2008年07月21日

運で勝つな、走り勝て 京都vsFC東京

 
 Jリ-グ第18節、京都サンガ(11位)vsFC東京(10位)の試合が、西京極にて行われた。
 前節、首位の鹿島を下して勢いに乗る京都、中断明けから勝ち星がなく不振にあえぐFC東京。前半はそんな両チームの情勢を反映するような試合。しかし京都が何度もチャンスを作るも、FC東京が凌ぎきる。
 そして後半50分、左CKを水本が合わせて京都が先制。しかしその後はFC東京が主導権を握り、京都は押される試合展開に。FC東京のシュートミスや、クロスバーに助けられるなど「運」が続いたが、ロスタイム3分を過ぎた最後のFC東京のFKを赤嶺が合わせて同点弾。
 京都がすんでのところで勝ちを失う形となった。


 ■プレビュー
 京都は東京V、鹿島を下して2連勝。柳沢が4試合連続の得点を狙う。
 スタメンは固定された。

 GK 水谷 雄一
 DF 増嶋 竜也
    大久保裕樹
    水本 裕貴
    角田 誠
 MF 佐藤 勇人
    シジクレイ
    中谷 勇介    
 FW 渡邉 大剛
    柳沢 敦
    フェルナンジーニョ

 対するFC東京は、浦和・鹿島・G大阪という上位陣を相手にした苦しい日程。中断明けは2分3敗と苦しい状況が続き、中断前は3位だったが、あっという間に10位に転落してしまった。
 鹿島に続き、FC東京のアウェーユニフォームもフランスのクラブ、リヨン風味である。

 GK 塩田 仁史
 DF 長友 佑都
    佐原 秀樹
    今野 泰幸
    徳永 悠平
 MF 浅利 悟
    梶山 陽平
    石川 直宏
    羽生 直剛
 FW 平山 相太
    カボレ


 ■北京に行く者、行けない者 
 梶山、長友、水本。北京五輪出場18人枠に入った3人を、五輪代表の反町監督が視察に来た。
 そして予選で"軸"であった平山。中山、増嶋含めた3人は招集の差こそあれ、最終メンバーに入ることができなかった。
 「選ばなかったことを後悔させたい」――そういう気概がほしいところだ。


 ■前半
 第3節の対戦で、3-3の逆転・同点を繰り返した両チーム。この試合にいなかった石川が、今日のFC東京攻撃の軸だった。
 開始早々、石川のスルーパスを、スペースに走りこんだ梶山が受けて深いところからクロス。ゴール前で待ち受ける平山が、右足ヒールで巻き込んでシュートを狙うが空振り。カボレも詰めるがゴールならず。

 巧みなシュートを見せた平山は続いて、3人の京都DFの間を抜くパス。カボレがクサビとなり、角田を振り切った石川が抜け出してシュートも、GK水谷がストップ。

 この後、再び角田の判断のマズさが出る。
 角田から中谷へのスローインを石川に奪われ、クロスまで持ち込まれる。これを角田がクリアするが、相手の元へという場面も。
 石川が梶山・長友とうまく絡み、京都左サイドを攻め立てた。

 奮起した角田は自陣でハードマーク、ボールを失わせると柳沢が拾って後ろのフェルナンジーニョへ。フェルナンジーニョもワンタッチで角田に繋ぐ。この時に柳沢が前線へダッシュを仕掛けていたが、角田が持ちすぎた。左サイドへ回って走りこんだフェルへラストパスも、シュートはGK正面へ。
 ハーフタイム時の京都の加藤監督のコメント「もっとシンプルに前線の選手を使っていこう」は、特にこのプレーに向けられたものだったか。シンプルにワンタッチで繋いで良いところだった。

 柳沢は足だけでなく、色んなところを使うのが巧い選手だ。自陣からのロングボールを胸で落としたり、低いボールを頭で丁寧に落としたりする。東京V戦ではヒザを使った柔らかいパスを見せていた。
 前半最後、自陣ゴール前からのFKで水谷が大きく蹴り出した。ワンバウンドして、FC東京ペネルティエリアに入ったところを、柳沢がボレー!しかしこれは角度が悪く、ゴール左へ逸れていった。

