2006年07月12日

白球の視点 第209回

 テレビ、ラジオの横に、必ず選手名鑑を置いておくようになったのは、一昨シーズンあたりからだろうか。毎年、ドラフト終了後から翌春の選手名鑑発行時にかけて新しいプロ入り選手に関しては、おおよそのところは頭の中に入れているつもりだが、3、4年前にプロ入りしてずっと芽が出ずほとんどファームで過ごしている選手については、ついつい頭の中から消えてしまっている。覚えきれていない。それが、このところ一軍メンバーもかなり新陳代謝が激しくなって次から次へと“新鋭”が登場して活躍、いいプレーを見せてくれるようになった。で、つい“ハテ”この選手、どこ出身で何年生まれで、プロ入り前はどうだったのだろうか”と選手名鑑のページを繰ることになる。

 今年に入っていえば、たとえば広島の井生(いおう)崇光。東筑高時代、甲子園に出場しているとわかって、“あ、そういえば……”と、東筑高出身の大先輩・故仰木彬さんに、当時、「ウチの後輩にバネのある足のええ子がおるらしい」と聞いたことを突然、思い出したりする。

 「週刊ベースボール」7月24日号の特集「最後の夏にあいまみえた男たち」で井生の高校“最後の夏”は、福岡大会決勝で東福岡高に大勝したことを知ったがそこにいたのが、いま横浜の4番打者、セ・リーグの打点争いのトップを行く村田修一。そうか、あの井生も、昨年までの7年間、こういう日を夢見て耐えてきたんだな……などとなにがしかの感慨にふける時間をもてるのも“名鑑のおかげ”といえるかもしれない。

 たとえばまた、このところよく打っているソフトバンクの城所(きどころ)龍磨。“確か、中京高からのドラフト2位指名だったな”と思いつつ、名鑑を見直してみると「高校の先輩が入団してきて刺激を受けている」と、あった。亜大を経て希望ワクで入ってきたルーキー・松田宣浩のことだ。城島がいない、井口がいない、バチスタがいないという中でソフトバンクがよく頑張っている底流にはこういう男たちの戦いもあるんだなとうなづいたりする。

 11日夜、札幌ドームでの巨人- 広島10回戦をテレビで観戦していて驚いた。9回表、代打・鈴木尚典の2ランが出て横浜5-1巨人となったとはいえ、“さあ、連敗中の巨人、最後の攻撃” というところで“テレビ観戦のみなさん、ではサヨウナラ”と中継放送はプツンと終わってしまった。中継局は、ジャイアンツとは“親戚関係の友局だというのに、午後9時前にサッサと中継をやめてしまう、そういう時代になったのかと唖然とした。

 ならば、中継放送されない他の各カードの戦いぶりを、深夜のスポーツ・ニュースでなんとか想像をたくましくして、前記のような野球人生物語を自分なりに編んでプロ野球を楽しんでいくしかない……と、自らを慰めている。 

posted by 田村大五 |00:00 | 第201回~第220回 | トラックバック(0)
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