2002年04月02日

白球の視点 第40回

 普段、プロ野球の話題などしたことがない、ほとんど無関心にみえた鹿児島在住の義姉から私用で電話があったとき、用件が終わると「ところで、ホシノ・ハンシン、かっこええね」。ウ~ム、そこまできたかと感じ入った。開幕戦の関西テレビ視聴率は瞬間最高40%を越えたというし、阪神本社の株価まで上がったというが、“新生タイガース”はプロ球界全体に多くの人の目を集めたということが評価されるべきだろう。

 札幌ドームで初完封ピッチングをしてみせた足寄高出身の西武・三井浩二投手は「暗い話題が多かった北海道に明るいニュースを提供できたでしようか」と笑った。ここでも“プロ野球の存在感”をみせつけてくれた。ありがとう。

 開幕戦は、両リーグとも話題が多かった。広島・緒方孝市や近鉄・小池秀郎の復活も嬉しかったが、昨年まで11年間で一軍公式戦出場8試合11打席で通算わずか2安打(1本塁打)の西武・犬伏稔昌内野手が、いきなり3番・DHに起用され大活躍した姿がまぶしかった。抜擢した伊原監督もよほど嬉しかったのだろう。報道陣に「大きく書いてやってくれ」と頼んだ?のに、扱いが小さかったのが悔しかった。こういう“あきらめずにひた走る”タイプが好きだからだ。ちょうどいまセンバツ大会の真っ盛り、'90年センバツで優勝したとき(近大付高)の4番打者。また新たに興味をもって見続ける打者が増えた。

 ルーキーでいえば、ただひとり開幕先発メンバーで出たオリックスの後藤光尊内野手。初盗塁に初安打。開幕2戦目に2番手で登板したダイエーの飯島一彦投手。7番打者をノーヒットで抑え、王監督は「新人とは考えず、これからどんどん難しい場面で投入していく」という。イチローを新庄も石井一久も失ったが、考えてみれば、イチローだって2年目は打率・188、新庄も23本塁打('93年)して注目されるまでは一軍とファームを往復していたし、石井も2ケタ勝ち星を挙げたのは4年目だ。みんな、そういうところから這い上がってきた。失ったことを嘆くより、花開いてファンを楽しませる可能性をもつ男に注目したい開幕だった。

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2002年03月26日

白球の視点 第39回

 開幕5日前、コミッショナーから12球団の監督宛にあらためて一通の文書が送付された。一、野球規則の順守、一、審判員への敬意を忘れない、一、スピードアップを心がける・・・・・・。“いまさら”といえなくもない3項目だが、ここにきてまたあらためて文書で通知しなければならないところに、旧態依然、ちっとも変わっていない球界の体質を感じてしまう。

 予想されるストライクゾーンにまつわるトラブル解消へ向けての牽制だろうが、監督たち、その書面にじっと見入ったか、それともチラと見ただけで済ませてしまったか、それはもうすぐ公式戦の試合内容でわかる。

 オープン戦での、そのストライク・ゾーンをめぐる反応を見ていると、実績のある打者や投手はそれほど神経質になっていない。必要以上にああだこうだと言っているのは、むしろ指導者の方だ。その辺が気になっていたところに、いい言葉に出会った。以下、「週刊ベースボール」4月8日号からの引用。

 江夏、打者を見ることのできる投手が少なくなった。特に初球の入り方が無防備過ぎる。その理由を考えていくと、試合のための練習をしていないんだな(略)(指導者が)練習メニューをきちんと決め過ぎている。先輩の技術を盗んでやろうとか、自分は何をしたらいいか考える習慣がなくなっている・・・・・・

 落合、それが一番大切なことなんだけどね(略)。「いま何をなすべきか」ということを選手も指導者も真剣に考えなくては・・・・・・

 翌週号からスタートする、投手と打者の立場から究極の技術論を綴るコラム「超野球学」の“序文”にあたるふたりの対談の中の一部だ。一時代を築いたふたりの野球人は、とことん自分でワザを磨いてトップレベルに達した。その一投一打は、いまもマブタに残る名勝負、ドラマを生んだ。ファンは、そういう一投一打に酔った。私は、いつもふたりの野球論を「野球芸談」と呼んだ。

 そういう「野球芸談」が生まれるペナントレースであってほしい。そのためにも、現役のベンチの指導者も選手ももっとプレーそのもので語ってほしい。判定の稚拙をうんぬんするのは、そのあとだ。

