2004年09月15日

白球の視点 第158回

 「季刊ベースボール・マガジン」秋季号(9月30日発売)の特集「球団興亡史」の取材で、「わが青春の東映フライヤーズ」を語ってもらおうと、マスターズ・リーグの代表として北京へ向かう直前の土橋正幸さんに会って長談義したあと、別れぎわに「(広島の)嶋重宣に首位打者のタイトルをとってほしいな」といわれた。そのことは、こちらも日頃、関係者に会うごとに強調していたことで、「まったく同感」と声を大きくして相槌をうったものだった。

 「苦節10年、とはよくいったものでね、こういう夢があるから“プロ野球選手もいいものだなぁ”と思うんだよね。ロクなプレーもできないで大金をもらってノンビリしている男たちに、いまさら怒ってみてもはじまらないかもしれないけど、“嶋のロマン”だけは、野球少年たちに“なにごともくじけちゃいけないんだよ”という教材にしたいくらいだ」

 他チームのトップスターを次々に“略奪”してきて、ホームランだけは量産するが、優勝戦線からズルズルと後退していったチームの選手に比べてなんというケナゲさかと、嶋重宣の1打席1打席がいとおしい日々だ。嶋のためにも、なんとしても2004年のペナントレースを成立させたいとまで思う。

 そんなとき、スポーツ紙紙上で、巨人の幹部が「ストをやって正規の試合数が満たない場合は“リーグ優勝”も無効じゃないのか」といったという記事を読んだ。プロ野球再編をめぐってハラが立つことばかりだが、もし本気でそんなことをいったのだとしたら・・・・・・と、こんなにハラが立ったことも、ない。この大事なときに、よりによって「よくもそんな能天気なことをいえるものだと、あらためてその立場にいる人の浅はかな脳の中が見える気がした。

 自分のチームがなかなか勝てないのと対照的に、連日、英智や高橋光や山井といったファームでウンと腕を磨いてきた男たちが目を見張るプレーを展開している中日ドラゴンズの活躍を、そんな言葉でとらえようという、なんという哀れな心魂。そんな人がプロ球界を引っ張っていこうというのだから、いつまでも混乱が増すばかりなのだろう。

posted by 田村大五 |00:00 | 第141回~第160回 | トラックバック(0)
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