 前半のシュート数は京都:11、FC東京:7。京都が少し上回る形でチャンスを作ったが、両チームのGKの好守により無失点でハーフタイムを迎える。


 ■後半 水本初ゴール
 後半、FC東京が最終ラインで消極的なパス回しをすると、京都の前線がプレスを仕掛ける。これが功を奏し、不用意なサイドチェンジを中谷がインターセプト、ドリブルで持ち込む。しかしラストパスに精度を欠き、クロスボールはGKの懐へ。

 しかしなおも京都が攻め込む。左サイドでフェルナンジーニョがボールをキープ。2人に囲まれても失うことはない。そこに大剛がサポートに駆けつけ、ボールをもらいクロスを狙う。これがDFに当たり、ゴールラインを割りCKを得た。

 するとこのCK、ゴール前の一団から水本がギアを入れたようにニアへ走り出す。柳沢がコーナーへ駆け寄り、長友を引き連れる。出来たスペースに水本が入り込むと、フェルナンジーニョが速いボールを蹴り込み、水本が頭で豪快に叩きこんだ。
 1-0、京都先制!北京へ旅立つ水本、嬉しい今季初ゴールを挙げた。サポに背番号を誇らしげに見せつける。

 この後、平山がすくい上げるような蹴り足で浮き球を出し、カボレがシュートまで持ち込む。すると得点に満足しない水本が「本職を蔑ろにはしない」とばかりに、しっかり身体を寄せてシュートコースを切った。


 ■変わる流れ
 京都は先制点を挙げたことで、少し意識が後ろ向きになってしまったようだ。
 4-3-3に近い布陣から、中盤フラットの4-4-2に近くなり引き気味になる。
 FC東京は後半、SBをポジションチェンジする策に出る。前半は左:徳永、右:長友だったがこれをチェンジ。長友の運動量豊富で強気なポジション取りが、4-4-2の右SHのポジションに入った大剛を押し込める。
 逆に京都は角田を高いポジションに置きミドルシュート、速攻に絡ませることで2得点目を狙うが、決めきることができない。

 京都は中断明け後、積極的な交代策に出ていない。それも悪影響となったか、または得点後の安心感からか、運動量が落ちていく。攻撃の組み立てが雑になる。FC東京の流れになるのは必然だろう。
 FC東京は積極的に京都の最終ライン裏のスペースを突くパスを繰り出す。大竹 洋平、エメルソンを同時投入して攻撃を活性化する。さらにはハードマークに苦しみ、イライラからイエローカードをもらっていたカボレを下げて赤嶺 真吾を投入した。

 83分、大久保のクリアミスが大竹に渡り、大竹は即座にクロス。赤嶺がセオリー通りに叩きつけるようなヘディングシュート、しかし角度が悪くバウンドしてクロスバーの上へ。
 さらにこの後に中谷が浮き球を見失い、大竹にボールを奪われる。大竹が中央へドリブルで切り込み、待っていたエメルソンが受けてシュート。しかしこれはバーを直撃。

 終盤はFC東京の一方的な試合展開。
 大久保のクリアボールが相手に渡るなど、京都は前線にパスが繋がらず自陣でのプレーを強いられる。時間が経つのを待つだけの、消極的な戦い。相手が攻め終わるのを待つだけの、消極的な守り。

 ロスタイムは3分。
 93分を少し過ぎたところで、FC東京が左45度でFKを得る。全員がペナルティエリアに入り、キッカーポジションに大竹とエメルソン。エメルソンがフワリとしたボールを送ると、大きく上方に伸ばしたGK水谷の手をスルリと抜けて、ファーサイドへ。赤嶺が詰めてヘディングで押し込んだ。

 訪れる静寂――真夏の夜の悪夢か。

 京都が勝ち点3を逃し、重い雰囲気で後半戦の第1戦を終えた。


 ■総括
 負けに等しい引き分け、か。またこのようなところで「お家芸」とも言える試合終盤での同点を喫してしまった京都。第3節を彷彿させるような終盤でのミスによる失点。しかしこれはチーム全体の"敗戦"だ。様々な観点から、引き分けに至ったかを考える。