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2002年03月19日

白球の視点 第38回

 新しいストライク・ゾーン(仰木・前オリックス監督のように「新しいストライクゾーンではない。規則通りになったまでのことだ」という人もいるが)に関して論議が続いている。昨年までより「ボール2個分高い」、「いやボール3個分は高くなっている」という“広がったストライクゾーン”はオープン戦でも様々な波紋を起こしているが、ユニフォーム組の方で一致した声は「統一性のあるジャッジ」だ。「審判によってストライクにとる人ととらない人がいるのがもっとも困る」という統一性。

 そんな折も折り、日本にも「審判学校設立」の動きがあることを知った。アメリカには有名な審判学校があって。そこでみっちり審判教育をほどこされ、卒業資格を得てファーム・リーグから鍛えられていく。日本からも何人も留学している。教育を受けた人もいるからよく知られているが、日本でもかねてからそのアメリカの審判学校を模したシステムを取り入れようという声は上がってはいても、なかなか実現しなかったのだ。

 それが今後、元プロ球団フロント幹部の人たちによって具体的に動き出し、広くアマチュア球界にも呼びかけているという。中学、高校、大学、社会人球界に軟式野球にも及べば、その数は厖大なものになる。選手になりたくてもなれなかったが野球愛は消しがたく、いやそれだからこそつのる一方で、それが審判志望になったという例は、これまで数多く聞いてきた。だが、これまでそういう人を受け入れるオフィシャルな学校がなかった、というのも不思議な気がするが、そこには第三者にはわからない様々な事情があるのだという。

 いまなおことあるごとに複雑微妙な顔をのぞかせるプロとアマの間の、資金財政の問題、新しいライセンスと既存プロ球界の審判員の関係などなど、聞けば “え? そんなことまで?”と驚くような問題が横たわっている。それらをこれからひとつひとつ話し合いで解決へと歩み寄ってからの審判学校設立準備だそうだ。

 公認野球規則によれば、審判員は「試合を主宰する」者だ。それにしては、これまで軽く見られ過ぎてきた。“権威ある審判”育成のためにも学校は必要だ。

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2002年03月14日

白球の視点 第37回

 昨年のセ・リーグ最多勝、ヤクルトの藤井秀悟投手が4日の対ダイエーオープン戦で4イニングで9連続を含む11奪三振という素晴らしいピッチングをみせたとき、伊東ピッチング・コーチは、藤井の素晴らしい仕上がりをみて、逆に「あまり良すぎて、この調子を開幕まで持続していけるか、心配になってくる」といったものだ。この時期の調子に関する複雑微妙な感触を伝えて興味深い談話だ。

 投手でも打者でも、オープン戦で調子が悪ければ、本人も周囲も心配するのが当然だ。だが、伊東ピッチング・コーチのように、調子が良ければ良いでまた“公式戦まで維持できるか”と心配になってくるというあたりが、この時期独特の微妙なところだ。

 どのチームでも、誰の目から見ても“ポジションは安泰”と思われている実績のあるベテランでも、ちょっと体調を崩しただけでオープン戦で若手の出番が目立つようになると「内心、かなり焦る」という。若手は若手で「今シーズンは出場機会が増える・・・・・・」と思うから、張り切る。ところが“チャンスだ。いいところを見せてやろう”と張り切り過ぎて、ときに思いもかけないアクシデントにぶつかってしまうこともある。そういうケースも、これまで何度も見てきた。この時期、それほどビミョーなのである。

 逆に、ヒョンなことでチャンスを得てそれがきっかけで一気にスターダムに上った掛布雅之さんのような例もある。オープン戦でベテラン内野手が所用で欠場した。キャンプで“みどころあり”と見られていたルーキー掛布が代役に指名され、そこで好打をみせ、監督、コーチが“使える”と確信した。ひとつのチャンスを確実にモノにした典型例だ。
“チャンスはどこにもころがっている”のではなく、“ヒョッコリまわってきたチャンス”をどうつかむか、だろう。オープン戦のプレー、成績を見ていると、今年も何人か、いる。あと半月が勝負だ。

