2008年07月23日

FC東京戦に見る京都サンガの問題

 
 京都サンガは第18節のFC東京戦で、後半ロスタイムに追いつかれて勝ち点2を失った。
 引き分けになってしまった要因について考察してみたい。

 ■GK水谷
 最後のエメルソンのFK。飛び出した水谷は触ることができず、ファーサイドにいた赤嶺に押し込まれて被弾。確かにこれは大きなミスである。しかも直接失点に繋がったのだから。
 
 しかし平井から正GKの座を奪った後の水谷は安定はしているし、ビッグセーブも何度も見せている。このFC東京戦でも、シジクレイがカボレに奪われた時、GK水谷はしっかりストップした。
 
 GKは辛い仕事だ。日本代表の川口や楢崎らがインタビューで語っていたことだが、FWはシュートミスをしても自分で得点をもう一度トライすることができるが、GKはミスをしたら自分で得点はできない。次を止めることだけだと。

 加えて守備での連携にもまだ不安はある。
 最近はようやく固定されてきたが、最終ラインを含めてイレブンの顔ぶれは毎試合のように変わっていた京都。ラインコントロールに定評のある森岡は、今季ベンチ外が多い。 頭角を現してきた大久保、新加入の水本の2人をCBに、増嶋・角田を両SBに置く「4CB」「4人のストッパー」に近い形だ。

 ここ数試合の京都は、後半になると相手に押しこまれることが多くなっている。
 そこでTVでも聞こえてくるGK水谷のダミ声コーチングだ。

 「ラインを上げろーッ!!」

 EURO2008のチェコもそうだったが、あの堅守国ですら引いて守って守りきれるものではない。
 FC東京戦の京都の後半は、GK水谷のミスももちろんなのだが、大久保や中谷らの稚拙なコントロールやクリアミス、前線に繋げられないビルドアップなどにも問題があった。
 自ゴールに近いところでプレーが多くなると、必然的に失点機会が増える。むしろあの1点で済んで良かった、という見方すらできるのだ。1-1は結果論にすぎない。

 ■加藤監督
 「交代が遅い」――サポーターに指摘されるポイントはここだろう。
 スタメン固定の効果が出てきていると共に、疲労がたまって後半に完全に主導権を相手に握られるようになってきている。
 しかし前の記事でも書いたが、FC東京戦の京都のベンチメンバーでは「試合の流れを変える」ことはまず期待できず、逃げ切るにも不安があった。勢いを持ってかき回す若手でもなく、試合を落ち着かせるベテランでもなく、というどっちつかずの印象だ。
 早めに代えたところで、さらなる失点があった可能性が否めない。

 練習・サテライトなどで見極めた上での人選。サポーターに知ることの出来ない事情も含まれているだろう。

 田原・徳重・手島・アタリバ・森岡ら実力的にスタメンである彼らの奮起、コンディション調整に期待したいところだ。疲労がたまるとケガも増えてくるので、スタメンが離脱することも今後出てくるだろう。

 ■攻撃パターン
 良く言えばタメを作れる、キープできる。悪く言えば持ちすぎる。そんなフェルナンジーニョのプレースタイルは紙一重。しかし京都では柳沢という相棒を得たことで、両者の良さが引き立っている。
 現在の京都のシーズン総得点は17点。最下位千葉の13点に次ぎ「ブービー」である。今の11位という順位は守備に助けられている(そしてGK水谷の力も含まれるはずだ)。
 京都の攻撃力は低い。リーグ戦で2点以上取ったのは、最近では4/13の第6節の神戸戦、その次が7/16の第17節の鹿島戦だったのだ。

 このFC東京戦、もう1点を取れていれば逃げ切れたという見方もできた。もちろんこれも結果論にすぎないが…。

 古都ナチオとも言われる「堅く守ってカウンター。フェルを中継地点として、柳沢らが飛び出す」という形が出来てきている。しかし上位を狙う、もしくは中位に踏みとどまるには攻撃のオプションを増やすことが必要だろう。連携が深まってきた今、加藤監督も着手しているに違いない。

 京都は、リーグ戦でセットプレーによる得点は少ない。面白いことに、第3節のFC東京戦@味スタで、角田がCKを沈めて以来のセットプレーでの得点だったのだ。
 ここでフェルナンジーニョのキック精度の高さが徐々に活きてきている。FKで得点の期待感を漂わせるシュートを放つし、CKでも相手に嫌なポイントに蹴りこんでくる。FC東京戦の水本へのクロスボールは見事だった。ニアに走りこむ水本の動きに遅れることなく、強く速いボールを蹴りこんだフェルナンジーニョの素晴らしさである。

