2003年11月05日
ニュースが流れた夜、わが家にも「驚き」と「怒り」と「戸惑い」と「疑問」それぞれが入り混じった”悲憤慷慨”といった感じの、それこそパソコン設置以来最多のメールがドッと押し寄せてきた。
「どう考えたってわからない。わけを教えて」。ダイエー小久保の巨人への無償譲渡のことだ。”わけを教えて”といわれても、王監督だって「どうしてなんだろう、何故そうなったんだという疑問がある」といっているくらいだから、私にわかるわけがない。想像はできる。推理はできる。
例えば、いろいろと報じられているように右ひざ靭帯損傷の治療をめぐる対立とか、昨年までの選手会長としてさまざまな問題で球団と渡り合っているうちに積み重なった不満とか、「小久保がいなかったから優勝できた」とある幹部が発言したことを耳にしたからとか、そういう球団フロントへの不信感が引き金になったというようなこと。しかし、「球団フロントへの不信感」は、多くの選手に大なり小なり、あるものだ。それが何故、「無償譲渡」につながるのか。その点がどうにもわからない。球団に不満をもつチームの中心選手を他球団に譲る(過去そういうケースは、ときにあった)のなら、それ相応の”見返り”が当然だろう。しかも「無償譲渡」の相手が、こともあろうに戦力豊富、資金潤沢の巨人とは、わからない、わからない。
11月5日付け毎日新聞朝刊の特集記事によれば「球団売却問題絡み 渡辺オーナーに返礼?」(見出し)という見方もあるというが、そんな”みえみえ”のことをするだろうか。それこそファンを愚弄している。テレビ画面には、両眼から涙が流れる若いオーナーの顔がクローズアップされた。青山学院大の先輩ー後輩の間柄のオーナーは、特に小久保が可愛くてたまらなかったという。その涙の意味は何だ。悔しさと悲しさの涙としたら、そうまで悲しくて悔しいことを何故しなければならなかったのか。わからない。いまからでも遅くはない。球団はファンにキチンとした説明をする義務がある。
松中が「ふざけるな」と怒ったというが、いまもっとも恐れるのは、せっかく「日本一の座」を総力でかちとった福岡ダイエー・ホークス選手たちの気力の萎えである。小久保の故障離脱で川崎が台頭してきたように、王監督の檄ではないが、「先輩を越える選手よ、出よ」と祈るしかない。
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2003年10月29日
タイガース・ファンが、日本シリーズで敗れてもなお、去り行く星野監督に「夢を見させてくれてありがとう」といい、選手に対しても”うらみつらみ”をぶつけることなく「よくやった」と拍手を送っている姿を見てホッとした。日本シリ-ズで負けたことによって「長丁場のペナントレースでの優勝が忘れられてしまうことがもっとも辛い」とは優勝チームの監督がよく口にする言葉だが、今年のタイガースの場合は、そうではなかったことが、いい。それだけペナントレース中の熱闘がファンの心をつかんでいたということだろう。よかった。
だからというわけではないが、私は、いろいろな意味で、日本シリーズで福岡ダイエー・ホークスが勝ってよかったと思っている一人だ。日本シリーズを制覇して一夜明けた朝の経済紙の一面トップが「ダイエー福岡事業 主力行支援で再建」(見出し)であったように、本社を含めた経済問題で揺れ続けた日々、ホークスだけは若い力でグイグイと伸び、連日満員のスタンドで福岡市民も力いっぱいの後押しをした。「優勝記念セール」もこれまでにない売り上げを記録したというし、ホークスの優勝が、どれほどイメージをよくしたか、計り知れない。野球のグラウンド上での力強さ、逞しさとそれを支援するファンの熱気に、あらためて「野球と市民生活」、「野球と都市文化」の強い結びつきを感じたものだったし、その上での日本シリーズ制覇だったから”よかった”と思ったのだった。
もうひとつ、パ・リーグのことがある。今度の日本シリーズの「テレビ解説」でも感じたことだが、たとえば岡本克道投手の熱投について「意外」という表現をしていた人がいてハラがたった。この人は、ペナントレース中でも大事な場面で”意気に感じて”力投を続けていた岡本投手を見たことがないんだろうと思った。
そんな例を出すまでもなく、昨年までの3年間、日本シリーズではセ・リーグ・チームの圧勝が続いていたこともあってか、どうもパ・リーグを”下”にみてような気配が感じられた。今度のダイエ-の力感溢れる野球が、そういう風潮を吹き飛ばし、「100打点カルテット」だけでなく、川崎宗則や鳥越裕介や村松有人らのハッスル・プレーなどをクローズアップした。
