2006年04月06日

白球の視点 第201回

 ロッテの里崎智也が2対5の9回表に同点3ラン(5日、対オリックス戦)、横浜の多村仁が中日のリリーフ・エース岩瀬仁紀から9回裏に同点2ラン(4 日、対中日戦)……WBCの日本代表チームに選ばれた選手たちの元気のよさは、どうだ。劣勢にみえているとき、チームの勢いを取り戻す土壇場の一発は、ホームランの醍醐味といっていい。

 5日午後、この一月に野球殿堂入りが決まった、かつてのパ・リーグのホームラン王、門田博光さんと会う用事があって久しぶりに長時間、バッティング論、ホームラン論、野球論を聞いた。

 現役時代、ユニフォームを脱いでいるときは、球場での豪快なホームランのイメージとは違って、ハニカミ屋で、“能弁”とはいえないボソボソとした語り口で、ホンネを引き出すのにはグラウンドでの立ち話などではおよそ無理というもので、ホームラン王になったときなどはホテルに部屋をとって2時間から3時間たっぷり時間をとらねばならなかった。

 野球選手にとっては致命的といっていいアキレス腱切断からの復活劇(再起した1年目には、もうホームラン王になった)、球史最年長記録の「40歳で44 本塁打」に至る壮絶なエピソードもさることながら、オフの過ごし方や私生活の趣味の話も面白く、現役時代もむしろそっちの方の話を聞きたくて会ったりしたものだった。例えば、オフになると信州の山奥とか北海道の最果ての小さな町とか“あれはカドタというプロ野球のホームラン王”と指さされないような、“カドタヒロミツなんて誰も知らない場所”を探して月日を過ごす話しとか、例えば何故歴史ドキュメントを読みふけるのか、何故陶芸に打ち込むのか、といった話。

 今季、所用が終わって雑談になったとき、門田さんの方から「宮古島キャンプで会ったイチロー」の話になった。「眼の光が違っていた」と独特の表現をした。「なにかがフッきれたんだね。彼は」ともいった。その“なにか”は、別の機会に詳述するつもりだが、そして話はいつしか「若者たち」へとつながっていった。

 「目標を高く掲げてもらいたいなぁ」と門田さんは、言った。(打率)2割8分や2割9分で“よし”としたんではそれ以下の打者になってしまう。打率3割ホームラン30本で“オレはそこまで落ちたか”といった王(貞治)さんのような壮大な夢を追いかけてもらいたいんだ」

 WBCの川﨑宗則や西岡剛をはじめ、今季も開幕早々、西武ライオンズの元気いっぱいの若者たちや、どのチームからも新鮮な力が台頭してきて楽しみな幕開け劇をみせているが、どうか“一時の華やかさ”に終わってもらいたくないと思うのは、門田さんだけではあるまい。

posted by 田村大五 |00:00 | 第201回~第220回 | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/bbm_hakkyu/tb_ping/201