2002年06月17日
白球の視点 第51回
もう、ずいぶん以前のことになるが、タイガースの伊藤敦規投手がまだ横浜にいた頃、在ブラジルの熱心なファンから長い手紙をもらって、なかなか陽の当たるところには出られないが黙々と投げ続けている「伊藤投手讃」を、当時の「週刊ベースボール」の2頁コラム「白球の視点」で紹介したことがある。 福井工大のエースとして大学選手権大会でベスト4までのし上がり、ロサンゼルス五輪で2勝をマーク、優勝に貢献、'87年ドラフトで阪急ブレーブスの1 位指名、1年目にウエスタン・リーグでノーヒット・ノーラン記録(対阪神戦)・・・・・・といっても、伊藤投手には申しわけないが、各チームのエース級投手に比べれば地味な存在だ。それでも、ブラジルからの読者の熱烈な手紙に接してからずっと気になる投手のひとりだった。 阪神に移籍したのがプロ入り10年目でその年にシーズン60試合登板(8勝5敗8セーブ)してから中継ぎ役として黙々と投げ続けて、一昨年はリーグ最多の71試合登板。“よくやるなぁ”といつも感心して見ていたが、“そうか、野球ファンはちゃんと見ているんだな”と得心いったのが、今度のオールスター・ファン投票だ。投票の中間発表がはじまってから伊藤はずっとセ・リーグの中継ぎ投手部門でトップを走り続けている。プロ野球は、こういう人たちによって支えられているんだと、あらためて思う。 この6月、日本列島はサッカー色に塗り込められているといった感じだが、この土曜、日曜(15、16日)のゲームなどを見ていると(もっぱらテレビ観戦だが)プロ野球もなかなかに頑張っていて面白い。大阪ドームの近鉄-ダイエー戦、甲子園球場の阪神-巨人戦、ともに最後まで手に汗握る攻防で見応えがあった。 この2試合に限らず、試合の途中に各地から入ってくる「他球場の試合経過」を聞いていても、どこも二番手、三番手の中継ぎ投手の出来いかんで戦況が微妙に変わっていくことがよくわかる。いまや中継ぎ投手役が重要なカギを握る時代になった。かつて先発-完投が当たり前だった時代をよく知っている身としては、重厚な先発-完投型の減少が寂しくもあるが、違う球趣を楽しむしかない。
posted by 田村大五 |00:00 |
第41回~第60回 |
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