 大事なときに風邪をひいて「アホか」と監督に怒鳴られないように公式戦開幕までの日々を大事にしてほしい。

 公式戦開幕を目の前にして、誰がいいプレーをしようがいい成績を挙げようが平然としていられる選手は何人いるか。

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2002年03月05日

白球の視点 第36回

 「週刊ベースボール」3月18日号に「野武士軍団の住処(すみか)よ、永遠なれ」というタイトルで、この3日、福岡市内の旧平和台球場前に、西鉄ライオンズの本拠地球場としてファンに親しまれた平和台球場の歴史を後世に残すための記念モニュメントが建立されたことが報じられていた。当時の中心選手だった中西太さん、稲尾和久さん、豊田泰光さんが平和台球場を模したモニュメントのベンチ方向を指さし、笑顔で語り合っている姿が印象的だった。

 私はかねてから「3連覇」を記念して3月3日にお披露目式が行われることを聞いていたので、翌4日のスポーツ紙を楽しみにしていたのだが、在京の各スポーツ紙は、日刊スポーツ以外はほとんど報じられていなかったのが寂しかった。

 稲尾さんは「西鉄と平和台球場の語り部としてこれからも野球ファンに語り継いでいきたい」と言っていたが、「ニシテツ」の豪快な野球を愛し、もう一度「ニシテツ」のようなチームがあらわれてほしいと思い続けているひとりとしてもっと多くの野球ファンに知って欲しかった。

 折も折り、近刊の稲尾和久著「神様、仏様、稲尾様」が著者から送られてきた。かつて一緒にベースボール・マガジン社から「鉄腕一代」というタイトルの著書を刊行したことがあったのでよけい興味深かった。著者は「はじめに」の中で次のように書いている。

 ・・・・・・いまはなき西鉄ライオンズの不思議に根強い人気を思うとき、「バカになれた時代」の幸せを思う。後先考えずに投げ続けた私の投手としての盛りはプロ八年目の昭和三十八年で終わったといってよく、もっと大事にしていたら、と残念がってくれる人もいる。それは違う。10勝を二十年続けたところで “勤続表彰”はしてもらえても「神様、仏様・・・・・・」とはならなかった。日本のプロ野球がつまらなくなったといわれる。もしそうだとすると、投手は怪我を恐れて投げなくなり、打者は監督の指示を着実にこなすだけのコマに、と妙にこざかしくなったところに原因があるのではないか・・・・・・。

 私が「ニシテツ」を多くの人に知ってもらいたかったのは、その一点にある。

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2002年02月26日

白球の視点 第35回

 ダイエー・寺原隼人投手がキャンプ入り前からルーキーの話題の中心だったのに比べ、ひっそりしていた感じのあった巨人の1位指名ルーキー・真田裕貴投手がキャンプの終盤に入ってがぜん評価がうなぎのぼり、注目を集めている。宮崎入りしてすぐブルペンをのぞいた「長嶋茂雄さんがえらくほめたから?」と巨人関係者を冷やかしたら「とんでもない」と叱られた/「マスコミの話題に上らなかっただけで。われわれ内部では早くから即一軍ベンチ入りと評価していました」

 かねてから、いわゆる「高卒ルーキー」に興味を持っていた。古くは中西太、豊田泰光、王貞治、張本勲ら大物ルーキー打者、投手でいえば尾崎行雄(浪商2 年で中退だが)、江夏豊、堀内恒夫などという高卒ルーキーとは思えぬふてぶてしい男たちを見てきた身としては、このところ打者では松井秀喜、投手では松坂大輔以外“ふてぶてしい大物”の出現が少ないのが寂しかった(00年の首位打者・新人王の横浜・金城龍彦は2年目)。

 それが今季、華々しい話題は少なかったわりに実力派高卒ルーキーが高く評価されはじめたようで嬉しい。「抜擢したんじゃない。実力で(試合で)結果を出したから一軍で使うんだ」と大島監督が力をこめていう野中信吾遊撃手(佐賀・神崎高出身)もそのひとりだ。担当記者によれば、「監督のあの口ぶりではオープン戦の成績次第では公式戦開幕の先発メンバー起用も十分考えられる」という。もしそうなれば、チームにとって野手の高卒ルーキーとしては東映フライヤーズ時代の張本勲以来の快挙だ。

 野中の“売り”は足と守りだ。初のオープン戦でもカンのよさと快足ぶりをみせて大島監督を喜ばせた。このところ進境を見せてきた3年目の田中賢介もウカウカできない。イチローがバッティングだけでなく全身でみせた足と肩による野球の醍醐味を初々しい空気を漂わせて観客にアピールするとき、ベテランもそれに強く刺激される。チーム全体がピチピチとハズんでくる。そこに高卒ルーキーの魅力がある。

