2008年07月16日
「 YOI 」 山 京都vs鹿島
Jリ-グ第17節、京都サンガ(12位)vs鹿島アントラーズ(1位)の試合が、西京極にて行われた。 柳沢が古巣相手に見事なゴールを決めて京都が先制。しかし21分に野沢がミドルシュートを決めて、鹿島が同点に持ち込む。 前半は京都が主導権を握っていたが、後半から鹿島ペースに。そしてダニーロ、興梠と攻撃のカードを次々と切り、前節のFC東京戦「4-1の逆転勝利」の再現かと思われた。しかし京都の守備陣が踏ん張った。その奮闘に、佐藤勇人がリーグ戦初ゴールで応えた。この勇人のゴールが決勝点となり、京都が2-1で勝利。 京都は、最高の形でリーグ戦を折り返すことになった。 ■プレビュー 京都は同じ布陣。開幕当初は「猫の目のように変わる」選手起用と布陣で、注目を集めた加藤采配だった。現在は実戦で連携を鍛えるべく、固定される流れになっている。 GK 水谷 雄一 DF 増嶋 竜也 大久保裕樹 水本 裕貴 角田 誠 MF 佐藤 勇人 シジクレイ 中谷 勇介 FW 渡邉 大剛 柳沢 敦 フェルナンジーニョ 鹿島は、復帰した中田浩二がベンチスタート。しかし今日出番はなかった。 GK 曽ヶ端 準 DF 内田 篤人 岩政 大樹 大岩 剛 新井場 徹 MF 青木 剛 小笠原満男 本山 雅志 野沢 拓也 FW マルキーニョス 田代 有三 ■前半 ◆京都に新戦術? 京都の取った戦術は面白かった。攻撃と守備の時、極端にシステムを変えていたのだ。増嶋と角田という(あまり純粋な)SBではない2人が左右にいる(増嶋はストッパータイプな気がするし、角田は昨季CBを務めていた)。ともすれば「4CB」になりかねない。 しかしこの試合、攻撃時には角田が中盤に上がり中央にも侵出していた。その穴は中谷がバランスを取ってカバー。シジクレイが下がって3バックっぽくなったり、鹿島はマークマンを絞れなくなっていたのではないか。 そして京都の左サイドで角田と中谷が高い位置でポジション取りをしていたため、鹿島気鋭の右SB内田が押しこめられる場面が多かった。実際、今日の試合ではあまり効果的な攻め上がりを見せることができずじまい。 ここでふと頭に浮かんだのは「オシム語録」。 「これは極端な話だが、バルセロナと試合する時、ロナウジーニョにマンマークしたとする。その場合はマークする選手が、必要以上におびえる。相手を消すプレーしかしない。でもロナウジーニョをマークする選手が前線に走った時、ロナウジーニョがその選手の守備にいけば、もはやロナウジーニョではない。そんな対策もある」 内田の良さを消した戦術に感じた。 ◆鹿島のキープレイヤーは? さて内田消しに成功した京都。しかしそこは昨季チャンピオンであり、現在も首位の鹿島だ。小笠原、本山、そしてマルキーニョスというJリーグ屈指のチャンスメイカーがおり(前者2人はなぜ今の代表にいないか不思議だ)、起点の的を絞らせない。そしてフィニッシャーの田代が、ペナルティエリアで脅威になる。 パスミスは少なく、サイドを使ってシンプルに攻める鹿島。逆に京都の大久保はマルキーニョスに「ヘディングでパス」するなど、不安を拭えない。 ◆京都、先制 一進一退の攻防の中、決めたのはあの「役者」だ。 右サイドで大剛が仕掛け、深くエグってクロス。ゴール前で待ち受ける柳沢は、「二枚岩」岩政と大岩の間で巧みにポジションを取りジャンプ。まるでマイケル・ジョーダンのように「空中で静止」した柳沢がヘディングシュート!空中戦で完全に勝利し、先制点を挙げた。3戦連続ゴール、京都に歓喜をもたらす。 ちなみにこの場面、角田がしっかりと詰めていたことも書いておきたい。前節の柳沢のゴールシーンには勇人が詰めていた。こういう「無駄走り」は重要である。 ◆決めたら、決められる京都 負ける時は点を決められる時。当たり前な話だが、調子の悪い京都は得点後にすぐ失点するケースが多かった。 5分たち少し安心すると、10分後に決められることになってしまった。 自陣で浮き球に身体を入れた柳沢。後ろから小笠原に潰されるもノーホイッスル。ここで京都の集中が少し途切れたに違いない。ボールを回され、バイタルエリア(注:DFとMFのラインの間、もしくはペナルティエリアのすぐ外あたりを指す)でボールを持った野沢がフリーに。右足を振り抜くと、水谷の手をすり抜けてゴールへ。 鹿島が同点に持ち込む。 ◆一味違う京都 鹿島、前節のFC東京戦では1点先制された後に4点を取っての快勝。もし京都の集中力が切れようものなら、その再現になるに違いない。 しかし今の京都は強い気持ちを持っているようだ。 28分、鹿島のバックパスを勇人が奪い角田へ。フリーになった角田が思い切り良くシュートを狙うと、これはクロスバー直撃。 さらに右サイドで大剛がキープした大外を、増嶋がオーバーラップ。