・オーミー、ウィル・フリント・・・・・・という名前を挙げて、すぐその顔とプレーぶりを頭の中に描くことができる野球ファンはどれだけいるだろう。いずれも今季、パ・リーグに登録されていた投手だ。

 2日、コミッショナー事務局から保留選手名簿が公示されたが、その名簿に記載されていない(つまり自由契約選手)外国人選手が20人もいた。わずか1 シーズンの在籍という選手も多いし、中にはシーズン中に来て数カ月で去っていった選手もいる。なんという“無駄づかい”だろうかと思う。

 外国人選手保有数が拡大されてからというもの。どの球団も次から次と選手をつれてきては、とっかえひっかえ入れ代える傾向が強まっている。

 そりゃぁ中にはロベルト・ペタジーニやタフィ・ローズ、ダイエーのロドニー・ペドラザ、あるいは“カブちゃん”アレックス・カブレラのような“掘り出しもの”もいる。獲得するときは、“第二のペタジーニ ”“第二のペドラザ”を期待して大金を積んでつれてくるのだろうが、それにしてもせっかく入団させておきながら一軍公式戦でもほとんど出番がないまま1シーズンか2シーズンで“ハイ、サヨナラ”が20人とはちょっと多すぎる。

 最近はアメリカのAAA級、AA級、あるいは独立リーグ、あるいは台湾球界所属の選手獲得にはそれほど大金を積まなくてもいいという。しかし、それでも年俸3000万円から4000万円が相場だ。今季の自由契約選手を総計しても8億から10億もの金を“捨てた”ことになる。“ああ、もったいない”と思うのは、こちらが貧乏人のせいか。

 一方では観客動員が伸びない、収入が頭打ちなのに選手の年俸は高騰を続けて球団財政が成り立たない・・・・・・などとボヤきつつ、一方では、こういう“無駄づかい”が問題にもならず見逃されていることが不思議でならない。

 ここ数年の阪神タイガースの外国人選手の“とっかえひっかえ”もめまぐるしくて、いったい誰がいつ来て、いつ去ったのかもわからないくらいだ。チームの衰退と無関係ではないだろう。

posted by 田村大五 |00:00 | 第21回~第40回 | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加