いまだにチョロチョロと飛び出てくる「1リーグ論」がある。とんでもない話で、大の2リーグ制論者である私としては、その意味でも福岡ダイエー・ホークスの勝利にホッと胸をなでおろすのだ。
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2003年10月22日
昼はワールド・シリーズ、夜は日本シリーズ。「アメリカのプレーオフがすばらしい試合の連続だったので、”ああ、野球ファンでよかった”と至福の日々を送ることができた」と大阪から感激の電話がくれば(純パの会の小川さん)、夜はニューヨークから松井のバッティングに関するメールが入ってきたりする(ゴルフ評論家の西島さん)。昭和30年代初頭の、いまなおさまざまなエピソードが語り継がれる西鉄ー巨人の対決から日本シリーズを見てきた身としても、アメリカと日本の野球シーズンのクライマックスを同時に見ることができるなんて、まさに”至福の時”だ。
それにしても松井秀喜は、すごい。第1戦に負けたムードをガラリと変えた第2戦1回裏の3ランに、トーリ監督ではないが、すでに”リーダー的貫禄”さえ感じたといっても決して大袈裟ではないだろう。オソレイリマシタというしかない。「ぼくのホームランで少年たちが元気づけられるとしたら、それが嬉しい」というセリフも自然で、この選手の”大きさ”を改めて感じたりもした。
チャンピオンシップ・シリーズから各選手のプレー以外の話題も多く、そちらのほうも楽しめた。ひるがえって、日本のほうはといえば、リーグ優勝が決まってから長い長いブランクのあと、いよいよ”さぁ、これから”というときに冷水を浴びせかけられたような「阪神・星野監督の勇退」報道。星野監督の体調を考えれば「今季で勇退」はやむをえなかったにしても、日本シリーズ直前の報道だけは、なんともシラけた。阪神の球団代表は日本シリーズの主催者であるコミッショナーに詫びたというが、せめて”手に汗握る熱戦”でシラけ気分を吹き飛ばしてもらいたいものだ。
日本では各球団の秋季練習も始まった。それぞれのチーム、それぞれ山積する課題を抱えての再出発だが、ここにきてまだ新しい監督も決まらず、「秋季練習スタート」といっても十数人しか集まらなかったという千葉ロッテ・マリーンズはいったいなにをしているのであるか。こういうチームこそ、どこよりも緊張感をもって再出発に向かわなければならないというのに、歯がゆいったらありゃぁしない。
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2003年10月15日
日本シリーズ直前の、連日、出場両チ-ムに関するにぎやかな情報が満載されている新聞のスポーツ面のすみっこに小さく、2、3行で報じられている各球団の「戦力外通告」記事を見るのは辛い。中には入団時、「将来の投手陣を背負って立つ大器」とか「4番打者候補」などといわれた選手もいる。「戦力外」と通告されてもなお野球への未練断ちがたく、これから次々に行われるであろう各球団のテストを受けて再起へ望みを託す選手は今年も多い。自由契約から他球団のテスト合格、一軍公式戦出場で再びスポット・ライトを浴びた選手もこのところよく出現してくるから、よけいだ。
オフになると、そういう選手とかコーチを解任された人たちの訪問を受けることがある。”再起の道”へ、なにか手がかりをつかみたいからだが、ときに、それまで在籍していた球団、チームへのうらみつらみを延々と語り続ける人もいる。私は聞くだけ聞いてから「もう外部に向かって、あまりそういうことをいわないほうがいいよ」とアドバイスすることにしている。今季は、まだそういう人がいないのでホッとしているところだ。
日本シリーズに出場する両チームとヤクルト、近鉄を除いて、各チーム、コーチ陣の顔ぶれもずいぶん変わった。ファ-ムの監督、コーチ陣の変容を眺めていても”あ、こういう人と人のつながりだったのか”と、あらためて球界地図の一端が見えてきて興味深い。久し振りに”ユニフォームの世界”に復帰した人も、新しく指導者になった人も、いまは初めての役割を果す準備であれを考えこれを考え、気ぜわしいことだろうが、指導者全員に是非、頼みたいことがある。
巨人・堀内、中日・落合両新監督が話し合ったわけでもないのに、ほぼ同時に抱負として述べたこと。「複雑な野球はいらない。投げ、打ち、走り、守るという野球の原点を踏まえたシンプルな野球をやりたい」ということだ。もっとも落合監督にいわせれば「それが一番むずかしいことなんだけどね」ということになる。いたずらに長時間の”ダラダラ試合”ではない”迫力ある野球試合”へ選手たちをどう動かしていくか、新コーチ陣たちの課題は重い。
