2003年11月05日

白球の視点 第120回

 ニュースが流れた夜、わが家にも「驚き」と「怒り」と「戸惑い」と「疑問」それぞれが入り混じった”悲憤慷慨”といった感じの、それこそパソコン設置以来最多のメールがドッと押し寄せてきた。
 
 「どう考えたってわからない。わけを教えて」。ダイエー小久保の巨人への無償譲渡のことだ。”わけを教えて”といわれても、王監督だって「どうしてなんだろう、何故そうなったんだという疑問がある」といっているくらいだから、私にわかるわけがない。想像はできる。推理はできる。
 
 例えば、いろいろと報じられているように右ひざ靭帯損傷の治療をめぐる対立とか、昨年までの選手会長としてさまざまな問題で球団と渡り合っているうちに積み重なった不満とか、「小久保がいなかったから優勝できた」とある幹部が発言したことを耳にしたからとか、そういう球団フロントへの不信感が引き金になったというようなこと。しかし、「球団フロントへの不信感」は、多くの選手に大なり小なり、あるものだ。それが何故、「無償譲渡」につながるのか。その点がどうにもわからない。球団に不満をもつチームの中心選手を他球団に譲る(過去そういうケースは、ときにあった)のなら、それ相応の”見返り”が当然だろう。しかも「無償譲渡」の相手が、こともあろうに戦力豊富、資金潤沢の巨人とは、わからない、わからない。
 
 11月5日付け毎日新聞朝刊の特集記事によれば「球団売却問題絡み 渡辺オーナーに返礼?」(見出し)という見方もあるというが、そんな”みえみえ”のことをするだろうか。それこそファンを愚弄している。テレビ画面には、両眼から涙が流れる若いオーナーの顔がクローズアップされた。青山学院大の先輩ー後輩の間柄のオーナーは、特に小久保が可愛くてたまらなかったという。その涙の意味は何だ。悔しさと悲しさの涙としたら、そうまで悲しくて悔しいことを何故しなければならなかったのか。わからない。いまからでも遅くはない。球団はファンにキチンとした説明をする義務がある。
 
 松中が「ふざけるな」と怒ったというが、いまもっとも恐れるのは、せっかく「日本一の座」を総力でかちとった福岡ダイエー・ホークス選手たちの気力の萎えである。小久保の故障離脱で川崎が台頭してきたように、王監督の檄ではないが、「先輩を越える選手よ、出よ」と祈るしかない。

posted by 田村大五 |00:00 | 第101回~第120回 | トラックバック(0)
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