2006年07月06日

白球の視点 第208回

 イチローが、アメリカのオールスターのファン投票で選ばれ、喜びのインタビューの中で、特に、選手の互選による「ベスト外野手」に選ばれたことを「すごく嬉しい」といっているという新聞記事を読んだとき、2週間前、かつてのパ・リーグのホームラン王・門田博光さんと会ったとき、聞いた話を思い出した。

 40歳のとき、一代のホームラン王・王貞治も打てなかったシーズン44本塁打を打った門田さんは、常に目標を「高く、高く設定した」という話の中でイチローについて触れた。「イチローは50歳までプレーを続けていたいといっている。それは単なる“50歳”ということではないと、私は推測している。それはね、日本球界にはもちろんない、アメリカにもない史上最多のヒットを狙ってという意思表明ではないか。誰にも破られることのない大記録への挑戦。そこがすごいと思う」。

 自身、「50歳までプレーしたかった」という門田さんは、しきりに最近の若い選手が「打率3 割、20本から30本台のホームラン」でも打てば年俸は上がるし、“それでじゅうぶん”と考え、「もっともっと、その上、その上を狙ってみようという気概、意欲がないと嘆いた上で、イチローの例をあげたのだった。「それがお金を越えた野球選手の生きがいだと思うんだけどねぇ」と寂しそうに笑った。

 いま記録集を開いてみても、投手、打者の別なく、通算記録をみれば一目瞭然、上位のほとんど「かつての選手」ばかりだ。打者でなんとか「歴代の強打者たち」と張り合って? いるのは清原和博くらいのものだろう。その清原も、このところ故障ばかりで、ファンの期待とは遠い世界にいる。

 門田さんは昨年の宮古島キャンプで久しぶりに会って歓談したときのイチローの目の輝きが、いまも忘れられないという。目標を「高く、高く上におき、それに挑んで達成してみようという強い意思の輝き」に魅せられたという。

posted by 田村大五 |00:00 | 第201回~第220回 | トラックバック(0)
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