大剛が勇人に戻し増嶋へ展開。増嶋のクロスが絶好の位置に供給されるが、フェルナンジーニョが飛びこんでヘディングもバーの上へ外れる。 京都は攻撃のペースを崩さぬまま、ハーフタイムを迎えた。 ■後半 ◆鹿島の勝利パターン? 後半になると鹿島ペース。ボールポゼッションの天秤がが明らかに鹿島へと傾き、シンプルに前方スペースへとパスを出していく。大久保のセーフティミスなどでCKになる場面もあり、セットプレーに弱い京都を脅かす。 さらに野沢に代えてダニーロ、田代に代えて興梠を投入し、鹿島の勝ちパターンに持ち込むつもりのオリベイラ監督。 サンガはボールキープがままならず、前線へ運べない。押し込まれて下がる守備陣をGK水谷が「上げろッ!上げろッ!」とラインを上げるよう、お馴染みの「ダミ声」を張り上げてチームを鼓舞。 ◆決勝点 鹿島の猛攻を耐え凌いで迎えた84分。パスをゆっくりと回して形を作ろうとする京都。すると、何故かポッカリとバイタルエリアにスペースが空く。決めきれない鹿島、集中力が切れたのか。 角田からボールをもらうと、勇人が思い切り右足で撃ち抜いていった。ゴール左へ、ワンバウンド。まるで鹿島の野沢の得点シーンのリプレーを見ているかのような錯覚に陥ったゴール。 勇人はナビスコで得点していたが、リーグ戦では京都移籍後、嬉しい初ゴールとなった。 この後、89分にフェルナンジーニョを下げてDF安藤 淳を投入し、逃げ切った京都が見事な勝利を挙げた。 ■総括 ◆MOM 柳沢 敦 今日「も」Man Of the Matchは、やはり柳沢。10年近く在籍し、鹿島の11冠を成し遂げた男(柳沢がイタリアに渡っている間、鹿島は無冠に終わっている)。古巣のDFのクセを知り尽くしているであろう男は前半、積極的にライン裏を狙って何度もオフサイドにかかるも諦めない。 巧みなポジション取り、空中でのボディバランスなどが見事に結集した得点シーンもさることながら、京都に来てから常に見せる「諦めない姿勢」は称賛に値する。 確認できただけでも岩政を相手に3度、ボールの競り合いに勝利。浮き球での身体の入れ方、ライン際でのスライディングを使ったセーフティ。気持ちと技術が結実したプレーだった。 柳沢は3戦連続ゴール。今季公式戦、柳沢がゴールを決めると無敗というデータがある(リーグ7戦5勝2分け) 。柳沢が決めた時「これで今日負けはないな」と思ったほどだ。 ◆主審 ジョージ 第7節の新潟戦で不可解な判定が続き泣かされた京都。 そして今日は柏原丈二。調べると、なかなか悪名高い主審のようだ。Googleで検索すると、2006年の鹿島vs京都戦が出てくるところは面白いが…。 前述したが、鹿島の得点の前の柳沢に対する小笠原のプレー。後ろから完全に押し潰しているがノーホイッスル。 31分には京都ペナルティエリア内で、野沢が高く足を上げるもこれも笛は吹かれず。67分には増嶋のロングスローを内田がクリアした際も、高く足を上げていた。 87分に鹿島が明らかにラインを割ったプレーで、副審が鹿島ボールを宣告。「副審までもか…」と思わされたが、これは主審が訂正して京都ボールに。 ◆今回の加藤采配は? 京都の選手は、暑い中よく走った。球際、競り合いでしっかりと詰め、ラインを割らんとする時は身体を投げ出していた。思いつくところでも柳沢、大剛、中谷、大久保…。 そんな運動量豊富な状況でも、加藤監督は動かなかった。3度目になるが「連携を考えて」交代を控えたのもあるだろう。バランスを崩したくなかったのだろう。交代は89分の1度のみ。しかも今季リーグ戦で出場のない安藤 淳を入れてきた。 今日の相手、鹿島のように交代選手を効果的に使うことも必要になってくるだろう。おそらく、まだまだ模索中ということか。 しかしここに来て、内容・結果を出せてきている京都サンガ。 全34節、この17節で折り返すことになった。明日にも他チームの試合があるので変動はあるものの、京都は「7勝3分7敗」と五分の内容で10位に。降格した2006年の最終勝ち点「22」を越えて、現在「24」。この第17節の殊勲の勝利は、今季の京都を語る上で文字通り「ターニングポイント」になることだろう。 そして今日は伝統行事、祇園祭りの宵山だった。今年は約44万人を集めたとのこと。そんな中で西京極に集まった15,081人に「お疲れ様」「ありがとう」そして「羨ましい」と言いたい。今日は間違いなく、今季の京都のベストゲームだった。 京都市内は「宵山」だったが、西京極は「良いヤマ」「(勝利に)酔いヤマ」といったところか。
posted by batistuta |22:22 |
京都サンガ |
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