 ◆コンディション
 安藤 淳、石井 俊也、加藤 大志、中山 博貴、林 丈統、西野 泰正――今季の出場時間、そしてその内容を考えると効果的な交代策をできる控え選手ではない。
 田原も徳重も手島もアタリバも、ベンチにすらいない。かつてスタメンで出場していた4選手はケガやコンディション不良で不在。平島・斉藤らは放出してしまった。

 スタメン11人は固定できてきたものの、効果的な後半の戦い方ができていない。全てが「逃げ切り」「時間つぶし」のための交代だ。そしてスタメンの連携強化のため、疲れていても限界まで使い切っている。

 「京都という盆地のの暑さは想像を上回る。これに慣れている京都が、相手チームを迎えることは有利」という見方もできなくもないが、京都生まれはスタメンでは角田と中谷くらい。
 そしてホーム2連戦となったこの試合、ホームコートアドバンテージは有利だが、コントロールできない暑さと、16(水)からの一週間空かない中では疲労も溜まる。
 加藤監督は今日も粘り、最初の交代は83分の柳沢と安藤の交代だ。安藤を高めの位置に置いて、プレスをかけさせるつもりだったかもしれないがパワープレーを仕掛けるFC東京には効果は薄かった。

 出ている者だけに引き分けた責任はない。出られていないベンチ外の4選手にも、きっちりとコンディションを整えてもらってうまくローテーションをしてほしい。

 ◆ウィークポイント
 加藤監督の試合後のコメント。
 「立ち上がり10分に関しては、今までで一番の集中をしようという形でいきましたが、すぐに右から崩されて、ゴール前を横切ったボールがあったように、少し集中力が欠けていた部分があったと思います」
 (途中、略)
 「前半、特に角田、中谷のサイドが少しえぐられていたので、後半は、そこにブロックを作ってサイドをえぐられないように形を変えました」

 中谷と角田の左サイド。攻守の場面、相手に合わせてなど状況に置いてポジションを交換している二人だが、守備に置いて少し不安定の印象。角田はよく前線に進出し攻撃に絡んだ。中谷もインターセプトからそのままドリブルで持ち上がるも、ラストパスで精度を欠いた。決定的なコントロールミスでピンチを招いてもいる。

 ◆加藤采配
 掲示板での話題では、疑問を呈する声が多い加藤采配。この試合でも交代時間は遅かった。ピッチ上は明らかに運動量・集中力が落ちており、後手を踏んだ格好だ。しかし先述通り、切るカードに不足がある印象も拭えない。スタメンにも負担がかかる悪循環に陥りかねないだろう。

 ◆運で勝たない
 後半、京都の得点後はFC東京がペースを掴んだ。赤嶺のシュートミス、エメルソンのバー直撃など運に助けられる場面があった。対するサンガは攻撃の組み立て・パスが雑になっており、クリアボールも中途半端で何度もピンチを作った。
 GK水谷がいつものダミ声で「ラインを上げろ~!」と怒るが、京都の最終ラインはズルズルと下がるばかり。「引けば守れる」ものではなく、ポゼッションも高めないことにはいつか失点するもの。

 そういう意味では、折り返して後半戦の初戦で「勝ち点3」を失ったことは今後に繋げるべき。そのまま勝って良かった、で済ませるより課題としては良かったのではないか。
 ここ数試合で良かったのは「相手より走り勝っていたこと」。この試合では後半、ルーズボールの競り合いでも消極的な印象を受けたし、システム的にも精神的にも引いてしまった。

 失点シーン、水谷の浮き球の目測ミスももちろんだが、赤嶺をフリーにしてしまった増嶋のマークも責められるべき要素ではある。
 
 「必然」であった引き分け。これを糧として、課題として、後半戦を戦っていってほしい。
 

posted by batistuta |23:13 | 京都サンガ | コメント(6) | トラックバック(1)
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