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2003年10月08日
約半世紀近くプロ野球を見てきたが、優勝を争うライバル・チームの、いってみれば”敵地”で、しのぎをけずってきたライバル監督から花束を受け、抱きしめられ「くじけるな、勉強せぇよ」と激励されて涙ぐみ、ペナントレースではときにヤジを浴びた”敵地のファン”にまで温かい拍手をもらった監督など、見たことがなかった。NHKの衛星テレビの画面を通じてだったが、特別な原監督ファンでもないのにジンとくるものがあったのは何故だろう。
かって阪急と近鉄の監督をつとめ、ずっと下位にいるのが常だった両チームを優勝チームにのし上げた西本幸雄監督をペナントレース最終戦の両チームの対戦後、両チームの選手が一緒になって西本監督を胴上げしたことがあった。そのときも一野球ファンとして感動したが、今度は、そのときとはまた違う感慨があった。特にそれは、一塁側、右翼席側のタイガース・ファンの巨人・原監督への温かい拍手と激励の声にあったように思う。巨人V9時代の最後のシーズン、優勝を賭けた最終戦で阪神が敗れたとき阪神ファンがグラウンドに乱入した時代に比べて、なんと”成熟したファン”になったものかとテレビ画面に見入ったものだった。素晴らしい場面を作ってくれた星野監督にも感謝したい。
巨人の「原内閣」のコーチ全員が総辞職するのだという。それぞれの事情があるのだろうから、第三者としてその進退についてとやかくいうことはできない。しかし、あえていいたいのは、本拠地・東京ドームでも「巨人ファンへの挨拶」がなかったのに、あの甲子園球場での”タイガース主催”の感動的なセレモニーとか”ライバル球場”での原監督の心のこもった挨拶、そして全コーチ辞任というような現象を、巨人球団幹部、特に渡辺オーナーはどんな思いで見ていたか、ということだ。
おそらく”心、穏やか”ではなかったはずだ。こういう事態になってしまったのは、どうみても巨人球団幹部のそそっかしい対応にあると私はみているが、そのことに関する”弁明”がほとんど聞こえてこないことがいらだたしい。
堀内恒夫監督初め新スタッフの苦労も、球団幹部は身を挺して支えてやらなければならない。そういうことをどこまで痛切に考えているのか。そのことも見えてこない。それも腹立たしい。
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2003年10月02日
けっきょくはダイエー打線の猛打に屈して王監督の胴上げを見ることになったが、30日夜の、一度は0対3から6対3と逆転してダイエー・ファンで埋まったスタンドをシーンとさせた4回裏のロッテの攻撃(1イニング4連続二塁打、5二塁打のパ・リーグタイ記録)をみて、”これだけのチームがどうしてシーズン中に不甲斐ない負け方ばかりしたのだろうか”と思い続けた。
ダイエー打線が爆発して13対6。7回終了後に神戸で西武が負けてもう”ダイエーの優勝決定”。しかしロッテ打線は最後まで手を抜かず9回裏になっても里崎、福浦、堀の3二塁打などで4点もとってダイエー・ファンをハラハラさせた。それだけの力を持っている。
ダイエーが優勝を決めたとき、ダイエ-から32ゲーム差、4位のロッテにも16ゲームも引き離されてのダントツの最下位チーム、オリックスにしてもそうだ。「マジック1」のダイエーに対して2日続きの延長戦で連勝。いつも気が遠くなるような大量点をとられて負けていたのに、特に27日は、12対11とダイエーのお株を奪ったような勝利。30日の対西武戦も堂々の逆転勝利だ。ここも、それだけの力があるという証拠だ。
なのに、両チームは、何故、こうもだらしのないペナントレースを送ったのか。新しくオリックスのゼネラル・マネジャ-に就任した元阪神監督の中村勝男氏は早くも精力的な動きを始めたようでどういうチーム作りをするのか、興味津々だ。西武退団を表明した伊原監督が神戸に乗りこんでともにチーム改革を進めるという話だが、それがどういう形になって現われるのか、その過程もまた、ヘタな試合を見るより興味深い。
ダイエーと対戦する前日に山本功児監督の退団を発表するという、相変わらずチグハグな動きをみせたロッテは、まだどういうタイプの監督にするのか、方向を明示していない。複数の”噂監督”の名前ばかりが次から次へと出てくるばかりで、いったいどういうチームにしたいのかがさっぱりわからない。熱心で礼儀正しいと定評があるファンえおもちながら、恥ずかしい話だ。自民党の安部幹事長の起用ではないが、「サプライズ」を待っている。