 公式戦まであと1カ月。ルーキーたちの奮闘を祈りたい。

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2002年02月21日

白球の視点 第34回

 お通夜やお葬式は“故人”が日頃は無音で通している人々を会わせるために機会を与えてやっているのだ、という説がある。今度の故・池田恒雄・ベースボール・マガジン社会長の通夜や葬式に立ち会って、あらためて、そのことを感じた。

 たとえば、弔問に訪れた“懐かしの球人”たちが、故人の遺影の前でお互い久しぶりに顔を合わせ「おお、元気だったか」などと話し合っている。故人の生前の交友は多岐にわたっているが、中でも球界では。やはり先に物故した広岡知男・元日本学生野球協会会長と共に“長老中の長老”だった身ということですでに球界から身を引かれた方も多数、集まった。

 多忙なスケジュールの合間をぬって駆けつけた長嶋茂雄さんは「ぼくは学生(立大)時代からなにかにつけてアドバイスをもらった。ぼくのプロ入りで週刊ベースボール創刊を決めたとかで、第1号の表紙を飾らせてもらった。だからぼくの野球人生は週刊ベースボールの歩みと平行していた」と故人を偲んでいたが、それは戦前からの野球人にも似たようなことがいえた。

 いまの若いの野球解説の人ですら「あの人、どこかでお見受けしたことのある人だけど、名前が思い出せない、どなたでしたっけ?」などという球界の長老たちの顔もそうだったが、たとえば2001年チャンピオン、ヤクルト・スワローズがまだサンケイ・アトムズと名乗っていた頃の球団代表、徳永喜男さん。徳永さんは戦前の東京六大学野球で法政大学黄金時代の名マネジャーで当時から故人と親しくつき合ってきて、今に残る「スワローズ球団史」も故人のすすめでとりまとめた人だ。

 たとえばまた、戦後、中日、大洋で強打の大型三塁手で売った児玉利一さんは「昭和9年(1924年)、明大時代からのおつき合い。葬儀の席でも、もう知った人にはほとんど会えなかった」という。プロ、アマ問わない日米野球の生き字引が消えたという思い」ともつけ加えた。

 プロ野球もアマチュア野球も大きな曲がり角にきているといわれる今、プロとアマという境界を越えた野球人の跡を皆で引き継がなければならない。

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2002年02月06日

白球の視点 第33回

 毎年、キャンプ地巡回の楽しみのひとつに“大バケ中の若者”を見ることがある。

 例えば、一昨年、昨年のヤクルト・岩村明憲三塁手の、日一日と逞しさが増していくのが見てとれるバッティング練習。「こいつはようなるでぇ。楽しみに見とってくれ」という、当時の中西太バッティング・アドバイザーのアドバイスもあって連日の打撃特訓に目を見張った。中西アドバイザーの予告通り、公式戦に入って素晴らしいバッティングを披露して三塁のレギュラー・ポジションを獲得した。

 昨年のパ・リーグの首位打者、ロッテの福浦和也一塁手もそうだ。一昨年、あとひと息で打率3割に届かなかった悔しさが、さらに意欲的な練習へとつながっていったのだろう。若者がグングン伸びていくときの躍動感が素晴らしかった。

 今季はどんな若者がいるのだろうと、各キャンプ地に探りを入れてみると、いました、いました。

 例えば中日ドラゴンズの4年目、蔵本英智外野手。4位指名で中日入したとき「投手でも打者でもイケる」というちょっと変わった話題で評判になった男だが、キャンプ地の評判を聞くと、多くの人が「2002年のイチ押し」だという。福留孝介をはじめ、中日の外野陣には復活を期す関川浩一や井上一樹ら、かつては実績を残したベテランがいるし、個性派・波留敏夫もいる。そういうレギュラー陣を、25歳の若者がどこまで追い上げるか。そういう激しい競争がチーム力を押し上げる。蔵本が台頭してくるかどうかが、案外、チーム内の活気に関係してくるかもしれない。

 ルーキーでは、星野監督がえらくぞっこんの4巡目指名のPL学園出身、桜井広大外野手が早くも「一軍入り」と話題になっている。

 なんでも体力測定では抜群の数値をみせたというし、岡田・二軍監督が「天性の遠くへ飛ばす力を備えている」と絶賛したとか。阪神で、高卒ルーキーが1年目から一軍ベンチ入りするのは、あの掛布雅之さん以来とか。こちらも外野陣は若い力がひしめいている。1カ月後、どんな豹変を見せているか、楽しみだ。

