2003年10月08日
白球の視点 第116回
約半世紀近くプロ野球を見てきたが、優勝を争うライバル・チームの、いってみれば”敵地”で、しのぎをけずってきたライバル監督から花束を受け、抱きしめられ「くじけるな、勉強せぇよ」と激励されて涙ぐみ、ペナントレースではときにヤジを浴びた”敵地のファン”にまで温かい拍手をもらった監督など、見たことがなかった。NHKの衛星テレビの画面を通じてだったが、特別な原監督ファンでもないのにジンとくるものがあったのは何故だろう。 かって阪急と近鉄の監督をつとめ、ずっと下位にいるのが常だった両チームを優勝チームにのし上げた西本幸雄監督をペナントレース最終戦の両チームの対戦後、両チームの選手が一緒になって西本監督を胴上げしたことがあった。そのときも一野球ファンとして感動したが、今度は、そのときとはまた違う感慨があった。特にそれは、一塁側、右翼席側のタイガース・ファンの巨人・原監督への温かい拍手と激励の声にあったように思う。巨人V9時代の最後のシーズン、優勝を賭けた最終戦で阪神が敗れたとき阪神ファンがグラウンドに乱入した時代に比べて、なんと”成熟したファン”になったものかとテレビ画面に見入ったものだった。素晴らしい場面を作ってくれた星野監督にも感謝したい。 巨人の「原内閣」のコーチ全員が総辞職するのだという。それぞれの事情があるのだろうから、第三者としてその進退についてとやかくいうことはできない。しかし、あえていいたいのは、本拠地・東京ドームでも「巨人ファンへの挨拶」がなかったのに、あの甲子園球場での”タイガース主催”の感動的なセレモニーとか”ライバル球場”での原監督の心のこもった挨拶、そして全コーチ辞任というような現象を、巨人球団幹部、特に渡辺オーナーはどんな思いで見ていたか、ということだ。 おそらく”心、穏やか”ではなかったはずだ。こういう事態になってしまったのは、どうみても巨人球団幹部のそそっかしい対応にあると私はみているが、そのことに関する”弁明”がほとんど聞こえてこないことがいらだたしい。 堀内恒夫監督初め新スタッフの苦労も、球団幹部は身を挺して支えてやらなければならない。そういうことをどこまで痛切に考えているのか。そのことも見えてこない。それも腹立たしい。
posted by 田村大五 |00:00 |
第101回~第120回 |
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