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2003年09月25日
「久し振りに故郷に帰ったとき、たまには母校のグラウンドに立って後輩たちの顔を見たいと思うこともあるけど、規則上、それはできないという。なにか、プロになったことで若い頃からの野球仲間からのけ者にされたような感じがして面白くない。どうにかならんものか」 これまで、プロ野球選手、あるいはすでに引退して時間をもてあまし気味のプロOBから、何度、そういうことを聞かされてきたか。
かって長嶋一茂さんが立教高ー立教大の野球部にいた頃、規定では、家の中でも父・長嶋茂雄さんは息子・一茂さんに打撃指導してはいけないことになっているというような極論を例に出して失笑したことがある。規定を文字通り解釈すればそういうことになるのだから、現実ばなれした話だった。
長い間、そんな状態だったから、今度の「プロ野球選手による高校球児対象のシンポジウム形式の野球教室開催」という知らせは近来にない明るいニュースだと受け取った。松阪大輔や井川慶が直接、高校球児たちと対面してさまざまな野球会話をかわして交歓しようという試み、待ちに待った企画といえる。
プロ野球選手会の提案に高野連のほうも快く応じたということだが、よくぞ踏みきってくれた。高校野球指導者へのアンケートでも半数以上が「プロOBのアドバイスを受けたい」と答えていたというが、もともとから底辺にずっとあった”本来の要望”が、プロ・アマの雪解け現象を察知した大きなうねりとなって高野連幹部にもプロ野球幹部にも押し寄せていった成果だろう。
シンポジウム形式による野球教室のタイトルが「夢の向うに」というのもいい。高校球児たちも”夢の向うに”技術の向上を見ている。「高校時代はもっとも技術が向上する時期。そういうときにぜひ、貴重なアドバイスを頂きたい」とは新しい高野連会長の言葉だが、これを機会に冒頭にあげたプロ野球選手の言葉のように、オフ、気軽に母校の後輩に声をかけてあげられるようになればもっといい。
そのためにもプロ側は、選手獲得にまつわる不明朗なことは絶対にしてはならないことが大前提であることは勿論だ。
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2003年09月17日
2位以下を10ゲーム引き離しても15ゲ-ム差をつけても星野監督は「眠れない夜があった」というから監督業というもの、大変なんだとあらためて思った。こちらにしてみれば2位以下を10ゲーム以上も引き離しての大独走状態だったんだから、夜は”高枕、高イビキ”と思っていたのだが、事実は逆で、「もしこれで優勝できなかったら笑いものになる。日本におれなくなる」とずっと考えていたというから、プロ野球の監督、並みの神経では務まらない。
星野監督の、甲子園球場で優勝が決まった夜のインタビュー時の言葉がすばらしかった。前日の「母の死」をひたすら隠して、あれだけの落ち着きと選手を讃え続ける姿に感動した。やれ「鉄拳制裁」だとか、やれ「蹴飛ばし興奮状態」とか、これまでいろいろいわれてきたが、優勝決定時の”赤星抱き締めシーン”に象徴されるように、選手への熱い思いは、各夫人の誕生日に花が贈られるこまやかな気配りによくあらわれている。私は、かって、「鉄の人」、「非情の人」などといわれもしたV9時代の巨人・川上監督がキャンプ地の宿舎で選手夫人にあてて「今日もご主人は元気でした」という手紙を綴っていたシーンを直接、目撃して、プロ野球チームの監督の内面を、考え直したことがある。選手も含めたチーム全体のハシバシへの気配りに成功した監督が優勝監督になるのかも知れないと思ったことさえ、ある。
今度の阪神の優勝も、何度も書くことだが、星野監督がゼネラル・マネジャーとして徹底してチーム全体の編成をやり直したことにあると思っている。かって南海ホークスの黄金期を築いた鶴岡監督も巨人の川上監督も、コーチ陣編成からトレード計画からなにからなにまで自分が先頭に立って動いた。鶴岡監督がシーズン中、遠征の旅行日のたびにアマ球界の有力選手の家を独自に訪問、選手の家族に親しまれていたことも、何度か同行して知っている。日本球界にまだ「ゼネラル・マネジャー」という言葉が広まっていなかった頃から、ちゃんと現実にやっていたのだ。
いま星野監督は、それを実践した。日本プロ野球の監督、”いまふう”はないようだ。
