2002年03月14日
白球の視点 第37回
昨年のセ・リーグ最多勝、ヤクルトの藤井秀悟投手が4日の対ダイエーオープン戦で4イニングで9連続を含む11奪三振という素晴らしいピッチングをみせたとき、伊東ピッチング・コーチは、藤井の素晴らしい仕上がりをみて、逆に「あまり良すぎて、この調子を開幕まで持続していけるか、心配になってくる」といったものだ。この時期の調子に関する複雑微妙な感触を伝えて興味深い談話だ。 投手でも打者でも、オープン戦で調子が悪ければ、本人も周囲も心配するのが当然だ。だが、伊東ピッチング・コーチのように、調子が良ければ良いでまた“公式戦まで維持できるか”と心配になってくるというあたりが、この時期独特の微妙なところだ。 どのチームでも、誰の目から見ても“ポジションは安泰”と思われている実績のあるベテランでも、ちょっと体調を崩しただけでオープン戦で若手の出番が目立つようになると「内心、かなり焦る」という。若手は若手で「今シーズンは出場機会が増える・・・・・・」と思うから、張り切る。ところが“チャンスだ。いいところを見せてやろう”と張り切り過ぎて、ときに思いもかけないアクシデントにぶつかってしまうこともある。そういうケースも、これまで何度も見てきた。この時期、それほどビミョーなのである。 逆に、ヒョンなことでチャンスを得てそれがきっかけで一気にスターダムに上った掛布雅之さんのような例もある。オープン戦でベテラン内野手が所用で欠場した。キャンプで“みどころあり”と見られていたルーキー掛布が代役に指名され、そこで好打をみせ、監督、コーチが“使える”と確信した。ひとつのチャンスを確実にモノにした典型例だ。 “チャンスはどこにもころがっている”のではなく、“ヒョッコリまわってきたチャンス”をどうつかむか、だろう。オープン戦のプレー、成績を見ていると、今年も何人か、いる。あと半月が勝負だ。 大事なときに風邪をひいて「アホか」と監督に怒鳴られないように公式戦開幕までの日々を大事にしてほしい。 公式戦開幕を目の前にして、誰がいいプレーをしようがいい成績を挙げようが平然としていられる選手は何人いるか。
posted by 田村大五 |00:00 |
第21回~第40回 |
トラックバック(0)