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2002年01月29日

白球の視点 第32回

 「記録の神様」といわれる宇佐美徹也さんですら「こうも頻繁に出たり入ったりの繰り返しでは、どこの誰だったか、とても覚えきれない」とボヤいたほどの外国人選手ラッシュ。昨年は12球団総勢で67人。そのうち31人が消え、今年新たに18人が加わって、「一軍の外国人選手ワク4人」(投手3人、野手1 人でも投手1人、野手3人でも可)と広がった今季は総勢56人。来日したかと思うとロクに試合に出ないうちにさっさと帰国されるのでは、確かに覚えきれない。

 今季は例年にも増して来日が早い。アメリカでのイチローや新庄の活躍などで日本球界への関心が高まっているせいかもしれない。

 中にはエクスポズで一緒だった吉井理人投手から教えてもらったという日本語で、成田空港に降りたった途端「シゴト、ハタラキマス」などと報道陣にお愛想をふりまいた選手もいる。1試合に9ポジションをこなしたことがあるというオリックス入りしたシェルドン内野手だが、なんでも7種類のグラブを用意してきたとかで、さらに「キャンプでコーチが“捕手をやってみろ”といってくれれば嬉しい」とまでいうのだから、かなり器用な男のようだが、さて、どうか。

 横浜入りのジェイソン・ターマン投手は「ビッグ・ワーム」(大ミミズ)という異名をもつ208センチのアメリカ球界でも最身長の右腕投手。来日した飛行機では巨人入りのジョン・ワスディン投手と一緒だったというのに、報道陣からそのことを訊かれると「そんな名前の男は知らない」と挑発、早くも火花を散らしている。巨人-横浜戦でふたりが投げ合う可能性は大。さァ、どうなるか。

 「アメリカから初めて外へ出た」といったのは、日本ハム入りしたDT・クローマー外野手、日本のことはかなり勉強してきたというが、日本の環境にどこまで適応できるか、外国人選手に関しては、野球技術はもちろんだが、日本の慣習、文化にうまく適応した選手が活躍するともいわれている。クローマ-の“日本”へのとけ込みようはどんなものか。

 来日早々は誰だって意気込んでいるが月日が経つうちに正体が現れてくる。じっくり見きわめることにしよう。

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2002年01月22日

白球の視点 第31回

 ようし、今度こそ本当だな、しっかり見届けるぞ・・・・・・と声を出した。1月21日に行われた初の12球団監督会議の申し合わせ事項。 (1)公認野球規則を遵守する、(2)審判員への敬意を常に忘れない、(3)試合のスピードアップを常に心がける・・・・・・うんぬん。

 ようし、本当だな。

 今度の会議は、出席者によれば「かつてないほど活溌だった」という。

 新しいストライクゾーン徹底のためキャンプ・オープン戦時の審判員との深く濃密な交流、両リーグのルール統一(危険球への対応、中継ぎ投手の表彰規定、投手交代時のマウンドへ集まる回数など)、使用球の規格統一(いわゆる“飛ぶボール”への対応)、ブラック・リスト(遅延行為の多い投手、打者の氏名公開)など多数にわたった意見交換。どの問題点ひとつとっても、取り上げるのは遅きに失した感はあるが、グラウンドの当事者たちが声を張り上げて討論を続け、それが“密室の論議”でなくそれぞれの監督の口から公にされたことに意義がある。

 しかし、「話し合った」だけではなんにもならない。これまでもリーグ別の監督会議で「スピードアップ」は毎年のように話し合われてきた。が、現実には旧態依然だったし、そのことをシーズン中に取り上げていう人もいなかった。“今度こそ”なのである。

 もちろん、王監督がいうように「試合時間が短ければいいというものではない。いいプレー、いい試合を見せるのが我々の使命」なのだが、ひとつひとつの動き、プレーをキビキビとスピーディーに・・・・・・と全選手が心がけることが、試合時間の長短を越えた「いい試合」につながるはずだ。昨年、ひとつふたつ見られたような、相手選手の全力疾走をひやかすような土壌が残っているようでは、とてもできないだろう。「審判員への敬意も常に忘れない」という一項も。しっかり胸にとどめておこう。

 さァ、実行のとき。もういいわけは許されない。

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