2005年11月25日
白球の視点 第183回
秋晴れの“勤労感謝の日”11月23日、ヤクルトの古田新監督にいわせると「私たちには“ファンに感謝する日”」、6球団の「ファン感謝デー」。それぞれ多くのファンが球場にかけつけて選手との交流を楽しんでいたようで、それはそれで結構なことなのだが、ひとつ顔をしかめたのは、巨人の若い選手が、テレビの“おふざけ番組”に出ている芸能タレントのコスチュームでグラウンド内ではしゃぎまわっていたシーン。「ファンとの無邪気な交流シーンを楽しめばいいじゃないか。なにもそんなに目くじらたてなくても……」といわれるかもしれないが、私には“この男たち、何を考えているのだろう”という不快感だけが残った。 見るも無残な負け方でテレビ視聴率も、落ち球場への足も遠去かりつつあったシーズンの“ファンに感謝する日”のファンへの対応姿勢がそんなことであっていいのかという思いだけが残る。 ファン感謝デーの中で、テレビ画面で見ただけなのだが、ジンときたのは、広島の「たる募金」の市長への贈呈式だった。広島市民球場の建て替え資金を集めた「たる募金」。球団創設期、資金難で球団運営ができなくなるというとき、球場前に置いた樽(たる)の中に、観戦にきた広島市民が1円、2円、3円……となけなしの小遣いの中から球団存続を願って投じた募金。それが「たる基金」の始まりだ。広島市は、2009年開幕までにJR広島駅東側の貨物ヤード跡地に新球場を建設する計画を進めているという。その一助にでも……というファンの浄財は1億円を超えたと報道されている。 カープという球団の長い苦闘の歩みについては、ずっと見聞きしてきて、ひとりで「カープ、くじけるな」と応援してきた。他チームでFA権を得た選手になど見向きもせず、自チームでFA権を得て他チームに移りたいといっても大金を積んで引き止めようともせず、球界では評判の猛練習でファームの若者を鍛えあげて一軍公式戦での“晴れの日”をじっと待つ。かつて黄金時代を築いたチームであるからこそ、そういうカープにもう一度、栄光の座に……とずっと祈ってきた。 巨人の会長が最近のあちこちのインタビューに答えて、“政財界の大物からカープを売る相談を受けたが断わった”という趣旨のことを語っている。そう、いまこそ球界をあげてカープのような球団を守っていかなければならない時代なのだ。
posted by 田村大五 |00:00 |
第181回~第200回 |
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