 ここで考えるのはフェルナンジーニョが抜けたらどうするのだ?というものだ。ケガでの離脱は元より、彼が今年いっぱいのレンタル移籍だということを忘れてはならない。1年後、2年後といった先を見据えた場合、攻撃の軸・オプションは今から作っておくべきである。

 個人的には「田原のポストプレー」「中山のゲームメイク」「宮吉の成長」の3点が、今後のサンガのキーポイントにすべきだと考えている。終盤に入り、ある程度順位が確定してきたら試せる事項ではあるだろうが…。今は余裕がないだろう。

 ■サポーターの意識
 京都の人間はあまり感情を表に出さない、というのはよく言われることだ。

 佐藤勇人が、京都の携帯公式サイトでのインタビューでこんなことを話している。
 
 「京都(のファン)は試合が終わったときに、勝っても負けてもすごいあっさりしてるなって」
 「見に来た人も、"お客さん"(もちろん悪い意味だろう)っていう感じがして、さみしいなって思った」

 そんなところから、千葉時代からやっていたあの"万歳"のようなパフォーマンスを、京都でも勝利の時にやっている。ドイツ・ブンデスリーガでよく見られる光景だ。高原のHSV在籍時のニュースで何度か見られた方もいるのではないだろうか。
 
 第12節、勇人の古巣の千葉戦で京都は全てがうまく行かなかった。未勝利の千葉相手に不甲斐ない試合内容で0-1で敗戦、千葉に今季初勝利を"プレゼント"してしまったのだ。
 試合後「おそるおそる」といった雰囲気で京都サポの前にやってきたイレブン。私はそこにいたが、異様な雰囲気だった。罵声や野次、ブーイングが飛ばないのだ。無言の圧力。

 浦和や南米のような、ひたすらブーイングでプレッシャーをかけるスタイルを否定はしない。何でもかんでもブーイングすれば良いものでもない、という京都の応援スタイルは好きだ。
 
 相手でも良いプレーをしたら拍手を送りたい。G大阪戦はそんな気持ちになった。

 次節は水谷の古巣相手。これまでの京都加入組のリヴェンジ街道は、増嶋がドロー続き、勇人が敗戦、柳沢は自ら決めた。フェルは決めたがチームが敗れた。
 さて水谷は?完封を期待したい。
 
 京都が好調なため、集客は少しずつ伸びてきているようだ。新スタジアムに建設を推進するには、「具体的な数字」は必要不可欠だろう。


 ■柏戦プレビュー
 リクエストがあったので簡単に…

 柏は李が五輪出場、古賀とポポが警告累積のため出場停止。前節のFC東京戦でのカボレ―平山という縦ラインと同様、フランサ―李ラインは脅威だと思われたが、幸いにも李はいない。
 柏は鹿島に引き分け、浦和・G大阪相手に連勝。しかし前節はフッキがいなくなった東京V相手に敗戦。次節での主力3人の不在は、正に「飛車角落ち」。京都は勝っておきたいところ。

 おそらくキーポイントは「フランサの位置」ではないだろうか。1トップか、トップ下か。
 そして京都はフッキ、マルキーニョス、カボレ、ウェズレイら外国人ストライカーに一歩も引かなかった水本が五輪出場のため不在。
 フランサがトップ下で来たらシジクレイのハードマークと、抜かれた場合のマークの受け渡し。フランサが1トップで来たら、おそらくCBに入るであろう増嶋と大久保の2人がどのように対応するか。技巧派のフランサに、巧みにマークを外される事態は避けたいところ。またフランサには、DFやGKの逆をつくようなミドルシュートもある。

 あとは柏のGK。正GK南 雄太から完全にポジションを奪った新加入GK菅野 孝憲の牙城を崩せるかどうかがポイントになる。
 菅野は2007年の新人王に輝き、昨季のJ1横浜FCのゴールマウスを守り続けた。クラブは降格してしまったが、菅野の評価は高い。

 加えて、京都のベンチ入りするメンバーにも期待したい。
 田原・徳重・アタリバ・手島・森岡――手島はケガからようやく戻れる、といったことをFC東京戦の後に加藤監督は話していた。
 

posted by batistuta |22:29 | 京都サンガ | コメント(9) | トラックバック(0)
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