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2003年09月11日
まだ連日、30度を越す暑さの中で、日本のプロ球界はもう秋から冬への”人事の季節”に入った。
中日が山田監督に「休養しろ」という事実上の解任発表(スポーツ紙に「解任か?」という「?」つきの記事が出るやその日に遠征先での正式発表というのもめずらしいケースだ)すると、巨人は新しい球団社長と球団代表の就任発表。ヤクルトは昨年最多勝の外国人投手を解雇するというし、横浜は、いつも広島ベンチで山本浩二監督の横に立っている松原誠チーフ兼打撃コーチを招くという(松原コーチは大洋ホエールズOB)。
パ・リーグでもロッテやオリックスの監督人事をめぐってさまざまな噂がとびかっているし、監督が代わるということはコーチ人事にも飛び火するということだから、当事者にとっては落ち着かない季節だ。ましてや阪神が大量整理からはじまってフロントも現場も大幅な入れ替え人事がいまの好成績に至っていることを、どの球団も承知していて、強い刺激になっているから、”阪神、ひとり勝ち”は想像以上の波紋の広がりをみせている。
そういう中で、私はいま、オリックスと横浜に注目している。両球団とも、思い出すのもイヤになるであろう今シーズン、その悪夢を払いのけるためにどう建て直そうとしているのか、それが知りたい。落ちるところまで落ちたのには、ただ幹部のクビをすげ替えたくらいでは治りきらない深い傷があちこちにあるはずだ。どういう処方箋を書き、どういう手法で傷の手当てをしていくのか、その道程に興味がある。それによって、その球団が「プロ野球」というものをどう考えているのかみることもできるだろう。
両球団とも「日本一の座」についてから、大袈裟な表現でなく”アッという間の転落”だった。チャンピオン・チームが何故、こうも早く”弱小球団”になってしまったのか、いま抜本的な対策を講じないととりかえしがつかないことになってしまうことを関係者は肝に銘じてほしい。両球団とも、なかなかにいいプレ-をみせてくれる若い選手が台頭してきている。立ち直る”芽”が出てきているだけに、黙ってみていられなくなった。
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2003年09月04日
デイリー・スポーツ紙上で始まった「星野語録」が好評だったせいだろう、各スポーツ紙ともいっせいに阪神・星野監督の折りにふれての感想語録を連日、掲載するようになった。”そうだそうだ、その通りだ”とうなづいたり、”星野監督よ、それはちょっと違うんじゃないかな”と反発したりすることもあるが、連日、なかなかに面白い。タテマエ論がなく、いつも率直で、周囲に気兼ねしないホンネばかりだからだろう。
最近では、各紙8月31日付けの「今年で解雇することが決まっている外国人選手をシーズンの最後まで使うチームがある。あれが理解できない。おれなら、二軍から若い選手を連れてきてガンガン使う」という言葉など”その通り”とうなづいた代表例だ。
巨人のワンマン・オーナーも、早大・鳥谷選手の獲得に関する”ルール違反”発言で星野監督が怒っていることをスポ-ツ紙のその「語録」で知ったようで、デイリー・スポーツ紙の「星野監督熱血語録」によれば「星野監督が怒るのも当り前」と”謝罪”したという。「星野語録」の効果大、というところだ。
試合のことでいえば、早川健一郎外野手の起用もシビれさせてくれたが、金本知憲といい伊良部秀輝といい下柳剛といい、さらには片岡篤史、広沢克実と、今季の阪神ほど”外からの血”がいかにチ-ムの活性化につながったかを如実に示した例はちょっとないのではないか。
もうひとつは、コーチたち。ヘッドの島野育夫、打撃コーチの田淵幸一、投手コーチの佐藤義則、西本聖、守備・走塁の長嶋清幸、バッテリーの達川光男、さらに二軍にも投の山口高志、打の水谷実雄。みんな阪神以外の球団で実績をあげてきた錚々たるメンバーだ。その貪欲なまでの”補強”に驚いたものだが、これだけのチームあげての団結ぶりをみせられると、その”外からの血の補強”がみごとに実ったものと思わざるをえない。
それぞれ個性の強いコーチ陣をフルに駆使し、束ね、一方では「語録」を使ってファンと接し、球界にも”正常化発信”を続けるとは恐れ入るばかりだ。少々の大言壮語があっても、”なにいってやがる”という気にならないーーと書けば”お前も星野魔法にやられたか”といわれるだろうか。
posted by 田村大五 |00:00 |
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